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家売るドラマ解説

【家売るオンナの逆襲・宅建士解説】 誰でもその人の生き方に合った家がある!と売ったサンチー、やっぱハンパないって! 【第1話】

2019年1月9日、アジアカップ初戦でサッカー日本代表は、前半に1点をトルクメニスタンに先制されるも、後半には、「大迫、ハンパないって!」とサッカーファンが叫んだ大迫選手の2得点に加え、弱冠20歳の堂安律選手の1得点で逆転勝利を収めました。サッカーフリークである筆者のそんな興奮も冷めやらぬままに、試合中継が終了した直後の22時より、いよいよ日本テレビ系連続ドラマ「家売るオンナの逆襲」第1話が放映されました。

(さらに…)

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「帰ってきた家売るオンナ」にみる不動産仲介の世界

前編(「帰ってきた家売るオンナ」が稼いだ仲介手数料はいくらなのか?)に引き続き、5月26日に放映された日本テレビのスペシャルドラマ「帰ってきた家売るオンナ」について、不動産の現場にいる立場からみたレビューや「不動産あるある」を綴っていこうと思います。

万智の不可解な行動と家族の問題

「あなたにあの家は売りません」

メゾネットタイプのマンションに目をつけ、ついに動き出した一ノ瀬(笑福亭鶴瓶)。
テーコー不動産にアルバイトとして入り込み、内部資料を盗み見るなどしていた彼の真の狙いはテーコー不動産で誰が一番優秀かを調べて、娘と同居する家を買うことでした。

独りよがりに娘との同居を夢見て、メゾネットタイプのマンションも買おうとする一ノ瀬に、万智はなんと、「あなたに、あの家は売りません」と宣言。資金内容にも問題はなさそうなのに、「売らない」宣言をする万智に一ノ瀬は激昂しますが、美加が連れてきた娘に「あなたとは暮らさない」と言われてしまいます。

そこに颯爽と現れた万智は、一ノ瀬の目の前でスタントマンのプロダクションを経営する夫婦に、このメゾネットの物件を売ってしまいます。この夫婦は2階から飛び降りたり階段を転げ落ちたりして、この部屋の使い方に胸を膨らませていました。こういう使い方があるとは、見ている私も泡を吹きましたが…。

相撲で子供を投げ飛ばす!

ある日、有名子役の葉山蓮君と、付き人である父親の友明(要潤)がテーコー不動産を訪れます。生意気でわがまま放題のレン君に担当の庭野もたじたじ。次の日、庭野に同行した万智は、葉山親子に会うなり開口一番、蓮君に「あなたは本当に家が欲しいとお思いですか?」と尋ね、「来い!このクソガキ」「大人をなめ腐ったバカ子役」と挑発して相撲を取るようにけしかけます。

技を決めて何度も何度も蓮君を投げ飛ばす万智、父の友明に対しても「お前もしっかりしろ!」と挑発します。

読者のみなさんに、ここは誤解してほしくないのですが、実際の不動産業者がお客様相手にこんなことをしたら大問題になります。このあたりはドラマ上の演出です!

足立の物件を横取り

万智の活躍に、チーフとしての面目丸つぶれで面白くない足立のもとに、アパートの老朽化で退去を強いられているフリーのイラストレーター、極貧シングルマザーの淀川水樹(芦名星)が訪れます。

自己資金は50万円、年収は220万円ほど。これではローンを組める見込みがなく、足立は難色を示しますが、家を買うことを夢見て懇願する水樹を断れない足立は、淀川親子のために家探しを始めました。

「こんな物件しかないんですが」と紹介したボロアパートに「夢みたいです」と大喜びする水樹に、足立は胸を打たれます。

内見風景

一方、足立がペット用マンションを売った客のお嬢様が「犬小屋」となる物件を求めにテーコー不動産にやってきます。接客中の足立に代わり、万智が対応し、なんと、足立が水樹に売るつもりで確保した物件を万智は「犬小屋」用として売ってしまいます。

一見、血も涙もない万智の行動に庭野も足立も開いた口が塞がりません。

「家を売ることは人生を売ること」

赤ん坊のことも気になっていた庭野は、万智の不可解な行動も相談しに思い切って屋代のもとを訪ねます。赤ん坊は、子育てや高齢者のための施設建設のため、広大な土地の取引をサンチ-不動産に依頼している客の子供を預かっているだけということが判明します。

「万智が家を売った人はみんな幸せになっている、これってすごいこと」「家を売るということは人生を売るということ、お客様は人生をかけて家を買う」ー。屋代のこんな言葉に、しみじみとなった庭野は東京に戻ります。

東京に戻った庭野は友明に、「レン君はふつうのお父さんが欲しいのではないか?」と話し、親子で相撲を取ることを提案。小学校の校庭でレンは思い切りぶつかって「付き人なんかやめてほしい」と友明に心中を吐露します。レンが欲しいのは立派で高級な住まいではなく、普通のお父さんと普通の小学生として暮らすことでした。本当の気持ちを言えないことが、わがままをエスカレートさせていたのです。

「天才不動産屋」は聞き上手である

ふてくされた一ノ瀬のもとを訪ねる万智と美加。一ノ瀬は心中を思い切りまくし立てますが、万智は「で?」と次の言葉を促し、答えを引き出し続けます。言いたいことを言い尽くした一ノ瀬に、万智は「すべての人の人生は孤独だ」と話し、「人の行きかう交差点」として賃貸アパートの大家となることを提案します。

家族を失ったことのある万智だからこそ、「人は孤独な存在」であり「でも一人では生きられないのも事実」ということを知っているのでした。

「人は孤独」だからこそ、その声に耳を傾け、お客様にとっての幸せとは何なのかを真剣に考える、それが万智の貫いている姿勢なのです。

高齢化により、配偶者を失ったいわゆる「独居老人」や、非婚・未婚・離婚率の増加により、単身世帯が増えていることで人々が心に抱える「孤独感」は、静かに深刻な問題の一つとなっています。

管理が行き届かない空き家の再生事業や、家賃負担を減らしたい若者と広い家を持て余している高齢者の互いのニーズを合致させた世代間ホームシェアなど、少子高齢化だからこその「交差点」となる新しい住まい方の提案が実際に増えてきています。

ドラマ放映第8話で、万智が語った「ひとつ屋根の下で暮らすなら、それは家族」という言葉がありましたが、血のつながりだけではない「家族の在り方」について改めて考えさせられる内容でした。

足立「僕はお客様の人生を投げ出しません」
庭野「お客様の人生をあきらめません」

万智に物件を奪われたことで、目が覚めた足立は、今まで馬鹿にしていた低額の「ちまちました物件」を、水樹のために探すことにやりがいを見つけます。高額な物件を仲介しても、低額の物件を仲介しても、得られる手数料は取引価格が元になりますから、1億円の物件と1000万円の物件では不動産業者が得る利益は単純に10倍になります。なのに、かかる手間や必要な手続きはほとんど変わりません。「ちまちました物件」を敬遠している理由はここにあります。

万智が一ノ瀬にメゾネットマンションを売らなかったことも、子供を相撲で投げ飛ばしたのも、足立の物件を奪ったのも、言われたままに売ってしまうことは、近い将来、お客様が人生を投げ出すことになってしまう。このことに気づかされた足立は、不動産屋の仕事の本当のやりがいと喜びを見つけたのだと思います。

不動産屋、担当営業にとって、お客様はたくさんの顧客の中の一人ひとりにすぎませんが、お客様にとってはそうではありません。この先の何回もの四季をそこで過ごすと決めて、住まいをその担当から買うということは、一つの人生をかけた一大事です。お客様の人生の一大事を預かるということの重大さを理解し、やりがいを感じられるということも、不動産業に携わる者としてはとても大切な資質の一つなのだと思います。

不動産業界の将来を示唆する結び
「じじいばばあの輝く国」

空き地空き家を買い上げて、老人ホームを設立する計画。「この国はじじいばばあの国になります。じじいばばあが輝かなければこの国は輝きません」という万智の言葉。赤ん坊を預かることを通して万智と家族になることを意識するようになった屋代。

ドラマの終盤は、不動産業界だけでなくこれからの日本が抱える大きな問題である「少子高齢化」「人口減少」を考えさせる内容に入っていきます。不動産業界の動向は、家族のあり方とは切り離せません。
現在、激動の過渡期を迎えています。

住まいとは、家族とは、暮らすとは、「家」とは何か。
「家売るオンナ」を通して改めて考える機会とし、現在そして今後のリアルな住宅事情に興味を持ってみることをおすすめします。

関根祥遙(宅地建物取引士)
都内北西部を中心エリアとする不動産会社で売買営業として勤務。消費者に寄り添った視点で、これからの宅建業者に何が求められるかを真摯に伝えたいという思いから執筆活動に従事。東京都出身・在住。

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家売るドラマ解説

「帰ってきた家売るオンナ」が稼いだ仲介手数料はいくらなのか?

