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家売るドラマ解説

「家売るオンナ」【第6話】解説ー事故物件はどの程度値下がりするのか

テーコー不動産に勤める三軒屋万智(北川景子)が家を売りまくる痛快お仕事ドラマ「家売るオンナ」(日本テレビ系水曜ドラマ)。
ドラマも後半に差し掛かり、万智を取り巻く人間模様も徐々に変化を見せ始めています。
今回も、ドラマで描かれるさまざまな出来事にちなんだ不動産営業の現実をご紹介しましょう。

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エリート足立にヘッドハンティング 不動産業界の離職率は?

エリート社員の足立(千葉雄大)は、万智が現れてから営業成績が2位に転落してしまいました。足立の苛立ちが募る中、なんと万智が自分の顧客と契約したことを知り、とうとう万智に怒りをぶつけてしまいます。
そんな時、足立にヘッドハンターが誘いをかけてきました。

宮澤の愛人の家を紹介…足立の胸中は複雑

さらにその日、老舗和菓子店の社長である宮澤(東根作寿英)が足立を訪ねてきて、愛人の礼央奈(小野ゆり子)のためにマンションを購入したいと依頼します。
3年前に足立は、宮澤にマイホームを売っていました。その時のとても幸せそうな家族の姿を見て「不動産営業はお客様に幸せを運ぶ意義ある仕事」と思えるようになったのです。

それなのに、たった3年で「愛人に家を買いたい」という宮澤に割り切れない思いを抱く一方、その家を紹介する自分にも嫌気がさすなど、仕事に対する迷いが募ります。
誘いを受けたヘッドハンターを訪ねていく足立は転職してしまうのでしょうか?

離職率の高い不動産業界、その理由は?

不動産業界は、残念ながら離職率の高い業界のひとつです。足立に限らず多くの人が、自身の仕事に疑問を持ち、結果として離職してしまうのです。一説では入社2年以内の離職率は50%以上ともいわれています。
その原因はどこにあるのでしょう。

離職率が高い原因として、(1)収入(2)就業時間(3)やりがい の3点が考えられます。

まず、(1)収入について。
これは、給料が歩合制である会社が多く、収入が不安定なことが挙げられます。また、高いノルマが設定されているなど営業成績に対する管理が厳しいところは、精神的ストレスにもつながっています。

 

次に(2)就業時間の問題です。
会社の営業時間は決まっているものの、顧客の都合に合わせて、土日祝日や平日の夕方以降も動かなければならないことが多く、定時の出勤や退社というのは、なかなか困難な商売です。

 

(3)やりがいの問題も深刻です。
ドラマでも再三描かれていますが、不動産業界の営業マンはチームワークで育てられるというより、個々人が高い意識を持って自分で成長していくよう求められる傾向にあります。従って、契約できない営業マンは自己否定の気持ちが強くなり、仕事にやりがいや存在価値を見出せなくなってしまうのでしょう。また、小さな会社では、賃貸管理などの業務も営業マンが兼任する場合があり、家賃滞納への対応や隣人間のトラブル、クレーム処理に忙殺され、やる気を失うこともあります。

万智は「不動産屋の仕事は家を売ることです」と割り切っています。それは、確かに営業マンの大事な心得です。
しかし、それだけではなく「家を売ることでお客様だけでなく、従業員にも幸せを運ぶ意義ある仕事」であるべく、不動産業界を挙げて労働環境の改善や業界全体の地位向上に努める必要があると思います。

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事故物件って何? そんなに安くても売れないの?

万智は、都心の8SLDKの一軒家なのに、わずか1000万円という本社からの特命物件を担当します。
通常なら2億5000万円はする物件ですが、殺人事件があったため、遺族が安値でもいいから処分したいという、いわゆる事故物件。

万智は後輩社員の白州美加(イモトアヤコ)を連れて現地販売を実施しますが、内覧客に「不動産屋には、聞かれたら答える義務があります」と、事件について詳しく説明するものですから、客は怯えて逃げるように帰ってしまいます。
何もそれほど詳しく説明しなくても、知らないふりをして販売してしまうわけにはいかないのでしょうか?
また、事故物件はそこまで安くなるものなのでしょうか?

事故物件の心理的瑕疵には告知義務がある

事故物件には、心理的瑕疵物件と物理的瑕疵物件の2種類があり、ドラマのケースは心理的瑕疵物件にあたります。

心理的瑕疵とは、当事者の心理的要因によるものなので、はっきりとした定義はありませんが、例えば

  • 自殺や殺人事件があった物件
  • 近隣に暴力団事務所や葬儀場がある物件

などが該当します。

そしてこの心理的瑕疵は、宅地建物取引業法47条1項の「重要な事項」にあたるとして告知義務があるとされており、それに反した場合、損害賠償や解約の対象になることもあります。

とはいえ、万智のように事細かく現場を再現するかのごとく説明をするのは、少々やり過ぎのような気もしますね。あくまでテレビ的なデフォルメであり、現実にはあそこまでやることはありえません。

事故物件はどの程度値下がりするのか

事故物件は「その事実を知っていれば契約しなかったかもしれない物件」ですから、白州が言うように欲しい人はいないと考えられて、相場よりも安くなってしまいます。
しかし、あくまで「心理的要因」ですから、心理的に影響を受けないと考える人には安価で魅力的な物件ともいえます。要するに「世の中にはあまり気にしない人もいる」のです。

万智も、病院や葬儀社など死が身近な職業の人に対象をしぼり、見事に販売することができました。

現実でも、賃貸物件・売買物件ともに、相場の2~3割安、物件によっては半額程度で取引されることが多いようです。

また敷地が広い場合は、建物を取り壊し分筆して分譲宅地にするなど、形を変えたり、時間をあけたりして影響を少なくする方法を取ることもあります。

しかしさすがに、2億5000万円の一軒家が1000万円にまで下がるということは、実際にはあまり考えられません。

隣家の木が目障り、住人は普通の人なの?

秘かに万智を慕い始めた庭野(工藤阿須加)も、ついに一軒家を売ることができそうです。
ところが、客は隣家の庭の木が門の前にはみ出しているのが気になり、さらには「住人が普通の人だったら、買っても良い」と言い出します。庭野は調査することを約束しますが、不動産会社って、そこまでしてくれるものでしょうか?

周辺環境も調査、現状把握をする営業マン

実際に自分が住む家を買おうとする場合、やはり近隣の住民のことは気になりますよね。
現実には、中古住宅を販売する場合、不動産会社の営業マンは

  • 近隣住民間に良好なコミュニケーションがあるか
  • 町内会、マンションの管理組合や規約はどうなっているか

などを売主に聞き取り調査をして現状把握に努めるのが一般的です。

また現地販売や内覧会を行う際は、不動産会社が事前に近隣に挨拶回りなどをして、関係を良好に保つように気を配るほか、反社会的勢力の団体の事務所がないかなどまでを調査します

しかし、隣家に特段の事情がない場合、庭野のように「ご主人が、亡くなった奥様の服を着ている」、「素敵な人です」など住人のプライバシーや性格に触れるような発言をすることはありません…。

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余計なことを考えずに家を売れ!

宮澤の本妻の昌代(田中美奈子)に会社に怒鳴りこまれ、宮澤の愛人の礼央奈には自分の気持ちを考えていないと罵られた足立。一方、売ろうとしていた家の隣人に女装癖があるのかもしれないと動揺する庭野。
その2人に万智は「余計なことを考えるのは傲慢だ、家を売れ」と一喝し、その言葉に吹っ切れた2人は見事に成約を果たします。
さらに、一時は転職に傾きかけた足立は思いとどまり、ヘッドハンターに断りを入れます。万智の信条が徐々に浸透していくテーコー不動産に、次回も期待しています。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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「家売るオンナ」【第5話】にみる中古マンション購入の教訓(2)―独女のマンション購入が必然の時代に

2016年夏の日テレの人気ドラマ「家売るオンナ」。 深みを見せてきた5話目も、中古マンションの売買に関するウソとホントを、雑感とちょっとした裏話を交えてご紹介していきます。

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ポピュラーになりつつある独身女性のマンション購入

庭野(工藤阿須加)が担当した日向詩文(ともさかりえ)はフリーランスのジャーナリスト。職業柄か、勝気な性格の持ち主です。 一方、凄腕営業ウーマン三軒家万智(北川景子)が担当したのはポスティングチラシを見て問い合わせてきた草壁歩子(山田真歩)。出版社の校閲部で働く地味なOLです。 対照的な二人に共通するのは、独身女性=「女単」(女性単身客)ということ。 従来、住宅購入は「結婚してから買うもの」というイメージが根強くあり、独身女性の客は偏見を込めて「おひとりさま」などと言われていました。 しかし女性の働き方が大きく変化した結果、住宅への考え方も変化したのか、ここ10年で独身女性のマンション購入は増加しています。

「終の棲家」以外に資産としても活用する女性たち

従来のように一生住まう「終の棲家」としてというより、資産形成や老後の安心のためなどを考え、20代の若いうちに購入するケースも少なくありません。 また、一生独身を決めているわけでもなく、結婚すれば、しばらくはそのまま住んで資金を貯めて、出産など状況が変われば買い替えるか賃貸に出すなど、そのスタンスはフレキシブルです。 大手不動産会社各社では既に女性のマンション選びを応援する専用サイトを立ち上げています。 少し前まで、女性は収入が安定しないというイメージから、金融機関の審査が厳しくローンの借り入れは難しかったのですが、最近は専ら女性を対象としたローン商品も多数登場してきています。 また、全国的に未婚率は上昇しており、単身者世帯も増加傾向にあります。 不動産業界には「住宅購入といえばファミリー世帯」という先入観の払拭が求められています。

「結婚と家を買うことは関係ありません。 男女ともに、結婚しない人が増えているにも関わらず、独身者を結婚というゴールに向かう途中の中途半端な人間と決めつけることはおかしいです!」 「女性であろうと、独身であろうと、買う力がある人に家を売るのは当然です。 独身女性が家を買うことについての偏見は、改める方がまっとうです」

万智の言うこのセリフは、時代の変化をとらえた真実をついているといえます。

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会社によって異なるルール、契約優先・申し込み優先?

