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公開日:2024年3月1日

2024年4月、「省エネ性能表示制度」スタート! 住宅ローン減税にも影響する「省エネ性能」とは?(2)

こんにちは。仲介手数料が必ず割引・最大無料の「不動産流通システム」、REDSエージェント、宅建士の戸村麻衣子です。

2024年に入って私たち不動産エージェントを悩ませているもの。「省エネ性能」。前回のご説明は「2024年以降に建築確認申請を受けたものは住宅ローン減税を受けるためには省エネ性能が必須」という内容でした。

さて、それでは、そもそも「省エネ性能」とはなんなのでしょうか。そしてそれを証明するものとはなんでしょう? 今回はそれを解説いたします。

省エネ性能表示制度

省エネ性能実現の努力義務を課す「住宅の省エネルギー基準」

「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)により、住宅の建築主に対して、一定の基準以上の省エネルギー性能の実現に対する努力義務を課しているのが「住宅の省エネルギー基準」です。昭和55(1980)年に省エネ法にて制定され、平成27(2015)年には建築物省エネ法に移行され、法律の改正ごとに強化されてきました。

従来は、断熱性能や日射遮蔽性能など、住宅の外皮の性能(建物の外壁、窓、床、屋根、天井など、室内と室外を隔てる部分全体の断熱性能)を評価するものでしたが、平成25(2013)年に改正された現行の基準においては、外皮性能に加えて、住宅全体で使用するエネルギー量の二面から住宅の省エネルギー性能を評価するようになりました。

日本全国を気候条件に応じて8つの地域に分け、その地域区分ごとに基準値が示されています。具体的には

・外皮性能は「断熱等性能等級」
・住宅全体で使用するエネルギー量は「一次エネルギー消費量等級」

で示されます。

また、「省エネ性能適合」に必要な等級は

◎断熱等性能等級 5以上
◎一次エネルギー消費量等級 6以上

上記の等級以上が必要です。また、「省エネ基準適合住宅」になるには、どちらか、ではなく、どちらも、必要なものとなります。

実は改正前までの断熱性能等級の最高等級は「4」でした。改正建築物省エネ法の成立により、2025年以降は断熱等性能等級4が省エネ基準適合の最低条件となります。そこでこれまで最上位だった等級4の上に、上位等級の等級5~等級7が創設されました。

性能の詳細については密度の高さを示す数値など細かい内容になりますので説明は省きますが、今までの最高値の上にさらに3級ほど等級が追加されるという状況を鑑みると、今までの住宅基準は……と少し悩ましく思います。

住宅ローン減税を受けるのに必要な「省エネ性能」を示すものとは

さて、住宅ローン減税を受けるために必要な性能はわかってきましたが、「省エネ性能」を示しているもの、つまり、申請に必要な証明書となる書類は何でしょうか?
それは、以下のどちらかです。

1.建設住宅性能評価書
2.住宅省エネルギー性能証明書

建設住宅性能評価書

建設住宅性能評価書は登録住宅性能評価機関のみが発行できます。また、現実的に入手できるのはこちらが多いと思われます。なぜかというと、ハウスメーカーもほとんどがこういった評価機関に住宅性能評価の申請を行うからです。

「『新築時』住宅性能評価」という書面が一般的です。また、大抵は「設計」と「建設」がセットになっています。

住宅性能評価用のマーク

なぜ『新築時』か、というと、既存住宅で住宅性能評価をするには、「新築時住宅性能評価」がないとほぼ100パーセント性能評価がおりないためです。ですから、「既存住宅性能評価」がある既存住宅は、並行して「新築時性能評価」もあります。個人的には「既存住宅性能評価」を見たことがありません。「既存住宅性能評価」を取得している住宅は現時点では非常に珍しいものであるといえます。

また、新築時の住宅性能評価も実は多くありません。新設住宅着工戸数に対する設計住宅性能評価書の交付割合は令和3(2021)年時点で、28.2%にとどまっています。

<評価書交付割合>
設計:28.2%(新設住宅着工戸数86万5,909戸)

<評価書交付実績>
設計:24万3,970戸(対前年比8.1%増)
建設(新築):18万6,302戸(対前年比2.8%減)
建設(既存):428戸(対前年比5.9%減)

※上記は国土交通省が公表している令和3年度の住宅性能表示制度の実施状況です。
※参考URL
https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001092.html

また「設計」と「建設」がセットになっているのは、まず「設計」で住宅性能評価を出すに値するものか検査・承認され、その上で建設中の住宅を検査(設計どおりに建設されているかの検査)した上で承認されるため、2つがセットになっています。「設計」は単独の取得が可能ですが、「建設」を取得する際には「設計」とセットであることが必須なのです。

住宅性能評価を受けるためには従来の住宅よりも高性能であることが必要でした。高性能である分、物件価格は上がります。また、性能評価を受けるためにも費用が必要。つまり、費用はかかりますが、住宅性能評価は、それを受けているだけで通常の住宅より性能が良いとの目安になったのです。また、検査を受けることにより構造部分の不具合と紛争処理の10年保証がつきます。

住宅省エネルギー性能証明書

住宅省エネルギー性能証明書は新設されたもののようです。内容を確認すると、評価機関以外でも、建築士事務所に属する建築士であれば、対象となる住宅の設計者・工事管理者である建築士が発行することも可能とのことです。

第三者の検査などは受けない点と、構造など重要な部分に保証がつくかは、その建築士事務所の方針などに左右されそうで、その点がやや気になります。

最後に

2025年以降は住宅性能を示す性能評価書も不要になる予定のようです。つまり、「省エネ性能」を保有していないと建築確認がおりない、ということになるのだと思われます。そこから、2024、2025年で新築住宅の住宅性能はかなり上がることが予想されます。

今までの建築物は、本当は対応できるのにそのレベルの建築物にしてこなかったということなのか……と、これまでの住宅政策について疑問も感じますが(おそらく費用の増加が懸念点となり強い政策が施行できなかったのだと思われます)、断熱性能が上がり省エネルギーで生活できることは、温暖化はもちろん、日常生活を送るうえでも利点が多く、歓迎すべき内容だと思われます。

制度の急激な変化には戸惑いを覚えますが、REDSではお客様に良いことも悪いこともきちんとお話しして売却・購入に携わる「正直不動産」営業に加え、新しい内容をエージェント同士で情報交換を行い、積極的に知識を増やしています。

お客様に接する営業全員が宅建士であるREDSエージェントにお気軽にご相談ください!

 

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戸村 麻衣子
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