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大西 進(宅建士・リフォームスタイリスト)

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公開日:2024年3月9日

こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただきありがとうございます。

このブログをご覧いただいた方で「原野商法」とは何かご存知の方はいらっしゃいますか? 値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野を、「将来、開発計画があるので高く転売できる」「リゾート・別荘地の誘致が進んでいるので価値が上がる」などと騙して売りつける悪徳商法のことです。1960年代から1980年代が全盛期であり、新聞の折り込み広告や雑誌の広告などを使った勧誘が盛んに行われていました。

結局は、道路の整備がされることがなければ、電気・上下水道の生活インフラも整備されることもなく、そして建築を目的で購入したにもかかわらず建築許可も取得できず、タダでも売れないような土地だけが残り、お荷物財産になっています。そのような処分に困っているような購入者を、もう一度ターゲットとした「原野商法」の二次被害トラブルの話題は、ドラマ『正直不動産』でもしっかり描かれていました。

今回はこの「原野商法」について徹底解説します。

原野商法

二次被害トラブルの相談件数が急増、被害額は高額化

近年、この「原野商法」によって取得した土地をめぐる二次被害トラブルの相談件数が急増、被害額が高額化しています。特に「売却勧誘下取り型」という巧妙で複雑な手口が目立っています。

この手口では、まず不動産業者を名乗り、電話や訪問して「あなたの土地を高く買い取ります」などといった電話勧誘が行われます(売却勧誘)。その後、業者は契約内容の詳細を説明せずに「節税対策」などといった名目でお金を請求してきます。しかし、この説明は適切ではなく、実際は土地の売却と同時により高い金額で新たに別の土地をさせる手法です(下取り)。

また、原野商法で買ってしまった土地を子供が相続してしまったら、子供に負担を押しつけてしまうことになると考える人も多いでしょう。「自分が元気なうちに清算したい」との気持ちにつけこんで、業者は勧誘を行っていることも考えられます。

原野商法の二次被害を防ぐためのポイント

最近、どのような原野商法トラブルが起きているのか、実際の例をご紹介します。

事例1:雑木林を買い取ると勧誘され、節税対策と言われお金を支払ったが……

宅地建物取引業の免許を持つ見知らぬ業者から電話があり、相続した雑木林の売却話を持ちかけられた。この雑木林は両親が昔400万円で購入した土地。最初は断っていたが、「オリンピックまでにその土地一帯に複合レジャー施設を造る予定」「約5,000万円で買い取る」と何度も電話で勧誘され、根負けし喫茶店で話を聞いた。

その際、「他の土地を購入すれば節税になる」「購入費用は税金対策処理後に返す」などと勧められた。よく分からなかったが、買い手のつかない雑木林が売れるならなどと思い、約400万円を支払って契約書にサインした。その後、期日になってもお金は支払われず、業者は電話に出ない。改めて売買契約書を確認したところ、雑木林を約1,200万円で売り、原野を約1,600万円で購入する契約になっていた。(60歳代・女性)

事例2:山林を購入したい人がいると説明され、調査と整地費用を払った

40年前に30坪と100坪の山林を購入し所有している。先日、「30坪の方の土地を欲しがっている人がいる」と不動産業者から電話があり、了解した。その後、不動産業者から、売るに当たり調査や整地が必要と言われ、請求されるままに合計190万円を支払った。

30坪の土地の売却代金が入ると思っていたが、今度は「同じ人が100坪の土地も欲しがっているので調査費を80万円払ってほしい」と言われた。「先に30坪の土地を売ってからにしたい」と伝えたが、「まとめて売れば3カ月以内にお金が入る」と言われた。子供に相談したところ、原野商法の二次被害に手口が似ていると言う。(60歳代・男性)

事例3:覚えのない管理業者から別荘地の管理費20年分を支払えとの通知

覚えのない管理業者から、約25年前に購入した別荘地について「管理費を滞納しているので支払え」との通知が届いた。その後、その管理業者から電話があり、「購入した別荘地の管理を担当している。管理費用が20年前から滞納となっている」として、管理費約70万円と滞納金約50万円の合計約120万円を請求された。しかし、購入当初の管理サービスについてはすでに解約しているし、業者名も違う。あやしいので支払いたくない。(50歳代・男性)

(参考:国民生活センター「より深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル-原野や山林などの買い取り話には耳を貸さない!契約しない!-」)

不審な勧誘を受けたら消費生活センターに相談を

「原野商法の二次被害」トラブルでは、契約後は業者と連絡がつかなくなることがほとんどであり、一度お金を支払ってしまうと、取り戻すことは非常に困難です。以前購入した原野の買い取り話を不用意に聞いてしまうと、さらなるトラブルに遭ってしまう恐れがありますので、「土地を買い取る」といった勧誘には、耳を貸さずきっぱりと断りましょう。

そもそも、購入した「原野」はこれまで値上がりもせず、開発することもできなかった土地です。「値上がりする」「買いたい人がいる」といったうまい話ほど、まずは疑ってかかりましょう。業者の説明に少しでも不審な点があったり、不安を感じることがあったりした場合は、決してすぐにお金を支払わず、お近くの消費生活センターなどに相談しましょう。

昔買ってしまった原野を処分したいと思っても、その場で話を聞いたり判断したりせず、家族など周囲の人に相談することが大事です。

また、70歳代、80歳代と特に高齢者が被害に遭いやすくなっています。ご本人が用心するだけでなく、ご家族や地域の方々が高齢者の方を見守ることが重要です。口数が減る、買い物をあまりしなくなる、借金を申し込んでくるなど、高齢者の生活に変化がないか気を配りましょう。不審な勧誘を受けている、お金を支払ってしまったなど、困っているときは、消費生活センターなどへ相談するよう勧めましょう。

まとめ

不動産業者を名乗り、電話や訪問で「あなたの土地を高く買い取ります」といった勧誘には警戒しましょう。契約書をよく読み、売却する土地と購入する土地の差額分を支払う契約になっていないか確認しましょう。疑問や不安があれば、専門家に相談することをお勧めします。

 

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