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公開日:2024年11月28日  木村 康幸

既存不適格建築物と違反建築物との違いはどこ? 売却しにくいって本当?

いつもご覧いただき、ありがとうございます。《不動産仲介手数料が無料もしくは割引》不動産流通システム、REDSエージェント、宅建士の木村 康幸です。

中古住宅を探していると、物件情報に「既存不適格建築物」と記載されていることがあります。また、ご所有の不動産を建て替えしようとした際に「既存不適格建築物」と言われて驚いた方もいらっしゃるかもしれません。

あまり聞きなじみのない言葉ですが、違反建築物や違法建築物とは違うものなので、ここで解説いたします。

既存不適格建築物

(写真はイメージです)

既存不適格建築物と違反建築物

既存不適格建築物とは

既存不適格建築物とは、建築時には合法だったものの、その後の法律改正などによって法律の基準を満たさなくなった建築物のことです。

分かりやすい例としては、旧耐震基準の建物が挙げられます。建物の耐震基準は見直されていて、1981年6月からは大規模地震を想定した「新耐震基準」が最低限守るべき基準となりました。1981年5月以前に建築確認申請が受理された建物は「旧耐震基準」で確認されているので、現在の基準である「新耐震基準」を満たしていないことになります。

違反(違法)建築物とは

既存不適格建築物と似た言葉に、「違反建築物(違法建築物)」というものがあります。一見同じようにも思えますが、実は意味が大きく違います。

違反建築物とは、建築当時から法律に適合していない建築物のことです。法律に適合していない増改築をした建築物も、違反建築物に含まれます。

違いは建築当時に違法だったかどうか

既存不適格建築物も違反建築物も、現時点で法律の基準に不適合となっているところは同じです。しかし、建築時(または増改築時)に法律に適合しているか・していないかが異なっています。

違反建築物の場合は、住宅ローンの融資は基本的には断られます。既存不適格建築物についても融資を断る金融機関があるのは事実ですが、融資してくれる金融機関も中にはあります。

既存不適格建築物の例

既存不適格建築物の例として、旧耐震基準の建物を挙げましたが、その他には下記のような例があります。

●用途地域の指定や変更によって、容積率・建蔽率などが不適合になった物件:よくある「既存不適格建築物になった原因」は、用途地域の指定や変更です。

●接道義務を満たしていない物件:建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に、間口2m以上接していなければなりません。これが、建築基準法で決まっている接道義務です。

これが現在の基準で、建築基準法が制定されたのは1950年です。今から70年以上前から存在する基準ということになりますが、日本には築70年以上の建物も存在しています。そのような古い建物の場合、この接道義務を満たしていないことがあります。

接道義務を満たしていない物件は、再建築ができません。つまり、建物を取り壊してしまうと新たに建て直すことはできないということです。このような建物のことを、再建築不可物件と言います。

既存不適格建築物に住み続けてもいいのか?

次に、既存不適格建築物はそのままの状態で住み続けてもいいのかどうか、ご説明します。

結論としては、既存不適格建築物になっても、基本的にはそのまま住み続けることができます。住み続けていることで罰則を科されることもありません。

※例外として、建築基準法では「著しく保安上危険」または「著しく衛生上有害となるおそれがある」と認める場合に建物の所有者は建物の改築や解体(除却)などを命じられることがある、と規定されています。

ただし、増改築(建築確認が必要な大規模リフォームなど)や建て替えをするときには、今の基準に適合させなければなりません。建て替えの場合には、基準に適合させることによって建物が小さくなってしまうこともあります。

現在の基準を無視したまま増改築や建て替えすると違法建築物になってしまうので注意しましょう。

既存不適格建築物は売買できるのか

既存不適格建築物の売却は一般的な建物よりも難しく、価格が相場より著しく低くなることもあります。一般的な建物と既存不適格建築物になった建物を比べると、既存不適格建築物になった建物の方が売却難易度は高いです。

建て替えや増改築するには今の基準に適合させる必要があり、ある程度の制限を受けることになります。そのため、立地などに大きな魅力がなければ既存不適格建築物を避ける買主が多いのが実状です。また、売却できたとしても相場よりもかなり安い価格になってしまうかもしれません。

既存不適格建築物は、築年数が古い家が多いです。既存不適格建築物として売るよりも、土地として売却した方がスムーズな場合があります。

既存不適格建築物の場合、金融機関によってはローンの審査に通らないことがあります。違反建築物よりは融資を受けやすいですが、それでも一般的な不動産の購入時よりも金融機関は制限されてしまいます。

既存不適格建築物であることは買主に必ず伝える

既存不適格建築物は売却しづらいので、それを隠して売却活動をしたいと考える売主様もいらっしゃるかもしれません。しかし、売主には既存不適格建築物ということを買主に告知する義務があります。

事実を隠して売却すると、損害賠償請求されたり売買自体が無効になったりすることもあります。後から不利益を被ることになるので、既存不適格建築物であることは隠すのは絶対にやめましょう。

まとめ

今回の記事では、既存不適格建築物と違反建築物の違いや売買するときの注意点について解説しました。

既存不適格建築物の建物は売却は難しいというのが一般論ですが、不適格な部分を解消し、また土地として売却することで、希望に近い価格で売却できる可能性もあります。

不動産会社に相談される際は、既存不適格建築物の売買実績が豊富であることが望ましいため、複数の不動産担当者から話を聞かれてみることをお勧めします。

 

REDS 不動産流通システムの木村です。
宅地建物取引士・管理業務主任者・リフォームスタイリスト
(お気軽にお電話・メールにてお問い合わせください)
携帯電話:090-9815-3411
E-Mail:ya.kimura@red-sys.jp

 

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