同じ出版社で働いていて顔見知り、そのうえ犬猿の仲の歩子と詩文。困ったことに2人とも同じ物件を気に入り、申し込みがダブルブッキングになってしまいました。 同じ物件に申し込みが重なった場合、対応は会社によって異なります。 申し込みの順番を優先する場合もありますし、申し込み自体には法的拘束力がないため本契約を交わした順番を優先するケースもあります。 一般の常識とは異なり驚かれるかもしれませんが、すでに申し込みのある物件に後から購入意思を示した人、すなわち「後出しじゃんけん」をした人に売ることも、法律上何ら問題はないのです。 しかし、たとえば以下のような条件で同時に申し込みがあったとします。 (A)現金支払いで即日決済可能な方 (B)頭金ゼロで諸経費込み全額ローン希望の自営業(フリーランス)の方 (B)の方はローン審査で時間がかかったり、審査が通りにくいという傾向があるのが現実。一方、(A)の方が確実に買えるお客様として、不動産会社は優遇する傾向があります。

「頭金がない」!?ウソ・ホント?頭金ゼロで家が買える?

万智は歩子を現地に案内する前に自己資金を確認し、暗算で資金計画を提案します。頭に叩き込まれているのでしょうか。まるでローン電卓ですね。 一方、庭野は資金内容を確認せずに詩文のために奔走しますが、手筈が整って改めて詩文に資金計画を確認すると、「貯金はなく、頭金なしで購入したい」と言うのです。 ここで庭野はすっかり焦ってしまいます。本来、不動産仲介会社では、銀行の事前審査をしてからでないと、購入の申し込みは受け付けません。 不動産購入には、物件の本体価格のほかに ・登記費用 ・ローンの事務手数料 ・火災保険料 と言った、いわゆる諸費用がかかります。 金融機関には本体価格のほか諸費用の分まで貸してくれる「諸費用ローン」といった商品も用意されており、融資の承認が下りれば頭金ゼロでも家の購入は可能です。 しかし、金融機関としては、借り入れ希望者に返済能力があるのかをみるため、貯金がなく、頭金ゼロまたはその割合が低い場合、審査はそれに応じて厳しくなります。

不動産会社や金融機関が一番気にする「属性」

金融機関は「勤務先の規模」「勤続年数」「年収」また「個人信用情報」などを根拠に、返済能力を有しているのかを審査します。 こういった個人の社会的・経済的な背景を「属性」といい、自営業やフリーランスの場合は収入が不安定とみなされやすいため「属性が低い」と言われ、審査が厳しくなる可能性が高くなります。 自己資金がなく、ローンの審査が下りなければ物件を購入することはできないため、不動産会社は「属性」を気にするのです。 また、他にも ・カードローンや消費者金融の借り入れがある ・キャッシングで延滞の経験がある こういった人は、「個人信用情報」にその記録が残っていることがあるため注意が必要です。

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庭野の売り上げ(仲介手数料)は228万円

すっかり売れたつもりになった庭野は、デスクの室田まどか(新木優子)に売り上げを聞かれると「228万円です!」ときっぱりと答えます。では、実際に仲介手数料を計算してみましょう。

キャビネットコート永田町 208号室 3,600万円 (同じ間取りで万智が日向に売った708号室は4,100万円で500万円の価格差)   仲介手数料は3,600万円の3%+6万円で114万円

今回、庭野は208号室の売却を考えているオーナーから物件を預かり、その物件を歩子に仲介したため、テーコー不動産の売り上げは両手仲介となります。 つまり、歩子と元オーナーの両方から同額を受領します。

ですので、114万円×2=228万円   よって、テーコー不動産の売り上げは228万円となります。

現実には仲介手数料はずっと安い場合も

ドラマの中ではこうなっていますが、現実世界では最近、仲介手数料を割引もしくは全額無料にすることでお得感を出して、不動産会社間の厳しい競争の中で、差別化を図っている会社もあります。 仮に、歩子が仲介を依頼したのがテーコー不動産ではなく、こうした仲介手数料割引の会社だった場合、支払う仲介手数料には下記のような差が生じます。

【テーコー不動産】114万円 → 【割引】57万円  → あるいは無料

※上記の表記は税抜きとなり、テーコー不動産が課税事業者である場合、別途消費税分を徴収します。

堅実な歩子なら、仲介手数料割引・もしくは無料の仲介業者に話を持ちかけられたら、そちらの物件を検討してしまうかもしれませんね。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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家売るドラマ解説

「家売るオンナ」【第5話】にみる中古マンション購入の教訓(1)―同じマンション・間取りで500万円も価格は変わるのか?

毎週水曜日午後9時から日本テレビ系列で放映の「家売るオンナ」。
第5話は「夢のように美しく、鬼のように恐ろしい」不動産会社の敏腕営業ウーマン三軒屋万智(北川景子)に、複雑な想いを抱く後輩の庭野(工藤阿須加)が、なんとか万智に張り合ってお客様に家を売ろうとするのですが…、というお話です。

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今回は、中古マンションの売買にまつわるトピックスやエピソードを、ドラマの描写に沿って、ご紹介しましょう。

「ポステイング GO!」

万智の後輩の白洲(イモトアヤコ)は、入社以来、家をまだ一軒も販売できていないダメ社員です。
屋代課長(仲村トオル)も、自分の出世が遅れつつあるのは彼女のせいではないかと、気を揉んでいます。
白州の指導を任された万智は、彼女に「築30年木造モルタルアパート」を対象に、4,100万円の永田町のマンションのチラシを配布する「ポスティング」を命じます。

ポスティングとは、各住居の郵便受けにビラやチラシを投入する広告・宣伝方法です。

折り込みチラシなどにはできないポスティングのメリット

新聞の折り込みチラシや郵便によるダイレクトメールに比べて、
・費用を抑えられる
・対象範囲を限定できる
・高齢者などにも訴求しやすい
などの理由から、多くの業界で採用されています。

ドラマ内で描写されたように物件の性質に合わせて
・賃貸集合住宅限定
・戸建て限定
・物件から半径2キロ限定
など配布対象及び範囲を限定することができるので、不動産業界では採用する会社が多いです。

ポスティングのデメリット、法に抵触する可能性も

しかし、昨今では、興味のないチラシは鬱陶しい、ゴミになる、などの理由から悪印象を持つ人も多いのが現実。
また、ドラマの白州のように、ポステイングを依頼された代行業者や従業員が、チラシを投函せずに遺棄するケースもありえるため、費用対効果が疑わしいという面もあります

しかも、他人の郵便受けに勝手に投函するという行為自体が法的な問題をはらんでいることも指摘されています。実際最高裁では

塀やフェンスで囲まれているマンションや共同住宅に立ち入ることは住居侵入罪にあたる

という判例がありました。

また、入ることを禁じられた場所に正当な理由なく立ち入ることは、軽犯罪法違反にあたるとされており、事実、管理規定で明確に敷地内でのポスティング行為禁止を明示しているマンションなども増えています。

こうした事情から、最近では大手の不動産業者はリスクを嫌い、ポスティングを敬遠する傾向があるようです。

ポスティングのみならず、ドラマの後半で白州と庭野が試みる、売却意思がないかと確かめようとする戸別質問・訪問の場合でも同様です。
マンションの入り口で住人を待ち構えて、のべつまくなしに大声で声をかけるような行為、順番に何度もインターホンを鳴らして唐突に「家を売る気はないか」と尋ねるような営業活動は、さすがに今日は影を潜めています。

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購入申込書に法的効力はない?

