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『正直不動産』ドラマ最終回最速レビュー~激闘! 「うそがつけない不動産屋」勝利の日

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最終更新日:2022年6月8日
公開日:2022年6月7日

ある日突然、うそがつけなくなってしまった不動産仲介会社の営業マンが、独特の商慣習で動く不動産業界で奮闘する姿を描いたNHKドラマ『正直不動産』。最終回の第10話が2022年6月7日(火)夜10時に放映されました。

〝うそをもいとわない〟セールストークで売上ナンバーワンの地位を維持する不動産営業マンの永瀬財地(演・山下智久)。勤務する登坂不動産の打倒に執念を燃やすミネルヴァ不動産との全面戦争の行方はどうなるのか。この春、大人気を博したドラマ最終回のレビューを大ボリュームで詳しくお届けします。

※REDSは原作漫画『正直不動産』(小学館ビッグコミック連載中)のシナリオ作成に協力し、ドラマ化の際も代表の深谷十三が不動産考証にかかわったほか、REDSエージェントが取材協力をしています。REDS「不動産のリアル」編集部では、いち早くドラマの内容紹介のほか、作中で登場した不動産業界の商慣習、不動産売買を考えている方が知っておきたいポイントをプチ解説します。

(不動産のリアル編集部)

青空とビジネスマン

(写真はイメージです)

案件、人員の次は管理委託契約を奪いにきたミネルヴァ不動産

登坂不動産のオフィスに、物件のオーナーから管理委託契約を解除したいとの電話がバンバンかかってきます。委託変更先はどこもミネルヴァ不動産。大河部長(演:長谷川忍)は「管理委託料は不動産屋にとって生命線のひとつ」と言います。それを奪いにくるミネルヴァ不動産の執念は並々ならぬものを感じます。

ミネルヴァ不動産が管理委託を奪ったのは、通常は5%前後が相場の委託料を2%にするという奇策でした。これは花澤涼子(演:倉科カナ)の発案。さすがの登坂寿郎社長(演:草刈正雄)も「どうか、力を貸してくれ」と社員に頭を下げるほどのダメージでした。

永瀬と月下咲良(演:福原遥)は、引越しや転勤など不動産売買のチャンスにつながる情報収集のため、〝街の長老〟である平尾家に向かいます。すると、長老は一昨日に亡くなっていました。そこで出会ったおいの平尾晴哉は、転がりこんできた相続のために上京したといいます。

一方、ミネルヴァ不動産はすでに動いていました。鵤社長(演:高橋克典)は近隣のケアハウスにお金を配り、入所者の死亡情報を入手していたのです。鵤に言わせると「人の死は金になる。特に身寄りの少ない老人の死は」ということのようです。

アパート建築予定地から土器が出てきたら

10日後、平尾家の豪邸は取り壊され、更地になっていました。そこに、10日前よりも派手な服装になった平尾が現れます。アパートを建てて、ミネルヴァ不動産とのサブリース契約で運用すると、そのために有頂天になって散財しているようです。サブリース契約については第1話にも出てきましたのでこちら「『正直不動産』ドラマ第1話最速レビュー~サブリース契約と破格の賃貸マンションに潜む罠」をご覧ください。完全にだましのパターンにはまっていました。

そこに少年が現れ、月下にここで拾ったという物体を差し出します。それは縄文時代の土器の破片でした。

文化財保護法では、土器や貝塚など遺跡と認められる物が地中から出てきた場合、地元の教育委員会に届け出る必要があり、文化財と確認された場合は長期の発掘作業となります。しかも、作中の永瀬によると、アパート経営がサブリースの場合は、調査発掘にかかる費用はオーナー負担になるのが一般的だということです。

うそつきに戻った永瀬! 仕事は絶好調だけど……

場面が変わり、別の商談。相変わらず永瀬は、商談がうまくいきかけたところで風が吹き、正直モードになってしまうことで契約をフイにしています。営業成績は1位ですが、その数字は低く、満足いくものではありません。

「クソ、うそさえつければ」とある神社を訪れ、500円玉をさい銭箱に投げ入れて、かしわ手を打ちます。「祠と石碑を壊したことは謝ります。もう十分反省しました。そろそろ元に戻してください」。目をつぶって何かが起こるのを待つ永瀬。しかし、何も起こりません。ため息をついて立ち去ろうとした瞬間、背後から突風が吹き、永瀬の体を突き抜けていきました。

異変はすぐに現れました。「給料カットになって家から追い出された」という大河部長にいつもなら「自業自得ですね」と言ってしまうところが「それはキツいですね」と話を合わせるだけ。食事に誘ったら「どうせ香水臭いとか言うんでしょう」と返した女性社員に対して「本当は君の気を引きたくてあんなこと言ってしまったんだ。そんな僕を許してほしい」と壁ドン。女性社員はメロメロです。

