「任意売却」という不動産の売却方法をご存じでしょうか。住宅ローンは返済期間が長期にわたるため、期間中に離婚や病気、リストラや収入減などさまざまな要因で住宅ローンが支払えなくなってしまう可能性があります。そんなとき、住宅の売却をしたいけれども、残債があると売れないのではと心配する人もいるでしょう。そんな不安を解決するひとつの方法が「任意売却」なのです。

 

住宅ローン滞納で競売せずに済む任意売却とは?

 

住宅ローンが払えなくなってしまった! これからどうなるの?

 

もし住宅ローンを滞納してしまい、今後も支払いができなくなったらどうなるのでしょうか。おおよその時系列に沿って説明します。

 

・滞納1~2カ月まで
銀行から督促状や電話連絡が来ます。保証人がいる場合は保証人への支払い請求がいきます。この時期に住宅ローンの滞納分とその延滞利息を支払うことができれば、その後においても大きな影響はありません。

 

・滞納3カ月
多くの金融機関は、3カ月目(3回目)の支払い滞納から、個人信用情報に登録します。俗に言う「ブラックリスト」というものです。ブラックリストに載ってしまうと、今回の住宅ローンがうまく片付いたとしても、一定期間は住宅ローンや車を購入する際の大きな借り入れや新規クレジットカードの作成などが難しくなります。

 

・滞納4~5カ月
この時期に「期限の利益」が喪失され、住宅ローンの一括弁済の請求をされます。つまり、貸したお金を一括で返してくださいね、ということです。ただ、それは無理なことではないでしょうか。

 

・滞納6~7カ月
この段階で、保証会社による代位弁済により保証会社に債権が移行されます。つまり、保証会社が銀行へ住宅ローンの残債を肩代わりするのです。そのかわり、滞納者は保証会社に借金を支払うことになります。

 

皆様も住宅ローンを組んだときに銀行から保証会社を指定され、保証料を一括で支払ったり金利に上乗せしてもらったりなどして保証委託契約を結んだと思います。それは住宅ローンの支払いができなくなった際に代位弁済を受けるための銀行側の保険になるのです。

 

債権が移行すると、同じ銀行内の債権回収部署や、債権回収会社(サービサー)に残債の回収の業務が移管されます。そして、競売開始決定通知が債権者の申立により裁判所から届きます。これにより差押の登記が入ります。

 

・滞納8カ月目以降
この段階になると不動産競売の手続きが淡々と進み、住宅の現状調査結果が公開され、売却の基準額が決まります。その後は入札の日程が決まり、競売の情報がインターネットや新聞、競売情報誌などで流れて、入札日を迎えます。入札があり買受人が確定し、代金の納付が済むと買受人から立ち退き要求がきますので、明け渡しをしなくてはなりません。無視して居住してしまうと不法占拠しているとして立ち退きの強制執行をされてしまいます。

 

以上が住宅ローンの支払いを滞納してしまった場合の流れになります。こうならないように、滞納者の救済手段として存在しているのが「任意売却」です。

 

任意売却とは

 

競売を回避するためには、ローン残債よりも高値で自宅を売却するか、売却価格が残債を下回ったら不足分は別の手段で調達しなければなりません。しかし、いずれもなかなか難しいのが現実。そこで、専門の不動産コンサルタントが債権者(金融機関)と債務者(滞納者)の間に入って調整を行い、債権者の合意を得て、不動産売買価格がローン残高を下回っていても売却できるようにすること、これが任意売却です。

 

ただ、その交渉はいつでもできるわけではありません。時期的には滞納6~7カ月目、保証会社による代位弁済が済み、債権の管理が債権回収会社や債権回収の部署に移行した段階です。そして競売の入札日までに住宅を売却し引き渡すことが条件となります。

 

