REDSエージェント、宅建士の福島です。
住宅ローンの大いなる岐路、「変動金利」と「固定金利」。マイホームという人生最大の買い物を前に、どちらを選ぶべきか頭を悩ませている方は非常に多いのではないでしょうか。
「今は超低金利だから変動一択!」という声もあれば、「これから金利が上がるかもしれないから固定が安心」という意見もあり、情報があふれていて迷ってしまいますよね。結論から言うと、「万人にとっての正解」はありません。大切なのは、それぞれの仕組みやメリット・デメリット、そして「自分のライフプランやリスク許容度に合っているか」を見極めることです。
本記事では、住宅ローンの変動金利と固定金利の違いを、初心者の方にも分かりやすく徹底比較します。これを読めば、あなたがどちらを選ぶべきかの明確な基準が見えてくるはずです。

(写真はイメージです)
住宅ローンの基本:3つの金利タイプ
住宅ローンの金利タイプは、大きく分けると「変動金利型」と「全期間固定金利型」、そしてその中間にある「固定金利期間選択型」の3つがあります。まずはベースとなる2大タイプを整理しましょう。
| 特徴 |
変動金利 |
固定金利 (全期間固定) |
| 借入時の金利 |
低い(0.9%〜1.2%前後) |
高い(2.4%〜3.2%前後) |
| 返済中の金利 |
市場動向に応じて定期的に見直される |
完済までずっと変わらない |
| 総返済額 |
金利の変動しだいで変わる |
借入時に確定する |
| 主な代表商品 |
ネット銀行、都市銀行の変動プラン |
フラット35、民間銀行の長期固定 |
※金利水準は2026年6月現在の目安です。
変動金利とは? メリットとリスクを解剖
変動金利は、「定期的に金利が見直される」タイプです。一般的には年2回(4月と10月)に金利の基準が見直されます。
変動金利のメリット
- とにかくスタートの金利が低い:最大の魅力はこれに尽きます。固定金利に比べて圧倒的に金利が低いため、毎月の返済額を抑えることができます。
- 同じ予算なら、より高額な物件が買える:金利が低い分、借入可能額(銀行から借りられる上限額)が固定金利よりも多くなる傾向があります。
変動金利のデメリットと「リスク」
- 金利上昇で返済額が増える可能性がある:景気が良くなり、市場金利が上がると、あなたの住宅ローンの金利も上がります。
- 返済計画が立てにくい:将来の総返済額が確定しないため、教育費や老後資金の資金計画に不確定要素が残ります。
知っておくべき「5年ルール」と「125%ルール」
変動金利を検討する上で、絶対に外せないのがこの2つのルールです(※一部の銀行やネット銀行では適用されない場合もあります)。
- 5年ルール:金利が上がっても、毎月の「返済額」自体は5年間変わらないというルールです。金利が上がった分は、毎月の返済額の内訳(元金と利息の割合)で調整され、利息の支払う割合が増えることになります。
- 125%ルール:5年が経過して毎月の返済額が見直される際、どんなに金利が爆上がりしていても、新しい返済額は「従前の1.25倍」までしか上げないというルールです(例:月10万円の返済なら、次は最高でも12.5万円まで)。
注意! 未払利息のリスク
「上限が決まっているなら安心じゃん!」と思うかもしれませんが、これは「支払わなくていい」わけではなく「支払いを先送りにしているだけ」です。金利が急激に上がりすぎると、毎月の返済額すべてが利息の支払いに充てられ、元金が全く減らない「未払利息」が発生し、最終返済日に一括請求されるリスクがあります。
固定金利とは? メリットとリスクを解剖
固定金利(全期間固定)は、「借り入れたときの金利が、完済までずっと変わらない」タイプです。代表的なものに住宅金融支援機構が提供する「フラット35」があります。
固定金利のメリット
- 金利上昇のリスクがゼロ:今後、世の中の金利がどれだけ上がろうとも、あなたのマイホームの金利は1ミリも変わりません。
- 人生のマネープランが完璧に立てられる:借りた瞬間に「毎月の返済額」と「35年間の総返済額」が1円単位で確定します。「子供が大学に入る時期に金利が上がったらどうしよう……」という不安とは無縁です。
- 精神的な安定が得られる:ニュースで「利上げ」の話題が出るたびに、ハラハラドキドキする必要がありません。この「安心感」にコストを払うのが固定金利です。
固定金利のデメリット
- 借入時の金利が高い:変動金利に比べて、スタート時点の金利が高く設定されています。そのため、毎月の返済額や総返済額は(金利が上がらない前提であれば)変動金利より高くなります。
- 低金利の恩恵を受けられない:今後、金利が下がるようなことがあっても、高い金利を払い続ける必要があります。
どちらを選ぶべき? 決断のための「4つの判断軸」
結局、私はどっちにすればいいの?――その答えを出すために、以下の4つのチェックポイントで自分たちの状況を整理してみましょう。
経済的な「体力(ゆとり)」はあるか?