不動産業界を舞台とした人間模様を描き、2016年夏に大ヒットした日テレのドラマ「家売るオンナ」。

「私に売れない家はありません」が決めぜりふの天才凄腕不動産屋、三軒家万智(北川景子)が、奇想天外な手法で、家を売って売って、売りまくる痛快エンターテイメントです。

高視聴率をキープし続け、最終回前から続編を期待する声も上がるなど、惜しまれつつ終了した「家売るオンナ」が、一夜限りのスペシャルドラマとして帰ってきました。

今回も、不動産業界の現場にいる人間としてドラマに見えたウソとホント、所感雑感を交えてご紹介したいと思います。

舞台は、万智と屋代がテーコー不動産を去ったその2年後

かつて万智が在籍した「テーコー不動産新宿営業所」では、ベテラン布施課長(梶原善)の元、万智の後にチーフとなったエリート足立(千葉雄大)、結婚したにもかかわらず相変わらずの白洲美加(イモトアヤコ)、その夫となった宅間(本多力)、席順もより前列に近づいた八戸(鈴木裕樹)などなどおなじみの面々がいまいちやる気の感じられないイマドキ風新人社員、鍵村(草川拓弥)も迎え、家を売ったり売れなかったりしています。

かつてはうだつの上がらぬ新人だった庭野(工藤阿須加)は、万智に会いにはるばるサンチー不動産を訪れます。

久しぶりに二人の姿を見つけ、駆け寄ると、そこには、海辺で赤ん坊を抱く万智と屋代(仲村トオル)の姿が…!

万智に思いを寄せていた庭野はその姿にショックを受けます。
二人の関係を、聞くに聞けない庭野・・・
はたして赤ちゃんは、屋代と万智、二人の間の子供なのでしょうか?

そして、布施課長が営業成約費の半分をつぎ込んで作ったというテーコー不動産のマスコットキャラクター「すもうくん」の着ぐるみの中の人、バイトのおじさん一ノ瀬(笑福亭鶴瓶)は、誰も居なくなった隙にテーコー不動産の社内でパソコンをのぞこうとしたり机の中の資料をあさったりと何やら怪しい動きを見せています。

一ノ瀬の真意とは・・・・?

万智に話しかける一ノ瀬

健在の「家を売るためです」 決めゼリフの「GO!!」

庭野がサンチー不動産を訪れた理由はズバリ、万智が去って成績不振に陥った新宿営業所を救うため、万智に力を借りるためでした。

最初は、必死の庭野の懇願に応じなかった万智ですが、屋代の進言でやむなく、月末までの2週間、期間限定でバイトとしてテーコー不動産に復活することにしました。

かつての活気は見る影もなく、すっかりたるみきっているテーコー不動産に久々に「GO!!!」の嵐が吹き荒れ、布施課長も満足げです。ただ一人、現チーフの足立は、自分のチーフとしての立場がぐらつき始めたことに不満のようです。

そんな足立の後ろ姿を見送りながら、ベテラン布施課長は「あいつまだ分かってねえな。家を売るってことの意味が」と独りごちます。

契約を逃すよりはサービス工事

内見に出かけた庭野は、2年前のように営業車にいつの間にか乗り込んで同行する万智に驚きますが、
成長した自分を見せようと意気軒昂としています。

高井戸のマンションで待ち合わせたのは、もうひと押しで家を買いそうな初老のご夫妻。ただ、この2人、極度の潔癖症で、リクエストに応じて何度もハウスクリーニングを入れて自信をもって臨みました。

しかし、トイレに手洗い器が無いことを理由に、申し込み寸前のお客様が一転、取りやめを表明します。愕然とする庭野をおいて、「トイレの問題さえ解決できれば、この家を買っていただけますか?」と食い下がる万智。

彼女は颯爽と業者を手配して、その場でドアノブをもう一つ取りつけてしまいます。2つのドアノブを「綺麗な手用」「汚い手用」に使い分けることを提案する万智に、お客様はすっかり納得して5000万円で購入を決断してくれました。

実際のところ、お客様を引き留める提案としては、トイレに手洗い器を設置できれば一番良いのですが、
手洗い器を追加する工事をするには水道の配管やスペースの問題、工事費用も掛かります。

その点、ドアノブを追加で取り付けるだけであれば費用も大分抑えられますし、時間もそれほど要りません。工事費用をサービスすることで成約につながるのであれば安いものです。

まるでとんちの様なアイディアですが、咄嗟に機転を利かせて、それも大真面目にお客様に提案する手腕はさすが華麗です。

現実では、当日に業者を手配して目の前で取り付け完了させるというのはなかなかの離れ業です。まるで目くらましのようなこの提案で、お客様が納得して購入を決めてくださるかは、お客様がその物件をどれだけ気に入っているかにかかっており、かなり危ない提案です。

しかも、引渡し前はまだ売主の所有ですから、申し込みすら取れていない状態で了承なしに工事をすることも実際にはあり得ません。これはドラマならではの演出でしょうが、久々にみる「サンチー」の奇抜な手腕を思い出すには十分なエピソードですね。

中国人投資家の高層マンション購入

次は、外国人相手に強い八戸が中国人客を案内している現場に現れた万智。

「景色は最高、みんなが欲しい物件、間違いなく資産価値も上がるので投資用としても最適」と案内した25階高層階の物件に気に入らない様子を示すお客にたじろぐ八戸ですが、万智は咄嗟の隙に、庭野を走らせ8階の居住者に売却を打診していました。

「8」は中国人にとって大切な数字であることを知っていた万智。また「八階」は「お金が儲かる」という意味の「発財」に似ていることから、「8階の808号室ではどうか」と打診された中国人のお客様は、なんと大喜びで即決しました。
8階の物件を、まさかの25階の9000万円という価格でで、購入したのです。

それを受けて、808号室の居住者は、間取りは同じでも眺望が抜群に良い25階の物件に喜んで買い替えを決断しました。スゴ技としか言えない手腕ですね。

日本の不動産事情は世界的にみると「遅れている」のが実情で、海外から見ると日本の不動産価格はとても安く、「お買い得」なのだそうです。

中でも爆発的な経済成長を続けている中国の投資家の購入は多く見られ、ここ数年で不動産市場でも中国人による「爆買い」が話題になりました。都心に建つ超高層マンションの高層階には、中国人の所有者が見られることは珍しくありません。

名前まで「八男」に変えてしまった八戸はやりすぎかもしれませんが、都内の不動産仲介業者が、中国語を身につけ対応の準備をしておくことには大いに意味があります。扱う物件も高額なものが多いため、もしかしたら名刺の名前を変えるくらいなら、やるだけの価値があるのかもしれません。

結局、万智の活躍で、危なかった契約も息を吹き返し、庭野の担当の高井戸のマンション、八戸担当の雑司ヶ谷の高層マンションについては2件、立て続けに売れてしまいます。

足立がかかわっていたペット小屋用アパートも順調に売り上げ、あっという間に新宿営業所の営業成績はうなぎ上りになりました。

さて、この間、万智が稼いだ仲介手数料がいくらになるかを計算してみましょう。

・タワーマンション (9,000万円×3%+6万円)×4=1,104万円

・潔癖症マンション (5,000万円×3%+6万円)×2= 312万円

・ペット小屋アパート (450万円×3%+6万円)×2= 39万円

・タワーマンション (9,000万円×3%+6万円)×4 1,104万円
・潔癖症マンション (5,000万円×3%+6万円)×2 312万円
・ペット小屋アパート (450万円×3%+6万円)×2 39万円

合計1,455万円(※)となりました。大したものです。

(※すべて両手仲介で仲介手数料は売買価格の3%+6万円とした場合で、消費税は除く計算。)

後編に続く)

関根祥遙(宅地建物取引士)
都内北西部を中心エリアとする不動産会社で売買営業として勤務。消費者に寄り添った視点で、これからの宅建業者に何が求められるかを真摯に伝えたいという思いから執筆活動に従事。東京都出身・在住。

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家売るドラマ解説

「帰ってきた家売るオンナ」―不動産仲介のプロの宅建士が解説

5月26日(金)21時から、日本テレビ系2時間ドラマ「帰ってきた家売るオンナ」が放映されました。2016年7月期に人気を博した連続ドラマ「家売るオンナ」の続編となるスペシャルドラマです。

前作は、主人公の三軒家万智(北川景子)が、テーコー不動産新宿営業所の営業チーフとして奇想天外ながらもお客さんの心をわし掴みにする方法で家を売りまくる、痛快お仕事ドラマでした。

今回は、「前作から2年後、会社を辞め独立した万智が、期間限定の助っ人として再び新宿営業所に戻ってくる」という設定です。今作でもどんな方法で家を販売していくのか、ワクワクしながらテレビに釘付けでした。

赤ちゃんをかかえる三軒家万智

次々と成約する万智―手法にはツッコミどころ満載(笑)