任意売却の最大のポイントは、金融機関が算定する売却価格が一般的に競売の基準額よりは高くなるために、債権者からしてみると少しでも多く債権を回収できることです。一方の債務者にとっても少しでも多く残債を減らせるので助かるというわけです。また、売却後の引越しの時期についても、契約自体は普通の不動産売買なので買主の許可があればコントロールが効きます。

 

競売だと裁判所が介入する強制的な手続きのため、立ち退き要求が来た段階で問答無用で追い出されてしまいます。これに対し任意売却は債務者自らの判断(任意)で行える手続きです。ただ、これをやらないで滞納が続けば、競売に移行してしまいますので注意が必要です。

 

任意売却のメリットとデメリット

 

任意売却のメリットとしては、先述したとおり、競売に比べて高く売れることや、引っ越しのタイミングを調整できることですが、ほかにもあります。最後に売却されたお金の中から不動産仲介手数料や登記費用など諸経費が徴収されますから、手持ちの現金を用意する必要がないこともひとつでしょう。退去時の引越し費用も諸経費として認めてくれる金融機関もあります。

 

デメリットとしては、残債に対する滞納遅延損害金がかかることが挙げられます。もし金融機関が協力をしてくれて任意売却期間をもらったけれども、任意売却がうまくいかず競売になってしまった場合には、その期間分も遅延損害金がかかってきますので支払うべき金額が増えてしまいます。

 

また、滞納履歴が個人信用情報に記載されることからは逃れられません。

 

任意売却後の残債、諸費用について

 

任意売却後の残債は、債権回収会社(サービサー)に対して支払います。サービサーと聞くと怪しいイメージが先行してしまいますが、法務大臣の許可を得ていること、設立要件も資本金5億円以上、取締役に常勤の弁護士が1名以上いることなど非常に厳しい要件を課せられているので、反社会的勢力との関係を心配する必要はありません。

 

そのサービサーが債権を安く買い取ることで残債を圧縮し、少なくなった残債を一括または分割で支払っていきます。支払い方法や金額についてもサービサーと相談して決めることができますので、無理なく返済していけるようになるのです。

 

任意売却に伴う費用としては、不動産売買の仲介手数料、抵当権の抹消費用、銀行への一括返済の手数料、残債に対する遅延損害金などがあります。これらは任意売却が済んだ際に売却した金額から振り分けされるので、あまり心配をする必要はありません。

 

ただ、住宅ローンを払えなくなったと同時に、固定資産税や管理費・修繕費などを滞納してしまった場合はご注意ください。このような場合、登記簿謄本にその事実が載ってしまいますので、そもそも物件を売却することができなくなってしまいます。

 

税金は仮に自己破産しても消えることはなく、必ず支払わなくてはなりません。税金は必ず支払うようにして差押がつかないようにしましょう。マンションの管理・修繕費も滞納したままでも売却できないことはありませんが、それらの滞納をなくした上で引き渡すのが一般的です。これらはローンの返済額に比べて少額ですので、任意売却前に整理しておきましょう。

 

大友 貴史(不動産コンサルタント)

マンション販売、用地仕入れ、大手ハウスメーカーと都合15年、500件以上の不動産売買・建築請負に携わる。それらの経験を生かし、現在は住宅ローン問題、不動産投資トラブル、建築トラブルのコンサルタントを行う。

 

 

●ご存じですか? 不動産売買の仲介手数料は半額以下になることを

東証一部上場企業グループの不動産流通システム(REDS)は、不動産売買の仲介手数料を半額から最大無料としつつも、お客様からの満足度の高いサービスを実現しています。

広告宣伝費などのコストを徹底的にカットしつつ、資質と経験を兼ね備えたベテランスタッフの運営でサービスの質は高め、お客様に利益を還元しています。

業界の常識を覆すREDSの新たなビジネスモデルは、「ワールドビジネスサテライト」「とくダネ!」などのテレビ番組をはじめ、各メディアでも紹介されています。    平日・土日祝日も営業中(10:00-19:00)です。お気軽にお問い合わせください。フリーダイヤルはこちら0800-100-6633


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る