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公開日:2025年7月16日  戸村 麻衣子

「既存住宅性能評価」とは? どこで取得したらいいの?(上)

こんにちは。仲介手数料が必ず割引・最大無料の「不動産流通システム」、REDSエージェント、宅建士の戸村です。

2025年の3月のブログより、不動産にかかわる税金についてお話ししていますが、今回は少し脱線して住宅性能評価に関することを解説します。

既存住宅性能評価

(写真はイメージです)

省エネ基準

2024年1月のブログにも記載いたしましたが、2024年4月より「省エネ性能表示制度」がスタートしました。

「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)により、住宅の建築主に対して、一定の基準以上の省エネルギー性能の実現に対する努力義務を課しているのが「住宅の省エネルギー基準」ですが、これを可視化して一般の方にもわかりやすくしたものです。

販売・賃貸事業者が建築物の省エネ性能を広告などに表示することで、消費者が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにしました。

そもそもなぜ住宅の性能表示が広告上で義務化されたのかというと、2025年4月に施行される改正建築物省エネ法により、原則すべての新築建築物に、省エネ基準への適合が義務化されたためです。

義務化とは何か、簡単にいうと2025年4月から「省エネ基準」をクリアしていないと建築確認申請が取得できない、つまり、「省エネ基準」をクリアしていない新築物件は建てられなくなったのです。

ただ、その法律の施行は前から分かっていたので、今後の価値を考える建設会社は事前にその基準を満たすように建築しています。

省エネ住宅にもランクがあり、以下の順番になります(上に記載のあるものほど高い性能を保持しています)。

  • 長期優良住宅・低炭素住宅
  • ZEH基準住宅
  • 省エネ基準住宅

今後も上がる省エネ基準の最低ライン

これまでは住宅性能の中の「断熱性能」の最高等級は「4」でしたが、省エネ基準では、その最高等級が、最低ライン基準となります。断熱等級は「5・6・7」が新設され、過去の最高等級「4」を上回る等級が出ているのです。今までの基準はいったい何だったのだろう、という思いを起こさせる内容でもあります。

さらに、2025年に今までの最高等級である「4」が建築基準をクリアする最低ラインに変わった「省エネ基準」ですが、5年後の2030年には「ZEH基準」をクリアしていないと建築確認申請が受理されないようになります。

つまり、5年後にはさらに省エネ基準が上がります。

これは、欧米に比べて今までの日本の住宅性能意識が低いことに起因しています。基準がアップするのは望ましい方向性なのですが、段階的な引き上げになっているため、そのたびに面倒な事態になっている印象です。

住宅性能を示すもの

省エネ性能の評価ランクを示すものが最初にご説明した「省エネ性能ラベル」なのですが、それは広告のための表示みたいなものの位置付けです。ただし、新築物件広告の際には表示必須となります。

住宅ローン減税などの申請に必要な書類は「住宅省エネルギー性能評価書」や「建設住宅性能評価書」などになります。申請時はどちらか一方の書類があれば対応可能です。

これは2025年4月に記載したブログと重なる部分があるのでそちらも参考にしていただきたいのですが、「建設住宅性能評価書」では評価が基準を超えるものであることを示すランクでなければなりません。さらに言うと、これは新築から2年以内のものでないと住宅ローン減税には使用できません。

既存住宅性能評価についての大きな疑問点

この「建設住宅性能評価書」も「住宅省エネルギー性能評価書」も、普通に売買しているだけでは出てこない書類です。特に「住宅省エネルギー性能評価書」はお問い合わせして初めて対応される書類です。

これはなぜかというと、発行にお金と手間がかかるためです。

「性能評価書」は設計と建設の2種類があります。建てる前から予定して準備しないと取得できないため、「住宅性能の良さを売りにしよう」と考えるハウスメーカーや工務店は、計画段階から性能評価書を取得するための費用を確保し、申請準備を行っています。そのため、性能評価がついている建物についてはお引渡し時点で「建設性能評価書」がついてくるはずです。

「建設性能評価書」は建設中にも検査機関の検査がはいるため、建設した後に作成することは不可能です。性能は満たしているのに証明する書類がない、という場合は「住宅省エネルギー性能評価書」を建築士に依頼して作成・取得します。

先日、私がお取引した物件はZEH基準を満たすものでしたが「住宅性能評価書」はついていませんでした。結果的に「住宅省エネルギー性能評価書」を取得することとなったのですが、その時に感じた疑問は「10年後に性能を示すための書類を作成したい場合、どうすればいいのだろうか」ということです。

新築時時点では設計した建築士もいるでしょうから書類作成も問題ないはずですが、仮に新築購入後10年たって売却する際に「建設住宅性能評価書」「住宅省エネルギー性能評価書」もない場合、どこに作成依頼をすればよいのかわかりません。

「建設住宅性能評価書」は新築時に発行されますが、新築後2年たつと、住宅ローン減税などの証明書としては使えなくなります。つまり、新築とみなされなくなった既存の物件は「既存住宅性能評価書」で性能を証明する必要があるのです。

ですが、今までの経験上で「既存住宅性能評価」を受けた物件を見たことがありません。発行依頼をお願いしようと思っても、その建物を建設した大手ハウスメーカーでも言葉を濁して回答されず「役所に聞いてください」と言い、役所で確認すると「建設したハウスメーカーに確認してください」と言われ、どこからも明確な回答はありませんでした。

「既存住宅性能評価」はどうすれば取得できるのでしょうか。もしくは「既存住宅性能評価」に限らず既存住宅の性能を示す評価書はどのように取得できるのでしょうか。

最後に

少し長くなりましたので、次回のブログに引き継ぎたいと思います。

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この記事を執筆した
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戸村 麻衣子
(宅建士・リフォームスタイリスト)

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※2025年11月09日現在 本社・首都圏営業所の数値

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