こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西 進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただきありがとうございます。
マイホームを購入されるお客様には、住宅ローンとセットで加入する保険「団体信用生命保険」についてお話をさせていただいています。すると、今月はこれまで以上に「団体信用生命保険」の商品内容を重要視して借入金融機関を選ばれるお客様が増えた印象です。
確かに、各金融機関は住宅ローン金利にセットされる「団体信用生命保険」の商品にとても力を入れており、低金利+団体信用生命保険商品で「掛け金のお得感」を打ち出しています。そこで、住宅ローンを利用して保険に加入する中、今現在加入している「生命保険」と保険が重複してしまうのではお考えになられる方も多いようです。
今回のブログは「団体信用生命保険に加入したとき、生命保険の見直しが必要か?」についてご説明します。最後までご一読下さいませ。
団体信用生命保険とは
団体信用生命保険とは、マイホームを購入する際、住宅ローンとセットで加入する保険です。省略して「団信(だんしん)」とも呼ばれています。契約者が死亡したり、高度障害状態になったりした場合に、住宅ローンの残債が団体信用生命保険から保険金として支払われるため、その後の住宅ローンの返済が免除されます。
民間金融機関の住宅ローンでは、ほとんどの場合、団体信用生命保険への加入が義務付けられていますが、「フラット35(※1)」は団体信用生命保険への加入は任意となっています。
※1 民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している住宅ローン
生命保険の見直しが必要な理由
「団体信用生命保険」は、その名のとおり、万が一に備える「生命保険」の一種です。団体信用生命保険は住宅ローン返済の保障に特化している保険ですが、契約者に万が一のことが起こってしまった場合に、ご遺族、ご家族が生活に困らないように保障を準備するという目的は同じです。
マイホームを購入して住宅ローンを組むと、毎月の返済によって家計収支に変化が生じるため、すでに加入している生命保険があれば見直しを検討されることをおすすめします。下記に理由を説明します。
理由(1)生命保険と保障が重複する可能性がある
住宅ローン契約時に団体信用生命保険に加入すると、すでに加入している生命保険の保障内容と重複することがあります。団体信用生命保険に加入すれば、万が一の場合、住宅ローンの支払い義務はなくなりますので、ご遺族やご家族は住宅ローンを返済することなく、その後も同じ家に住み続けることができます。
すでに加入している生命保険で、将来の住宅費用のための保障額などを多めに見積もっている場合、団体信用生命保険で保障される部分は重複する場合もありますので、減額できる可能性があります。
理由(2)家計支出額や内訳に変化が生じる
マイホームを購入すると、家賃の支払いの代わりに、住宅ローンの返済が始まるなど、住宅にかかる費用の内容が変わるのはもちろんですが、購入物件の地域や生活スタイルが変わって家計の支出が増減する可能性があります。
生命保険は定期的に見直すことが大事ですが、特に大きなライフイベントの1つである住宅購入の際は、生命保険の見直しは欠かせません。マイホーム購入のタイミングで生命保険を見直すことで、ライフプランに合った保障に近づけることができ、保障の重複を解消することで保険料負担を軽減し、家計支出を減らせる可能性もあります。
死亡保険を見直す際のポイントと死亡保険の具体的な見直し方法について
死亡保険を見直す際にはいくつかポイントがあります。具体的な見直し方法も解説します。
①保障内容の重複と不足を確認する
まずは、現在加入している死亡保険の種類と保険金額を確認してみましょう。死亡保険は、一生涯にわたって保障が継続する終身保険と、契約した一定期間のみの保障を目的とした定期保険に分かれます。
終身保険は、貯蓄性がある保険で、一般的に、葬儀費用やお墓代を準備する目的で加入することが多いので、住宅ローン返済の保障に特化した保険である団体信用生命保険と保障が重複する可能性は低いと思われます。
定期保険は、必要な期間のみの保障を準備するのに適した保険で、お手頃な保険料で大きな保障を備えることができます。基本的に掛け捨て型で貯蓄性はありませんので、ライフプランの変化に合わせて、見直しをしやすいという特徴があります。保障に重複している部分がないかチェックしてみましょう。
住宅購入することで発生してくるお金についても考えておく必要があります。例えば、マンションを保有する場合には、住宅ローンの支払いのほかに管理費や修繕積立金などが必要です。戸建てを保有する場合には、維持・メンテナンス費やリフォーム費用などが必要になります。このほか、固定資産税・都市計画税など賃貸住宅に住んでいた時にはかからなかった税金の支払いも発生します。
さらに、住まいに見合った内容の火災保険や地震保険への加入が必要となるので、賃貸住宅の時よりも火災保険料の負担が大きくなる場合があります。
②重複内容があれば生命保険の解約、見直しを検討する
生命保険の保障に重複している部分があれば、すでに加入している保険の解約や見直しを検討しましょう。
