エージェントブログ
AGENT BLOG
公開日:2024年7月17日  鈴木 朋子

不動産売買にはつきものの「契約不適合責任」。買主が売主に行使できる5つの方法とは

こんにちは。不動産流通システム、REDSエージェント、宅建士の鈴木朋子です。

「不動産売買契約書」には、「契約不適合による修補請求等」の条項があります。こちらについて説明します。

契約不適合責任

契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは債務不履行責任のひとつであり、売却不動産の種類・品質・数量などが契約内容と合っていなかった場合に、買主に対して売主が負う責任のことです。

2020年4月1日に改正民法が施行され、それまで「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものに代わって登場したのが「契約不適合責任」です。

不動産の売主や業務などを請け負う人は、不動産売買契約や請負契約の内容に合ったものを、買主など注文をした人に引き渡す義務を負っています。

契約不適合責任により、これらの契約において売主や請負人が相手側に引き渡したものが、その種類や品質、数や量について「契約内容に適合していない」と判断された場合(いわゆる債務不履行になった場合)売主や請負人は相手に対して責任を負わなくてはいけなくなります。

よくあるのが、シロアリの食害により基礎が腐朽している住宅を気付かずにそのまま売却してしまうパターンです。瑕疵として買主へ通知することなく契約を締結し、買主が入居後に気付いた場合、契約不適合であるとして売主の責任を問われるリスクがあります。他にも、付帯する設備の故障、配管の経年劣化による漏水・水道トラブルなども契約不適合責任を問われやすい箇所です。

不動産を売買する時に、売り物として問題ないかは、売主・買主双方にとって重要な問題です。不動産に何らかの瑕疵が発覚した際、責任の所在を明白にするために存在するのが契約不適合責任です。

あまりなじみのない言葉かもしれませんが、不動産を売買するにあたって売主買主ともに契約不適合責任の理解をしておくことは大切です。売主は瑕疵の内容についても契約書に明記する必要があります。例えば、雨漏りのある物件であれば、売買契約書にその事実を記載しておくことで、契約不適合責任を回避できます。

中古戸建て・土地・中古マンションの場合

契約不適合についての規定は以下のように書かれています。

  (契約不適合による修補請求等)

1 売主は、買主に対し、引き渡された土地及び建物が品質に関して契約の内容に適合しないもの(以下「契約不適合」という。)であるときは、引渡完了日から3か月以内に通知を受けたものに限り、契約不適合責任を負う。

2 売主が負う前項の契約不適合責任の内容は、修補に限るものとし、買主は、売主に対し、前項の契約不適合について、修補の請求以外に、本契約の無効、解除、売買代金の減額または損害賠償の請求をすることはできないものとする。また、売主は、買主に不相当な負担を課すものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による修補をすることができる。

引渡し完了から3か月以内の通知が必要

売主は、買主に対し、引き渡された土地および建物が品質に関して契約の内容に適合しないもの(契約不適合)であるときは、引渡完了日から3か月以内に通知を受けたものにかぎり、契約不適合責任を負います。ただし、建物については次の場合のみ責任を負います。

  1. 雨水の浸入を防止する部分の雨漏り
  2. 建物の構造耐力上主要な部分の腐食
  3. シロアリの害
  4. 給排水管(敷地内埋設給排水管を含みます)・排水桝の故障

売主が、買主に対し負う前項の契約不適合責任の内容は、修補に限るものとし、買主は、売主に対し、前項の契約不適合について、修補の請求以外に、本契約の無効の主張、本契約の解除、売買代金の減額請求および損害賠償の請求をすることはできません。

ただし、前項の土地の契約不適合により本契約を締結した目的が達せられないときは、買主は、売主に対し、本契約を解除することができます。

買主は、売主に対し、本物件について第1項の契約不適合を発見したとき、すみやかに通知して、修補に急を要する場合を除いて立ち会う機会を与えなければなりません。

売主は、買主に対し、本契約締結時に第1項の契約不適合を知らなくても、本条の責任を負いますが、買主が本契約締結時に第1項の契約不適合を知っていたときは、売主は本条の責任を負いません。

契約不適合責任に追加された2つの権利

契約不適合責任では、履行の追完請求権と代金の減額請求権が新たに追加されました。履行の追完とは、契約と合っていない箇所に対して、契約内容と適合するよう履行を求める権利を指します。

