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  • 公開日:2025年2月25日

「10年超所有軽減税率の特例」を徹底解説!マイホーム売却時に税率を抑える方法とは?

現在住んでいる自宅を売却する場合、事前に考えておきたいのが売却後の「税金」です。不動産を売った際の所得に対して所得税と住民税が課税されますが、「所有期間に応じて」税率が定められています。長期間所有した自宅を売却する場合は税率がかなり低く設定されています。長期的に一つの住宅に居住することで地域社会へ貢献し、社会的な安定に寄与する等々の理由から、住宅を長期的に保有することは税制面で優遇されているのです。今回は10年超自宅を所有した場合の軽減税率の特例について、そのメリットや適用条件、実際の手続や注意点について詳しく解説します。
 

(写真はイメージです)

「10年超所有軽減税率の特例」とは?

「10年超所有軽減税率の特例」とは、住んでいた住宅(家屋と敷地)を売却する際に、その住宅を10年以上所有していれば、譲渡所得税の税率が軽減されるという制度です。
 
譲渡所得に対する税率(所得税と復興特別所得税、住民税の合計)は以下の通りです。
 
  所有期間 税率
短期譲渡所得 5年以下 39.63%
長期譲渡所得 5年超 20.315%
 
これに対して「10年超所有軽減税率の特例」を使うことにより、課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21%に軽減されます(課税所得6,000万円超の部分は20.315%で長期譲渡所得と同じです)。10年超という長期間所有した住宅については、特別に大きく税率を下げているのです。

軽減税率が適用される条件

この特例が適用されるためには以下の条件を満たす必要があります。
 
  1.  現在住んでいる住宅(家屋と敷地)の売却であること。
  2. 過去に住んでいた住宅については、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却すること。
  3. 売却した年の1月1日現在で住宅の所有期間が10年以上あること。
  4. 親子や夫婦など特別な関係にある者への売却ではないこと。
  5. 家屋に住まなくなって解体した場合は、解体日から1年以内に譲渡契約を締結し、かつ、空き家になって3年後の12月31日までに売却すること。
  6. 家屋を解体して更地にした場合、譲渡契約の締結日まで賃貸業などの用途に使っていないこと。
  7. 3,000万円の特別控除以外の特例を使っていないこと。
  8. 過去3年間(売った年の前年および前々年)にこの特例を使っていないこと。
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住宅ローンの支払いを滞納すると、最終的には競売にかけられて立ち退きを求められてしまいます。これを回避するための救済策として「任意売却」という手段があります。任意売却とはいったいどのようなものなのか、プロが解説します。

10年超所有軽減税率と併用できる特例とは?

一定の条件を満たしている自宅の売却における譲渡所得には「3,000万円の特別控除」の特例が認められていますが、この特例と10年超所有軽減税率は併用することができます。このため、例えば課税譲渡所得が4,000万円の場合、3,000万円の特別控除後の課税所得1,000万円に対して、14.21%の税率で課税されることになり、非常に大きい節税効果が見込めます。
 
一方で、「住宅ローン控除」「特定の居住用財産の買換え特例」などの他の特例は、この特例と併用することはできません。そのため、利用にあたってはどの制度の適用を受けた場合に最も節税効果が大きくなる、綿密にシミュレーションする必要があります。
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通常の税率との比較

具体的にどのくらい税金が変わってくるのか、1,000万円で購入した自宅を5,000万円で売却し、売却時に経費が156万円かかったケースでの計算例を紹介します。(実際は取得費に購入時諸経費を加え建物の減価償却費を差し引いて計算しますが、分かりやすくするため省略します)。なお、10年超所有の軽減税率と3,000万円控除は適用条件が重なる部分が多く、多くの場合で併用できます。そのため課税所得は3,000万円控除を適用した後の数字で示しています。
 
例)取得費1,000万円の自宅を5,000万円で売却した場合(売却時経費156万円)
 