万智の部下で彼女を慕っていた庭野(工藤阿須加)は、同行した万智に自分の成長ぶりを見せたいと、張り切ります。

とても清潔好きなご夫婦の内覧立会でのこと。庭野は、前日にクリーニング済み・フローリングは抗菌加工・窓にはエアーフィルター設置・ディスポーザー完備の住宅を紹介。お客様も満足げに、申し込み書類に記入寸前です。

ところがその寸前に、奥様から悲鳴と共に「こんな家は買えない」とクレームが。トイレ内に手を洗う場所がないので、ドアノブにばい菌が付いてしまい触れなくなる、というのです。トイレのすぐ外には洗面台があるのだから、そこまで神経質にならなくても……と思わず本音を口に出し、庭野はますます窮地に陥ります。

そこで万智は「トイレの問題が解決されれば、買っていただけますね」と一言。早速、内装業者にドアノブをもう1つトイレに付けさせてしまったのです。

「清潔な手専用」のドアノブと「使用後専用」のドアノブで使い分ければ問題解決、というわけです。それで一軒、売れちゃいました。

……いやいや、さすがに無いです、それは。

不動産会社の一存で、勝手に内装仕様は変更できませんって。今時、当日すぐに内装業者だって来てくれません。もしそれでも買ってもらえなければ、売主さんは激怒します。器物損壊罪で訴えられても仕方ありません。トイレのドア1枚、全面交換要求されます。普通の会社はそんなリスクは負えません。ドラマの中だけのお話です。

さらに万智は売りまくります。

ある中国人のお客さんに断られたタワーマンションの25階。そこで、8階の住人の中で「売っても良い」という人を、庭野に探させておきます。「8」は中国人にとって縁起がいい数字。8階ならば即決、25階のマンションは8階の売主に住み替えで買ってもらい、一気に2軒成約です。

また、メゾネットタイプのマンションは、「2階構造なので広くて、階段もある」ということで、自宅兼練習場として、スタントマン・プロダクション経営の夫婦に販売を決めます。

いやいや、8階というだけで、中国人がマンション即決しませんって。いくら中国では縁起のいい数字だからといって、それは無理ですってば。中国でも、高層階の方が売価が高いのですから、高層階の方が人気ありますよ。8階というだけで売れるのなら、東京中のマンションの8階が中国人に買い占められちゃうじゃないですか(笑)。

それにいきなり来た不動産会社に「家? 売ってもいいよ」と快諾してその日のうちに契約する人、いると思います? 不動産会社は大助かりですね、そんなお客様がいるなら。

メゾネットにしても、2階建てで広いからって、2階部分からリビングに飛び降りていたら、そこでご飯食べられません。毎回部屋を片付けるのも大変、自宅兼って無理があるでしょ。

それに、使用目的で商用可能か、マンションの管理規約は確かめましたか? 毎日ドタバタされては、ご近所からクレームだって来かねません。防音とか振動についても確認しなければ売れませんよ。そもそも、一軒家やテナントビルの方が練習場には都合良くありませんか?

どうも今回のドラマは、売りまくる万智の描写は、コミカルな発想による販売を主眼としたようで、「その発想そのものを楽しんでください」という感じの脚本でしたね。そこが楽しめればいいので、専門的に解説しようとする方が野暮な話ですね……。

「家を求める人のニーズに、自由な発想で応えるのが不動産会社だ」というのが教訓だ、としておきましょう。

家を買えなかった3家族

このドラマには、家を「買えなかった」三者三様の事情を持つ人物・家族が登場します。

テーコー不動産のゆるキャラ「すもーくん」の着ぐるみバイトをしている一ノ瀬(笑福亭鶴瓶)は、65歳の一人暮らしです。妻とは1年前に死別し、娘は15年前、19歳の時に家を出て子供もいますが、娘とは妻の葬式で会ったきり。一人暮らしが寂しくて、娘と同居する家を探していました。テーコー不動産でのバイトも、そのためでした。

しかし娘からは、「家から叩き出されて、今は幸せに暮らしている。一緒には住めない」と同居を断られてしまいます。

葉山友明(要潤)は、子役タレントである息子の蓮(五十嵐陽向)の収入で生活しています。彼らも家を探していますが、蓮のわがままで一向に家を決めることができません。蓮は、普通の父と子として生活がしたいだけだったのです。

淀川水樹(芦名星)はシングルマザーです。今のアパートから老朽化のため立ち退きを迫られているので、これを機会に、息子に万が一のために何か残せるようにと家を探していました。

しかし彼女はフリーのイラストレーターで、年収220万円、貯金も50万円。金融機関の融資は難しく(注)、なかなか買える家はありません。一度は断ったチーフの足立(千葉雄大)ですが、何とか450万円の物件を紹介します。しかし、あっさりと万智が他に売ってしまいました。

※融資についての補足

家を購入される場合には金融機関から融資を受けることが多いでしょう。いわゆる住宅ローンです。融資を受けるためには、金融機関の審査を通らなければなりません。審査には、職業、年収、借用履歴、返済履歴、家賃の支払い、貯金、物件の担保価値などが考慮されます。

水樹の収入や貯金、シングルマザーであること、自由業という属性を考慮すると、残念ながら高額の融資を受けることは難しいでしょう。また、高額ではない物件は担保価値も低いので、実質上、融資での購入ができる確率は無いに等しいといえます。

「家を売ることは、人生を売ることだ。お客様は人生をかけて家を買うのだから」

この3家族がどうなったのか。まず万智は、孤独に悩む一ノ瀬に対し、「人の行き交う交差点に住むのです」と、一棟売りアパートを購入して大家になることを勧めます。「様々な人が住み、出ていく。感謝と敬愛を得て、孤独から解放されるでしょう」と。

そして庭野は葉山親子に、足立は水樹親子に、「必ず望む家を見つけますから」と約束し、それまでは一ノ瀬のアパートに住んでもらうよう紹介しました。

一ノ瀬のアパートに、家を買うことのできなかった3家族が住むことになったわけです。

「家を売ることは、人生を売ることだ。お客様は人生をかけて家を買うのだから」

これは、万智の設立した不動産会社で働く屋代課長(仲村トオル)が庭野に言った言葉です。

私たち不動産会社は、お客様の人生をかけた買い物に寄り添うわけです。少しでもお客様の人生を豊かにするようなご提案ができるように、「必ず望む家を見つける」という覚悟を常に持ち続けなければいけない、と改めて思いました。

続編の連続ドラマ化を期待するドラマでした。

早坂龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング 代表取締役。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売り会社勤務を経て、2015年から北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

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家売るオンナ【最終回】―10億のビルを売る万智に早くも続編の声が!

テーコー不動産新宿支店の営業チーフ、三軒家万智(北川景子)が家を売って売って売りまくる痛快お仕事ドラマ「家売るオンナ」も第10回、いよいよ最終回を迎えることとなりました。奇想天外な発想と手法で家を売り、お客様ばかりか会社の同僚の生き様にまで影響を与えてきた万智です。最終回では、どんな家をどのような方法で売るのでしょう?また彼女や周囲の人間の今後は描かれるのでしょうか?

今回も、ストーリーに沿って、ドラマの中のウソ・ホントをいくつかご紹介したいと思います。

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ビルのテナントを埋めて収益物件として売却しよう、とみんな頑張っていますけれど…

ある朝、屋代課長(仲村トオル)のもとに、行きつけのバーのママ珠城こころ(臼田あさ美)が泣きついてきます。ビルの解体で立ち退きを迫られている、とのこと。屋代課長は何とか力になろうと、ビルのオーナーと会い、ビルを売却できるのであれば解体してもしなくても構わないという確認をとります。そこで、既に立ち退き済みで空き室になったテナントを埋めて採算性を上げ、ビルの転売先を見つけようと課の方針を固めました。ビルは地上2階/地下1階建てで、1階は1店舗、2階は1住居、地下1階は3店舗の間取りです。現在の入居者は地下のこころのバーだけです。万智を除く課員が一丸となってテナントを探し、どうやら地下1階の空き店舗2つは埋められそうです。しかし、この努力の方向は的外れな気がしてなりません。

ビルの売買のポイントは再生による付加価値UPと収益性

テナントビルの売買で1番のポイントは収益性です。ネタバレになりますが、最終的にこのビルは10億円で売れましたので、オーナーの希望価格や周囲の取引価格も実際その程度だと仮定して、収益還元法といわれる方法から必要家賃を逆算してみましょう。

収益還元法というのは年間の収益を希望利回りで割り返して、不動産の査定価値を計算する方法です。

(収益)÷(利回り)=(査定価格)

収益は家賃収入のみとした場合、利回りを収益物件としては少し低めの表面利回り年8%、査定価格を10億円と仮定して逆算すると、月額の必要家賃収入は667万円となります。つまり、月額667万円の家賃収入がないと収益物件として10億円で売るのが難しい物件ということです。

