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佐藤 亮介(宅建士・リフォームスタイリスト)

ご購入もご売却も、安心してお任せ下さい。

公開日:2024年4月8日

REDSエージェント、宅建士の佐藤亮介です。

不動産を購入されるお客様は、購入契約をされる前に、不動産業者(仲介業者または売主の不動産業者)の宅建士から、購入する不動産について書面を示して「重要事項説明」を受ける決まりになっています。今回は、重要事項説明書に書かれている内容が、実は「例外のオンパレード」だということについて、触れてみたいと思います。

「例外」というのは「なお」や「ただし」で書き始められる注意書きのような文章のことです。販売図面に記載されている内容をよく見たり、宅建士から説明されていた内容をよく考えたりして初めて気づかされることもあります。

今回は、私が重要事項説明書の作成やチェックした中で、経験したいくつかの例外事例をご紹介します。

重要事項説明書

第1種または第2種低層住居専用地域内の建物の高さ制限の例外:低層住居系の地域でも12mの建物が建つというお話

たとえば、第1種低層住居専用地域では、建物の高さについて、絶対高さ制限(10m)が定められています。

売り出し中のマンションの4階の部屋を内覧された際に、隣接地がかなり広い土地の場合、将来的に何か建築されて眺望が阻害されないか心配になると思います。そこで、営業マンに「目の前に何か建築されて、眺望が悪くなったりしませんか」と質問したとします。

営業マンは、自信たっぷりに「このマンションは、近隣商業地域に建っているので、高くなっていますが、目の前は第1種低層住居専用地域なので、10mを超える建物が建つことはありません」と答えたとします。

実は、この説明は間違いです。

世田谷区のケース

世田谷区の例ですが、「第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域(以下「低層住居専用地域」という。)内における高さが10メートルを超える建築物について、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるにあたっては、以下の基準によることとする。」となっています。

結論から先に言いますと、敷地や建物の条件によっては、12mの高さまで建築可能という意味です。12mとなれば、先の内覧の例でいうと4階部分と同じ程度の高さですね。

緩和の条件

ただし、この緩和には条件があります。細かい点は省略してあります。

1.方位別斜線制限:建築物の各部分の高さは、当該部分から敷地境界線までの各方位別の水平距離に応じて、下記に定める数値をその限度とし、かつ、12メートルを超えないこととする。

※簡略化しますと、「建物は隣地から通常よりも離れた位置に建てなければならない」ということです。

2.歩道状空地または貫通通路の設置:認定に係る建築物の敷地には、前面道路に沿って設ける歩行者用の空地で幅員が2m以上で、かつ、通行可能な部分の幅が1.5m以上のもの(以下「歩道状空地」という。)又は、敷地内を動線上自然に通り抜け、かつ、道路、公園その他これらに類する公共施設相互間を有効に連絡する通路で幅員が3m以上で、かつ、通行可能な部分の幅が2m以上のもの(以下「貫通通路」という。)を設ける。

なお、歩道状空地は、原則として、前面道路の接するすべての部分にわたって設けることとし、歩道状空地及び貫通通路の長さの合計は当該敷地境界線の長さの1/4以上とする。

※簡略化しますと、「道路側に歩道状の空地、また敷地内に貫通通路(第三者も通り抜けできる通路)を設けなければならない」ということです。

3.外壁の後退距離の制限:建築物(認定に係る建築物の敷地内のすべての建築物)の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離は4m以上とする。ただし、歩道状空地又は貫通通路を設けた部分はこの限りではない。

私なら重説にこのように注記する

今回は、内覧に行ったら「隣接地が広い土地」で説明しましたが、売買対象のマンションがこの特例を受けて建築されている場合は、重要事項説明書には、以下のような説明文を入れます。

「対象不動産建物の建築計画概要書に記載の建築物の最高高さは、11.98mとなっており、上記○―△建物の高さの制限 1.絶対高さ制限(10m)にかかわらず、世田谷区の第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における建築物の高さの制限の緩和認定をうけ建築されています。別添建築計画概要書をご参照ください。」

※建築計画概要書には、建築物の最高の高さが記載されています。

※今回のブログのご説明に関しては、世田谷区の「第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における建築物の高さの制限の緩和認定基準」から引用しました。

次回は、「前面道路による容積率の制限」について、「道路幅員によっては規定の容積率が制限され、希望の広さの建物が建たないことがある」について、ご説明したいと思います。

弊社では、購入される皆様に安心してご購入いただけますよう、エージェントがしっかり調査をし、重要事項説明書を作成しています。不動産は、大切な財産です。ご不明な点は、いつでもご質問ください。どうぞよろしくお願いいたします。

 

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