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家売るドラマ解説

「帰ってきた家売るオンナ」にみる不動産仲介の世界

前編(「帰ってきた家売るオンナ」が稼いだ仲介手数料はいくらなのか?)に引き続き、5月26日に放映された日本テレビのスペシャルドラマ「帰ってきた家売るオンナ」について、不動産の現場にいる立場からみたレビューや「不動産あるある」を綴っていこうと思います。

万智の不可解な行動と家族の問題

「あなたにあの家は売りません」

メゾネットタイプのマンションに目をつけ、ついに動き出した一ノ瀬(笑福亭鶴瓶)。
テーコー不動産にアルバイトとして入り込み、内部資料を盗み見るなどしていた彼の真の狙いはテーコー不動産で誰が一番優秀かを調べて、娘と同居する家を買うことでした。

独りよがりに娘との同居を夢見て、メゾネットタイプのマンションも買おうとする一ノ瀬に、万智はなんと、「あなたに、あの家は売りません」と宣言。資金内容にも問題はなさそうなのに、「売らない」宣言をする万智に一ノ瀬は激昂しますが、美加が連れてきた娘に「あなたとは暮らさない」と言われてしまいます。

そこに颯爽と現れた万智は、一ノ瀬の目の前でスタントマンのプロダクションを経営する夫婦に、このメゾネットの物件を売ってしまいます。この夫婦は2階から飛び降りたり階段を転げ落ちたりして、この部屋の使い方に胸を膨らませていました。こういう使い方があるとは、見ている私も泡を吹きましたが…。

相撲で子供を投げ飛ばす!

ある日、有名子役の葉山蓮君と、付き人である父親の友明(要潤)がテーコー不動産を訪れます。生意気でわがまま放題のレン君に担当の庭野もたじたじ。次の日、庭野に同行した万智は、葉山親子に会うなり開口一番、蓮君に「あなたは本当に家が欲しいとお思いですか?」と尋ね、「来い!このクソガキ」「大人をなめ腐ったバカ子役」と挑発して相撲を取るようにけしかけます。

技を決めて何度も何度も蓮君を投げ飛ばす万智、父の友明に対しても「お前もしっかりしろ!」と挑発します。

読者のみなさんに、ここは誤解してほしくないのですが、実際の不動産業者がお客様相手にこんなことをしたら大問題になります。このあたりはドラマ上の演出です!

足立の物件を横取り

万智の活躍に、チーフとしての面目丸つぶれで面白くない足立のもとに、アパートの老朽化で退去を強いられているフリーのイラストレーター、極貧シングルマザーの淀川水樹(芦名星)が訪れます。

自己資金は50万円、年収は220万円ほど。これではローンを組める見込みがなく、足立は難色を示しますが、家を買うことを夢見て懇願する水樹を断れない足立は、淀川親子のために家探しを始めました。

「こんな物件しかないんですが」と紹介したボロアパートに「夢みたいです」と大喜びする水樹に、足立は胸を打たれます。

内見風景

一方、足立がペット用マンションを売った客のお嬢様が「犬小屋」となる物件を求めにテーコー不動産にやってきます。接客中の足立に代わり、万智が対応し、なんと、足立が水樹に売るつもりで確保した物件を万智は「犬小屋」用として売ってしまいます。

一見、血も涙もない万智の行動に庭野も足立も開いた口が塞がりません。

「家を売ることは人生を売ること」

赤ん坊のことも気になっていた庭野は、万智の不可解な行動も相談しに思い切って屋代のもとを訪ねます。赤ん坊は、子育てや高齢者のための施設建設のため、広大な土地の取引をサンチ-不動産に依頼している客の子供を預かっているだけということが判明します。

「万智が家を売った人はみんな幸せになっている、これってすごいこと」「家を売るということは人生を売るということ、お客様は人生をかけて家を買う」ー。屋代のこんな言葉に、しみじみとなった庭野は東京に戻ります。

東京に戻った庭野は友明に、「レン君はふつうのお父さんが欲しいのではないか?」と話し、親子で相撲を取ることを提案。小学校の校庭でレンは思い切りぶつかって「付き人なんかやめてほしい」と友明に心中を吐露します。レンが欲しいのは立派で高級な住まいではなく、普通のお父さんと普通の小学生として暮らすことでした。本当の気持ちを言えないことが、わがままをエスカレートさせていたのです。