このビルの間取りでその収益を得るために各階の家賃を2階:1階:地下で1:2:1の比率で設定すると、2階166万円、1階店舗334万円、地下1階のテナント1軒あたり55万円となります。こころのバーは10坪そこそこの小さいバーですから、それだけの賃料はとても払えないのではないかと思います

坪あたりで計算すると5.5万円程度となりますが、ある不動産会社の賃貸相場報告によると、新宿の1階テナントの最高額は約6万円/坪となっています。仮にこのビルが新宿最高レベルの立地条件だったとしても、1階の店舗で334万円の家賃を得ようとすると56坪の広さがなければいけません。ちょっと現実的ではないですね。2階の166万円/月の住居家賃も同様です。都心のタワーマンションでもなかなかここまでの家賃が取れる部屋は有りません。

従って、今の家賃レベルのままテナントを埋めても、収益性が低すぎてオーナーが満足する価格では売れそうもありません。屋代課長の提案に沿ってビルを売ることは、最初から非現実的なことだったといえます。更地にして周辺の土地と合わせて再開発する、ビルを建て替えて高層化する、あるいは建物をリノベーションして全く新しい価値を創造して提供する、という方法が現実的といえるでしょう。

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元バレリーナと足の不自由な娘のための家探し

一丸となっている営業所の同僚とは距離を置き、万智は元バレリーナの望月葵(凰稀かなめ)から、事故で車椅子生活となった娘カンナ(堀田真由)と2人で暮らす家を探すよう依頼されます。葵の夫は資産家で、シンガポールで愛人とその子供と暮らしているとのことです。

万智は、こころの店が入っているビルのことも密かに気になっていたようです。1人で下見に行って、鍵の開いていた1階と2階にこっそり入り、壁紙を破ったり、ドンドンと飛んだり跳ねたりしています。そして一言「このビル、私が売ります」。その後、後輩の庭野(工藤阿須加)に、壁紙やカーペットを剥がすよう命じます。何やらいい案を思いついたのですね。

しかし、壁紙やカーペットを勝手に剥がすのは問題が有ります。自分の会社がテナント探しを依頼されたビルだからといって、勝手にビルの中に入って内装を変更するのは業務の範囲を超えています。会社として鍵を預かっていて業務(ご案内等)として建物に入ったのなら問題ありませんが、万智の場合は会社の誰にも言わずに入っていますから、会社としてその行為を認めることはないでしょう。無断で壁紙やカーペットを剥がすのは論外です。結果としてビルは売れましたからオーナーが訴えることはないでしょうけれど、この時点で気付かれていたら問題になったでしょう。

常務の命令に背き、ビルを売る万智、やっぱりクビになるの?

屋代課長に常務から電話が入り、本社が当該ビルを含めて再開発を進めているので、ビルの売却から手を引けと命じられます。「諦めよう」という屋代課長に、万智は「あのビルは私が売る。私が大切なのはお客様です。課長はこころの人生を背負ったのではないか、それを見放すのなら会社の犬だ。私はクビになっても構いません」と啖呵を切ります。
そして、1階をバレエスタジオに改築し、葵たちの夢をもう一度かなえるための家としたのです。壁紙やカーペットを勝手に剥がしたのはこのためでした。さらに、1人でシンガポールに行き、葵の夫にこのビルを10億円で買うことを提案します。葵たちは、夫に購入してもらうことを受け入れ、人生をやり直す決意をします。こうして、万智は見事に10億円でこのビルを販売しました。

Ballerina Ballet Dance Practice Innocent Concept

ビルを売ったことを報告する万智に、屋代課長は命令に背いたことを怒るのではなく、仲良く辞表を出そうかと提案します。屋代課長も、覚悟を決めたようです。
でも、常務の命令に背いたことで、ホントに会社を辞めなくてはいけないのでしょうか?

万智はおそらく大丈夫、でも屋代課長には厳しい将来が

テーコー不動産がどの程度の規模の会社なのかはわかりませんが、新宿の再開発を計画するような規模の会社であれば労働組合があるのではないかと想定できます。万智はチーフとはいえ管理職ではないようですし、違法行為をしたわけでもなく、会社の方針とは違う販売をしただけですから、組合問題になることを恐れて会社は解雇することはないでしょう。万智の実績も捨てがたいものがあるはずです。

一方で、管理職の屋代課長の将来は暗いものになってしまいそうです。会社にとって莫大な利益をもたらすはずの開発計画の阻害要因を、上司からの指示があったにも関わらず、生じさせた罪は重いでしょう。管理能力不足を問われて、減給や降格、さらには実質的な退職勧奨を受けるなどといった厳しい処分があってもおかしくありません。

「サンチー不動産」

エンディングは、どこか田舎の海辺に設立された「サンチー不動産」で、万智と屋代が2人で家を売っています。2人が結婚したのかどうかはわかりませんが、どうやら万智が社長のようです。新宿営業所の面々も元気な様子です。どこにいても人が住む家がある限り、万智は家を売っていく、としてドラマは終わります。

平均視聴率10%を超える人気ドラマでしたので「帰ってきたサンチー」の続編を期待したいと思います。そしてまた、このコラムを再開できることを心待ちにしています(笑)。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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家売るドラマ解説

「家売るオンナ」【第9話】解説―失敗しない二世帯住宅と異文化交流の共通項とは?

北川景子が演じる、テーコー不動産の営業チーフ、三軒家万智の活躍を描く「家売るオンナ」(日本テレビ系)は、平均視聴率が10%台を楽々キープしている人気ドラマとなっています。めちゃくちゃ困難に見える不動産物件の売買を成功させる万智の奇抜な発想や、登場人物たちのコミカルな演技、結果的に家を買った人が自分なりの幸せを見つけるに至るストーリーなどが受けているようです。万智のキャラクターも受けているようですね。不動産会社に限らず多くの会社で、部下に仕事を命じるときに、「○○さん、GO!」と万智の決め台詞を使うオジサンが増えているのではないでしょうか(笑)。

今回もストーリーを追いながら、不動産の売買に関するトピックスやエピソードをご紹介していきましょう。

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そんなにべらべら喋って大丈夫なの?

ダメ社員の白洲美加(イモトアヤコ)は、自分の生家を万智が販売したとき以来、万智を尊敬するようになっており、仕事にも前向きです。今日も自分から率先してポスティングに出かけます。すると、週刊誌の記者に声をかけられ、「デキる女特集」という企画のために万智のことを教えてほしいと頼まれます。カフェで奢ってもらいすっかり気をよくした美加は、万智が奇想天外な手法で販売した家について詳細に話してしまいました。業務で知りえたことを第三者にベラベラしゃべるなんて、社会人としてちょっと問題ですよねえ。

不動産会社の守秘義務

宅地建物取引業法では、

「宅地建物取引業者およびその従業者は、その業務上知りえた秘密は、正当な理由がなければほかに漏らしてはならない」(業法45条、75条の2)

とされています。

不動産会社は、不動産の売買における当事者の住所・氏名・年齢・職業といった基本情報から、資産情報やローンの状況、家族の情報までプライバシーの領域にまで踏み込んだ重大な情報を把握します。これらの重要な情報の漏えいを阻止し、利用者の利益を保護するための規定です。これに反した場合は、営業停止などの処分や罰金刑を受けることがあります。

また、テナントビルや1棟売りマンションなどの収益物件売買の際には、売り主側としては、売却を検討していることが風評に上ることを嫌ったり、店子に知られたくなかったり、空き室率や収益率を知られたくなかったりすることが普通です。このため、詳細検討のための資料を開示する場合、その条件として買主に対して、秘密保持契約の締結や守秘義務誓約書の提出を求めることは当然ある話です。

個人情報の取り扱いについては昨今、どの業界も非常に気を遣うようになりましたが、とりわけ不動産業界は業務上の秘密の保持にはとにかく神経質な業界です。尊敬する万智のことを褒めたいからといって、価格やお客様の情報を、他人に明かしてしまった美加の行動は、立派な業法違反です。会社の信用上も大きな問題となります。

案の定、会社で話をしたことがばれた美加は大目玉を食らいました。慌てて出版社に記事の差し止めに向かう屋代課長(仲間トオル)でしたが、記者は「美人悪徳不動産屋として記事を書こうとしたが、悪口をいう人が誰もいない、記事にならない」と言われます。胸をなでおろしたところに、「そんなに家を売るのがうまいのなら、自分が所有している2世帯住宅を売ってほしい」と依頼までしてくれました。「芸は身を助ける」とはこのことかもしれませんね。

外国人は家を借りるのが難しい?