「元に戻った! うそさえつければこっちのもんだ!」とスキップで廊下を歩く永瀬。それはそれはうれしかったのでしょう。その足で、マンションを探している新婚夫婦に、騒音がひどいことや事故物件であるといった事実を伝えずに契約を取り、営業成績もうなぎ上りです。

しかし、月下は「私、今の永瀬先輩は尊敬できません」と拒絶します。自宅で一緒に晩ご飯を食べるのが日課のようになっていた美波は、「僕の人生は、あなたなしでは考えられません」という永瀬に「私のことバカにしてます?」と冷たく立ち去っていきました。

仕事は絶好調でも、正直であることに魅力を感じていた人は気持ちが離れていったようです。

1話に出たあの和菓子職人が流れを変える

場面が変わり、大河部長が焦っています。40戸のマンションの管理委託を解消したいという申し出があったとか。「大丈夫。うそがつける今なら絶対言いくるめられる」と永瀬が説得に向かいました。

現場には、やはりミネルヴァ不動産の花澤がいました。管理委託料を2%にするという花澤を退けるためには、さらに低い数字を出すしかありません。「1.5%だとコスト割れになる。いや、待て。後でコンサル料や広告料とかほかの名目を適当に付け加えればなんとかなる」と考えて「1.5%」を提案しようします。

しかし、そのとき美波と月下の言葉が頭をよぎります。

しばらく思案し、口から出たのは「うちは現状どおり5%でやらせていただけないでしょうか。私は1.5%と言おうとしました。その分、他の名目で補填するつもりでうそをつこうとしたんです」でした。風は吹いていません。あくまでも永瀬自身の意思で、正直に話しているのです。「(1.5%では)どうしても行き届かない点が出てきます。管理が手薄になって清掃もクレーム対応も雑になり、マンションに住んでいる方々が快適に暮らせなくなる可能性があります」と続けました。

ここに入ってきたのが石田努(演:山崎努)でした。オーナーは途端、直立不動の姿勢になります。石田は第1話に登場し、すったもんだの末に正直な対応をした永瀬を認め、契約を交わした人物です。永瀬を一瞥した石田はオーナーに「この男は、いいことも悪いことも何でも話す。本当のことを言うとやたら叩かれる世の中で、珍しいくらい馬鹿正直なヤツだ。信用できる。俺が保証する」と力説。その結果、永瀬は契約継続を勝ち取りました。

契約を奪えなかったミネルヴァ不動産ですが、花澤はすがすがしい表情でした。

帰社後、永瀬は登坂から、永瀬の入れ替わりに登坂不動産のオフィスに入ってきた石田に事情を話したことからオーナーに進言してくれたことを明かします。登坂は「永瀬が石田さんに誠意を尽くした結果だ」と褒めます。虚を突かれたような表情の永瀬に「たしかに営業スタイルで試行錯誤しているようだが。不動産屋になりたいとうちに転がり込んできたときと、お前は何も変わってない」とさらに激励します。

登坂は入社当初の永瀬はうそがつけなくなった永瀬と同じだと言っているのです。こう言われた永瀬は複雑な気持ちになります。

大波乱! 現金抱えてミネルヴァに乗り込む登坂社長

平尾は不注意でクルマにはねられてしまいました。両足を複雑骨折してしばらく動けないようです。「いっそ死んだほうがましやった。なら保険金でアパートの借金返せたやろ」と落ち込む平尾ですが、平尾が交わしたサブリース契約では、平尾側から契約解除はできないようです。

そこに桐山が現れます。永瀬は平尾を助けられないか相談します。鼻で笑う桐山に対し、永瀬は学生時代に登坂社長に助けられたことを打ち明けます。「だから、俺も助けたい」と言いますが、桐山は冷たく去って行きます。こうなったら、と永瀬と月下は鵤との直接対決に向かいました。

鵤は契約解除をあっさり受け入れました。その代わり「違約金として家賃収入の6カ月分、660万円」との条件を突きつけます。しかし、平尾は身動きが取れないので660万円の支払いは困難です。立ち去ろうとする鵤を呼び止めた永瀬は静かに語り出しました。ここでも、風は吹いていません。

「私は、不動産屋の仕事は、家を右から左に仲介するだけではないと思っています。住む家が変われば人生が変わる。その瞬間を何度も、何度も私は見てきました。私は、この仕事に誇りを持っています。あなたは、ご自分の仕事に誇りを持っていますか?」

押し黙る一同。鵤は「不動産は資産だ。金を得るための道具だ。そんなものに希望を持つな。希望を持つから絶望する」と言います。次の瞬間、いきなり登坂社長がドアを開けて入ってきました。

登坂はアタッシュケースを開け「平尾さんの違約金、うちが肩代わりさせてもらう」。全員が絶句する中、登坂は続けます。「さっき平尾さんの家を解体した業者から連絡が来た。解体中、土の中から土器が大量に出てきた。それをミネルヴァに報告したら口止め料をもらったと。これは事実かな?」

