こんにちは。仲介手数料が無料または割引になる不動産流通システム、REDSエージェント、宅地建物取引士(宅建士)の片岡慎太郎と申します。
住宅ローンを利用して戸建て住宅の購入を検討している方にとって、気になるのが「その物件で住宅ローンを利用できるのか」という問題です。特に近年は、土地価格や建築費の上昇によって住宅価格が高くなっており、「できるだけコンパクトな住宅を購入して、総額を抑えたい」という方も増えています。
そんな中、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」に大きな変更がありました。2026年4月から、フラット35の一戸建て住宅等における床面積の下限が、これまでの70㎡以上から50㎡以上へと緩和されました。
これは、これから住宅を購入する方にとって非常に大きな変更です。では、なぜ70㎡だった基準が50㎡まで引き下げられたのでしょうか。今回は、その背景について不動産市場の変化も踏まえて解説します。

(写真はイメージです)
フラット35の床面積要件が「70㎡以上」から「50㎡以上」へ引き下げ
まず、今回の変更内容を確認しておきましょう。
一戸建てなどは50㎡以上、マンションは30㎡以上
2026年3月まで、フラット35の技術基準では、戸建て住宅などの床面積について、原則として70㎡以上という基準が設けられていました。2026年4月から、この基準が変更され、一戸建て・連続建て・重ね建て住宅は50㎡以上となりました。連続建ては長屋など、重ね建ては共用の廊下・階段を設けず住戸を上下に重ねた建て方です。
一方、マンションなどの共同建て住宅については、従来から30㎡以上が基準となっています。つまり今回の改正によって、戸建て住宅についても「50㎡台」という比較的コンパクトな住宅が、フラット35の対象になり得るようになったわけです。
車庫などを除いた床面積で確認する
床面積には車庫などを含めません。店舗などを併設した住宅では住宅部分の面積で判定するため、物件広告の面積だけで判断せず、図面などで確認しましょう。
ただし、50㎡以上であれば必ずフラット35を利用できるという意味ではありません。フラット35には、床面積以外にも、敷地と道路の接し方(接道)、住宅設備や間取り、耐震性などの技術基準がありますので、物件ごとに確認する必要があります。
床面積要件が緩和された背景と住宅価格の上昇
今回の変更には、現在の住宅市場を取り巻く環境が大きく関係しています。特に大きいのが、「住宅価格の上昇」です。近年は、土地価格だけではなく、建築資材、人件費、物流費など、住宅を建てるためのコストが上昇しています。
その結果、以前と同じ予算では、希望する広さの住宅を購入しにくいケースが出ています。例えば、以前であれば70㎡程度の戸建て住宅を購入できた予算でも、現在では同じエリアで同じ広さの住宅を購入することが難しくなっているケースがあります。特に東京都内やその周辺など、土地価格の高いエリアでは予算と広さの両立が課題になりやすいでしょう。
「駅から近い場所に住みたい」
「通勤時間を短くしたい」
「子どもの教育環境を優先したい」
このように、立地を重視すると、土地価格が高くなる場合があります。
そこで、住宅の床面積をコンパクトにすることで、購入総額を抑えるという選択肢が出てきます。今回の50㎡への緩和は、こうした住宅市場の変化に対応し、住宅購入の選択肢を広げる意味合いがあると考えられます。住宅金融支援機構は、今回の制度拡充を、物価高への対応の一環として説明しています。
コンパクトな住宅は暮らしに必要な広さで考える
住宅に求める広さは、世帯の人数や暮らし方によっても変わります。戸建て住宅を探す際に、70㎡、80㎡、90㎡以上といった広さを希望する方もいらっしゃいます。しかし、現在は必ずしも「広ければ広いほど良い」とは限りません。
- 2人で暮らす
- 子どもが1人いる
- 在宅勤務用の部屋が1室あれば十分
- 駅から近いことを優先したい
- 将来的に住み替える予定がある
以上のような場合には、50㎡台の住宅が選択肢になることもあります。ただし、人数だけで判断せず、部屋数や収納、生活動線を具体的に確かめることが大切です。
また、コンパクトな家具や家電を選ぶなどの工夫もできます。収納スペースを効率的に確保し、廊下などの使いにくい空間を減らすことで、限られた床面積でも暮らしやすい住宅をつくることができます。
つまり、「大きな家を買う」から「必要な広さの家を、必要な場所で買う」という視点で住宅を選ぶこともできます。今回のフラット35の改正は、こうした住まい方を希望する方にとっても、選択肢を広げるものといえるでしょう。
