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福島 直哉(宅建士・リフォームスタイリスト)

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公開日:2024年2月12日

皆様こんにちは、REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの福島直哉です。

本年1月1日16時10分に、マグニチュード(M)7.6の能登半島地震が発生してしまいました。この地震により、石川県能登地方を中心に大きな被害が発生しました。日本は、地震大国です。過去にも、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大きな地震が発生し、多くの被害が出ています。

地震による被害を防ぐためには、建物の耐震性が重要です。耐震基準とは、建築物や土木構造物が地震の揺れに耐えられるように、その強度や構造を定めた基準です。今回は、耐震基準とその変遷、耐震等級について解説します。

耐震基準

耐震基準とは

耐震基準とは、これから建てようとしている建築物に対して、国が法令(建築基準法や建築基準法施行令など)により「最低限クリアすべき」と規定した基準のことです。

耐震基準は、大震災が起こるたびに教訓を生かしてアップデートされています。これまでの歴史の中で最も大きかった改正は、1981(昭和56)年6月1日にありました。この1981年のアップデートはとても大きな意味を持っていて、改正以前を「旧耐震基準」と呼び、改正後を「新耐震基準」と呼んでいます。

新耐震基準では、建物の構造や規模、用途などによって、耐震性能の基準が細かく定められています。たとえば、住宅の場合は、震度6強の地震で倒壊しないことが求められています。耐震基準は、建築物の安全性を確保するために重要な基準です。耐震基準を満たした建物は、地震の揺れに強く、倒壊や大きな損傷を防ぐことができます。

耐震基準の変遷

法改正

日本では、建築基準法の基となる市街地建設物法が1920年に施行されましたが、この時点では耐震基準については全く触れられていませんでした。

その後、1924年に市街地建築物法が大幅に改正され、初めて耐震基準が盛り込まれました。1950年には、建築基準法が制定され、当時は主流だった木造住宅における壁量規定が定められ、1959年の改正ではより強化されました。

1971年の建築基準法の耐震基準

1968年に発生した北海道十勝沖地震がきっかけとなり、1971年の建築基準法の改正では、RC造の建物に対する耐震基準が引き上げられました。この地震は、住宅の倒壊による被害が多く、実際に600棟以上の全壊、1万5000棟以上の建物の一部が損壊する被害がありました。

こうした被害を受け、柱の強度についての改正が主たる内容となっています。また、この時に、木造住宅の基礎部分に、コンクリートやRC(鉄筋コンクリート)を使用することが盛り込まれています。

1981年の耐震基準の大幅改正

1981年の建築基準法施行令の改正では建物の耐震基準が大幅に見直されました。これは1978年に発生し、甚大な被害を出した宮城県沖地震がきっかけでした。

内容としては、一次設計と二次設計の概念が導入されました。一次設計とは、許容応力度計算を実施し、日常的な力による建物構造の影響度で、二次設計とは、保有水平耐力計算を実施し、地震などによる大きな力で倒壊しないことを計算するもので、それぞれの構造、建物に対して、この数値基準を設けました。

特にこの1981年の新耐震基準は非常に大きな変化で、1981年5月以前の基準で設計された建物を旧耐震基準といい、 1981年以降に設計された建物は新耐震基準とされています。旧耐震基準では震度5の揺れ、新耐震基準では震度7の大きな地震でも全壊しないのを基準として設計されています。

実際に、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震では、1981年以降の新耐震基準で建設された建物に関して、地震による直接的な建物の被害は少ない状況でした。この時の新耐震基準の改正によって、建築業界では「旧耐震基準」や「新耐震基準」という表現で区別されるようになり、新たに住宅を購入する際の耐震基準に準じた建物かどうか見分ける基準となっています。

2000年以降の建築基準法と建築基準法施行令改正

1995年に発生した阪神淡路大震災は未曾有の被害をもたらし、実際にビルが倒壊したり、高速道路の柱脚が倒壊し道路が横倒しになったりする被害がありました。

この阪神淡路大震災をきっかけに、耐震基準がさらに見直されることになり、1995年と2000年に基準が見直されています。大きな変化は、地盤や建物基礎に関する内容と、梁など建物の構造をつなぐ部分の強化が主たる内容となっています。

耐震等級とは

耐震等級とは、地震に対する建物の強さを示す指標です。耐震等級1、2、3の3段階に分かれており、数字が大きければ大きいほど耐震性が高くなります。

耐震等級1は、建築基準法で定められている最低限の耐震性能を備えた建物です。震度6~7の地震にも一度は耐えられる耐震性ですが、その後に大規模な修繕や住み替えが必要になると想定されます。

耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の耐震性を備えた建物です。震度6~7の地震にも耐えられる耐震性があり、その後も一部の補修を行えば生活できる可能性が高いとされています。

耐震等級3は、耐震等級1と比較した場合に1.5倍の耐震性を備えた建物です。震度6~7の地震にも耐えられます。また、その後も一部の軽微な修繕のみで暮らせると想定されており、高い耐震性を備えています。

耐震等級は、住宅の購入や建築を検討する際に重要な指標となります。耐震等級の高い建物は、地震の被害を最小限に抑えることができるため、安心して暮らすことができます。

耐震等級のメリット

耐震等級の高い建物は、地震の揺れに強く、倒壊や大きな損傷を防ぐことができます。以下のようなメリットがあります。

・地震による人的被害や物的被害を軽減できる
・建物の資産価値を維持できる
・地震保険の保険料を抑えられる

耐震等級の確認方法

耐震等級を確認するには、以下の方法があります。

・建物の建築確認申請書や竣工図を確認する
・建物の所有者や管理者に問い合わせる
・耐震診断を依頼する

耐震等級を確認することで、建物の耐震性能を把握することができます。

 

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