万智の行きつけのラーメン屋で働くビクトル・ムサ(星野ルネ)が恋人の雨宮波留(八木優子)を連れて、万智を訪ねてきました。ビクトルはナイジェリア人の大学院生ですが、現在アパートを貸してくれる人がいなくて、何人もの留学生と狭い部屋で共同生活しているので恋人と住む家を探してほしいとのことです。「両親は外国人との恋愛を認めないだろうが、ゆくゆくは彼とナイジェリアに一緒に行くつもりだ」という波留の覚悟を聞き、万智はふたりのために賃貸アパートを探すことを約束します。このように、外国人が住む家を探すのは、やっぱり難しいのでしょうか?

「外国人お断り」が多いのは、残念ながら事実です

多くの賃貸アパートやマンションで、外国人の入居を断っているところが多いのは事実です。このことが日本に住んでいる、または日本に住みたいと思っている外国人の方には、大きな問題となっています。

理由は、様々なことがあります。まず、言語の問題。賃貸物件のオーナーや仲介する不動産会社の社員は、まだまだ英語や、ましてやその他の言語を話せる人は少ないといってよいでしょう。不動産会社には、借主に重要事項説明書や契約書を説明する義務があり、理解してもらう必要があります。日本語のできない外国人の場合にはその義務が果たせないことになります。また実際に入居した後の日常の意思疎通が簡単にできないかもしれないことに不安を感じるオーナーも多いのです。

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日本では、賃貸借の場合に連帯保証人を立ててもらったり保証会社を立てたりして、家賃回収の保全をするのが一般的です。これが日本国民なら比較的容易なのですが、単身の外国人の場合、保証人を立てるのが困難なことが多いです。また、保証会社も外国人は対象外とする場合が多いようです。万が一、家賃を滞納して母国に帰られてしまえば、回収の方法がないからです。かくいう私も、韓国人の友人が日本に住んで起業した際に、どうしても日本人の保証人がいないと部屋が借りられないと請われて、保証人になったことがあります。

このほか、文化の違いも大きいです。下手をすればトラブルにもつながりかねません。室内での土足使用やトイレやお風呂の使い方などの違いから、部屋を汚したり傷つけたりすることがあるのではと心配したり、音や独特の香りが周辺住民に迷惑になるのではと懸念したりするオーナーもいます。昨今では、イスラム教徒や中東の方にテロとの関係を恐れるオーナーが増えています。

こうした、文化や宗教を理由とした入居拒否は、偏見や差別につながるので、決して褒められた話ではありません。しかし、仲介する不動産会社はオーナーが貸したくないという相手に、無理矢理契約を締結させることはできません。

国土交通省「宅地建物取引業者の社会的責務に関する意識の向上について」

国土交通省は「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」という通達で、「賃貸住宅の媒介業務に係る不当な入居差別等の事態が発生している」としています。在日外国人のみならず障害者やその他の差別を巡る人権問題に対する意識向上を図り、不動産業者に対する周知徹底および指導を行う必要があるというのです。

「外国人お断り」が横行する現状を打破するためには、不動産売買にかかわるすべての人の意識向上とともに、差別解消のための積極的な施策に取り組むことが必要だと思われます。

相手の文化を尊重することが大事

さて、雨宮波留の親夫婦と兄夫婦は折り合いが悪く、別々に家を探していました。しかし、万智は「違うようで似ているんだから」と説き伏せ、両者に二世帯住宅を販売しました。

そこに招かれたビクトルは、家族が壁に仕切られている様子を見て「ナイジェリアではこんな家はありえない」と怒ります。壁を壊せと騒ぎ出し、波留の母の智代(鷲尾真知子)は怯えてしまいます。そんなビクトルに万智は

「壁があり、いつもは顔が見えないからこそ相手を思いやる、奥ゆかしく思いやるのは日本の美徳です。そのような日本の文化を理解しなければ困ります。」

と一喝します。
それを理解したビクトルとともに、雨宮一家はホームパーティーを楽しむのでした。

家族であっても、外国人との関係であっても、異なる文化を持つ人たちと共存していくには、相手の文化を尊重すると同時に自分の文化を理解し尊重してもらう、という相互の関係がないと成り立たないことを、象徴するシーンだったともいえるでしょう。

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次回が最終回

「家売るオンナ」も第10回の次回は、いよいよ最終回とのことです。万智を巡る人間関係は次第に好転し、万智の弁舌も徐々に人間味を帯びてきたような気がします。もうしばらく万智の勇姿を見ていたかった気もしますね。続編を期待するのは、気が早すぎますかね(笑)。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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家売るドラマ解説

「家売るオンナ」【第8話】解説―不動産会社や担当が不満ならチェンジはあり!?

日本テレビ系ドラマ「家売るオンナ」(毎週水曜夜10時より放送)は、不動産会社の営業チーフ三軒屋万智(北川景子)が、毎回、奇想天外な手法で家を売りまくるドラマです。
最初は、彼女の強烈な言動を煙たがっていた職場の同僚たちですが、次第に彼女の「不動産屋の仕事は家を売ることです」という揺るがぬ信念と顧客への真摯な対応に心動かされ、シンパとなる人も増えてきたようです。エリート社員の足立(千葉雄大)、新米社員の庭野(工藤阿須加)、ダメ社員の白洲(イモトアヤコ)などの面々です。
職場の雰囲気も、彼女を中心に徐々に積極的な姿勢に変わってきています。課長の屋代(仲村トオル)も彼女を認めざるを得ない、といったところでしょう。

今回もドラマで語られる不動産営業について、気になった点をピックアップしてご紹介しましょう。

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不動産会社の営業担当替えは簡単にしてもらえるの?

足立は、朝からテンションが上がっています。それもそのはず、今日は「日本一かわいいお天気お姉さん」「6:58の恋人」と呼ばれる人気急騰中の気象予報士、前原あかね(篠田麻里子)のアポがあるのです。庭野もあかねのフアンで、すっかり嬉しくなり、お茶出しを引き受けます。

ところが、マネージャーの津田順(和田正人)と現れたあかねは、禁煙のオフィスでいきなり煙草をふかし、ヤンキー言葉で啖呵を切るような傍若無人の振る舞いをします。しかも、実は津田と結婚しているというのです。
自分の出演するテレビ日本から徒歩10分以内の家を探せというあかねですが、足立と庭野はテレビで観るあかねと現実とのギャップにすっかり動揺して、ドギマギするばかりです。

話を終え会社を出たあかねですが、津田に電話をさせ、屋代課長に「あの二人が担当じゃ心許ない、家を買うことは重要なことなので、神経質になっている。担当を替えろ」と主張します。
屋代は「それではウチのNo.1の三軒家万智を担当にします」と、あっさりとそのクレームを受け入れ、担当を替えてしまいました。

でも、不動産営業は個人の成績やノルマが厳しい世界だと、このドラマでも何度も語られていますよね。現実の世界でも、顧客からのクレームで、こんなに簡単に担当替えが起こり得るものなのでしょうか?

担当は変えられます。不安や不満があれば、先方の上司に相談してみましょう

インターネットの不動産に関する相談コーナーなどでも
「不動産会社の担当が信頼できない、不満があるのだが、替えてもらえないものだろうか」
という悩みや質問は意外に多いものです。
でも答えは簡単。会社に希望を伝えれば、当然担当は替えてもらえます。

不動産会社の営業担当者の割り振りは、ドラマの様に来店予約を取った者が担当になる、と決められているわけではなく、

  • その時点で一番担当案件が少ない者
  • 来店時に在席した者
  • 購入希望地域の担当の者
  • 上長が権限で指名する者

など、各々の会社で千差万別のルールによって決められています。

しかし、それは各社の内部ルールですから、実際に購入を検討するお客様が、担当者に不安や不満があって替えてほしいと感じるならば、それは、はっきりと会社に伝えるのが正解です。

重要なことだからこそ、信頼できる人に依頼することが重要

あかねが言うように、家を買うことはまさしく重要なことですので、信頼に足る人を担当にしてもらいたい、というのは当たり前のことです。
その場合は、本人に言うのではなく、本人よりも立場が上の責任者に、そう思うようになってしまった事実とともに明確に伝えることが必要です。
それでも事態が改善しなければ、その不動産会社とはお付き合いを避けた方がいいでしょう

担当変更は、不動産会社側は真摯に受け止め対応すべき

もちろん、担当替えは、会社にとっても担当者にとっても屈辱的なことであるのは間違いありません。真摯に受け止め、その原因が何であるかを追究し、会社も担当者も改善していくことが必要です。

足立は、信頼に足ると思わせることのできなかった自分に不甲斐なさを感じて、新たな担当の万智に全面協力を誓います。
同じく庭野も全面協力を誓いますが、こちらは単に万智のことが好きなだけのようで、もう少し反省した方がいいような気もしますが…。

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探偵みたいな身上調査 不動産営業ってそこまでするの?

