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公開日:2026年5月12日  木須 陽子

レベル3石綿含有建材の用途別建材について解説

皆様こんにちは、【REDS】不動産流通システムの木須陽子です。今回は石綿含有建材、レベル3の石綿含有建材の用途別建材について詳しく解説します。

屋根

(写真はイメージです)

石綿含有住宅屋根用化粧スレート

石綿(アスベスト)を含有する住宅屋根用化粧スレートは、1960年代から2000年代初頭にかけて日本の住宅で広く普及した屋根材です。一般的に「カラーベスト」や「コロニアル」といった商品名で知られています。

性質

  • 高耐久・防火性:石綿をセメントに混ぜ込むことで、非常に高い抗張力(引っ張り強さ)と防火性、断熱性を備えていました。
  • 軽量:瓦などに比べて非常に軽く、建物への負担が少ないため、耐震性を高める屋根材として重宝されました。
  • 経年劣化:長期間の使用により表面の塗装が剥げると、セメント成分が露出し、水分を吸収して割れやすくなります。
  • 石綿の飛散リスク:通常の生活では飛散しませんが、解体や切断、あるいは激しく劣化した場合には石綿粉塵が発生するため、現在は石綿排出作業等実施届などの厳格な規制対象となっています。

寸法

製品によって多少の差はありますが、標準的なサイズは以下のとおりです。

  • 幅:約910mm(3尺)
  • 高さ:約414mm
  • 厚さ:4.5〜5.2mm

(屋根に葺いた際、上下の重なりがあるため、実際に見える部分の高さは150〜180mm程度になります。)

形状

  • 平板状:基本的には薄い板状です。
  • 表面模様:表面にはわずかな凹凸(エンボス加工)があり、木目調や石積調などのデザインが施されています。
  • 下端の形状:最も一般的なものは下端が直線的(一文字吹き)ですが、中には下端が波型や六角形にカットされたデザイン性の高いものも存在します。
  • 重なり:屋根の上で下から上へと、うろこ状に重ねて釘で固定していく構造になっています。

主な施工箇所

石綿含有住宅屋根用化粧スレートは、主に一般住宅の「急勾配な屋根(勾配屋根)」の仕上げ材として使用されました。

1.屋根面全体の「平葺き」

最も主要な使われ方です。野地板(屋根の下地となる板)の上に防水シート(ルーフィング)を敷き、その上からスレート板を下から上へ向かって、うろこ状に重ねながら釘で固定していきます。上下の板を半分以上重ね合わせることで、隙間から雨水が侵入するのを防ぐ構造になっています。

2.屋根の頂上部(棟部)の土台

屋根の最上部である「棟(むね)」の部分では、左右から登ってきたスレートの合わせ目をカバーするために、棟包み(板金)を取り付けます。その際、板金を固定するための下地材や調整材としてスレート片が組み込まれることがありました。

3.特殊な形状部(ケラバ・谷部)

屋根の端にあたる「ケラバ」や、屋根面が合流して溝になる「谷」の部分では、現場の形状に合わせてスレートをカットして敷き詰められます。現在は禁止されていますが、当時は現場でディスクグラインダーなどを使って切断加工し、細部の形状に合わせて使用されていました。

4.外壁への転用(一部のケース)

本来は屋根材ですが、耐久性と意匠性が高いため、まれに建物の「外壁」に鎧張り(よろいばり)のような形で使用されるケースもありました。

施工時は「割れにくい」「軽い」「加工しやすい」という利点から、日本の木造住宅の屋根材として最もスタンダードな地位を築いていました。2004(平成16)年以降は石綿の製造・使用が全面的に禁止されたため、現在流通しているものはすべて「ノンアスベスト(無石綿)」製品に切り替わっています。

石綿含有ルーフィング

石綿(アスベスト)を含有するルーフィング(屋根下葺材)は、かつて建物の防水性能を高めるために広く使用されていました。主に「アスベストフェルト」や「石綿ルーフィング」と呼ばれます。

その性質、寸法、形状の特徴は以下のとおりです。

性質

  • 高い防水性と耐久性:アスベストを混ぜた石綿紙(石綿を漉き上げた紙)に、アスファルトを浸透・被覆させているため、水に強く、腐食しにくい性質を持っています。
  • 引張強度と寸法安定性:石綿繊維が補強材として機能するため、温度変化による伸縮が少なく、破れにくいのが特徴です。
  • 耐火性:石綿の不燃性を活かし、火災時の延焼防止効果も期待されていました。
  • 飛散リスク:アスファルトで固められているため、通常の状態では石綿は飛散しにくい「非飛散性(レベル3)」に分類されますが、解体時に破砕すると粉塵が発生します。

寸法

ロール状に巻かれた製品が一般的で、標準的な寸法は以下のとおりです。

  • 幅:約1000mm(1m)
  • 長さ:15〜20m程度
  • 厚さ:1.0〜1.5mm前後

(製品の規格によりますが、現在のゴム化アスファルトルーフィングに比べるとやや薄手なものが多い傾向にあります。)

形状

  • シート・ロール状:黒色の薄いシート状で、施工しやすいように長く巻かれた状態で供給されます。
  • 表面の状態:表面にはアスファルトのベタつきを抑え、施工時の滑り止めとするために、細かい砂(鉱物質粉末)が散布されているものや、平滑な仕上げのものがあります。
  • 内部構造:石綿繊維を主原料とした原紙が芯材となっており、断面を見ると黒いアスファルト層の間に繊維質の層が確認できることがあります。

主な施工箇所

石綿(アスベスト)含有ルーフィングは、主に建物の防水を担う「下葺材(したふきざい)」として、目に見えない部分で広く使用されていました。

1.屋根の防水下地(メインの用途)

住宅やビルの屋根において、仕上げ材(瓦、スレート、金属屋根など)のすぐ下に敷き詰められました。屋根材の隙間から入り込んだ雨水が、さらに下の野地板(木材)や室内へ浸入するのを防ぐ最終防衛線の役割を果たします。ロール状のシートを屋根の下端(軒先)から上(棟)に向かって、一定の重ね幅を持って順次貼り付けていきます。

2.屋根の「谷」や「軒先」の補強

雨水が集中しやすい屋根の「谷部」や、雨垂れが当たる「軒先」部分には、防水性を強化するためにルーフィングを二重に重ねて施工することがありました。

3.壁面の防水(外壁下地)

屋根だけでなく、モルタル外壁やサイディング外壁の「防水下地シート」としても使用されました。外壁材の裏側に回り込んだ水分を遮断し、建物の構造骨組(柱や合板)が腐食するのを防ぎます。

4.複雑な接合部の役物(やくもの)まわり

煙突、天窓(スカイライト)、壁と屋根が接する部分などの雨漏りしやすい箇所において、形状に合わせて細かく切断・加工され、止水のための補助材として使われました。1990年代後半から石綿を含まない「合成繊維不織布」などを用いたルーフィングへの切り替えが進み、2004年には完全に製造が禁止されています。

 

次回は、今回ご紹介したレベル3石綿含有建材に続き、石綿セメントなどの用途別建材について詳しく解説します。建物の各部位でどのように使われていたか、施工上の注意点や安全対策もあわせてわかりやすくご説明します。

 

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木須 陽子

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