例えば、住宅購入前に賃貸住宅に住んでいた人が、将来にわたって賃貸住宅に住み続けることを前提として必要保障額を算出していた場合、住宅購入時に団体信用生命保険に加入することで、将来の家賃支払いのために備えていた保障部分は重複となり減額できる可能性があります。
ただし、いくつか注意点もあります。死亡保険に医療特約などを付加している場合、主契約である死亡保険を解約すると、特約も消滅してしまいます。また、今契約している保険をいったん解約し、必要な分だけ別の保険に加入をするという選択肢もありますが、団体信用生命保険を含め、保険に新規加入する際は、健康状態についての告知が必要になります。健康状態によっては加入できない可能性もあるので、解約や見直しは慎重に行うべきでしょう。
また、住宅ローンを組む際に検討したいのが「就業不能保険」です。「就業不能保険」とは、病気やケガで働けない状態になった場合に、毎月給付金を受け取ることができる保険です。通常の団体信用生命保険の場合、死亡に対する保障はありますが、働けなくなったときの保障はありません。住宅ローンの返済プランに合った「就業不能保険」に加入することで、病気やケガによって働けなくなったり、収入が減少したりしてもカバーすることが可能です。
③団体信用生命保険の保障内容を拡大するか検討する
団体信用生命保険には、医療保障などの特約が付加された「特約付き団体信用生命保険」というものもあります。現在加入中の保険を解約、または見直しを行い「特約付き団体信用生命保険」を活用することで、死亡保障や高度障害保障に加え、ガンや病気などのリスクに備えることも可能です。
「特約付き団体信用生命保険」には、3大疾病特約付き団体信用生命保険(ガン・急性心筋梗塞・脳卒中)のほか、7大疾病特約付き、8大疾病特約付きや、生活習慣病について保障する団体信用生命保険などもあります(※2)。
これらは、死亡や高度障害などの通常の団信の保障に加え、所定の疾病が原因で一定の要件に該当した場合に、住宅ローンの返済が免除(全額または一部)されたりする特約です。住宅購入後、病気になって就労ができず収入が減る可能性を考えると、「疾病特約付き団体信用生命保険」は心強い保険ともいえます。
このほかにも、がんと診断された場合のがん診断給付金や、入院や先進医療に対して給付金がでる特約もあります。特約保険料は、無料のものや、住宅ローン金利に上乗せされるもの、別途保険料を支払うタイプなど、商品によって様々ですので、ご自身に合うタイプを選択するようにしましょう。
※2 疾病特約の具体的な要件は、金融機関や保険商品によって異なります。
④フラット35は、団体信用生命保険の加入が任意
住宅ローンの代表的なものとして「フラット35」があります。民間金融機関と住宅支援機構が提携して販売しているローンで、返済期間が最長35年間で全期間固定金利という特徴があります。民間金融機関の住宅ローンは団体信用生命保険を付加することが前提になっていますが、「フラット35」は機構団信(※3)をつけない選択ができます。
平成29(2017)年10月より、「フラット35」の仕組みが変わり「団信付きのローン」という形態になっていますが、金利マイナス0.2%で機構団信を付加せずに利用することができるので、実質的には任意加入といえます。
※3 フラット35の付加する団体信用生命保険は「機構団信」と呼びます。
⑤若年層の場合は、団体信用生命保険ではなく生命保険がおすすめ
フラット35を利用しマイホームを購入する際、機構団信に加入せず生命保険で備える方法もあります。機構団信の保険料は年齢に関係なく一定ですが、一般的に生命保険は年齢が若いほど保険料がお手頃になりますので、若年層の場合は生命保険で備えるほうが保険料は低くなる可能性があります。
1.定期保険で備える
お手頃な保険料で一定期間大きな保障を得ることができる保険です。住宅ローンの返済プランに合わせて見直しをしやすい、更新型の定期保険がお勧めです。
2.収入保障保険で備える
「収入保障保険」とは、被保険者の死亡後、遺族が毎月の給与のように保険金を受け取ることができる保険です。毎月の住宅ローン返済額と同額程度を受け取ることができる「収入保障保険」に加入することで、万が一のことが起こってしまった後、保険金をローン返済に充当することができます。
3.シミュレーションが大事
機構団信の保険料は借入金額や借入時の金利、生命保険の保険料は契約時の年齢や健康状態などによって異なりますので、機構団信か生命保険のいずれを選ぶかは、しっかりシミュレーションして決めるようにしましょう。
団体信用生命保険と生命保険の違いを理解しよう
団体信用生命保険の仕組みと生命保険との関係について解説しました。生命保険と保障内容が重複する可能性も考えて、住宅購入時にはご自身に合った保険を検討されるといいのではないでしょうか。生命保険の見直しには、お近くの保険相談窓口などを上手に利用してみてください。
ご購入・ご売却の際には、不明点がございましたら、株式会社不動産流通システム、REDSエージェント 大西 進(おおにし すすむ)まで、何なりとご質問ご相談くださいませ。
この記事を執筆した
エージェントプロフィール
大西 進
(宅建士・リフォームスタイリスト)
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