ポスティングされたチラシを見て物件を気に入った地味な独身OLの草壁歩子(山田夏歩)は、万智の担当となり、購入申込書を記入します。
一方、勝気な独身フリージャーナリストの日向詩文(ともさかりえ)も、庭野に案内された同じ物件を気に入り、会社に戻って購入申込書に記入しようとしますが、一足遅く、すでに草壁が申し込んだ後でした。

仕事上のつながりから草壁を元々知っていて嫌っていた日向は意地になり、「購入申込書に法的効力はないでしょう。私が買いますから、なんとかしなさいよ!」と万智や庭野に詰め寄ります。
ここで万智は「確かに法的効力はありません。ですが、順番は順番です」と突っぱねます。

不動産の専門家の万智も「ない」と認めてしまっているのですが、購入申込書には本当に法的効力はないのでしょうか?

不動産購入では「宅建業法」>「民法」なのです

不動産の購入申込書は買付証明書ともいわれ、購入の意思表示のため、買主を特定する住所・氏名や、物件を特定する住所、購入希望金額、その他の契約条件などを書面にして売主に提出するものです。

民法では契約の意思表示をし、双方がそれに同意すれば契約は成立しますので、法的効力があるようにも思えます。

しかし、宅地建物業者が土地・建物を販売・仲介する場合に適用されるのは、宅地建物取引業法。
この法律では、

買主の利益の保護のため、契約の前に重要事項について、宅地建物取引士が書面をもって説明しなくてはならない
(宅地建物取引業法より)

と定められています。また契約が成立した場合は契約書を作成し、宅地建物取引士が記名押印をするよう定めています。

ドラマのように、こうした手続きを経ていない段階では、購入申込書は単に買主が購入希望の意思を表明したものであり契約とはいえない、とみなされます。
「順番は順番」という万智の主張のような交渉優先権すら、この法律では保護されていません。従って、法的には効力がないという日向の主張は正しいものです。

そうはいっても常識は常識です…

これまで述べたように、契約が締結される前であれば、たとえ購入申込書が提出されていても、業者は他の買主を優先して契約しても良いし、一方で買主が契約をやめることも自由です。

とはいえ、一般的なモラルから考えると、購入申込書の提出をした順番を優先する方が、普通の考え方といえます。
法律よりも常識に沿って行動する方が会社の信頼度を上げ業績の向上にも繋がると考え、できるだけ購入申込書の提出順序を尊重するようにしているのが、業界の常識といえるでしょう。

7階と2階、同じマンション・同じ間取りで500万円も価格が違う?

草壁と日向が同じ物件を気に入ってしまったため、日向に「なんとかしろ」と言われた庭野は、苦心の末に同じマンションの2階の部屋も売却物件とすることに成功します。
500万円も安い値付けとなったため、それを理由に草壁に2階の部屋を売り込み、7階の部屋は日向に売り込むこととなります。
でも同じマンション、同じ間取りで、階数が違うだけでそんなに価格が変わるものなのでしょうか?

答えは「YES」です。新築分譲マンションなどのチラシを詳細にご覧になったことのある方はよくご存じでしょうが、不動産の価値は相対的なものです。
同じ東京都内でも、銀座と錦糸町の土地の価格が違うように、同じマンション、同じ間取りでも部屋によって価格が違うことは、むしろ当たり前といえます。

価格を決める大きな要因は「人気」です。通常、マンションの価格が高い順に並べると以下のようになります。

(1)「眺めがよい、日当たりがよい」などの理由で人気が高い高層階や角部屋

(2)「出入りが便利、専用庭がある」など特別な条件のある場合

(3)中層階はそれらに比較して安値となる

その他南向きである、日当たりが良いなどの多くの人が価値を見つけやすい条件を備えている物件が、自ずと価格が高くなると考えて良いでしょう。

しかし、家に求める価値というのは、人それぞれです。
「眺めが良い」という点に500万円の価値を見出す日向のような人は多いかもしれませんが、それよりも「500万円安い」「壁紙を自分の好みに変えられる」ことに価値を見出す草壁のような人もいます。
どちらが価値のある家だということは一概には言えないものなのかもしれません。

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ドラマでは、一度は購入を取りやめた草壁と日向ですが、万智の演説により、自分の生き方を振り返り、それぞれの価値観に沿って家を購入することとなりました。昔から「断られてからが営業」とよく言われてきましたが、状況を整理して買主の本心を引き出せた結果、全員が幸せになれたことは素晴らしい成果でした。
今回も敏腕ぶりを発揮した万智ですが、ドラマの最後では自身の壮絶な過去を語り始めます。今後の展開がますます気になりますね。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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家売るドラマ解説

「家売るオンナ」【第5話】解説こぼれ話―契約直前で「止めます」と言われる営業マンの悲哀

2016年夏の人気テレビドラマ「家売るオンナ」。
テーコー不動産営業マン・ウーマンたちの人間関係に少しずつ動きが出てきた第5話。今回も中古マンションの売買にまつわる業界の裏話をご紹介していきます。

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「マンション買うのやめます」揺れ動く顧客の気持ち

一般の消費者にとって、不動産購入は人生で一番大きな買い物で、初めて購入するという方がほとんど。無事に引き渡しを終えるまで、とにかく不安でいっぱいです。

なので、昼には満面の笑みで「絶対に買います!」と言っていたお客様から、夜遅くに断りの電話をいただいたことは何回もあります。
われわれ不動産仲介業者にとっても、契約締結までは一時も気を抜けないのです。

申し込みまでは購入に前のめりになっていた詩文と歩子ですが、心境の変化から、2人とも庭野に断ることを伝えます。

自信と喜びに満ちている庭野に、「本契約まで気を抜くな!」と叫ぶ万智はここまで見越していました。断りが入ることなど想定内なのです。

本当の営業はここから。不安に飲み込まれたお客様をどのように安心していただけるまでお導きするかが、営業マンの腕の見せどころです。よく言われる「断られてからが営業」というやつです。

「アリとキリギリス」、お客様はどっちのタイプ?

歩子と詩文それぞれに対し、万智は「アリとキリギリス」のイソップ寓話を引用し、まったく異なるアプローチで最後の営業攻勢をかけます。

校閲部で真面目にこつこつ働く歩子には「あなたは勤勉なアリだ、日本の美徳そのものだ」と。
一方の詩文に対しては「歌うべき歌を歌い、誇り高く使命を果たし、今この瞬間、命を謳歌するキリギリスだ」と語ります。

アリとキリギリス

相手によって価値観を柔軟に言い換える万智の営業トークは、頭の中だけで都合よく考えているのではなく、彼女自身の幸せを心の底から希求する人生観に基づいたものなのかもしれません。

人の生き方に優劣はなく、それぞれがいろいろな事情を持ち、自分なりに一生懸命生きている中で、心の底から「家が欲しい」と思っている。
そんな一人一人の気持ちを、万智は決してないがしろにはしません。

全ての人の生き方に価値を見出すことができる柔軟性は、万智の営業姿勢の大きな礎となっているところです。

庭野との帰り道、店の軒先で雨宿りをしているときに万智はふと、自身に辛い過去があったことを明かします。
「何があってもあの時以上に辛いことはない」。
こんな信念から生まれた万智の前向きさは、客に懐の深さを感じさせ、心を打つのかもしれません。

営業マンを育てるのは社内の先輩・上司だけではない

庭野は詩文に「何とかしろ」と迫られて、同じマンションに売り物件がないかを探しに行きます。
同行していた白洲美加(イモトアヤコ)は、居住者のおばあちゃんに雑用を頼まれますが、途中で投げ出し庭野に押し付けてしまいます。
庭野はけなげにおばあちゃんに言われるままに雑用をこなし、雑談につき合うのですが、おばあちゃんは突然、「この家を売りたい」と言いだします。

この場面には、われわれ営業マンにはとても感じるものがありました。

「ウソかホントかわからないけれど、あんたからなら買うよ」。お客様との信頼関係を構築できた結果、こんなふうに言ってもらえた経験が蓄積するたび、それらは営業マンの人間的魅力となり、営業力を重厚なものにしていく。

この仕事の醍醐味が、ドラマでしっかり描かれていることに大きな感動を覚えました。

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不動産営業を通じて成長する姿も見ものです

「家を売ること」への強い思いの理由が徐々に明かされていく万智、そんな万智のことが気になる庭野。その気持ちは庭野をどこへ引き上げていくのでしょうか。

当たりの客にたまたま出会うなど何かと「引き」が強いのに、自分で全く生かせていない白洲。
知らず知らずのうちに万智の影響を受けている屋代課長(仲村トオル)。
トップの座から転落中の足立(千葉雄大)は、全員が帰った後も遅くまで仕事をしていますが、回を追うごとに大きくなってくる万智の存在感に明らかに焦りとストレスを感じています。

オーバーな表現や、テレビドラマならではのご都合主義的な展開ながら、営業マンや客の心理描写については些細な部分にリアリティが差し込まれていて、われわれ本職もうなる「家売るオンナ」。今後の展開も見逃せません。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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「家売るオンナ」【第4話】にみる不動産仲介ー婚活下手でも3億で家を売る手腕

不動産会社のスーパー営業ウーマン三軒屋万智(北川景子)が、「私に売れない家はありません!」とプロ意識に満ちた言動と奇想天外な切り口で家を売りまくる痛快お仕事ドラマ「家売るオンナ」(日テレ系水曜ドラマ)は、視聴率平均12%と高い人気を維持しているようです。

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第4話は、万智を取り巻く今後の恋模様を期待させるお話です。万智が意外にも結婚願望が強いことや、同僚たちがほのかに万智を意識し始める様子がコミカルに描かれています。「家を売る」部分は、前回までと比較すると少なくなりましたが、今回もドラマの内容を振り返りながら、不動産業界の実情をご紹介しましょう。

お金を持っているかどうかは、外見ではわからない!