「天才不動産屋」は聞き上手である

ふてくされた一ノ瀬のもとを訪ねる万智と美加。一ノ瀬は心中を思い切りまくし立てますが、万智は「で?」と次の言葉を促し、答えを引き出し続けます。言いたいことを言い尽くした一ノ瀬に、万智は「すべての人の人生は孤独だ」と話し、「人の行きかう交差点」として賃貸アパートの大家となることを提案します。

家族を失ったことのある万智だからこそ、「人は孤独な存在」であり「でも一人では生きられないのも事実」ということを知っているのでした。

「人は孤独」だからこそ、その声に耳を傾け、お客様にとっての幸せとは何なのかを真剣に考える、それが万智の貫いている姿勢なのです。

高齢化により、配偶者を失ったいわゆる「独居老人」や、非婚・未婚・離婚率の増加により、単身世帯が増えていることで人々が心に抱える「孤独感」は、静かに深刻な問題の一つとなっています。

管理が行き届かない空き家の再生事業や、家賃負担を減らしたい若者と広い家を持て余している高齢者の互いのニーズを合致させた世代間ホームシェアなど、少子高齢化だからこその「交差点」となる新しい住まい方の提案が実際に増えてきています。

ドラマ放映第8話で、万智が語った「ひとつ屋根の下で暮らすなら、それは家族」という言葉がありましたが、血のつながりだけではない「家族の在り方」について改めて考えさせられる内容でした。

足立「僕はお客様の人生を投げ出しません」
庭野「お客様の人生をあきらめません」

万智に物件を奪われたことで、目が覚めた足立は、今まで馬鹿にしていた低額の「ちまちました物件」を、水樹のために探すことにやりがいを見つけます。高額な物件を仲介しても、低額の物件を仲介しても、得られる手数料は取引価格が元になりますから、1億円の物件と1000万円の物件では不動産業者が得る利益は単純に10倍になります。なのに、かかる手間や必要な手続きはほとんど変わりません。「ちまちました物件」を敬遠している理由はここにあります。

万智が一ノ瀬にメゾネットマンションを売らなかったことも、子供を相撲で投げ飛ばしたのも、足立の物件を奪ったのも、言われたままに売ってしまうことは、近い将来、お客様が人生を投げ出すことになってしまう。このことに気づかされた足立は、不動産屋の仕事の本当のやりがいと喜びを見つけたのだと思います。

不動産屋、担当営業にとって、お客様はたくさんの顧客の中の一人ひとりにすぎませんが、お客様にとってはそうではありません。この先の何回もの四季をそこで過ごすと決めて、住まいをその担当から買うということは、一つの人生をかけた一大事です。お客様の人生の一大事を預かるということの重大さを理解し、やりがいを感じられるということも、不動産業に携わる者としてはとても大切な資質の一つなのだと思います。

不動産業界の将来を示唆する結び
「じじいばばあの輝く国」

空き地空き家を買い上げて、老人ホームを設立する計画。「この国はじじいばばあの国になります。じじいばばあが輝かなければこの国は輝きません」という万智の言葉。赤ん坊を預かることを通して万智と家族になることを意識するようになった屋代。

ドラマの終盤は、不動産業界だけでなくこれからの日本が抱える大きな問題である「少子高齢化」「人口減少」を考えさせる内容に入っていきます。不動産業界の動向は、家族のあり方とは切り離せません。
現在、激動の過渡期を迎えています。

住まいとは、家族とは、暮らすとは、「家」とは何か。
「家売るオンナ」を通して改めて考える機会とし、現在そして今後のリアルな住宅事情に興味を持ってみることをおすすめします。

関根祥遙(宅地建物取引士)
都内北西部を中心エリアとする不動産会社で売買営業として勤務。消費者に寄り添った視点で、これからの宅建業者に何が求められるかを真摯に伝えたいという思いから執筆活動に従事。東京都出身・在住。

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家売るドラマ解説

「帰ってきた家売るオンナ」が稼いだ仲介手数料はいくらなのか?

