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『正直不動産』第1話を「正直宅建士」が解説。業者も客も、不動産をなめてはいけない!

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公開日:2022年4月7日

4月5日(火)22時、話題のドラマ『正直不動産』第1話「うそがつけなくなった不動産屋」が放送されました。

REDS「不動産のリアル」編集部では、どのメディアよりも早く、当日の放送直後にドラマの内容紹介と、作中で登場した不動産業界の商慣習や不動産売買を考えている方が知っておきたいポイントをまとめて、コラム記事として公表していました。記事はこちら

もう、このコラム記事で「必要にして十分」だと思います。うかつに「解説記事?書きます、書きます。『家売るオ〇ナ』のときから、得意分野です」なんて軽々しく引き受けた自分が恥ずかしくなります。

しかし、僕もREDSで初めてコラムを書かせてもらってから、もう6年になります。「息をするようにコラムを書く」と言われるくらいです。山下智久が演じる永瀬財地を見習って、1本きっちり仕上げて見せようではありませんか。

ビル群

(写真はイメージです)

サブリースによる不動産投資の何が問題だったのか?

永瀬は和菓子職人を引退しようとしている石田努(演:山崎努)とその娘の石田真紀(演:星野真理)親子と、1億円の賃貸アパートの建築とサブリース契約を見事、締結します。新人の月下咲良(演:福原遥)は永瀬のセールストークを聞き、「私の理想の営業スタイル、まさにカスタマーファーストです」と称賛します。

サブリース契約とは、所有する賃貸物件(アパートやマンション、テナントビルなど)を不動産会社に一括で借り上げ管理してもらい、空き室の有無にかかわらず毎月定額の家賃支払いを受けられる契約です。

ドラマで永瀬が石田親子に説明しているとおり、メリットとしては長期の家賃保証、入居者の募集から管理までサブリース会社任せの手間いらず、物価上昇に応じての家賃改定の機会もある、というまさにいいことづくめのように「見える」契約です。それだけなら月下のいう「カスタマーファースト」の契約です。

しかし現実には、サブリース契約を結んだオーナーが団体で「不動産会社に騙された」と訴訟を起こし、大事件となることも起きています。「かぼちゃの〇車」や「大▲建託」といった言葉と「サブリース」「事件」で検索すると詳しい説明が得られます。

そうした事件の多くは、ドラマでも永瀬が月下や石田に説明しているように「リスクのない投資などありえない。サブリース会社ももうけるために契約している。30年という家賃保証の期間も、家賃についても見直しができる条項がちゃんと契約には書いている。ただ、いいところしか説明していなかっただけだ」という不動産会社の姿勢が問題だったとされています。

そうした不動産会社の売り上げが伸びているさまを、業界全体で新しいビジネスモデルだともてはやし、脚光を浴びさせていただけなのです。ライアー永瀬がタワマンに住み、外車に乗り華やかな夜を楽しんでいたように。これでは、不動産会社が不誠実な業界だと言われても仕方がありませんね。

宅地建物取引士には高潔な使命がある

ドラマでは、月下が新社会人の柿沢久美(演:松風理咲)のマンション賃貸借契約を締結しようとする直前の様子を描いています。契約書の説明をしようとする月下の前には、自身の宅地建物取引士証が置かれています。普通の人は何の気なしに見逃すシーンです。ここで「おっ」と思った方は、不動産業界になかなか詳しい人に違いないですね。

不動産の売買や賃貸に関する業者のルールを定めた「宅地建物取引業法(宅建業法)」という法律があります。その第35条第4項に、宅地建物取引士は(契約に関する重要な事項の)説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない、と定められています。前述のシーンでは、こうした法律の規定に基づいて、不動産業者の実際の業務を忠実に再現していて、さすが不動産考証がしっかりしているなと思いました。

宅地建物取引士とは、都道府県知事の行う「国家試験」に合格し、宅地建物の取引についての実用的な知識を有すると認められる者を指します。かつては宅地建物取引主任者と呼ばれましたが、2015年の法改正で宅地建物取引士(宅建士)と名称変更されました。

このとき「宅地建物取引士の業務処理の原則」を、宅建業法第15条に追加しています。「宅地または建物の取引の専門家」として「購入者等の利益の保護」および「円滑な宅地又は建物の流通に資する」ように「公正かつ誠実に」事務を行うよう定めています。

また第15条の2では「信用失墜行為の禁止」として信用または品位を害するような行為の禁止を、第15条3では「知識及び能力の維持向上」を定めています。

不動産に関する問題やビジネスモデルがますます高度化し複雑化する現代では、一般の方々は、物件についての権利関係や法令上の制限に関する知識を十分に持つことが困難な場合があります。宅建士は、弁護士や公認会計士などいわゆる士業と同様に、不動産業界の「プロ」としての誇りをもって、高いレベルの専門知識と品位が求められていることを、使命として自覚することを促しているといえるでしょう。

うそつきが成功するような業界ではあってはいけない、「正直不動産」こそが、これから脚光と成功を得るビジネスモデルとされなければいけない、と思います。

不動産をなめるな!

ドラマの中で、うそをつけなくなった永瀬は「リスクのない投資」と口にした石田に対し「リスクのない投資なんかあるわけないでしょう! 不動産をなめるな!」と言い放ちます。

永瀬役の山下さんは、ドラマの放送(4月5日)に先立ち4月2日に放映されたNHKの「土曜スタジオパーク」という番組に出演されていました。その番組内で「ドラマに出演された印象は」という問いに対してこう答えています。

「みんなメリットばかり見る、ちゃんとデメリット、裏表を見るべきだな、って感じた」

不動産の売買、特に投資案件については、ついついメリットばかりを信じてしまいます。そして、デメリットが発覚した場合には、「そんなつもりじゃなかった」「そんなふうには聞いてなかった」と必ず言います。被害者意識すら見え隠れします。

でも、永瀬のいうとおりなんです。「リスクのない投資」なんかあるわけないんです。
山下さんのいうとおりなんです。「ちゃんとデメリット、裏表を見るべき」なんです。

リスクを測って、ヘッジするかあえてリスクを取るのか、撤退するかを判断するべきなんです。
消費者意識で、被害者意識で、不動産投資なんかするべきではないんです。

不動産会社もそうです。リスクも説明できないで、うそで塗り固めて、取引なんてうまくいくはずがないのです。「言わなければうそではない」、そんなビジネスモデルが長続きするわけはないのです。

永瀬と一緒になって世の不動産会社に、被害者意識丸出しの投資家に言いたい。

「不動産をなめるな!」

と、吠えたところで次回の放送(4月12日22時)を楽しみにしたいと思います。

 

早坂龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング代表取締役。北海道大学法学部卒業。石油元売会社勤務を経て、北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

 

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