万智の後輩で新人の白洲美加(イモトアヤコ)は酔いつぶれた公園でホームレス風のおじさん、富田(渡辺哲)と知り合います。
富田は次の日に会社を訪ねて来て「家を買ってやろうか」と言いますが、白洲は本気にせず追い返してしまいます。
それを見た万智は「お金を持っているかどうかは外見では分からない!お前は家を買いたいという人を追い返したのか!」と怒鳴り飛ばします。

現実の不動産営業でも、お客様の外見や身なり、年恰好などから、このくらいの金額の物件なら買ってくれそうだ、これは手が届かないだろう、などと第一印象で紹介する物件の価格レベルを判断してしまうことがあります。
ベテランの営業マンほど、自分の経験による判断基準を持っているので、その傾向は強いかもしれません。
ホームレス風のおじさんというのは極端な例ですが、ほとんどの営業マンは丁重に追い返してしまうことでしょう。

しかし、売主様と買主様の双方が満足する物件選びをサポートするためには、やはり外見や第一印象ではなく、
何度も会話を重ねて信頼関係を築き、お客様の事情を的確に把握していくことが重要だといえます。

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融資が下りない場合は? ローン条項の規定について

不動産会社が買主様の経済状況にも不安がないと判断し、契約を締結しても、銀行や金融機関から融資の承認が得られずに取引が流れてしまう、ということも現実にはあります。
そのため、買主様が融資を利用して購入資金を手配する場合、売買契約書には
「融資の全部又は一部について承認が得られない場合、買主は一定の期日内であれば契約を解除できる」
という内容の特約条項を盛り込んでおくのが一般的です。
これがいわゆる「融資利用の特約」いわゆるローン特約です。

この特約によって契約が解除された場合、契約は無かったことになりますので、買主様は保護され、売主様や仲介会社は、すでに受領した手付金や仲介手数料を無利息にてすみやかに返還しなければなりません。

一方で、買主様側の権利の乱用を防ぐために、融資の承認が得られるように努力する義務を負うこと、利用する金融機関・融資金額・融資承認期日等を明記することが求められます。

屋代課長は営業マン失格? 不動産業者に求められる役割

屋代課長(仲村トオル)は、長年の上得意である高級料理研究家の沢木峰乃(かとうかず子)に7億円のマンションを勧めていました。
屋代課長はかつて、沢木に自宅や投資マンションを何軒も買ってもらっています。
しかし、沢木は現在、本業が不振に陥り、新規購入どころか破産寸前。投資物件は全て売却済み、自宅も売却したいと打ち明けられてしまいます。

ただ、こんな場面は現実ではありえません。あくまでテレビ的なデフォルメと思ってください。
自宅のみならず、何軒も投資物件を自社から購入いただいた投資家に対し、運営状況のヒアリングや、定期的な情報交換、資産の置き換えの提案といったフォローアップをしない会社があるとは、いまや考えられないからです。

現代の不動産営業は、お客様に対してプロとしての助言や情報を提供し続けることで、お客様の利益をサポートする役割が求められています。
単なる売買の仲介者から、不動産投資・資産管理のコンサルティングパートナーに変貌したといえます。

屋代課長が沢木に対して「親しいお客様」だからと甘えていないで、仕事として真剣に取り組んでいれば、沢木の現況を把握することができ、投資マンションの売却を引き受けるなど早い段階から力になれたかもしれません。

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17年間で3億円の物件が1億5千万円に値下がり?

不動産営業マンとして沢木と接することを怠ってきた屋代課長は、沢木に「17年前に3億円で購入した自宅をいくらで売却できるか」と聞かれ、1億5千万円でなら何とか、と答えるのが精一杯でした。当然、正式な査定ではありません。

ところで、17年前といえば、1999年。すでにバブルは崩壊し、不動産価格は底値といわれた時代です。そんなに値下がりしてしまうものなのでしょうか?

物件はいくつもの部屋があり、窓から富士山が見えて、豪邸が立ち並ぶことから都内の西側である世田谷区か渋谷区の立地、庭付きで土地坪数100坪の一軒家、ということで想定してみました。

1999年の公示価格、平米当たりの平均

  • ・世田谷区:536,200円
  • ・渋谷区:733,800円

100坪に換算すると

  • ・世田谷区:約1億8千万円
  • ・渋谷区:約2億4千万円

新築時の価格はざっくり土地2億円、建物1億円の物件だったとしましょう。

これに対し、今年の公示価格は平米当たりの平均

  • ・世田谷区:544,100円
  • ・渋谷区:1,054,000円

と値上がりしています。渋谷区だったとすれば、土地評価は1億円以上値上がりしていてもおかしくありません。

建物の価値はゼロと厳しく査定しても、この物件に関していえば1億5千万円の値下がり査定は、ちょっと弱気すぎるといえます。

さて、ここにきてようやく、例のホームレス風おじさんの富田が出てきます。

万智は富田に沢木の自宅を紹介します。実は富田の正体は、電気釜が主力製品の電機メーカーの会長であり、死ぬ前に食べたいものは白い飯というほどのご飯好きでした。
沢木の自宅の台所に昔ながらの釜戸があることに感激した富田に価格を聞かれた万智は、「3億円です!」とズバリ言い切りますが富田は快くOKし、見事沢木の自宅を売ることに成功します。

ここで疑問なのが、そもそも1億5千万円の物件を、勝手に営業マンが3億円まで値上げしても良いのでしょうか?

宅地建物取引業法では、不動産会社は、

  • 売主の物件の売買を仲介する際には、物件の売価を明記して媒介契約を締結すること
  • 物件の売価に意見を述べる際は根拠を提示すること
  • 売買契約を締結する前には重要事項として売価を書面で買主に提示して説明すること
  • 契約のために重要事項説明書と違う内容を説明してはいけないこと

などが規定されています。つまり売買は、売価を含め売買の当事者が決めることであり、不動産会社は、売主様の合意が無ければ勝手に希望価格を変更することは、本来できないのです。

ただし、今回のケースは、

  • 沢木の利益を損なう価格提示ではなく、むしろ歓迎される内容であったこと
  • 富田に対しての最初の価格提示であり不当に価格を釣り上げたとはいえないこと
  • 重要事項説明書などによる書面の交付は今後であること

などを考慮すると、未公開の状態ということを大前提に考えれば、問題になることはないでしょう。
そもそも1億5千万円という屋代課長の査定が「?」だったと思えば、3億円が適正な価格だったのかもしれません。

「私は不動産屋です」

富田の職業や嗜好を見抜いて3億円の売買を見事に成功させた万智。最初から富田のことを知っていたのかと無邪気に尋ねる後輩の庭野(工藤阿須加)にこう答えます。

「私は不動産屋です。総資産ランキング上位者の顔くらい頭に入っていて当然です」

すみません。私もそこまでは頭に入っていません。万智ほどのスーパー営業ウーマンなら当然なのかもしれません。不動産会社の営業マンならそこまでやって当然と思われるのは、勘弁です(笑)。

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この番組を観た視聴者の方から「私もあんな人(万智)に家を売ってほしいわ」といった羨望とため息が交じり合った感想を聞くことがあります。不動産仲介現場の敏腕の「家売るオトコ」たちからも、「あの提案力は凄い」といった声も聞かれます。
ドラマの話と一笑するのは簡単ですが、この番組が高視聴率を維持する背景には、スーパー営業ウーマンで婚活を取り組む万智の姿には、時代が求める新たなヒーロー像があるのかもしれません。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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「家売るオンナ」【第3話】にみる不動産仲介(3)―カップルが買う都内中古マンションの相場は?

前回は、夏木桜(はいだしょうこ)と保坂(中野裕太)のストーリーから、保坂の売却物件までを見てきました。今回はさらに、桜と保坂のお話に焦点を合わせながら内容を分析してみたいと思います。

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2LDKは同棲カップルに人気の間取り!

