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公開日:2024年11月29日

重要事項説明書で見落としがちなポイントその10:土地の測量によって得られた面積による売買代金の清算について

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの佐藤亮介です。

不動産を購入されるお客様は、購入契約をされる前に、不動産業者(仲介業者または売主の不動産業者)の宅建士から、購入する不動産について書面を示して「重要事項説明」を受ける決まりになっています。お客様にとっては初めてのご経験となることがほとんどだと思いますので、重要事項説明におけるポイントをいくつかご説明したいと思います。

今回は、まず重要事項説明書に書かれている「Ⅱ 取引条件に関する事項」中「9.土地の測量によって得られた面積による売買代金の清算」欄について、以下の説明となります。

測量

(画像はイメージです)

土地の測量によって得られた面積による売買代金の清算

下記の清算対象となる土地の基準面積と、「A不動産の表示 1.土地」欄記載の測量面積との間に差異が生じたとき、下記清算単価で売買代金を清算します。

清算の対象となる土地の範囲 □1.私道負担(道路境界線後退部分を含む)のない場合、登記簿(公簿)面積
□2.私道負担(道路境界線後退部分を含む)のある場合、その部分を除く有効宅地部分
□3.
清算基準面積      ㎡      清算単価(1㎡当たり)      円

 
※当社所属の(公社)全日本不動産協会の記載項目です。

売買契約で、土地の測量をし、その結果土地の面積が増減した場合、売買代金の清算をすることが条件となっている場合【売買代金清算型】は、売買代金の清算の有無の欄は「有」にチェックをいれます。

この契約【売買代金清算型】の場合、売主は隣地所有者の立会いを得て、残代金支払日までにその責任と負担において、資格ある者の測量によって作成された測量図(または確定測量図)を買主に交付しますが、この測量図には売買対象となる土地とともに売買代金の清算対象となる土地の範囲およびその測量面積も記載されます。

そもそも、この売買契約【売買代金清算型】の場合は、売買契約締結時に、実際の土地の面積(有効宅地部分の面積)が確定していないケースです。

「確定していない」とは、前記の測量図(または確定測量図)がない、法務局備付の地積測量図はあるが古く測量の精度が低い、そもそも測量図が一切ないということです。

あるいは、前記の測量図(または確定測量図)があっても、私道負担部分や道路境界線後退部分(セットバック部分)が明確になっていない場合は、有効宅地部分の面積が明確になっていないということです。

私道負担についての3つの選択肢

つぎに、□1. □2. □3.の選択肢についてご説明します。

1.私道負担(道路境界線後退部分を含む)のない場合、登記簿(公簿)面積

 
を選択するケースですが、あまりありません。

理由として、前述した「確定していない」ということは、「登記簿(公簿)の面積と実際の面積との間に差異があることが想定されている」ということですから、不確かな登記簿(公簿)面積を基準にすることはできないからです。

すなわち安易にこの□1.を選択して、「清算基準面積」に登記簿面積を記載してはならないということです。

□2.私道負担(道路境界線後退部分を含む)のある場合、その部分を除く有効宅地部分

 
を選択するケースですが、何かしら有効宅地部分の面積が分かる資料・図面がある場合になります。

ただし、基準となる「有効宅地部分」の面積の信憑性が低いということであれば、安易にこの□2.を選択して、「清算基準面積」にその面積を記載してはならないということです。

最後に

□3.

 
を選択するケースです。

この□3.を利用する場合は、例えばしっかりした「仮測量図」があればその面積を基準面積とせざるをえません。ただし、このしっかりした「仮測量図」とは、例えば、認定幅員を想定している、セットバックを調査・想定している、位置指定道路の復元を調査・想定しているものでなければなりません。

※認定幅員:公道の場合、現況の幅員とはことなり、本来あるべき幅員のことで、現況幅員より広いこと(敷地が道路に越境しているということ)が多いです。そのため、役所で調査した内容を反映していることがポイントです。

※セットバック:現況の前面道路幅員で計算したものでなく、道路中心線を役所で調査した内容を反映していることがポイントです。

※位置指定道路の復元:前面道路幅員が位置指定の幅員より狭い場合は、その位置を役所で調査した内容を反映していることがポイントです。

仮測量図が作成できていない場合

土地取引で重要なのは、有効宅地面積(=建物の敷地となる面積)です。もし前述のような「仮測量図」が作成できていない場合は、少なくとも仮測量してからの売買契約となります。

〈記載例〉

■3.令和6年11月14日付土地家屋調査士○○○○作製の仮測量図記載の有効宅地面積
清算基準面積   ○○.○○ ㎡     清算単価(1㎡当たり)  ○○○○○○円

 

仮測量図について

仮測量図(「現況測量図」という名前を使っている場合もあります)は、何となくそれが正しいと測量図だと感じるかもしれませんが、よく確認する必要があります。

単に現存する境界標を基に作成した図面もあります。間違った図面ではないのですが、有効宅地面積(=建物の敷地となる面積)が想定されていない図面では、意味が薄いということです。

最後に

弊社では、購入される皆様に安心してご購入いただけますよう、エージェントがしっかり調査をし、重要事項説明書を作成しております。購入される不動産は、大切な財産となります。ご不明な点は、いつでもご質問ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

この記事を執筆した
エージェントプロフィール

佐藤 亮介
(宅建士・リフォームスタイリスト)

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