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『正直不動産』ドラマ第6話最速レビュー~売建住宅、完成までの裏側

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公開日:2022年5月10日

ある日突然、うそがつけなくなってしまった不動産仲介会社の営業マンが、独特の商慣習で動く不動産業界で奮闘する姿を描いたNHKドラマ『正直不動産』。第6話が2022年5月10日(火)夜10時に放映されました。

〝うそをもいとわない〟セールストークで売上ナンバーワンの地位を維持する不動産営業マンの永瀬財地(演・山下智久)が〝うそがつけない〟営業マンになった今、どのように家を売っていくのか。話題のドラマ第6話のレビューをどのメディアよりも早くお届けします。

今回、永瀬は大型案件を処理するために売上ナンバーワンの桐山貴久(演:市原隼人)とタッグを組まされることになりました。もともとそりが合わないふたり。さらに桐山は、前回のラストで登坂不動産にさまざまな攻撃をしかけてくるミネルヴァ不動産の社長、鵤聖人(演:高橋克典)と密会し、スパイ疑惑がかかっています。小競り合いだけではすまない、ドキドキの展開が予想されますが、その結末は――。

※REDSは原作漫画『正直不動産』(小学館ビッグコミック連載中)のシナリオ作成に協力し、ドラマ化の際も代表の深谷十三が不動産考証にかかわったほか、REDSエージェントが取材協力をしています。REDS「不動産のリアル」編集部では、どのメディアよりも早く、ドラマの内容紹介のほか、作中で登場した不動産業界の商慣習、不動産売買を考えている方が知っておきたいポイントをプチ解説します。

(不動産のリアル編集部)

(写真はイメージです)

「建築条件付き土地」(売り建て)の実態

登坂不動産の社長、登坂寿郎(演:草刈正雄)の前に並ぶ永瀬と桐山。ふたりは社長から共同で案件を担当するよう命じられます。その案件とは、「竹鶴工務店」が売主となり、343.5㎡の土地を2億8,080万円で売り、ここに6棟の住宅を建てる、というもの。いわゆる「建築条件付き土地」と呼ばれる物件です。

永瀬はしぶしぶ「じゃ、桐山、まずは昼飯食いつつ作戦練るか」と持ちかけますが、桐山は「オレ、昼飯は一人で食う主義なんで」とにべもなし。「書類見れば、一目瞭然」という桐山に対し「現場を見てから判断する」と譲らない永瀬。前途多難な様子です。

「建築条件付き土地」について少し詳しく説明しましょう。文字どおり「条件」のある土地のことで、その条件とは「この土地に家を建てる場合、一定の期間内に特定の施工会社に依頼すること」が購入条件になります。完成済みの新築戸建てを土地ごと売ることを「建売住宅」というのに対し、これは「売建住宅」といわれています。

売建住宅は、更地の土地にイチから家を建てるわけですから、家の間取りや形状、カラーリングなどには自分の好みが徹底的に反映できそうです。月下咲良(演:福原遥)も「建て売りと違って、間取りとか設備とか、カラーのセレクトも自分でできるから、理想の家を建てられる」といいますが、永瀬はあまりいい顔をしません。

売建住宅は、フルオーダーの注文住宅とは異なり、一から十まで買主の要求どおりになるわけではないようです。後のシーンで「バルコニーを広くしたい」「アイランドキッチンにしたい」という購入検討者に対し、永瀬は「おふたりのお話に水を差すどころか、バケツで水をぶっかけるのですが、その夢、一切かないません。実は基本の設計は決まっておりまして、外観の色などを自由に変えられるだけ。間取りの変更はできません」と説明。

最後は「これだったら建売(と同じ)じゃない?」という購入検討者に、「建て売り? ご冗談を。あの工務店に頼んだら、せいぜい掘っ立て小屋ぐらいしか建てられませんよ」と言い放ち、契約をフイにします。

下請けの悲哀。ヘルメットをかぶって作業に加わる永瀬

実際、竹鶴工務店の作成した計画は極めてずさんなものでした。桐山によると、「この土地に6棟も建てるのは無理があり、遮光制限や日影規制を考えたら建てられたとしても極細のペンシルハウス。玄関にしている場所は半地下。となると排水の問題が出てくるのに、そうした記載は一切ない」ということでした。

竹鶴工務店が施工を下請け会社に丸投げしているとの情報を得た永瀬は、桐山を連れて下請けの秋川工務店が木造一戸建てを建築している現場に向かい、現場責任者の秋川にプランの見直しを求めます。