「ライフスタイルの違う2人が一緒に暮らすためには、空間をきっちり分ければよいのです」

万智の言うとおり、空間を確実に分けることができるため 、同棲がうまくいく間取りとして人気の高いのが2LDK。 お金のない若いカップルがワンルームで同棲するケースも多いですが、付き合い始めの燃え上っている頃はいいものの、喧嘩をしたときに一人になれる空間がないことで関係が長続きせず、同棲解消となることも少なくないようです。 人間づきあいにも、ひいては人生にとっても、間取りはとても重要なのです。 最近増えているDINKS世帯(子供を持たない共稼ぎの夫婦)にも2LDKは需要があり、人気を高めています。 今回、夏木と保坂が購入を決めた狭小住宅を1階と3階、すなわちフロアで仕切るという方法は、提案力に満ちた仲介でした。

この2人がもしもマンションを買ったなら

物件の傾向はエリアによってかなり違います

3000万円前後で2LDK以上のマンションを探すとなると、実は現在2人が住んでいる中野区でも、同価格帯で築浅の中古マンションが出ていますが、物件数が多くて選択肢が広がるのは江東区、墨田区などの城東エリアです。 いずれも夏木の勤め先である六本木までの通勤時間は東京メトロ利用で平均して40分前後です。新築・築浅よりも築30?40年のリノベーション物件が多い印象です。 テーコー不動産は桜のマンションの売却も引き受けています。桜のマンションは御茶ノ水のワンルームマンション(5階)です。 さて、御茶ノ水周辺の現在売出し中の物件をざっと見てみました。 現在売出し中の物件をざっと見てみると、御茶ノ水周辺の中古マンションはファミリータイプの方が多く、ワンルームは希少性があり、一人暮らしの購入者様も多いため、早期の売却が見込めそうです。 なお、周辺の類似物件の売出価格は2,000万円台前半から2,700万円程度の相場です。 売出価格は成約価格ではありませんから、実際にこの価格で売れる保証はありませんが、実際に2,000万円台で売却できる可能性は高いです。

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2人で購入資金を出し合うのはどうかというと…

もし、夏木の自宅が売れた費用を上乗せして、2人で購入資金を出し合い、予算を5,000万円台まで伸ばすことができます。 そうしたら2,980万円の狭小戸建てと言わず、六本木まで通勤しやすい渋谷区、目黒区等のさらに立地のいい都心の駅近2LDKマンションの購入も可能でしょう。 しかし、この先2人に何があるかは分かりませんし、またいつ別れるかも分かりません。結婚の約束でもしない限り、資金を出し合って購入するのはやめておいた方がよさそうです。 さらにいうと、上記のような提案では中野区弥生町の狭小住宅は売れ残ってしまうかもしれません。そうなると、せっかくの難しい物件販売の機会を損失してしまい、結果的にテーコー不動産新宿営業所が困るという訳です。

さて、今回の仲介手数料はいくらくらい?

保坂の仲介手数料は?そして両手仲介だとしたら…

それでは、保坂が弥生町の狭小住宅(2,980万円)を購入する場合、テーコー不動産はどれくらい仲介手数料を取ることができるか、シミュレーションしてみましょう。 法定上限となる一般的な仲介手数料の額は、その物件価格の3%+6万円で計算することができます。 2,980万円の3%(89.4万円)+6万円=95.4万円 つまり、保坂がテーコー不動産に払う仲介手数料は、95.4万円。 一方、手数料は物件の売主(オーナー)からも得ることができます。 そして今回の物件は、現地販売ウィークということで、テーコー不動産が、売主様と専属専任(もしくは専任)媒介契約を結んでいる、会社のプッシュ物件と思われます。 売主様と専属専任媒介契約を結んでいる物件は、売れた場合に買主様からだけではなく、売却の依頼を受けた売主様からも報酬を受け、テーコー不動産はダブルで報酬を得ることができます。これを業界用語で両手仲介と呼び、儲けのカラクリでもあります。 この取引によるテーコー不動産の売り上げは、95.4万円+95.4万円=190.8万円となります。

仲介手数料無料、または割引の場合は…

最近では、企業努力によって仲介手数料を割引、もしくは全額無料にすることでお得感を出して、不動産会社間の競争の中、差別化を図っている会社もあります。 仮に、保坂が仲介を依頼したのがそういった会社だった場合、支払う仲介手数料は

(1) 仲介手数料割引の場合・・・・47.7万円(差額47.7万円)
(2) 仲介手数料無料の場合・・・・0円(差額95.4万円)

となります。金額にして改めて考えるとかなり大きいですね。 ※今回の仲介手数料の表記は税抜きです。通常は消費税を含む金額を受領します。 またしても万智の手腕を間近で目の当たりにすることになった庭野。「家を売る方法を勉強させていただきたい」と同行する庭野を、意外にも万智は追い払いません。

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(まとめ) 庭野のこの経験が、ドラマ終了までに庭野の中でどう生きてくるのか、それともそんなところは描かれないのか分かりません。 ただ、やや単純だけど実直で良心的な庭野が、お客に寄り添う気持ちはそのままに、万智の手腕を吸収して提案力のある営業に成長したら…。 もしかしたら彼は、万智をも凌ぐスーパー営業マンになれるのではないかとも思います。 一方の万智も、お客様や新宿営業所の営業マンたちとの日々を通して影響を受け、変わっていくのか、それとも変わらずに自分の道を突き進むのか? そこもまた見どころです。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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「家売るオンナ」【第3話】にみる不動産仲介(2)―断られても「想定内」 物件と人生のマッチング

大人気の「家売るオンナ」、今回は第3話のストーリーをなぞらえながら、その内容を実際の不動産仲介の現場と照らし合わせて検証していきます。読みどころたっぷりの3回に分けてお届けします! 今回は中編です。

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現地販売ならではの戦略

現地販売ウィークに突入したテーコー不動産。

  • 中野坂上:サンルームのある高級戸建て
  • 新中野:外国人向け2バスルームマンション
  • 中野区弥生町:狭小住宅

課長の矢代大(仲村トオル)は、これらの物件を、現地販売会を催して集中的に販売しようと試みます。
物件ごとにメンバーを振り分けるなか、主人公の三軒家万智は課長と一緒にフォローを命じられます。

そんななか、テーコー不動産に現れたのは、歯科衛生士の夏木桜(はいだしょうこ)。自宅の売却と新規の購入依頼を受けた万智が夏木の自宅に内見に出向いたところ、そこは、物があふれかえり、ゴミ屋敷のような状態でした。

ほどなく、同様に別の物件の売却と新規の購入依頼が飛び込んできます。いわゆる「捨てられない女」の夏木とは正反対に捨てまくる「ミニマリスト」、保坂(中野裕太)でした。

正反対の性格の夏木と保坂。凄腕営業ウーマンの万智は、とある思惑にそって2人を引き合わせます。
この2人はなんと元恋人同士だったのです。再会した2人は復縁をしますが、ライフスタイルと性格が全く違うためにまたしても破局。

あたふたする同僚の庭野聖司(工藤阿須加)に、万智は「これでいい。想定内です」と答えます。

断られてからが本番。
「まわし物件」を見せて、本命物件を決める

万智に余裕があるのは、別の作戦があり、断られてからが本当の営業のスタートだと思っているからです。

  • ダメな物件を見せてから良い物件を見せる
  • 同じ物件でも短所を伝えてから長所を伝える

このように、最初から売るつもりのない物件を見せてから、次に本命物件を案内するといった手法は、昔から不動産仲介ではよく使われています。今でもおこなっている会社もあります。一度気持ちを落としてからまた盛り上げて、その勢いで決めさせるのです。(もちろん、当社では一切このようなことは行っておりません。)

「自分で選んだ」という物語をつくる

不動産販売では、一度断るというステップを踏んでもらい、最後にはお客様自身に「自分で決断した」という感覚を持ってもらうことが重要です。

不動産会社の営業マンに物件を案内してもらったことのある人は、いくつかの物件を見比べることで、そのうちの1つの物件がとても良く見えてきたような…そんな経験をしたことはないでしょうか?

この、良い物件を見せる前に案内する物件を、業界用語では「まわし物件」といいます。

今回の売り方は、「まわし物件」を見せただけではなく、万智自身が占い師に扮してもう一押しするという現実離れした心理作戦をとりましたが、最終的に保坂は弥生町の狭小住宅を購入し、夏木と暮らすことを決意します。

買い手の心理を巧みにつかむ万智のテクニック

つい親身になってあれこれ感想を持ち、時にはお客さまに意見してしまう庭野と対照的に、万智は買い手の意思をあくまで尊重し、否定的なことは言いません。

第2話のひきこもりのヨシキに対してもそうでしたが、今回も物を捨てられずに恋人から捨てられてしまった夏木に対し、万智は

  • 「夏木様が変わる必要はありません」
  • 「あなたはあなたのままで」

と包み込むようにお客様を肯定します。

こうして万智は、一見買い手の心を尊重しながら自分のペースに徐々に乗せていき、思い通りのシナリオを完成させ、契約を獲得します。
家を売ること以外は「知ったこっちゃない」という万智の一見、暴言に思えるような発言に動揺する庭野。実は彼は、テレビの視聴者に近い感覚を持つ人物のようにも思えます。

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都内に多い狭小住宅の特徴と現実

比較的安価、だけど売りにくい狭小住宅

東京都内には30坪に満たない狭小宅地や、四角ではなく変形していたり、細長かったりする変形宅地が多く存在します。
住宅需要の高い都心部や、都心までのアクセスの良いエリアには、そういった狭小地や変形地の有効活用として建てられる戸建てのことを指して「狭小住宅」と呼びます。

狭小住宅は土地面積が小さいため、立地が良く、土地代が高いエリアでも、取得費用が安く済みます。

ですが、4人家族等のファミリーなど一般の人はなかなか手を出さないため、客層が限定されることもあって、売る側にとっては「売りにくい」「難しい」物件という認識が強いのです。

万智がミーティングで「宅間さん(本多力)と白洲美加(イモトアヤコ)にこの狭小住宅(を売るのは)は無理です」と言ったのもそのためです。

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保坂の売却物件はズバリこんな家!