万智は新担当者として、津田に会いに行きます。
すると津田は、実は自分も気象予報士で、あかねはアシスタントとして働いていたが、結婚後はあかねの人気が上がり、自分は失業。
今は主夫として、マネージャーとして、あかねの身の回りの世話をしているだけで、彼女はもう自分を必要としていないのかもしれない、と語ります。
そんな話の途中で、津田にかかってきた電話の様子から、万智は津田に浮気相手がいるのではないかと疑います。

会社に戻った万智は、全面協力を申し出た足立と庭野に「オンナがいるはずだ!旦那を探れ!」と命じます。
「それは不動産屋の仕事ではないのでは」と異を唱えた庭野に、万智は「家を売るためです」と言い放ち、2人に津田を尾行させます。

不動産営業は、そこまでやらないといけないのでしょうか?

「本人確認」は契約時には義務化されています

不動産業者は、不動産の購入希望者に住所・氏名・年齢・職業などの他に、配偶者や子供の数、購入の動機などプライベートなことも確認します。
これは、できるだけお客様のライフスタイルや希望、収入に見合った物件を紹介するために行うものです。

また売買契約締結時には、犯罪収益移転防止法に基づき、宅地建物取引業者は売買当事者の本人特定事項(住所、氏名、生年月日)、取引を行う目的、職業を確認し、確認記録と取引記録を作成して、7年間保存しなければなりません。

でもさすがに探偵まがいのことはしません!

しかし、足立や庭野のように何日もお客様を尾行するなんてことはしません。
ましてや、万智のようにお客様のデート相手(浮気相手?)に話しかけ、勝手に帰してしまうような真似などできるわけがありません。
こんなことがバレたら、重大なプライバシーの侵害として訴えられてもおかしくありません。ですのでこれはもちろん、ドラマならではの出来事です。

「ひとつ屋根の下で一緒に暮らすなら、それは家族です」

万智に浮気をとがめられた津田は、たとえ男と女としては終わった関係であっても、あかねが一番大切な存在だと気づきます。
結婚していたことを週刊誌にすっぱ抜かれて荒れるあかねに、万智は天窓がある家を紹介します。
気象予報士としての初心を思い出した2人に「人間としてお互いを必要としている2人は離れることができません」という万智の言葉が沁み渡り、成約に至ります。

そして一方で屋代は、成約の報告にきた万智が発した「ひとつ屋根の下で一緒に暮らすなら、それは家族です」という言葉にヒントを得て、バブル時代の遺物として売れ残っていた5SLDKの家を、元妻の理恵(櫻井淳子)に売ることに成功します。

実は、屋代は理恵から、2度目の離婚で得た家を売却して新しい家を購入したい、そして2人でやり直したいと迫られていました。
しかし、屋代は復縁を断り、理恵と理恵の離婚仲間3人に5SLDKの家をシェアハウスとして、家族のように暮らしてみてはどうだと提案し、受け入れられたのです。

流石、屋代課長です。だてに課長はしていません。一石二鳥の提案でした。

シェアハウスの現実

「テラスハウス」という番組のおかげで、シェアハウスは、一躍住居形態のひとつとして市民権を得ました。

都心部の20代から30代の女性がほぼ7割を占めるというシェアハウスの需要層ですが、今後ますます需要は広がると予想されています。その要因として大きいのは経済的な理由です。
4LDKの家を4人でシェアすれば、1人当たりの家賃が周辺の1DKよりも安くなり、しかもランクの高い物件に住むことができることが往々にしてあるからです。地方の空き家対策としても有効だといわれています。

近年では、ゴルフやサバイバルゲーム、テニスなどの趣味を共通とする人向けのシェアハウスや、ドラマの様にバツイチで将来に不安を持つ女性向けのシェアハウスなど、共通項を持つ人向けのものも増加しています。
シェアハウスのニーズはどんどん上がってきており、現在では専門の不動産会社や運営会社も設立されています。屋代課長の目の付け所もまんざらではありませんね

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今回は、家を売ることよりも、あかねと津田、屋代と理恵、万智と足立と庭野、などの人間関係に重きを置いたドラマに仕上がっていたような気がします。
もっと硬派な万智を次回は観てみたいと期待しています。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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家売るドラマ解説

「家売るオンナ」【第7話】解説―なぜ実家の建物価値は0円となってしまうのか

日本テレビ系水曜夜10時のドラマ「家売るオンナ」。北川景子演じるテーコー不動産の営業チーフ三軒屋万智が、顧客の無理難題や家としての悪条件をものともせずに、家を売りまくる物語です。様々な手法を駆使し家を売ること「だけ」を目指し達成する、なのに、いつのまにか顧客や同僚の悩みまでも吹き飛ばしてしまう。そんな彼女の行動力と信念に、爽快感と感動を覚える視聴者も多いのではないでしょうか。

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そんな人気ドラマも7話目になりました。今回もドラマで描写される不動産営業について、本職の不動産業者からみたトピックスやエピソードをご紹介しましょう。

不動産屋の正念場は土日です!

屋代課長(仲村トオル)が営業で不在のため、代理で万智が朝礼を仕切っています。週末の顧客とのアポを確認すると、5件のアポを持つ足立(千葉雄大)以外は、皆3件以下しかアポがありません。万智は

「不動産屋の正念場は土日です。この土日に成果をあげられない者は、不動産屋ではありません。」

と、1件もアポを取れていないダメ社員の白州美加(イモトアヤコ)には3000枚のポスティングを、3件以下の者には顧客名簿を用いて電話をかけるように命じます。

土日のかき入れ時前の「気合い入れ」、不動産会社の朝礼ではよく見かける光景です。万智の指示も、極めて明快かつ具体的で、上司の指示はかくあるべきですね。でも土日もお仕事なんて、不動産会社も大変です。家族を顧みず仕事に邁進したあげくに家族に捨てられてしまった屋代課長の身の上もなんだか納得できるような気もしてきます。いったい、いつお休みを取っているのでしょう?

不動産会社の定休日が水曜日に多いのはなぜでしょう?

不動産会社の定休日は水曜日が多いです。今では、企業向けの土地や収益物件を主に扱う会社は、土日を定休日としているところも増えてきましたが、以前は水曜日を定休日としているところがほとんどでした。
では、なぜ水曜日が定休日の会社が多くなったのでしょう?

理由は、3つあるといわれています。1番目の理由は、業務サイクルの効率性です。サラリーマンの方など個人向けの物件のお客様は、土日がお休みの方が多いです。そのため、ご家族そろっての内覧や現地販売会、住宅展示場への来店や打ち合わせは、土日に集中することがどうしても多くなります。

また、万智の指示にもあるように、木曜日や金曜日は、その貴重な土日を無駄にしないためのアポ取りや宣伝活動といった準備に時間が割かれます。月曜日や火曜日は、土日の営業をフォローし、成果が上がるように、社内報告や承認作業、お客様へのフォローや契約、決済などが行われることになります。このように1週間の業務サイクルを考えると、水曜日を定休日とすることが、効率がよいといえます。

2番目の理由は、不動産仲介の仕事は、同業他社からの情報が極めて重要だからです。折角、お客様から引き合いがあっても、他社からの紹介物件の場合、問い合わせや内覧の手配をしようとしても、その物件を紹介してくれた会社がお休みで連絡がとれないのでは、どうすることもできません。そのため、同業他社の定休日に自社の定休日を合わせることが多くなり、水曜日に集約されたのです。

3番目の理由は、不動産業界が縁起を重んじる業界だからです。不動産の取引は、俗に「千三つ」、千の案件があっても3つ決まれば運が良いというほどで、なかなか成約に至ることは難しいものです。そのため、縁起やジンクスを気にする業界となったといわれています。「千三つ」には、別の意味もあって、千のうち三つしか本当のことを言わない、ようするに大ぼら吹き転じて「不動産屋」という意味も有ります。
昔の不動産営業は、本当にいい加減だったということですね(笑)。今はそんなことをしていたら、仕事になりませんので、全くそんなことはありませんのでご安心ください。

また「家を買う」「家を売る」といったことは、普通の人にとっては一生に一度あるかないかの大きな買い物です。少しでも幸福な取引となるように、契約や決済、引き渡しなどの日取りは、日の吉凶を定めた六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・関口)の中でも最もお日柄のよい「大安」を選ぶように配慮するのが常となっています。では、なぜ縁起を担ぐ業界が、水曜日を定休日とするのでしょう?

水曜日は、「水」という字が入っています。「水に流す」というのは、なかったことにする、という意味ですよね? 水曜日は、契約や取引を「水に流す」ことが多くなる、つまり商売がうまくいかなくなる、という理由で、水曜日を定休日としたということです。駄洒落のような話ですが、通説となっています。万智なら、「縁起は関係ない、私なら売れます!」とでもいうところでしょうか。

Illustration of calendar with a particular day of a week being differentiated and focused.

古い家の価値は0円?