「これでは明らかに欠陥住宅にしかならない」と迫ると、秋川からは「こっちはできるだけ安く造れと指示されてる。普通なら3カ月の工事を1カ月半に短縮しろってな。大手メーカーが幅をきかせてる中、俺らみたいな零細工務店が生き残るためには泥水だってすすんなきゃなんねえ!」との返答。下請けの悲哀がにじんでいます。だからといって、欠陥住宅をつくってはならないことはいうまでもありませんが……。

作業員たちはみんな口も聞かず、疲れた様子。永瀬はヘルメットを被り、建材を抱えて作業に加わりました。帰社後、桐山は永瀬に「あんなことやって何の意味がある?」と問い詰めます。「秋川工務店に計画の見直しをしてもらうためには、まずは俺のことを見直してもらうしかない」と永瀬。

まずは担当者自身が顧客に信じてもらえるようにする。たしかにこれは、すべての営業マンに求められることかもしれません。しかし、桐山はあきれて中座してしまいます。しかし、次のシーンで永瀬はすっかり作業員と打ち解けた様子で、現場責任者の秋川も「建築プランを見直したいんだろ。(昼飯を)食いながら聞く」と言ってもらえていました。

一方、桐山が密会したミネルヴァ不動産の社長、鵤(いかるが)は花澤涼子(演:倉科カナ)と西岡将生(演:伊藤あさひ)に竹鶴工務店の物件資料を差し出し「今、登坂不動産が動いている。やつらに気づかれる前に、先に売れ」と命じます。花澤に「なぜ登坂だけを標的にするんですか」と聞かれた鵤は「……あいつを、潰すため」。あいつとは登坂社長。ふたりには過去に何かがあったようです。

屋上でのガチ対決。永瀬VS桐山

永瀬は修正した計画書を持って竹鶴工務店を訪問します。不服な様子の竹鶴ですが、そこにミネルヴァ不動産の花澤と西岡が現れます。西岡は小声で永瀬に「下請けと建築プラン見直してるんだって?」と吹っかけます。永瀬の行動はミネルヴァ不動産に筒抜けになっていたのです。すべてを察した永瀬は帰社後、桐山を屋上に誘い出し、胸ぐらをつかんで全面対決となります。

永瀬「スパイなんて卑怯なマネしやがって」
桐山「スパイ?」
永瀬「俺が秋川工務店と建築計画を見直ししているのミネルヴァにバラしただろう! 棟梁と必死にプランを練り上げたのに、お前のせいで台無しだ!」
桐山「なら、かえってよかったじゃないですか。どれだけ下請けがやる気を出しても、元請けが変わらない限り、何をやっても無駄です」

永瀬「俺たちとお客との本当の関係は契約書にサインをしてから始まる。生活の拠点を仲介するってことは、その人の人生を背負うことだ」
桐山「きれい事を言うな」
永瀬「きれい事じゃない。これは本心だ。俺はうそがつけない人間になったんだ」

男と男の大迫力のやりとりに、影で見ていた月下はショックで言葉が出ません。桐山は去って行き、永瀬も気持ちにやり場がない様子です。

一方、ミネルヴァ不動産は西岡が口八丁手八丁で竹鶴工務店の土地の契約を迫っています。永瀬はせっかく修正プランをつくったのに、竹鶴から「仕事を回さないぞ」と恫喝された秋川に白紙に戻すよう求められ、八方塞がりとなってしまいました。

明かされる桐山の過去

遠くに大きなビルが見える場所に一人たたずむ桐山。胸に去来する子供の頃の記憶。父と大きなビルを眺めながら「貴久。あのビル、お父さんが建てたんだぞ!」「すげえ!」との会話。一方で、秋川工務店の棟梁の言葉「俺だって、まともな家、建てたい。でも社員と家族を路頭に迷わすわけにはいかねえんだ」が胸をよぎり、重ね合ってしまいます。

月下は永瀬に桐山について知ったことを伝えます。14年前、新築マンションの壁にひびが入って傾いた「サンフラワー建材問題」がありました。マスコミで大きく取り上げられ、下請けの現場責任者が自殺しましたが、その人物は桐山の父だったというのです。

月下が話し終わったタイミングで、桐山は竹鶴工務店の土地の買い手候補を見つけてきたことを永瀬に報告します。秋川工務店とも話をつけ、残るは竹鶴工務店のみだと。桐山は「見せてください、あなたの正直営業を」と永瀬を連れ出しました。