保坂が売却を依頼する自宅は、所在地は明言されていませんが、ダイニングだけを見ても20帖近い広さがありながら庭付きです。土地面積も、建売でよくみられる30坪以上は優にありそうです。

築年数は経っていそうですが、エクステリアや室内の造作を見る限り、注文住宅でしょう。大型のダイニングに加え主寝室は10帖と広く、また居室が数部屋あるようです。少なくとも3LDKはあるのではないでしょうか。

保坂の売却、買い替えシミュレーションは…

保坂が買い替える狭小住宅は2,980万円。購入の際にかかる諸費用を考えると、手持ちで3,500万円程度の現金があれば無理なく買い替えができそうです。

新宿営業所に問い合わせをしてきているところから、保坂の自宅は新宿付近と思われます。
都心近郊エリアで同様のスペックの中古住宅を売却すると、相場から、3,500万円以上の価格で売却することができそうです。
自宅の売却費用で、新しい物件の購入資金2,980万円+諸費用は、すべて賄えることでしょう。
詳しくは、第三話の(その3)に続きます!

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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「家売るオンナ」【第3話】にみる不動産業界のウソ・ホント(1)ー1,000万円の即決値引きはあるのか?

2016年の夏クールで放送中の日テレ系水曜ドラマ『家売るオンナ』。北川景子さん演じる三軒屋万智が、テーコー不動産新宿営業所の営業チーフとしてクールかつ独特の手法で不動産物件を売りまくる姿を、時にコミカルに、時にシリアスに描くお仕事ドラマです。第3話のテーマは「現地販売」。今回もドラマのストーリーに沿いながら、不動産仲介営業の現実について、所感を交えながらご紹介します。今回は3話の解説の第一弾です!Basic RGB

現地販売で1,000万円の値引きを即決ってあるの!?

今回まず取り上げる1件目は、エリート営業マンの足立(千葉雄大)が担当した現地販売物件。売り出し価格1億1,000万円でサンルームのある邸宅。

訪問したマダムがとても気に入って「1億円なら買う」と言い出します。すると、さすがエリート足立。すかさず、きっぱりと「現金なら1億円で!」と言って、購入申込書にサインをもらいました。

でも、少し冷静に考えてみましょう。1,000万円の値引きって、そんなに簡単にできるのでしょうか?

結論から言うと、あり得ますが…

通常、売り出し価格は査定に基づいて売主様と相談の上で決定します。
実はその際に、あらかじめ値引き可能額を合意していることもあるのです。今回の1,000万円の値引き額がその範囲であれば、この場合は問題ないことになります。

また不動産売買、特に自宅の購入にあたっては住宅ローンを利用する買主様が多く、その場合には金融機関による審査があります。従って購入の申し込み・契約から実際の決済まで通常1?1カ月半程度はかかり、審査の結果によっては契約が成立しないこともあるわけです。

そのため売却代金を早期かつ確実に入手できるという売り手側のメリットを考えると、現金決済は値引きの材料になり得るので、こういったことも考えられるのです。

でも実際はさすがに、滅多にありません

しかし、売主様が入手する実際の金額は売買金額そのものであり、現金決済でも住宅ローンを利用しても、その金額は変わりません。

「他に買主様が現れない、なかなか売れない物件だ」という状況でもないかぎり、住宅ローンを利用することが大きなデメリットになるとは考えにくいわけです。

ですから、現金決済だからといって、即決で1,000万円の値引きをしなければならないとは思えません。

今回のケースのメリット・デメリット

売主様にとって今回のケースには、メリットとデメリットの両面があります。

メリット
売却が早期かつ確実になる点です。まとまった金額を早く手にすることができるし、「物件の売却」という大きな問題が解決されれば安心できますね。
デメリット
一方で、売り出し価格のまま値引きせずに販売できるかもしれない可能性を、販売開始わずか1日目で断ち切ってしまうことは、大きなデメリットです。
1億1,000万円で売れるかもしれないのに、いかに合意のうえとはいえ、本人の知らないところで1,000万円も値引きされてしまったとしたら、後でトラブルに発展する可能性が大いにあるわけです。

お値引きには戦略が重要です!

従って、いかにエリートといえども、一介の20代の営業マンに1,000万円もの値引きの裁量権を与えるとは、通常では考えられません。

現実的な視点で、足立の営業トークを考えてみると、
「現金であれば、1千万円の値引きが可能かもしれません。
しかし、正式な回答は売主様と上司と相談してからご連絡を差し上げます。
まずは購入申込書の備考欄に、値引きのご希望金額を添えてご記入いただけますしょうか
と言うのが妥当な線でしょう。「お客様のご希望の条件」として会社に交渉する。それなら現実的にも考えられる方法ですね。

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人気のない物件が、キャッチコピーとSNSでの拡散で超人気に…?

万智のSNS作戦が大成功!!さすがSNS!?

2件目の現地販売の物件は、外国人向け2バスルームのバブリーなマンション。
一時期は一国の大使が所有していたような高級マンションですが、今や設備が過剰なところが不人気の原因となってしまっている物件です。

ところが、万智のアイデアで、電話での問い合わせが殺到する超人気物件に!2バスルームという特徴をバブリーと捉えるのではなく高い機能性と捉え、
「トイレやお風呂が渋滞する大家族にお勧めの物件」
としてSNSで拡散した結果、話題の大人気物件になり、さすが万智!というわけなのですが…。

これは「ない」でしょう…

例えばまったく引き合いのなかった中古住宅に「古民家カフェなどへの転用に最適!」等のキャッチコピーを付けることによって、売却が決定するようなことは実例としてあります。
物件の特徴を把握した上で、視点を変え、強調するセールスポイント、ターゲットを変更する
ということは、販売戦略の上で重要なことでもあるのです。

また、多くの不動産会社が自社のホームページを活用したり、スマホのアプリを開発するなどして、SNS上でも販促活動を実施しています。これからの時代、その役割は重要性が増していくでしょう。

しかし、ある営業マンが販売物件のキャッチコピーを変えたぐらいで、SNS上で、すごい勢いで拡散していき、「問い合わせが殺到!」というのは現実的ではありません。
特に今回のような「2つのバスルームがあって、トイレやお風呂が渋滞する大家族にお勧め!」という訴求ポイントは、一般の方が興味を持つほどの話題ではないですし…。

主演の北川景子さんぐらいの有名人が、自身のツイッターで「大家族の方は、あの物件は一見の価値ありです。私もいるからぜひ見に来てください。」とでもつぶやけば別でしょうが(笑)。

4坪の狭小住宅をシェアハウスとして販売

第3話の最後の現地販売物件は、なんと4坪という狭小敷地に建つ2DKの3階建て住宅です。
あまりにも狭くてお子様のいる家族向けとは言い難く、なかなか買い手がつきません。

2件の運命的な売却依頼は…

一方、万智の元には、2件の売却依頼が舞い込みます。
1件は、いわゆる「捨てられない女」が所有するゴミ屋敷と化したマンション。もう1件は、身の回りのものはパソコンと段ボール箱ひとつという究極の「ミニマリスト男」が不要とした邸宅です。

万智が2人を引き合わせたところ、偶然にも彼らは元恋人。再会を機によりを戻すことを決意した2人は、彼氏が彼女のマンションを購入し、同居するということで合意するのですが、断捨離は進まず、決裂してしまいます。

そこで万智は、この狭小住宅を非常に効果的に紹介。

  • 1階の3畳の洋室は彼氏の部屋
  • 3階の広め(といっても6畳)の部屋は彼女の部屋
  • 2階のDKで愛を育む

という提案をし、双方に受け入れられたのです。
現地販売物件は彼氏が購入し、さらに両者の所有物件が売却案件となる。この案件は、お客様にとっても不動産会社にとっても丸く収まる大団円を迎えました。

専門家も見習いたい、万智の機転は満点!

狭小住宅の1階と3階をそれぞれのプライベート空間とし、DKを共有スペースとしてシェアするという発想は、なかなか見事で感心させられました。
「狭い」ということに捉われてしまう物件ですが、シェアハウスとして利用することで新たな付加価値を創造したといえます。

仮にこのカップルが購入しなくても、収益物件として販売することも可能でしょう。

「私の仕事は家を売ることです」凄まじい万智のプロ意識

このドラマでは、主人公のキメ台詞として、

  • 「私が売ります」
  • 「すべて私にお任せください」
  • 「この家売りました」
  • 「私の仕事は家を売ることです」

等、プロ意識に満ちた言葉が、力強く語られます。
荒唐無稽な手法や性格はともかく、このプロ意識はすべての不動産営業マンに求められるものだと思います。

 

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今後「家を売るのは個人の仕事」、「家を売った後のことは私の知ったことではない」といった主人公・三軒家万智の寂しくて頑なな考え方が、周囲の登場人物との関わりの中で、いかに成長していくか期待したいところです。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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「家売るオンナ」【第2話】にみる不動産業界のウソ・ホントー長所・短所は見方しだい

2016年夏、北川景子さん主演で始まった日テレの新ドラマ「家売るオンナ」。第2話でも、不動産売買仲介の営業経験者の筆者が、そのウソとホント、そしてちょっとした裏話を交えてご紹介したいと思います。

家売るオンナのサイトはこちらをご覧ください!