美加の母親の貴美子(原日出子)が、父親の保(モロ師岡)と離婚して家を売りたい、とテーコー不動産を訪ねてきます。美加は家族の思い出の詰まった家は絶対に売りたくないと反対しますが、貴美子は聞き入れません。万智が対応することとなり、下見に行きます。

家は、貴美子が結婚する時に自分の名義で買った古い家です。万智は貴美子に「住宅の価値はほぼありません。解体して土地のみ5000万円でいかがでしょう」と提案します。貴美子は保と暮らした家などに未練はない、と言わんばかりに「いくらでもいいから早く売ってください」と同意します。

でも、自分の家を売ることを想像してみてください。高いお金を出して買った家、今現在もちゃんと住み続けている家、たくさんの思い出があって愛着もある家…。その価値が0円と言われたら、なんだか納得がいかない気がしませんか?

中古木造住宅の価値

一般に「築後20年を超えるような住宅の価値は評価されない」といわれています。これは住宅の査定方法が原価法という手法で行われるためです。

原価法での建物価額は

(再調達価額)-(減価額)

で表されます。
再調達価額とは、建物を改めて新築した時の推定価額です。減価額とは

(再調達価額)×(経過年数)÷(耐用年数)

で計算されます。今、仮に新築したとして想定される価格から、年数によって価値が減った分を差し引いたものが建物価額になる、という意味です。耐用年数と経過年数が同じになると建物価額は0になります。

実は、耐用年数は実際にその建物がどのくらい使用に耐えうるか、ということを厳密に計算したものではありません。木造住宅の場合、税法上の償却年数が22年であることを根拠に、20年か25年を便宜的に使用することが一般的です。ほとんどの金融機関の融資担保査定も、20年を耐用年数として採用しています。したがって、実質的に20年以上経過した中古住宅には建物価値がない、という評価になってしまいます。

国土交通省は、中古住宅の流通を促進するために、業界に対して原価法の査定価格に加え、痛みが多いか少ないか、修繕やリフォームをしているか、耐震性があるかどうかを価格査定に加算するように要請しています。しかし、そういったポイントが評価されて価額が上がることはないのが現実です。

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ドラマでは、美加が自宅の売却を万智に志願し、認められます。美加は「家が売られるのは仕方ないにしても、せめて解体だけは避けて思い出の残る家を残したい」と、初めて真剣になっているようです。しかし、興味を持って現地販売に来てくれた見込み客も、「家がなければいいんだけどな」と誰も買ってくれませんでした。

これは現実世界でも同様です。家を買う人にとっては、他人の思い入れがこもった特殊な仕様や間取りに価値などなく、決して魅力を感じることはありません。
また、高度成長期に建てられた家は、狭い家が多く、キッチンやお風呂、トイレなどの仕様も現代のライフスタイルに合わないことが多く、解体が選ばれる大きな理由となっています。

私のようになるな

解体の当日、美加は家に立てこもり、体を張って阻止しようするという驚きの行動に出ました。ここで万智はひとり、金づちで入り口を壊して乗り込み、美加と対峙します。床に正座し、背筋を伸ばした万智は「私は昔、ホームレスだった」と切り出し、高校生のときに家を失った悲壮きわまる過去を打ち明けます。「過去にとらわれ、家を売ることで心の穴を埋めようとしているが埋まらない。私のようになるな。自分を解放しろ」と、訴えます。

美加を説得するために自分の秘密も暴露した万智ですが、次回の展開がますます気になるところです。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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家売るドラマ解説

「家売るオンナ」【第6話】解説ー事故物件はどの程度値下がりするのか

テーコー不動産に勤める三軒屋万智(北川景子)が家を売りまくる痛快お仕事ドラマ「家売るオンナ」(日本テレビ系水曜ドラマ)。
ドラマも後半に差し掛かり、万智を取り巻く人間模様も徐々に変化を見せ始めています。
今回も、ドラマで描かれるさまざまな出来事にちなんだ不動産営業の現実をご紹介しましょう。

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エリート足立にヘッドハンティング 不動産業界の離職率は?

エリート社員の足立(千葉雄大)は、万智が現れてから営業成績が2位に転落してしまいました。足立の苛立ちが募る中、なんと万智が自分の顧客と契約したことを知り、とうとう万智に怒りをぶつけてしまいます。
そんな時、足立にヘッドハンターが誘いをかけてきました。

宮澤の愛人の家を紹介…足立の胸中は複雑

さらにその日、老舗和菓子店の社長である宮澤(東根作寿英)が足立を訪ねてきて、愛人の礼央奈(小野ゆり子)のためにマンションを購入したいと依頼します。
3年前に足立は、宮澤にマイホームを売っていました。その時のとても幸せそうな家族の姿を見て「不動産営業はお客様に幸せを運ぶ意義ある仕事」と思えるようになったのです。

それなのに、たった3年で「愛人に家を買いたい」という宮澤に割り切れない思いを抱く一方、その家を紹介する自分にも嫌気がさすなど、仕事に対する迷いが募ります。
誘いを受けたヘッドハンターを訪ねていく足立は転職してしまうのでしょうか?

離職率の高い不動産業界、その理由は?

不動産業界は、残念ながら離職率の高い業界のひとつです。足立に限らず多くの人が、自身の仕事に疑問を持ち、結果として離職してしまうのです。一説では入社2年以内の離職率は50%以上ともいわれています。
その原因はどこにあるのでしょう。

離職率が高い原因として、(1)収入(2)就業時間(3)やりがい の3点が考えられます。

まず、(1)収入について。
これは、給料が歩合制である会社が多く、収入が不安定なことが挙げられます。また、高いノルマが設定されているなど営業成績に対する管理が厳しいところは、精神的ストレスにもつながっています。

 

次に(2)就業時間の問題です。
会社の営業時間は決まっているものの、顧客の都合に合わせて、土日祝日や平日の夕方以降も動かなければならないことが多く、定時の出勤や退社というのは、なかなか困難な商売です。

 

(3)やりがいの問題も深刻です。
ドラマでも再三描かれていますが、不動産業界の営業マンはチームワークで育てられるというより、個々人が高い意識を持って自分で成長していくよう求められる傾向にあります。従って、契約できない営業マンは自己否定の気持ちが強くなり、仕事にやりがいや存在価値を見出せなくなってしまうのでしょう。また、小さな会社では、賃貸管理などの業務も営業マンが兼任する場合があり、家賃滞納への対応や隣人間のトラブル、クレーム処理に忙殺され、やる気を失うこともあります。

万智は「不動産屋の仕事は家を売ることです」と割り切っています。それは、確かに営業マンの大事な心得です。
しかし、それだけではなく「家を売ることでお客様だけでなく、従業員にも幸せを運ぶ意義ある仕事」であるべく、不動産業界を挙げて労働環境の改善や業界全体の地位向上に努める必要があると思います。

Young businessman is tired

事故物件って何? そんなに安くても売れないの?

万智は、都心の8SLDKの一軒家なのに、わずか1000万円という本社からの特命物件を担当します。
通常なら2億5000万円はする物件ですが、殺人事件があったため、遺族が安値でもいいから処分したいという、いわゆる事故物件。

万智は後輩社員の白州美加(イモトアヤコ)を連れて現地販売を実施しますが、内覧客に「不動産屋には、聞かれたら答える義務があります」と、事件について詳しく説明するものですから、客は怯えて逃げるように帰ってしまいます。
何もそれほど詳しく説明しなくても、知らないふりをして販売してしまうわけにはいかないのでしょうか?
また、事故物件はそこまで安くなるものなのでしょうか?

事故物件の心理的瑕疵には告知義務がある

事故物件には、心理的瑕疵物件と物理的瑕疵物件の2種類があり、ドラマのケースは心理的瑕疵物件にあたります。

心理的瑕疵とは、当事者の心理的要因によるものなので、はっきりとした定義はありませんが、例えば

  • 自殺や殺人事件があった物件
  • 近隣に暴力団事務所や葬儀場がある物件

などが該当します。

そしてこの心理的瑕疵は、宅地建物取引業法47条1項の「重要な事項」にあたるとして告知義務があるとされており、それに反した場合、損害賠償や解約の対象になることもあります。

とはいえ、万智のように事細かく現場を再現するかのごとく説明をするのは、少々やり過ぎのような気もしますね。あくまでテレビ的なデフォルメであり、現実にはあそこまでやることはありえません。

事故物件はどの程度値下がりするのか

事故物件は「その事実を知っていれば契約しなかったかもしれない物件」ですから、白州が言うように欲しい人はいないと考えられて、相場よりも安くなってしまいます。
しかし、あくまで「心理的要因」ですから、心理的に影響を受けないと考える人には安価で魅力的な物件ともいえます。要するに「世の中にはあまり気にしない人もいる」のです。

万智も、病院や葬儀社など死が身近な職業の人に対象をしぼり、見事に販売することができました。

現実でも、賃貸物件・売買物件ともに、相場の2~3割安、物件によっては半額程度で取引されることが多いようです。

また敷地が広い場合は、建物を取り壊し分筆して分譲宅地にするなど、形を変えたり、時間をあけたりして影響を少なくする方法を取ることもあります。

しかしさすがに、2億5000万円の一軒家が1000万円にまで下がるということは、実際にはあまり考えられません。

隣家の木が目障り、住人は普通の人なの?