不動産業界を舞台とした人間模様を描き、2016年夏に大ヒットした日テレのドラマ「家売るオンナ」。

「私に売れない家はありません」が決めぜりふの天才凄腕不動産屋、三軒家万智(北川景子)が、奇想天外な手法で、家を売って売って、売りまくる痛快エンターテイメントです。

高視聴率をキープし続け、最終回前から続編を期待する声も上がるなど、惜しまれつつ終了した「家売るオンナ」が、一夜限りのスペシャルドラマとして帰ってきました。

今回も、不動産業界の現場にいる人間としてドラマに見えたウソとホント、所感雑感を交えてご紹介したいと思います。

舞台は、万智と屋代がテーコー不動産を去ったその2年後

かつて万智が在籍した「テーコー不動産新宿営業所」では、ベテラン布施課長(梶原善)の元、万智の後にチーフとなったエリート足立(千葉雄大)、結婚したにもかかわらず相変わらずの白洲美加(イモトアヤコ)、その夫となった宅間(本多力)、席順もより前列に近づいた八戸(鈴木裕樹)などなどおなじみの面々がいまいちやる気の感じられないイマドキ風新人社員、鍵村(草川拓弥)も迎え、家を売ったり売れなかったりしています。

かつてはうだつの上がらぬ新人だった庭野(工藤阿須加)は、万智に会いにはるばるサンチー不動産を訪れます。

久しぶりに二人の姿を見つけ、駆け寄ると、そこには、海辺で赤ん坊を抱く万智と屋代(仲村トオル)の姿が…!

万智に思いを寄せていた庭野はその姿にショックを受けます。
二人の関係を、聞くに聞けない庭野・・・
はたして赤ちゃんは、屋代と万智、二人の間の子供なのでしょうか?

そして、布施課長が営業成約費の半分をつぎ込んで作ったというテーコー不動産のマスコットキャラクター「すもうくん」の着ぐるみの中の人、バイトのおじさん一ノ瀬(笑福亭鶴瓶)は、誰も居なくなった隙にテーコー不動産の社内でパソコンをのぞこうとしたり机の中の資料をあさったりと何やら怪しい動きを見せています。

一ノ瀬の真意とは・・・・?

万智に話しかける一ノ瀬

健在の「家を売るためです」 決めゼリフの「GO!!」

庭野がサンチー不動産を訪れた理由はズバリ、万智が去って成績不振に陥った新宿営業所を救うため、万智に力を借りるためでした。

最初は、必死の庭野の懇願に応じなかった万智ですが、屋代の進言でやむなく、月末までの2週間、期間限定でバイトとしてテーコー不動産に復活することにしました。

かつての活気は見る影もなく、すっかりたるみきっているテーコー不動産に久々に「GO!!!」の嵐が吹き荒れ、布施課長も満足げです。ただ一人、現チーフの足立は、自分のチーフとしての立場がぐらつき始めたことに不満のようです。

そんな足立の後ろ姿を見送りながら、ベテラン布施課長は「あいつまだ分かってねえな。家を売るってことの意味が」と独りごちます。

契約を逃すよりはサービス工事

内見に出かけた庭野は、2年前のように営業車にいつの間にか乗り込んで同行する万智に驚きますが、
成長した自分を見せようと意気軒昂としています。

高井戸のマンションで待ち合わせたのは、もうひと押しで家を買いそうな初老のご夫妻。ただ、この2人、極度の潔癖症で、リクエストに応じて何度もハウスクリーニングを入れて自信をもって臨みました。

しかし、トイレに手洗い器が無いことを理由に、申し込み寸前のお客様が一転、取りやめを表明します。愕然とする庭野をおいて、「トイレの問題さえ解決できれば、この家を買っていただけますか?」と食い下がる万智。

彼女は颯爽と業者を手配して、その場でドアノブをもう一つ取りつけてしまいます。2つのドアノブを「綺麗な手用」「汚い手用」に使い分けることを提案する万智に、お客様はすっかり納得して5000万円で購入を決断してくれました。

実際のところ、お客様を引き留める提案としては、トイレに手洗い器を設置できれば一番良いのですが、
手洗い器を追加する工事をするには水道の配管やスペースの問題、工事費用も掛かります。