正直永瀬に桐山も脱帽、和解、そして退職

竹鶴は永瀬と桐山の提案を案の定、突っぱねました。桐山と永瀬はこれまでの竹鶴工務店の行為について当局への告発をちらつかせながら受け入れるよう迫ります。

「まともな資金も出さず、あり得ない工期を押しつけ、上前をはね、その金で愛人を囲い、自社の社員教育すらできないクソみたいな経営者もどきが、ビジネスを語る資格などありません。下請け会社には一人ひとり、プライドを持った職人さんたちがいます。そしてその職人さんたちには、それぞれ家族がいる。あなたがどれだけ多くの人を苦しめてきたか、分かっているんですか」

場面は変わり、永瀬は桐山と大げんかした屋上でコーヒーを飲んでいます。桐山は永瀬に自分の父親について語り始めました。「あれだけ会社に尽くした人間を、元請けも会社もすべての責任を押しつけてトカゲの尻尾切りのように簡単に見捨てた。おやじの無念を晴らすために建設業界に就職しようとしたんですけど、身辺を調べられて全滅でした。それで建設が無理なら、少しでも建設業に近い不動産業界を選びました。ここで実績をつくって、いつか会社を興して、おやじみたいなマジメな社員が報われる職場をつくろうって。だから営業成績にこだわっていたんです」

それを聞いた永瀬は「……そういうこと、早く言ってくれる? 張り合ってた俺が馬鹿みたいじゃん」と微笑むと、桐山はこれまで見せたことのない穏やかな表情を見せるのでした。

この後、ふたりで社長に契約成立の報告に向かいます。当初の2億8,080万円を上回る2億9,000万円での契約が決まったことを伝えました。登坂社長が「今後は大型案件のときはふたり、ペアを組んでみては」と持ちかけると、永瀬も「はい。私もこいつが相棒だと――」とうれしそうに伝えかけたところ、桐山が「社長、もうひとつご報告が」と割って入りました。

桐山は辞表を取り出し、登坂の前に置きます。全員の顔にハテナマークがつく中、「誤解されているようですが、私はミネルヴァのスパイではありません」とスパイ疑惑について釈明を始めました。

変われなくて去った桐山と、変われて残った永瀬

桐山は確かにミネルヴァ不動産の鵤社長に会い、「給料を倍出すからこい」と誘われていました。固辞したところ、2回目は「君の父親、サンフラワー建材の現場責任者だったんだって? 欠陥マンションを建てた父親の息子から家なんて買いたいと思うかね。当然、そんな人間を雇っている登坂不動産の信用もどうなるか」と半ば脅されていたのです。

「このままでは会社に迷惑をおかけすることになります」という桐山に対し、登坂社長は「うちの社員は私が全力で守る」と引き止めますが、桐山の決意は固く、そのまま出て行きました。

桐山を追いかけた永瀬も慰留します。そこで風が吹き、「気遣いじゃない。本心で言ってる。そりゃ、後輩なのに態度はクソでかいし、顔もやたら怖いし、体も無駄にいかついけど、お前と組んで、どれだけお客のことを考えて仕事をしているか、よくわかった。俺はお前と仕事がしたい。だから辞めるな、桐山」と語りかけました。

トップを争ってきたビジネスマンとして、ライバルからかけてもらったなら最高の言葉です。桐山は押し黙りますが、やがて笑ってこう返します。

「やっぱり、俺の知ってる永瀬財地じゃない。でもみんながみんな、あなたみたいに変われないんですよ」

この「人は変われる」、実はドラマ『正直不動産』の裏テーマです。ドラマ開始前、永瀬役の山下智久さんは原案者の夏原武さんらとの座談会でこう語っています。

「実際に作品を作られている3人を前に恐れ多いんですが、『正直不動産』という作品を読み、僕の中では“人はいつでも変われる”というのが、この作品における大きなテーマではないかと思ったんです。この物語は今まで噓ばかりついてきた永瀬が、正直な営業という新しい扉を開いた物語でもあると。新たな扉を開くという意味で、僕自身も重なる部分があります」

去って行く桐山は変わることができなかった人。見送るしかなかった永瀬は、変わることができた人。ある程度、社会人経験のある人ならジーンとくるシーンだったのではないでしょうか。

(不動産のリアル編集部)

 

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