秘かに万智を慕い始めた庭野(工藤阿須加)も、ついに一軒家を売ることができそうです。
ところが、客は隣家の庭の木が門の前にはみ出しているのが気になり、さらには「住人が普通の人だったら、買っても良い」と言い出します。庭野は調査することを約束しますが、不動産会社って、そこまでしてくれるものでしょうか?

周辺環境も調査、現状把握をする営業マン

実際に自分が住む家を買おうとする場合、やはり近隣の住民のことは気になりますよね。
現実には、中古住宅を販売する場合、不動産会社の営業マンは

  • 近隣住民間に良好なコミュニケーションがあるか
  • 町内会、マンションの管理組合や規約はどうなっているか

などを売主に聞き取り調査をして現状把握に努めるのが一般的です。

また現地販売や内覧会を行う際は、不動産会社が事前に近隣に挨拶回りなどをして、関係を良好に保つように気を配るほか、反社会的勢力の団体の事務所がないかなどまでを調査します

しかし、隣家に特段の事情がない場合、庭野のように「ご主人が、亡くなった奥様の服を着ている」、「素敵な人です」など住人のプライバシーや性格に触れるような発言をすることはありません…。

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余計なことを考えずに家を売れ!

宮澤の本妻の昌代(田中美奈子)に会社に怒鳴りこまれ、宮澤の愛人の礼央奈には自分の気持ちを考えていないと罵られた足立。一方、売ろうとしていた家の隣人に女装癖があるのかもしれないと動揺する庭野。
その2人に万智は「余計なことを考えるのは傲慢だ、家を売れ」と一喝し、その言葉に吹っ切れた2人は見事に成約を果たします。
さらに、一時は転職に傾きかけた足立は思いとどまり、ヘッドハンターに断りを入れます。万智の信条が徐々に浸透していくテーコー不動産に、次回も期待しています。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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家売るドラマ解説

「家売るオンナ」【第5話】にみる中古マンション購入の教訓(2)―独女のマンション購入が必然の時代に

2016年夏の日テレの人気ドラマ「家売るオンナ」。
深みを見せてきた5話目も、中古マンションの売買に関するウソとホントを、雑感とちょっとした裏話を交えてご紹介していきます。

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ポピュラーになりつつある独身女性のマンション購入

庭野(工藤阿須加)が担当した日向詩文(ともさかりえ)はフリーランスのジャーナリスト。職業柄か、勝気な性格の持ち主です。
一方、凄腕営業ウーマン三軒家万智(北川景子)が担当したのはポスティングチラシを見て問い合わせてきた草壁歩子(山田真歩)。出版社の校閲部で働く地味なOLです。

対照的な二人に共通するのは、独身女性=「女単」(女性単身客)ということ。

従来、住宅購入は「結婚してから買うもの」というイメージが根強くあり、独身女性の客は偏見を込めて「おひとりさま」などと言われていました。
しかし女性の働き方が大きく変化した結果、住宅への考え方も変化したのか、ここ10年で独身女性のマンション購入は増加しています。

「終の棲家」以外に資産としても活用する女性たち

従来のように一生住まう「終の棲家」としてというより、資産形成や老後の安心のためなどを考え、20代の若いうちに購入するケースも少なくありません。
また、一生独身を決めているわけでもなく、結婚すれば、しばらくはそのまま住んで資金を貯めて、出産など状況が変われば買い替えるか賃貸に出すなど、そのスタンスはフレキシブルです。

大手不動産会社各社では既に女性のマンション選びを応援する専用サイトを立ち上げています。
少し前まで、女性は収入が安定しないというイメージから、金融機関の審査が厳しくローンの借り入れは難しかったのですが、最近は専ら女性を対象としたローン商品も多数登場してきています。

また、全国的に未婚率は上昇しており、単身者世帯も増加傾向にあります。
不動産業界には「住宅購入といえばファミリー世帯」という先入観の払拭が求められています。

「結婚と家を買うことは関係ありません。
男女ともに、結婚しない人が増えているにも関わらず、独身者を結婚というゴールに向かう途中の中途半端な人間と決めつけることはおかしいです!」
「女性であろうと、独身であろうと、買う力がある人に家を売るのは当然です。
独身女性が家を買うことについての偏見は、改める方がまっとうです」

万智の言うこのセリフは、時代の変化をとらえた真実をついているといえます。

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会社によって異なるルール、契約優先・申し込み優先?

同じ出版社で働いていて顔見知り、そのうえ犬猿の仲の歩子と詩文。困ったことに2人とも同じ物件を気に入り、申し込みがダブルブッキングになってしまいました。

同じ物件に申し込みが重なった場合、対応は会社によって異なります。

申し込みの順番を優先する場合もありますし、申し込み自体には法的拘束力がないため本契約を交わした順番を優先するケースもあります。

一般の常識とは異なり驚かれるかもしれませんが、すでに申し込みのある物件に後から購入意思を示した人、すなわち「後出しじゃんけん」をした人に売ることも、法律上何ら問題はないのです。

しかし、たとえば以下のような条件で同時に申し込みがあったとします。
(A)現金支払いで即日決済可能な方
(B)頭金ゼロで諸経費込み全額ローン希望の自営業(フリーランス)の方

(B)の方はローン審査で時間がかかったり、審査が通りにくいという傾向があるのが現実。一方、(A)の方が確実に買えるお客様として、不動産会社は優遇する傾向があります。

「頭金がない」!?ウソ・ホント?頭金ゼロで家が買える?

万智は歩子を現地に案内する前に自己資金を確認し、暗算で資金計画を提案します。頭に叩き込まれているのでしょうか。まるでローン電卓ですね。
一方、庭野は資金内容を確認せずに詩文のために奔走しますが、手筈が整って改めて詩文に資金計画を確認すると、「貯金はなく、頭金なしで購入したい」と言うのです。

ここで庭野はすっかり焦ってしまいます。本来、不動産仲介会社では、銀行の事前審査をしてからでないと、購入の申し込みは受け付けません。

不動産購入には、物件の本体価格のほかに
・登記費用
・ローンの事務手数料
・火災保険料
と言った、いわゆる諸費用がかかります。
金融機関には本体価格のほか諸費用の分まで貸してくれる「諸費用ローン」といった商品も用意されており、融資の承認が下りれば頭金ゼロでも家の購入は可能です。

しかし、金融機関としては、借り入れ希望者に返済能力があるのかをみるため、貯金がなく、頭金ゼロまたはその割合が低い場合、審査はそれに応じて厳しくなります。

不動産会社や金融機関が一番気にする「属性」

金融機関は「勤務先の規模」「勤続年数」「年収」また「個人信用情報」などを根拠に、返済能力を有しているのかを審査します。

こういった個人の社会的・経済的な背景を「属性」といい、自営業やフリーランスの場合は収入が不安定とみなされやすいため「属性が低い」と言われ、審査が厳しくなる可能性が高くなります。
自己資金がなく、ローンの審査が下りなければ物件を購入することはできないため、不動産会社は「属性」を気にするのです。

また、他にも
・カードローンや消費者金融の借り入れがある
・キャッシングで延滞の経験がある
こういった人は、「個人信用情報」にその記録が残っていることがあるため注意が必要です。

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庭野の売り上げ(仲介手数料)は228万円

すっかり売れたつもりになった庭野は、デスクの室田まどか(新木優子)に売り上げを聞かれると「228万円です!」ときっぱりと答えます。では、実際に仲介手数料を計算してみましょう。

キャビネットコート永田町 208号室 3,600万円
(同じ間取りで万智が日向に売った708号室は4,100万円で500万円の価格差)

 

仲介手数料は3,600万円の3%+6万円で114万円

今回、庭野は208号室の売却を考えているオーナーから物件を預かり、その物件を歩子に仲介したため、テーコー不動産の売り上げは両手仲介となります。
つまり、歩子と元オーナーの両方から同額を受領します。

ですので、114万円×2=228万円

 

よって、テーコー不動産の売り上げは228万円となります。

現実には仲介手数料はずっと安い場合も

ドラマの中ではこうなっていますが、現実世界では最近、仲介手数料を半額もしくは全額無料にすることでお得感を出して、不動産会社間の厳しい競争の中で、差別化を図っている会社もあります。

仮に、歩子が仲介を依頼したのがテーコー不動産ではなく、こうした仲介手数料割引の会社だった場合、支払う仲介手数料には下記のような差が生じます。

【テーコー不動産】114万円 → 【半額】57万円  → あるいは無料

※上記の表記は税抜きとなり、テーコー不動産が課税事業者である場合、別途消費税分を徴収します。

堅実な歩子なら、仲介手数料半額・もしくは無料の仲介業者に話を持ちかけられたら、そちらの物件を検討してしまうかもしれませんね。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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