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売却物件の査定方法は簡単ではありません!

平日なのに4件もアポが取れている万智(北川景子)ですが、週末でもないのにこれだけの商談があるというのは、並大抵のことではありません。すごいですね…。

サクッと査定を終える万智ですが…

アポのうちのひとつは、お付き合いのあるお客様からの売却依頼物件2部屋の内見。家の中を軽く確認し、2LDKを2,500万円、1LDKを2,000万円と査定します。あれくらいスピーディーにできれば物件査定も楽ですが、このくだりは完全にフィクションです。

実際の査定は調査を重ねます!

確かに、現地の確認だけであればものの数十分で終わります。しかし実際に売却物件を預かる際には、不動産営業マンは専門的な立場から物件が売れそうな価格を査定します。

そしてそれ以外にも法務局で権利関係、役所では法規制の確認、さらに類似した取引事例などを調査したうえで総合的な判断に基づき査定価格を報告するのが一般的です。

このように、価格の査定は様々な専門的調査の結論なのです。決して現地の内見だけで直感的に出せるものではありません。

物件の短所は長所に。
新しい魅力、価値観の提案が大切

不動産物件は工業製品と違い個別性が高く、また利用する目的によって長所も短所も変わってきます。

誰かにとっては魅力のない物件であっても、他の誰かにとっては条件にぴったりの運命の物件だった…まるで小説のようですが、そんなことが日常的にあります。

今回のストーリーは、不動産会社の営業マンに求められる重要なスキルである「価値の解釈の提案」がテーマとなっていました。

ヨシキのひきこもりの城マンション

売却の相談を受けた部屋を内見した三軒家万智(北川景子)は、物件の特徴をざっと把握します。

2つの部屋が隣接した特殊な物件。ですがこの点を、ひきこもり大家ヨシキ一家にとってはこれ以上ない最高の物件として説明します。

短所→長所の転換ポイント

1階の共用エントランスに近い物件は、人の出入りが落ち着かない、音がうるさいなどと敬遠するお客様も多い。
玄関から出てすぐに荷物を受け取ることができる。
家の外と中をつなぐ玄関が雑然としていて印象が悪い。
奥様の意向に配慮しつつ、部屋の中への期待が膨らむようホームステージングを提案。
前に住んでいた人の造作が残っている。
ボルタリングの壁はひきこもりの運動不足解消に最適であり、さらに壁厚が防音にもつながることを伝え、前に住んでいた人の気配を物件の魅力に転換。

墓地の隣の中古マンション

もうひとつの物件は、なんと墓地の隣の1,590万円のイケてない中古マンション。しかしこちらについても、求めるお客様によってはセールスポイントとしてアピールできることを、新人の白洲美加(イモトアヤコ)に伝授します。

注目したいのは、その発想の転換です。

短所→長所の転換ポイント

墓地の隣。
将来、高いビルや大きな建物が建つ可能性が低いため、日当たりが保証される。
西向きは午後の日差しがきつい。
朝はゆっくり起きることができる。また、山の稜線に落ちる夕日の景色もすばらしい。
隣で飼っている犬がよく吠える。
番犬代わりになって下着泥棒が減った。
駅からの道のりは交通量が多くて危ない。
夜も交通量が多いため、女性の独り歩きでも安心。
ヤモリが出る。
ヤモリは「家を守る」守り神ともと言われていて、家内安全のためにわざわざ飼う人もいるくらい。

一見、短所とも思われる物件の状況でも、見方を変えれば長所にもなり得ます。だからと言って、決してウソを伝えている訳ではありません(ヤモリについてはあえて言わなくても良いかもしれませんが…)。

足立(千葉雄大)の物件説明が素晴らしい!

初めの美加の母娘に対する物件説明は、すべてが短所に聞こえるように話して失敗してしまいます。

ところが、タイミング良く戻って来た足立(千葉雄大)が、上記のようにまったく見方を変えた説明をすると、母娘の気持ちは一変し、大いに盛り上がるのです。

機転を利かせた言い換えで快適な暮らしのイメージを与え、お客様の気持ちの後押しをすること。これは営業マンの大変重要で、なおかつやりがいのある仕事です。

The couple are looking for a new house because the marriage

二日酔いで出勤する屋代課長=実際はNG!

ドラマでは、万智のパリッとしたファッションや足立のお洒落なスーツも一つの見どころですが、現実の世界でも営業マンは身だしなみに気を使っています。

営業は接客業なので、夜遅くにお客様から連絡が入り翌朝早々に商談となることなど日常茶飯事です。だからこそ意識の高い営業マンは、クシ・汗拭き・ブレスケアを常に携行しています。

また最近は嫌煙志向のお客様も増え、不動産会社の中でも分煙が進んでいます。タバコのにおいがするだけで気分を害する方もいるため、特に喫煙者の営業にとってにおい対策は必須です。

行きつけの飲み屋「ちちんぷいぷい」で深酒して二日酔いのまま出社する屋代大課長(仲村トオル)。突然の接客だってあるかもしれないのに、部下に気付かれるような深酒をするようでは失格です。

「チラシなんか捨てちゃえば」と言う、ベテラン社員の布施(梶原善)

万智からチラシの投函を命じられふてくされている美加に、ベテラン営業マンの布施(梶原 善)は「チラシなんか配らないで捨てちゃえば、便所とかに」と耳打ちでアドバイス。もともと気が乗らず出発した美加は、チラシを紙袋ごとトイレのごみ箱に捨ててしまいます。

チラシを捨てるのは、あってはならないこと!

しかし、考えてみましょう。美加の配るチラシの売却物件にも誰か売主がいるわけです。その売主が自分だったらどうでしょう?

みなさんが家を売るとき、任せた業者が自分の物件の価格や写真を載せたチラシを、公衆トイレやゴミ箱に捨てていたらどう思いますか?こんなことをするテーコー不動産に家の売却を任せたいでしょうか。

そう、チラシを捨てるという行為は絶対にしてはならないことなのです。

不動産業界の人材の育て方もテーマになっていました

チーム主義の屋代課長、個人主義の万智と足立

さて、美加はチラシを捨てたことをとがめられ「私、会社を辞めます」と泣き出します。

そんな彼女を引き留めるでもなく「それは自由だよ」と微笑む足立(千葉雄大)。

万智は会社では浮き気味で人を振り回すチーフですが、果たしてこの二人は家を買いたい人、売りたい人にとって、ひどい営業マンでしょうか?嫌なやつでしょうか?

第1話でも「君のやってることはパワハラだぞ!」、「パワハラが人を育てることもあります」とグレーなテーマでたびたび衝突している屋代課長と万智。

「時代は変わってる」と、「今どきの教育方針」とチームで夢を追うことを主張する屋代課長ですが、部下たちの反応はいまいち薄く、ぼんやりとクールです。

美加のような新人をうまく使って優しく育てていきたい屋代課長と、教えるものではなく自分でもぎ取っていけば良いと言わんばかりの万智。こういった考え方の対立の構図は、不動産業界のみならず社会のあちらこちらに実在するように思えます。

「教育は必要と思いません」万智と足立の考え方は間違い?

良い意味で、不動産売買仲介の営業はチームワークではありません。足立の言う通り一人一人が個人商店、事業主のような意識が求められます。

そして、人の一生を左右するような高額商品である不動産を扱うには、一人ひとりがプロとしてお客様の要求に応えられる力を備えていなければなりません。

「売れない営業マン=能力を備えていない営業マン」だとするなら、売れない営業マンは、会社はもちろんお客様にとっても困った存在になってしまうのです。

ですので、「教育が必要ない」というのは極論だとしても、「教えてもらえる」という他人任せな姿勢ではなく「進んで学びにいく」という、仕事に対する積極的な姿勢は欠かせないのではないでしょうか。

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エリート足立の接客に触れ自分との差に落ち込み、万智からの「物件に何度も通え」という指示に嫌々ながらも忠実にこなしている美加。

そして、お客様の希望をちゃんと聞き取りせずに予算以上の物件を紹介してしまう、相変わらず「売れない営業マン」として描かれている庭野。

彼はもしかしたら、このドラマが終わるまでに、万智に認められる営業マンに成長していくのではないか?と予感させるような伏線もあり、今後の展開が楽しみです。

第三話もお楽しみください!