- 変動金利が向いている人:毎月の返済額にかなりの余裕があり、もし金利が上がって月々の支払いが2万〜3万円増えたとしても、「家計が破綻しない」人。また、いざとなったら一括返済できる貯蓄がある人。
- 固定金利が向いている人:現在の収入と返済額のバランスがギリギリで、これ以上支払額が増えると生活が回らなくなる人。貯蓄が少なく、急な支出増に対応できない人。
借入期間と年齢
- 変動金利が向いている人:借入期間が短い(15〜20年など)、または借入額が少ない人。期間が短ければ、金利上昇の直撃を受ける時間を短縮できます。
- 固定金利が向いている人:35年のフルローンを組む人、完済時の年齢が定年ギリギリ(または定年後)になる人。後半の人生で予想外の出費増を避けるべきだからです。
性格と精神的タフさ
- 変動金利が向いている人:日頃から経済ニュースをチェックするのが苦にならず、金利が上昇したときに「よし、一部繰り上げ返済をしよう」「固定金利への借り換えを検討しよう」と冷静に動ける人。
- 固定金利が向いている人:「金利が上がるかも」と考え続けるだけでストレスを感じる人。住宅ローンのことは忘れて、安心して日々の生活を送りたい人。
今後の日本の「利上げ」をどう予測するか
現在、日本銀行の政策転換により、長年続いた超低金利時代からの脱却(利上げ局面)が始まっています。
- 変動金利を選ぶなら:「金利は上がるかもしれないが、急激には上がらないだろう」「緩やかな上昇なら、低い変動金利のメリットのほうが勝る」という予測(あるいは覚悟)が必要です。
- 固定金利を選ぶなら:「数年以内にインフレが進み、金利が本格的に上昇する」と考えるなら、今のうちに固定でロックしておくのが賢明です。
ハイブリッドな選択肢:「固定金利期間選択型」と「ミックスプラン」
「どうしても決められない!」という方のために、中間的なアプローチも存在します。
固定金利期間選択型(当初固定型)
「最初の10年間は固定金利、その後は変動か固定かを選び直す」というタイプです。
子供の教育費がかかる時期だけ出費を確定させたい、といった場合に有効ですが、固定期間が終了したタイミングで世の中の金利が上がっていると、その時の高い金利が適用されるため、実は最もギャンブル性が高いとも言われます(5年ルールや125%ルールが適用されないケースが多いため注意が必要です)。
ミックスプラン
1つの物件に対して、例えば「半分は変動金利、半分は固定金利」というように、2つのローンを組み合わせて借りる方法です。
金利上昇のリスクを半分に抑えつつ、半分は低金利の恩恵を受けられるため、リスク分散として人気があります(ただし、契約が2つになるため、手数料などの諸費用が余分にかかる場合があります)。
まとめ:住宅ローン選びは「リスク管理」である
多くの人が「どちらが得か(どちらが安く済むか)」で住宅ローンを選ぼうとします。しかし、未来の金利を完璧に予測できる人はプロでもいません。ですから、住宅ローン選びは「得か損か」ではなく、「自分が取れるリスクはどちらか」で選ぶべきです。
- 金利上昇という「リスク(不確定要素)」を自分が引き受ける代わりに、安い金利を手に入れる → 変動金利
- 「保険料(高めの金利)」を銀行に支払う代わりに、金利上昇リスクを銀行に押し付ける → 固定金利
あなた自身の収入、貯蓄、家族構成、そして「安心感にどれだけコストを払えるか」という価値観を天秤にかけ、パートナーともじっくり話し合って、納得のいく選択をしてくださいね。
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