その点、ドアノブを追加で取り付けるだけであれば費用も大分抑えられますし、時間もそれほど要りません。工事費用をサービスすることで成約につながるのであれば安いものです。

まるでとんちの様なアイディアですが、咄嗟に機転を利かせて、それも大真面目にお客様に提案する手腕はさすが華麗です。

現実では、当日に業者を手配して目の前で取り付け完了させるというのはなかなかの離れ業です。まるで目くらましのようなこの提案で、お客様が納得して購入を決めてくださるかは、お客様がその物件をどれだけ気に入っているかにかかっており、かなり危ない提案です。

しかも、引渡し前はまだ売主の所有ですから、申し込みすら取れていない状態で了承なしに工事をすることも実際にはあり得ません。これはドラマならではの演出でしょうが、久々にみる「サンチー」の奇抜な手腕を思い出すには十分なエピソードですね。

中国人投資家の高層マンション購入

次は、外国人相手に強い八戸が中国人客を案内している現場に現れた万智。

「景色は最高、みんなが欲しい物件、間違いなく資産価値も上がるので投資用としても最適」と案内した25階高層階の物件に気に入らない様子を示すお客にたじろぐ八戸ですが、万智は咄嗟の隙に、庭野を走らせ8階の居住者に売却を打診していました。

「8」は中国人にとって大切な数字であることを知っていた万智。また「八階」は「お金が儲かる」という意味の「発財」に似ていることから、「8階の808号室ではどうか」と打診された中国人のお客様は、なんと大喜びで即決しました。
8階の物件を、まさかの25階の9000万円という価格でで、購入したのです。

それを受けて、808号室の居住者は、間取りは同じでも眺望が抜群に良い25階の物件に喜んで買い替えを決断しました。スゴ技としか言えない手腕ですね。

日本の不動産事情は世界的にみると「遅れている」のが実情で、海外から見ると日本の不動産価格はとても安く、「お買い得」なのだそうです。

中でも爆発的な経済成長を続けている中国の投資家の購入は多く見られ、ここ数年で不動産市場でも中国人による「爆買い」が話題になりました。都心に建つ超高層マンションの高層階には、中国人の所有者が見られることは珍しくありません。

名前まで「八男」に変えてしまった八戸はやりすぎかもしれませんが、都内の不動産仲介業者が、中国語を身につけ対応の準備をしておくことには大いに意味があります。扱う物件も高額なものが多いため、もしかしたら名刺の名前を変えるくらいなら、やるだけの価値があるのかもしれません。

結局、万智の活躍で、危なかった契約も息を吹き返し、庭野の担当の高井戸のマンション、八戸担当の雑司ヶ谷の高層マンションについては2件、立て続けに売れてしまいます。

足立がかかわっていたペット小屋用アパートも順調に売り上げ、あっという間に新宿営業所の営業成績はうなぎ上りになりました。

さて、この間、万智が稼いだ仲介手数料がいくらになるかを計算してみましょう。

・タワーマンション (9,000万円×3%+6万円)×4=1,104万円

・潔癖症マンション (5,000万円×3%+6万円)×2= 312万円

・ペット小屋アパート (450万円×3%+6万円)×2= 39万円

・タワーマンション (9,000万円×3%+6万円)×4 1,104万円
・潔癖症マンション (5,000万円×3%+6万円)×2 312万円
・ペット小屋アパート (450万円×3%+6万円)×2 39万円

合計1,455万円(※)となりました。大したものです。

(※すべて両手仲介で仲介手数料は売買価格の3%+6万円とした場合で、消費税は除く計算。)

後編に続く)

関根祥遙(宅地建物取引士)
都内北西部を中心エリアとする不動産会社で売買営業として勤務。消費者に寄り添った視点で、これからの宅建業者に何が求められるかを真摯に伝えたいという思いから執筆活動に従事。東京都出身・在住。

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家売るドラマ解説

「帰ってきた家売るオンナ」―不動産仲介のプロの宅建士が解説

5月26日(金)21時から、日本テレビ系2時間ドラマ「帰ってきた家売るオンナ」が放映されました。2016年7月期に人気を博した連続ドラマ「家売るオンナ」の続編となるスペシャルドラマです。

