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藤ノ木 裕(宅建士・リフォームスタイリスト)

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公開日:2023年9月14日

REDSエージェント、宅建士の藤ノ木です。物件のご案内や契約時に説明することが多いのですが、建物面積を表示する方法として、「壁芯」(へきしん)と「内法」(うちのり)の2種類があります。

マンションの専有部分の登記上の床面積は、分譲マンションのパンフレット記載の床面積より小さくなっています。その理由が先の「壁芯」と「内法」。床面積の計算方法が異なるためです。住宅ローン控除や不動産取得税などの軽減措置を受ける際には絶対に知っておきたいこの面積の表示方法の違いについて、詳しく解説します。

マンションと図面

「壁芯」とは?

「壁芯」は、壁の中心線により囲まれた部分の面積であり、分譲マンションの販売図面や戸建ての建物の登記簿で、面積を表示するときに利用されます。

壁芯面積を使用する場合

壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を床面積とするものを「壁芯面積(かべしんめんせき)」と呼んでいます。壁の中心線を「芯」というのですが、これは、主に建築設計業務で使用します。

「内法」とは?

「内法」は、内壁で囲まれた部分の面積であり、マンションの専有部分の面積を表示するときに利用されます。

内法面積を使用する場合

「壁芯」で面積を出す考え方とは異なり、壁の内側の線を基準にした面積を床面積とする計算方法を「内法面積(うちのりめんせき)」と呼びます。実際に目に見える範囲で考えた広さともいえます。住む人の立場に立って考えれば、目に見えていて、実際に使える部分の面積が重要なため、こちらを重視する人が多いでしょう。

建築基準法と不動産登記法の違い

建築基準法では、床面積は「建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による」と定められています。つまり、建築基準法を根拠法とする建築設計に関係する場合の床面積の算出には「壁芯」を使う必要があるのです。

建物を建てる際には、監督官庁に対して「確認申請」という届け出が必要になります。この際にも「壁芯面積」で床面積を計算します。

建築確認で確認されるのは、申請された建物の設計が、建築基準法を始めとする関連法に違反していないかどうかという点です。実際に使える部屋の広さではなく、構造や周辺建物や環境との関係を調べるのが目的なので、「壁芯」で考えるのです。

これに対し、不動産登記法では、建築基準法と同じように、まず「建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分(壁芯)の水平投影面積」により算出しますが、マンションについては、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分(内法)の水平投影面積」で考えます。

マンション広告の面積は「壁芯」が多い

ところが、マンションのパンフレットや広告に表示されている床面積はほとんどの場合、「壁芯面積」です。この理由は、まず面積を大きく表示できるためです。物件を購入する場合、合理的に考えると同じ価格で同じ条件であれば面積の大きさが判断基準となります。

また、物件を販売する立場からすれば、競合他社があるときには、自社だけ「内法面積」で表示すると誤解される可能性があります。そのため、面積の表示は「内法面積」ではなく、「壁芯面積」で表示されることが多いのです。

もう1つの理由は、建築確認の際には「内法面積」ではなく、「壁芯面積」がベースになっているためです。

税制の優遇措置を受ける際の注意点について

住宅ローン控除や、不動産取得税・登録免許税の軽減措置を受けようとする場合には、床面積にとくに注意が必要です。

要件として、自己居住用であることなどの他に床面積が50㎡以上あることが基本になります。この際の面積算定に使われるのは、不動産取引に関わる床面積なので、「壁芯面積」ではなく、「内法面積」です。

たとえば、パンフレットで54㎡と記載されていても、登記面積としての「内法」面積が48.8㎡だったとします。この場合、優遇措置を受ける要件を満たしていないことになるのです。

「内法面積」の確認が重要

優遇措置などで問題になる物件の「内法面積」の確認の仕方は、中古物件と新築物件で異なります。中古マンションなどを購入する際は、登記簿に記載された登記面積が「内法面積」になります。

一方で、新築マンションではこの方法で確認できないことがあります。最も簡単で確実な方法は、情報を把握している販売会社に確認することです。パンフレットなどに記載された面積だけで優遇措置の検討を進めるのではなく、販売会社に「内法面積」がいくらなのかを直接問い合わせて確認することが重要なのです。

内容を確認され物件探しをされてはいかがでしょうか。

 

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