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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家売るドラマ解説

「家売るオンナ」【第1話】にみる不動産業界のウソ・ホントードラマと笑えない実際のあるある話

2016年夏、北川景子さん主演で始まった日テレの新ドラマ「家売るオンナ」。
不動産会社ってほんとにこんなことするの? というくらい、不動産売買仲介の日常を、いくつかのエピソードを織り交ぜてコミカルかつ時にオーバーに描いていますが、実際のところあながち全部が嘘とも言えず、登場人物のセリフや、お客様の要望、購入意思を固めるまでの心理戦など、ところどころにリアリティを感じさせます。

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サンドイッチマンや椅子にグルグル巻き…不動産営業ってブラック?

昭和の時代にはよく見かけたサンドイッチマン

新宿営業所にチーフとしてやってきた三軒家万智(北川景子)。赴任早々、既に営業全員の名前と共に個人成績をそらんじています。

そしてさっそく、入社以来ずっと売上ゼロの新人営業ウーマン、白洲美加(イモトアヤコ)を売り物件のセールスパネルで挟んで、新宿駅前でのサンドイッチマンに命じます。

作中でも言われている通り、昭和の香りがするサンドイッチマン。最近はかなり減りましたが、看板の形態を変えての不動産業界のサンドイッチマンは今も健在です。

現代のサンドイッチマンは、形を変えて…

よく春先などに、プラカードを持ってパイプ椅子に座っている営業マンを見かけることはないでしょうか。
この真夏でも、新入社員らしきスーツを着た若い人が、炎天下で売り物件の看板を持って駅前や曲がり角に待機しているのを見かけます。暑くて本当に大変そうですね。

なぜ従来型のサンドイッチマンがいなくなったのか。その理由は時代の変化にあります。

バブル期には、その場でふらっと立ち寄って即金でポンと購入してしまうような羽振りのいいお客様がいらっしゃいましたので、はた目にも目立つサンドッチマンは効果的でした。
しかし現在はそのようなことが見られなくなったので、駅前のサンドイッチマンにそこまで人手を割かなくなったということなのでしょう。

ガムテープでぐるぐるも実際にありました

屋代課長(仲村トオル)の指示で白洲美加は途中で帰ってくることができましたが、一日サンドイッチマンをしてもアポが取れなかった美加を、三軒家万智は今度はガムテープでぐるぐる巻きにして椅子に縛りつけます。

家の鍵を取り上げ、顧客リストに片っ端から電話をかけて、アポが取れるまで家に帰るなと指示。
今の時代にそこまでやるか? という万智の過剰なしごきに「さすがにこれはドラマだろう…」と思われたのではないでしょうか。

ブラックと言われてしまうようなことも…

実は10?20年程前であれば、お客様のアポが取れるまで、粘着テープで手に受話器を固定して、朝から電話をかけ続けるなんてことはよくある話でした。
中には、反響の電話をすべて自分が取りたいために、上司の指示ではなく、自主的に会社に泊まり込み、契約を取るまでは意地でも家に帰らない営業マンもいたようです。

現代では、ここまでやる営業マンもやらせる会社もほとんどないと思いますが、会社によってルールが全く違うため、あながちフィクションともいえないところが恐ろしいところです。

不動産会社がしばしば「ブラック」といわれてしまうゆえんではないでしょうか。

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「このくらい曲がれなければ、不動産屋とはいえない」

売買仲介の営業マンには、車の運転免許は必須です。新入社員の中には、就職に合わせて春休みに運転免許を取得したばかりの若葉マークの者も多く、車と運転に慣れるのにひと苦労です。

住宅街ほど、いわゆる「みなし道路」と呼ばれる幅員が4メートルに満たない細い道が多く、運転に自信のない新人にとっては、車をこすったりぶつけたりすることもある、恐ろしいエリアです。

庭野と万智のやりとりはとてもリアル!

できれば細い道を避けて、幹線道路で現場まで行きたいのですが、先輩が同行する場合は、万智のように「曲がれ」「行け」と無茶に思える指示が飛んできます。

庭野(工藤阿須加)が冷や汗をかきながらギリギリで曲がる様は、新人の運転そのもののようなリアリティがありました。
ですが、そのうち汗ひとつかかずに、狭い路地でもスッと曲がれるようになるのです!

不動産屋は地図を見ない。幹線道路ではなく、誰も知らない裏道を使う。

お客は、こんな裏道まで知っている人は、物件のある町に詳しいと思う。

そして不動産屋を信頼する。

その人の言うことなら信じてみようと思う。

万智が住宅街の細い路地を飛ばしながら語っていたこのセリフは事実です。

軽快で確実な運転技術、営業には必須!

幹線道路は交通量も多く、渋滞や事故の可能性もあります。
もし物件からの移動中に渋滞に巻き込まれてしまうと、せっかく盛り上がっていたお客様の気持ちが下がってしまうことも大いにあり得ます。
お客様のテンションが下がってしまうことは、営業においては死活問題ですね。

逆に、裏道に詳しければ、そのことに関心と好感を持ち、担当の営業に対する信頼感と安心感がぐっと増します。

急発進・急加速・急ブレーキのない運転を心掛け、周辺環境や物件についての説明をしながら、かつお客様のテンションを維持したまま、目的地まで最短距離で快適かつスムーズに送り届けること。これも、契約につなげる大切な手段のひとつなのです。

「家を売るためにはどんなことでもする!」

お客様から提案された「リビングイン階段」

「リビングイン階段があれば、子供は必ずリビングを通ってから2階の自分の部屋に行く。
言葉を交わさなくても親子のコミュニケーションが取れるもの。譲れない」

医者夫婦の土方様の奥様の譲れない条件、「リビングイン階段」。子育て世代の奥様から実際にご要望の多い人気条件のひとつです。

ところが、土方様のこの「譲れない」要望を軽やかに無視して、ピントのはずれた物件を紹介してしまう庭野…。
感じのいい青年風ですが、やや独りよがりで「売れない営業マン」として描かれる庭野と、「天才営業ウーマン」万智を比較しながらストーリーを追うのも面白い見方です。

そしてこのお客様はリビングイン階段以外にも、以下のような様々なご要望がありました。

  • 思春期までは自室は与えず勉強はリビング学習
  • 子どもを囲んで父・母・テレビがトライアングルを描くよう家具を配置する対面キッチンのリビング

家族構成やお子様の年齢から、いずれも「子どもの知育や情操教育のために良いといわれている」内容ばかりですが、万智はそれを額面通りに受け取りません。
「その家庭に何が必要か」を見出し、自分ならではの提案をしていく様子も見どころです。

※ちなみに、リビングイン階段は冷暖房効率の悪さなどのデメリットもあり、逆に嫌という方もいらっしゃいます。

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万智の熱意と必死さが築く客との信頼関係

さて、ある日当直になってしまった土方夫妻。その代わりに、万智はなんと泊りがけで息子さんの面倒を申し出ます。
万智のこの「私の仕事は家を売ること」という割り切りと、家を売るためであればどんなことでもするという姿勢は見ものです。

万智は土方先生(奥様)に、当直明けの朝7時に物件を見学するように提案します。普通ならありえないことです。だって、当直明けの早朝なんて正直なところハードすぎます。普通のお客様なら「なんて無茶苦茶な不動産屋だ!」と追い返すでしょう。

しかし土方先生は万智に対して「そこまでして家を売りたいの?」と少し呆れ気味にクールな言葉を投げかけつつも、「朝7時なら」と応じます。ここで奥様の本気のほどがうかがえます。

ここまでお客様の真剣な気持ちにどこまでも付き合える営業マンが一体どれだけいるでしょうか?
お客様はもちろん熱心なのですが、三軒家万智チーフは、お客様よりも熱いのです。

子どもとのやりとりからも万智の人柄が…

土方宅で、ご夫妻が当直中に息子さんと留守番をする庭野と三軒家万智。
息子のそら君に「ウソつくの?」と尋ねられた万智。
「つきます」と即座に答えています。
万智は、このやりとりにおいては、ある意味ウソをついていません。

ドラマ中での三軒家万智は、言っていることが本当なのか、またはウソなのか、ポーカーフェイスでいまいち掴みきれません。

ただ、過剰なほどの必死さ、熱意だけはお客様に伝わり、その熱さに、お客様は抑えていた本音、真剣で必死な気持ちを包み隠さずぶつけることができ、信頼関係につながっていくのかもしれません。

さすがに、枝を折るのはアウト…

しかし、そうはいっても、お客様の家のびわの木の枝を切って挿し木にしたのは、現実ではぎりぎりアウトと言って良いでしょう。

話がまとまったから良いものの、他人宅の竹木の枝を無断で伐採することは、実際にやったら訴訟になってもおかしくありません。ここばかりはドラマ上のフィクションの演出を感じました。

満を持して始まった「家売るオンナ」。不動産業界でお仕事される方も多くが興味深くご覧になっていると思いますが、この第1話は営業経験のある人なら、共感できる部分のひとつやふたつは少なからずあったのではないでしょうか。

万智とテーコー不動産のそれぞれの活躍が、今後どのように描かれていくのか楽しみです。

(監修:不動産流通システム 高坂拓路)

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