買主は不動産の瑕疵を発見してから、まず売主に対して履行の追完を催告し、追完されない場合に代金減額請求をおこなえるようになります。

買主が請求できる5つの請求方法

売買契約の目的物(不動産)に欠陥がある場合、買主が売主に対して行使できる方法は5つあります。

  1. 追完請求
  2. 代金減額請求
  3. 催告解除
  4. 無催告解除
  5. 損害賠償請求

それぞれ解説します。

1.追完請求

追完請求は「直してください」という請求です。

買主は売主に対して、契約内容に適合するように、目的物の修補請求(売主による建物や設備の修繕)が可能です。それ以外に、代替物の引き渡し請求や不足分の引き渡し請求の権利があり、原則として買主がどの追完請求権を行使するかを自由に選べます。

しかし、買主が自由に選べた場合、売主が大きな負担を強いられ、厳しい状況に立たされるケースが多くなります。したがって実際のケースでは、給排水管の故障や屋根の雨漏りなど建物や設備の修補対応を売主が選択し、追完することも認められています。

2.代金減額請求

代金減額請求とは、名前のとおり、売買価格を減額する請求です。

買主が売主に対して、相当な期間を定めて追完請求の催告を行ったものの、期間内に売主が履行の追完をおこなわなかった場合に、代金減額請求が認められます。基本的には追完請求をしたのちに請求できる権利ですが、追完できないことが明らかであれば、即時に代金減額請求することも可能です。

3.催告解除

催告解除とは、追完請求をしたにもかかわらず、売主が応じない場合に買主が催告(相手側に対し一定行為を請求すること)して契約解除をすることです。

買主が売主に対して、相当な期間を定めて追完請求を催告したものの、期間内に売主が履行の追完を行わなかった場合に、契約を解除することも可能です。ただし、売主の債務不履行が社会通念上軽微であるとされた場合、解除は認められないことがあります。

4.無催告解除

無催告解除とは、追完請求をしたにもかかわらず、売主が応じない場合に買主が催告することなく契約解除をすることです。

契約不適合の内容によっては、買主が契約の目的を達成できないことがあります。その場合、買主は催告せずに契約解除できる無催告解除の権利が認められます。また、売主が債務のすべてを履行できない場合や、履行することを明確に拒否している場合などでも、催告せずに契約解除することが可能です。

5.損害賠償

契約不適合責任では、売主が故意に隠した不具合や、売主の過失で生じた損害でない限り、買主は損害賠償請求をすることができません。

契約不適合によって買主に損害が生じた際に、他の請求権と併用して損害賠償を請求できます。たとえば、雨漏りによって家財が腐ってしまったケースの場合、雨漏りを修繕するよう履行の追完を請求したうえで、家財や設備の腐食などに対する損害賠償を請求できる可能性があります。

免責特約は売主と買主双方の同意があれば有効

契約不適合責任がしばしば発生する不動産売買では、住宅の設備を契約不適合責任の対象外とする(免責する)ことを契約書に書いておくことも大切です。

なぜなら、中古住宅は住宅設備に何らかの故障や不具合があることが一般的であり、設備まで厳密に契約不適合責任を適用させてしまうと取引自体がスムーズにいかなくなることが想定されるからです。

中でも水道設備・衛生・換気・冷暖房・電気配線・照明などの設備は築年数とともに劣化していることが多くなります。

そのほか屋根の雨漏りや断熱材の劣化、事故などの心理的瑕疵の告知の有無などもよくトラブルの要因になります。

売主と買主、双方の同意があれば、責任を免除する特約(免責特約)は有効になりますが、免責特約を記載した契約書を交わしてしまうと、無効にできなくなるため、買主は特に注意が必要です。

購入する側は、特約の内容や免責事項に関して容認できるかを判断したうえで、契約をおこなうことが大切です。

売主様側にも買主様側にも損失が出ないように取引をすすめたいと思います。

 

この記事を執筆した
エージェントプロフィール

4.8

39

鈴木 朋子
(宅建士・リフォームスタイリスト)