前作は、主人公の三軒家万智(北川景子)が、テーコー不動産新宿営業所の営業チーフとして奇想天外ながらもお客さんの心をわし掴みにする方法で家を売りまくる、痛快お仕事ドラマでした。

今回は、「前作から2年後、会社を辞め独立した万智が、期間限定の助っ人として再び新宿営業所に戻ってくる」という設定です。今作でもどんな方法で家を販売していくのか、ワクワクしながらテレビに釘付けでした。

赤ちゃんをかかえる三軒家万智

次々と成約する万智―手法にはツッコミどころ満載(笑)

万智の部下で彼女を慕っていた庭野(工藤阿須加)は、同行した万智に自分の成長ぶりを見せたいと、張り切ります。

とても清潔好きなご夫婦の内覧立会でのこと。庭野は、前日にクリーニング済み・フローリングは抗菌加工・窓にはエアーフィルター設置・ディスポーザー完備の住宅を紹介。お客様も満足げに、申し込み書類に記入寸前です。

ところがその寸前に、奥様から悲鳴と共に「こんな家は買えない」とクレームが。トイレ内に手を洗う場所がないので、ドアノブにばい菌が付いてしまい触れなくなる、というのです。トイレのすぐ外には洗面台があるのだから、そこまで神経質にならなくても……と思わず本音を口に出し、庭野はますます窮地に陥ります。

そこで万智は「トイレの問題が解決されれば、買っていただけますね」と一言。早速、内装業者にドアノブをもう1つトイレに付けさせてしまったのです。

「清潔な手専用」のドアノブと「使用後専用」のドアノブで使い分ければ問題解決、というわけです。それで一軒、売れちゃいました。

……いやいや、さすがに無いです、それは。

不動産会社の一存で、勝手に内装仕様は変更できませんって。今時、当日すぐに内装業者だって来てくれません。もしそれでも買ってもらえなければ、売主さんは激怒します。器物損壊罪で訴えられても仕方ありません。トイレのドア1枚、全面交換要求されます。普通の会社はそんなリスクは負えません。ドラマの中だけのお話です。

さらに万智は売りまくります。

ある中国人のお客さんに断られたタワーマンションの25階。そこで、8階の住人の中で「売っても良い」という人を、庭野に探させておきます。「8」は中国人にとって縁起がいい数字。8階ならば即決、25階のマンションは8階の売主に住み替えで買ってもらい、一気に2軒成約です。

また、メゾネットタイプのマンションは、「2階構造なので広くて、階段もある」ということで、自宅兼練習場として、スタントマン・プロダクション経営の夫婦に販売を決めます。

いやいや、8階というだけで、中国人がマンション即決しませんって。いくら中国では縁起のいい数字だからといって、それは無理ですってば。中国でも、高層階の方が売価が高いのですから、高層階の方が人気ありますよ。8階というだけで売れるのなら、東京中のマンションの8階が中国人に買い占められちゃうじゃないですか(笑)。

それにいきなり来た不動産会社に「家? 売ってもいいよ」と快諾してその日のうちに契約する人、いると思います? 不動産会社は大助かりですね、そんなお客様がいるなら。

メゾネットにしても、2階建てで広いからって、2階部分からリビングに飛び降りていたら、そこでご飯食べられません。毎回部屋を片付けるのも大変、自宅兼って無理があるでしょ。

それに、使用目的で商用可能か、マンションの管理規約は確かめましたか? 毎日ドタバタされては、ご近所からクレームだって来かねません。防音とか振動についても確認しなければ売れませんよ。そもそも、一軒家やテナントビルの方が練習場には都合良くありませんか?