とぼける鵤に引導を渡したのは花澤でした。「社長、もし事実ですと、器物破損に遺失物法違反などの刑事罰は逃れられません。最悪、弊社は業務停止か免許取り消しになります」。かなりの覚悟で言ったのか、強い視線を外さず訴えます。

「出るところに出るか。それとも違約金なしで契約解除するか」と迫る登坂に、鵤は「その話も真実かどうかも分からないですから」と食い下がります。そこに永瀬が「本当です。私どもは、うそがつけない不動産屋ですから」と、もはや水戸黄門の「この紋所が目に入らぬか!」並みの決め台詞で締めました。ただ、最後は「私は」ではなく「私ども(登坂不動産)」だったことも見逃せませんね。

長い視線のぶつかり合いの末、鵤は「金はいらん。帰れ」と折れました。登坂は「更地にする際にかかった費用だ。釣りはいらん」と300万円を置いて、去って行きました。

これで、ミネルヴァ不動産が登坂不動産に仕掛けた全面戦争も痛み分けで決着です。永瀬は風が吹いていないのに「うそがつけない不動産屋」に徹しました。そして、ミネルヴァ不動産の攻撃を退けることに成功したのです。

永遠のライバル、永瀬と桐山

永瀬と桐山、最後のシーンです。解体業者が土器を発見したことを突き止めて登坂社長に伝えたのは桐山でした。

永瀬「すごいよな、桐山は。俺なんてたいした進歩も成長もしないで、グルグル同じ所を回っている感じだ」
桐山「グルグル同じ場所を歩いているとしても、それがらせん階段だったら少しずつ上に登っていることになるんじゃないですか」 
永瀬「お前、相変わらずカワイイな。俺のこと遠回しに慰めてくれたんだろ?」
桐山「……。やっぱりあんたは正直すぎて大嫌いだ」

永瀬は「遠回し」といいますが、桐山、ぜんぜん遠回しではなくストレートに「上に登っている」とエールを送っています。「大嫌いだ」も「大好きだ」としか聞こえません。2人の最後のシーン、とても爽やかでした。これからもこの2人、永遠のライバルとしていい関係を続けていくのでしょうね。

マダム、花澤、美波。3人の女それぞれの決断

登坂とマダムが並んで座る高級バー。ふたりの会話によると、マダムは登坂と鵤のふたりから同時にプロポーズを受けていたということでした。しかし、マダムは「ふたりとも愛しているから」と断ったそうです。今後も登坂と鵤の両方にフェアに接していくと宣言します。

ミネルヴァ不動産の花澤は、登坂不動産の面々が去ったオフィスで鵤と対峙。「辞めるか?」と問われ「いえ、辞めません。実績を上げて、いずれ会社の株の半分を取得して、あなたと対等に話せるようになります」と静かに訴えました。花澤がドラマ終盤でたびたび口にしていた「わたしが会社を変える」とはこういうことだったのですね。

永瀬とのロマンスに揺れる美波。永瀬は真剣な表情ながらも「実はもううそがつけるんですよーん。よーし、適当に結婚のことはごまかして、大人のお付き合いしちゃおう」と不埒なことを考えています。そこに、ひときわ大きな風。

永瀬「結婚を前提に――する気なんて、1ミリもありませんので」
美波「はぁ?」
永瀬「ていうか結婚前提とか堅苦しいこといわないで、もっとライトな関係でいいじゃないですか。とりあえず今夜一緒に過ごしましょう。ほら、体の相性とかいろいろと」

激おこの美波は思いっきりビンタをかまして出て行きました。このドラマで吹いた最後の風が、よりによってこれだとは……。

家の数だけ人生があり、その人の数だけ大切なものがある

ミネルヴァ不動産との仁義なき戦いを終え、登坂不動産に日常が戻りました。朝礼では、ついに月下が営業成績1位を獲得して表彰されています。モニターに映る営業担当者の成績も軒並みいいようで、「ほかの者もよく頑張ってくれた。おかげでうちも持ち直した。ありがとう」と登坂も上機嫌です。

営業に出た永瀬と月下。永瀬はいろいろな人とすれ違いながら、これまで登場した人物とのかかわりを思い出しながら独白します。

「うそがつけなくなり、正直に仕事をするようになって、分かったことがある。それは家の数だけ、人生があるということ。その人の数だけ、大切なものがあるということ。ある人は家族。ある人は結婚。ある人は仕事。これからも俺は家を通じて、多くの人の人生にかかわり続けると思う。だからもう決めた――」

永瀬「月下。今日から俺をこう呼べ。正直不動産の永瀬財地と」
月下「正直不動産? なんですか、それ。めっちゃダサいんですけど」
永瀬「いや、そんなことないでしょ」
月下「だって正直なのは当たり前だし」

こう言いながら、歩いていく永瀬と月下でした。

(不動産のリアル編集部)

 

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