お客様に寄り添い精一杯頑張ります。

4.8

39

嬉しい口コミも
多数いただいております

  • 40代男性(マンション売却)
    こちらでマンションの売却をいたしました。
    比較した大手の不動産屋よりも専門知識が豊富に感じ、なおかつ仲介手数料も安かったのでこちらにお願いしました。
    結果、売り出し価格で1回の内覧で決まり、満足しています。
    無駄な勧誘が一切なかったのもおすすめできます。
  • 50代女性(マンション購入)
    マンション購入にてお世話になりました。
    担当の鈴木朋子さんには、本当に親切にしていただき感謝しかないです。 いつも私たちの目線になり、分かりやすいアドバイスをしてくださりました!子供への気遣いも嬉しかったです。 何より、鈴木さんの表裏のない感じが私も夫も大好きです。(笑)
    不動産購入で後悔したくない方、安心して物件探しや手続きを進めたい方にはぜひお勧めしたいです! お世話になり、本当にありがとうございました。
  • 40代男性(中古マンション購入)
    中古マンション購入にあたり、いくつかの不動産仲介会社にあたってたところ不動産流通システムさんに辿り着きました。他の仲介会社さんは営業の電話が激しく、仕事の障害になる程でうんざりしておりましたが、不動産流通システムにて担当頂いた成田さんは、押し売りする様なことは一切無く安心して物件を探せました。

    女性ならではの細かい気配りと単刀直入に物件の懸念点をプロの目からアドバイス頂き、納得のいく物件選びができました。会社名が大手の不動産仲介会社ほど知れ渡ってはおりませんが、ネットでの口コミで良いサービスが良いものとして伝わり、より多くの消費者が良いサービスが受けれる様になればと思い書き込ませて頂きました。
    大手の名前だけに騙されて無駄な手数料払うのは、勿体ないですよ。
    不動産流通システムさんで物件を売り買いするのに、大手に引けを取らないサービスをより安価に受けれますので
  • 40代女性(住み替え:購入・売却)
    不動産の売却・購入の両方お世話になりました。
    以前中古マンションを購入する際は、不動産ポータルサイトに掲載している不動産会社に問い合わせをしないと内覧ができなかったことが何度かあり、大手不動産会社に任せると、売却の際幅広く宣伝活動がされないのではないかという不安がありました。
    そこで、「囲い込みはせず、他社にドンドン広告掲載してもらい幅広い媒体で宣伝してもらう」「LINEからの問い合わせも可能」「仲介手数料が安い」の3点に惹かれ、お任せしました。
    担当の鈴木さんの明るく、お茶目な人柄も好きだったので、購入売却にかかる庶務も憂うつにならずに対応できました。 いつも家族のことや、部屋についてもポジティブなことを言ってくれるので安心してお任せしました。
    最寄駅にはないので、いつでも会って相談するというのむずかしいかもしれませんが、心配なことはメールや電話ですぐに対応してくれるので、私達には十分満足できました。
    結果としては売却も1ヶ月で売出価格で決まり、購入時のローンも紹介していただき、購入・住み替えもスムーズに決まりました。また住み替えの際にはぜひお願いしたいです。
  • 50代男性(マンション売却)
    マンション売却で、担当していただいた津司さんには本当にお世話になりました。
    次に住む所の相談と住んでいるマンションの売却を同時進行で行いましたが、分かりやすい説明と進め方の提示が手際良く、安心してお任せする事が出来ました。
    ネットで何でも調べられる時代ですが相手が何を考え、何を優先するかは会話の中でこそ分かると思います。プロフェッショナルを感じました
  • 30代女性(マンション購入)
    とにかくレスが早い。
    専門知識も豊富で、説明が分かりやすいです。
    担当してくれた方は非常に業界に通じており、ホスピタリティーに溢れていてかなり信用できます。 他社と比べて手数料もとても安いのでオススメの会社です。
  • 60代男性(戸建て購入)
    酒井智様にご担当して頂きました!細かい相談も小さな不安も毎回本当に迅速に対応して頂き、無事マイホームを購入できました!
    酒井さんは大変親切な方でREDSを選んで本当に良かったです。
    仲介手数料も無料で!今物件等お探しで検討してる方は絶対REDの酒井さんに相談してみてください!
※Google口コミより他の口コミを見る

一生に一度あるかの家の購入・売却…

相談したいけど、まだ買うか売るか決まっていない...

いきなり不動産屋さんへ相談に行くのはハードルが高い...

そんな方へ!LINEから気軽に相談でき、宅建士のプロが対応します。

宅建士が対応! LINEでご相談

LINEで気軽に相談したい方へ!