どうも今回のドラマは、売りまくる万智の描写は、コミカルな発想による販売を主眼としたようで、「その発想そのものを楽しんでください」という感じの脚本でしたね。そこが楽しめればいいので、専門的に解説しようとする方が野暮な話ですね……。

「家を求める人のニーズに、自由な発想で応えるのが不動産会社だ」というのが教訓だ、としておきましょう。

家を買えなかった3家族

このドラマには、家を「買えなかった」三者三様の事情を持つ人物・家族が登場します。

テーコー不動産のゆるキャラ「すもーくん」の着ぐるみバイトをしている一ノ瀬(笑福亭鶴瓶)は、65歳の一人暮らしです。妻とは1年前に死別し、娘は15年前、19歳の時に家を出て子供もいますが、娘とは妻の葬式で会ったきり。一人暮らしが寂しくて、娘と同居する家を探していました。テーコー不動産でのバイトも、そのためでした。

しかし娘からは、「家から叩き出されて、今は幸せに暮らしている。一緒には住めない」と同居を断られてしまいます。

葉山友明(要潤)は、子役タレントである息子の蓮(五十嵐陽向)の収入で生活しています。彼らも家を探していますが、蓮のわがままで一向に家を決めることができません。蓮は、普通の父と子として生活がしたいだけだったのです。

淀川水樹(芦名星)はシングルマザーです。今のアパートから老朽化のため立ち退きを迫られているので、これを機会に、息子に万が一のために何か残せるようにと家を探していました。

しかし彼女はフリーのイラストレーターで、年収220万円、貯金も50万円。金融機関の融資は難しく(注)、なかなか買える家はありません。一度は断ったチーフの足立(千葉雄大)ですが、何とか450万円の物件を紹介します。しかし、あっさりと万智が他に売ってしまいました。

※融資についての補足

家を購入される場合には金融機関から融資を受けることが多いでしょう。いわゆる住宅ローンです。融資を受けるためには、金融機関の審査を通らなければなりません。審査には、職業、年収、借用履歴、返済履歴、家賃の支払い、貯金、物件の担保価値などが考慮されます。

水樹の収入や貯金、シングルマザーであること、自由業という属性を考慮すると、残念ながら高額の融資を受けることは難しいでしょう。また、高額ではない物件は担保価値も低いので、実質上、融資での購入ができる確率は無いに等しいといえます。

「家を売ることは、人生を売ることだ。お客様は人生をかけて家を買うのだから」

この3家族がどうなったのか。まず万智は、孤独に悩む一ノ瀬に対し、「人の行き交う交差点に住むのです」と、一棟売りアパートを購入して大家になることを勧めます。「様々な人が住み、出ていく。感謝と敬愛を得て、孤独から解放されるでしょう」と。

そして庭野は葉山親子に、足立は水樹親子に、「必ず望む家を見つけますから」と約束し、それまでは一ノ瀬のアパートに住んでもらうよう紹介しました。

一ノ瀬のアパートに、家を買うことのできなかった3家族が住むことになったわけです。

「家を売ることは、人生を売ることだ。お客様は人生をかけて家を買うのだから」

これは、万智の設立した不動産会社で働く屋代課長(仲村トオル)が庭野に言った言葉です。

私たち不動産会社は、お客様の人生をかけた買い物に寄り添うわけです。少しでもお客様の人生を豊かにするようなご提案ができるように、「必ず望む家を見つける」という覚悟を常に持ち続けなければいけない、と改めて思いました。

続編の連続ドラマ化を期待するドラマでした。

早坂龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング 代表取締役。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売り会社勤務を経て、2015年から北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

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不動産事業プロデューサー 牧野知弘氏による推薦の言葉

 世の中に名の通った大手でも、地域密着の中小でも、不動産会社に「仲介手数料」をたずねるとほとんどの場合「物件価格の3%+6万円」と答えます。でも私は知っています。それはあくまでも法律で決められた上限であり、定価ではないことを。だからREDSが行っている「仲介手数料の割引サービス」は、本当はとても自然な取り組みであり、これまでなかったことが不思議なくらいです。営業スタッフ全員が宅建士で、さらに上級資格の宅建マイスター認定者が多く在籍するREDSは、横並びの不動産業界に新たな息吹を吹き込むことでしょう。

オラガ総研株式会社 代表取締役 牧野知弘氏

東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し、ホテルリノベーション、経営企画、収益分析、コスト削減、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。2009年株式会社オフィス・牧野設立およびオラガHSC株式会社を設立、代表取締役に就任。2015年オラガ総研株式会社設立、代表取締役に就任する。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)『老いる東京、甦る地方』(PHPビジネス新書)『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)『2020年マンション大崩壊』『2040年全ビジネスモデル消滅』(ともに文春新書)などがある。テレビ、新聞などメディア出演多数

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