譲渡所得の計算式は以下の通りです。
 

譲渡所得=売却価格―取得費―売却時の経費

 
今回の例に当てはめると、以下のようになります。
 
譲渡所得=5,000万円-1,000万円-156万円=3,844万円
 
続けて、譲渡所得から3000万円の特別控除を引いて、課税所得を計算します。
 
課税所得=3,844万円-3,000万円=844万円 
 
以上のような計算で、3,000万円の特別控除適用後の課税所得は844万円となります。
 
計算結果の課税所得844万円に対する、所有期間別の税額は以下のようになります。
 
所有期間 税額
5年以下の場合 844万円×39.63%=3,344,700円
5年超~10年以下の場合 844万円×20.315%=1,714,500円
10年超の場合 844万円×14.21%=1,199,300円
 
所有期間に応じて税額が大きく異なり、10年超の場合は約120万円と、5年以下の330万円強の場合と比べて200万円以上も節税になることがお分かりいただけると思います。
 
所有期間が10年超でも、3,000万円控除も10年超所有軽減税率の特例も使わなかった場合は、
 
課税所得=3,844万円×20.315%=7,809,000円
 
となり、800万円弱の税金がかかります。特例を使った場合と比較して約660万円も税金が高くなり、元々の税金に比べて6.5倍以上の税金となってしまいます。

注意点と適用できないケース

この特例の利用にあたって注意したい点がいくつかあります。
 
まず、「土地の所有期間が10年超であっても、家屋の所有期間が10年以下の場合」はこの特例は受けられません。家屋も土地もどちらも10年超所有していないとこの特例は利用できません。
 
また家屋と土地の所有者は原則として同一人のものである必要があります(親族名義など別人の場合であっても生計を一にしているなどの要件を満たせば例外的に利用できる場合があります)。
 
さらに、所有期間の「10年超」とは「売却した年の1月1日現在」で判定します。例えば2024年に売却した場合は、2024年1月1日時点で所有期間が10年超でなければなりません。そのため2013年12月31日以前に取得した住宅がこの特例の対象となります。
 
利用できると思っていた特例が利用できなかった、という事態を避けるために、利用を検討する際は事前に税理士などの専門家に相談しましょう。

特例を活用するための申請方法

10年超所有軽減税率の特例の適用を受けるためには、マイホームを売却した翌年の確定申告期間中に確定申告を行う必要があります。
 
確定申告の際に必要な書類は以下の通りです。
 
① 譲渡所得の内訳書(計算明細書)
② 住民票の除票の写しや戸籍の附票の写し
③ 売却した土地・建物の登記事項証明書
 
①と②は3,000万円控除の添付書類と同じです。その他、確定申告においては申告書にマイナンバーを記載し、本人確認書類の提示または写しが必要になります。

まとめ:10年超所有軽減税率の特例を活用するポイント

これまで説明してきた通り、10年超所有軽減税率の特例は大きな節税効果を得られる制度です。自宅の売却を検討する際に、利用できるチャンスがある場合は是非とも利用を検討されることをお勧めします。所有期間の考え方や各種の条件など、利用にあたっては細心の注意を払い、思いがけず税務署に利用を否認されることのないよう、早い段階からご自身の状況に合わせて税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
 

この記事を執筆した
エージェントプロフィール

4.9

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渡部 親三(宅建士・リフォームスタイリスト)

安心と信頼を御提供できるよう努めさせていただきます。

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この記事の監修者

松石 滋樹(公認会計士・税理士)

東京大学経済学部卒業後、新日本監査法人にて上場企業や外資系不動産SPCの監査を担当。現在は事務所代表として、中小企業の会計・税務支援や個人事業主の事業計画立案に携わっている。
松石滋樹公認会計士税理士事務所

東京大学経済学部卒業後、新日本監査法人にて上場企業や外資系不動産SPCの監査を担当。現在は事務所代表として、中小企業の会計・税務支援や個人事業主の事業計画立案に携わっている。
松石滋樹公認会計士税理士事務所

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