50㎡以上でもフラット35を利用できない場合がある
ここは注意が必要です。今回の変更を見て、「50㎡あればフラット35が使える」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には床面積以外にもさまざまな条件があります。
建物の技術基準と申込者の審査を確認
例えば、新築住宅の場合、原則として敷地が一般の交通に使われる道に2m以上接していることや、一定の住宅設備・間取りなどが求められます。
また、住宅の耐震性や省エネルギー性能などについても基準があります。中古住宅についても、床面積50㎡以上という基準だけではなく、耐震性や劣化状況など、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たす必要があります。
したがって、50㎡以上だから大丈夫なのではなく、「50㎡以上+その他の技術基準を満たしているか」という視点で確認することが重要です。加えて、申込者の年齢や年収に対する年間返済額の割合など、借り入れの条件と金融機関の審査もあります。
50㎡台の戸建てを購入する際の注意点
今回の制度変更によって、50㎡台の戸建て住宅は住宅ローンの選択肢が広がりました。ただし、住宅購入では「ローンが利用できるか」だけで判断するのはおすすめできません。
例えば50㎡の戸建て住宅の場合、家族構成によっては将来的に手狭になる可能性があります。現在は2人で快適でも、同居する家族が増えたり、在宅勤務の機会が増えたりすると、部屋数が足りなくなるかもしれません。また、収納スペースが少ない住宅では、実際の生活を始めてから「思ったより狭い」と感じるケースもあります。
一方で、立地のよい50㎡台の住宅であれば、将来的に売却する際に一定の需要が期待できるケースもあります。ただし、需要や売却価格が保証されるわけではありません。
- 価格
- 広さ
- 立地
- 間取り
- 将来の売りやすさ
- 住宅ローン
以上を総合的に考えることが重要です。
床面積要件の緩和で都市部の住宅購入の選択肢が広がる
今回の改正によって、今までフラット35を利用できなかった50㎡台~60㎡台の戸建て住宅の中から、対象となる物件が増えることになります。これは、特に都市部で住宅を探している方にとって大きな意味があります。
「駅徒歩10分以内に住みたい」「予算は5,000万円以内に抑えたい」「できれば戸建て住宅がいい」といった条件の場合、70㎡以上に限定すると選択肢がかなり少なくなるケースがあります。しかし、50㎡以上まで対象が広がれば、コンパクトな戸建て住宅も候補に入れられるようになります。
住宅価格が高くなっている中では、「必要な広さを見極めて立地や価格を優先する」という選択肢も検討しやすくなったといえるでしょう。
今後、50㎡台の戸建ては増えるのか
今回の制度改正だけを理由に、今後すべての戸建て住宅が50㎡台になるとは考えにくいでしょう。
しかし、住宅価格の高騰が続く中では、住宅をコンパクトにして購入総額を抑えるという考え方は、今後さらに広がっていく可能性があります。特に都市部では土地価格の負担も大きいため、敷地や建物の規模を見直すことで総額を抑えられる場合があります。ただし、立地や仕様などによっても価格は変わります。
また、住宅ローンの利用可能性が広がれば、これまで「面積が小さいから候補から外していた」という物件も検討しやすくなります。フラット35の今回の変更は、床面積の数値の見直しを通じて、住宅購入の選択肢を広げる制度変更と見ることができます。
まとめ|フラット35の床面積と利用条件を確認しよう
2026年4月から、フラット35の戸建て住宅等について、床面積の下限が70㎡以上から50㎡以上へと緩和されました。
単身や少人数での暮らし、立地を重視する住まい探しなど、住宅に求める条件は人それぞれです。「広い家」だけが正解ではなく、必要な広さを確保しながら、無理のない価格で、希望するエリアに住む。こうした住宅選びが、今後さらに重要になっていくでしょう。
ただし、50㎡以上であれば無条件にフラット35を利用できるわけではありません。物件ごとの接道や耐震性などの技術基準と、申込者の借り入れ条件を確認する必要があります。もし「50㎡台の戸建て住宅を検討しているけれど、フラット35が利用できるか分からない」という場合は、物件資料を確認したうえで、金融機関や取扱窓口に事前に確認することをおすすめします。
住宅ローンは「いくら借りられるか」だけではなく、「どの物件なら希望するローンを利用できるのか」まで含めて考えることが大切です。
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