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『正直不動産』ドラマ第8話最速レビュー~令和の世でも暗躍する地面師! 永瀬はどう見破った?

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最終更新日:2022年6月8日
公開日:2022年5月24日

ある日突然、うそがつけなくなってしまった不動産仲介会社の営業マンが、独特の商慣習で動く不動産業界で奮闘する姿を描いたNHKドラマ『正直不動産』。第8話が2022年5月24日(火)夜10時に放映されました。

〝うそをもいとわない〟セールストークで売上ナンバーワンの地位を維持する不動産営業マンの永瀬財地(演・山下智久)が〝うそがつけない〟営業マンになった今、どのように家を売っていくのか。話題のドラマ第8話のレビューをお届けします。

今回は、土地の所有者になりすまして不動産詐欺を働く「地面師」が登場します。永瀬は地面師とどう戦うのでしょうか?

※REDSは原作漫画『正直不動産』(小学館ビッグコミック連載中)のシナリオ作成に協力し、ドラマ化の際も代表の深谷十三が不動産考証にかかわったほか、REDSエージェントが取材協力をしています。REDS「不動産のリアル」編集部では、いち早くドラマの内容紹介のほか、作中で登場した不動産業界の商慣習、不動産売買を考えている方が知っておきたいポイントをプチ解説します。

(不動産のリアル編集部)

空飛ぶお金

(写真はイメージです)

不動産ブローカーとなった桐山との再会

不動産仲介、デベロッパー、銀行関係、不動産コンサルタント、不動産投資家……。不動産にまつわるさまざまな肩書の人でごった返す「不動産取引流通協会・懇親会」。登坂不動産からは永瀬と月下咲良(演:福原遥)が参加。そこに他社の営業マン、神崎から「バイロイト不動産」の堀内幸正という人物を紹介され、「実はご相談がありまして」と打ち明けられます。

相談とは「けやき野興業」という会社が所有している300坪の土地を登坂不動産で買い取ってもらえないかということ。土地の価格は5億円は下らないということです。うまくいけば、登坂不動産は転売して利益を得られる可能性があります。

一方、選挙演説のように名前を連呼する月下から名刺を受け取ったのは、登坂不動産を去った桐山貴久(演:市原隼人)でした。個人で不動産ブローカーをやっているという桐山は「美味しい話があったら連絡ください。協力するかどうかは報酬しだいですが」と不敵に言葉を残して去って行きました。

不動産ブローカーとは、国内では宅地建物取引士の免許を持たずに不動産取引をする個人事業主のこと。売買や仲介など不動産事業を行うためには、宅建業の免許が必要で、免許を持たずに業務を行うと宅地建物取引業法違反となります。ブローカーは契約の前段階までの調査や交渉を行い、契約だけは宅建業者を使うなどして法律違反にならないようにしています。

永瀬は不動産ブローカーについて「桐山はアメリカのブローカーに近い感じじゃないかな。向こうだと弁護士や医者と同じくらいステータスが高い仕事だって言われてる」「能力があれば年に数億円稼ぐ。集客から案内、契約、決済に至るまですべて自分一人でやるんだ。スキルと人脈、それに高い信用度がないと難しい」と月下に解説していました。桐山は登坂不動産を辞め、かなり稼いでいるようです。

「バイロイト不動産」の堀内も不動産ブローカーでした。この案件、永瀬と月下がペアで担当することになります。

手土産に選んだ粒あんの豆大福

売却する土地を視察する永瀬。小さな倉庫が建っているだけのだだっ広い空き地です。月下は手土産として上野の和菓子店で買ってきた粒あんの豆大福が入った紙袋を抱えて走ってきました。永瀬は「環八にもインターにも近い。かなりの好条件だ」と確信し、けやき野興業のビルに向かいます。

商業登記だと事業目的は輸入、イベント企画、翻訳と統一感のない印象のけやき野興業。役員は全員同じ名字で、同族経営の企業です。応接室で出迎えたのは専務で長男の酒井富雄と取締役で次男の次雄。ふたりともいかにも趣味の悪い高級スーツに身を包んでいます。月下が渡した手土産を見て「私、粒あん、大好きです。やっぱり、こしあんにはない、あの歯ごたえがたまらないですよね!」と富雄。このセリフは伏線です。

酒井兄弟によると、会社をたたむことになり、資産を整理しようと土地を売ることにしたそうです。肝臓を壊して入院中の父も了承済みということでした。そこに風が吹き、永瀬は「要は売れるもんは売れるうちに売っぱらって、会社赤字のままたたんで、債権者に泣いてもらおうということですよね」と口走ってしまいますが、そろそろこういう永瀬に慣れてきた月下が上手にごまかしました。

お礼に、と永瀬は月下を食事に誘いますが、そこで月下にメッセージが入ります。月下を呼び出したのは、前回のエピソードで永瀬に商談を結果的に横取りされながらも、その誠実さに惚れ直した銀行員の榎本美波(演:泉里香)です。美波は月下に「永瀬さんのことをどう思っているの? 好きなの?」と問い詰め、「狙うことにしたから」と宣言。月下は少しあきれながらも、協力を快諾します。

一方の永瀬はひとりで入ったバーカウンターで、マダム(演:大地真央)に声をかけられます。前のエピソードで出てきた、駄菓子店を経営したいという老夫婦のために賃料の値下げを交渉した不動産女王です。マダムは登坂寿郎社長(演:草刈正雄)の過去を話し始めます。旧財閥系の業界最大手にいたという登坂。「とにかく豪快で、面倒見がよくて、それでいてキュートで、社内でも出世コースにいた」といいます。しかし、なぜその大手を辞めて起業したのか、その理由にはマダムは触れませんでした。

桐山が転身した不動産ブローカーという職業、けやき野興業の悪だくみ、登坂社長の過去。この3つの糸はどうつながっているのでしょうか。

商談に割り込んだミネルヴァ不動産

けやき野興業で具体的な商談に入った永瀬は、酒井兄弟に「坪150万円、総額4億5,000万円」を提示します。これは相場よりも若干安めの価格でした。けやき野興業が売り急いでいることにつけ込んでの価格設定です。

ところが、酒井兄弟から、ミネルヴァ不動産から坪200万円を打診されていることを打ち明けられます。持ち帰った永瀬は登坂社長に「基本は180万、最大190万。それ以上なら手を引く」と伝えられました。

一方、ミネルヴァ不動産の花澤涼子(演:倉科カナ)にばったり出くわした月下は「ミネルヴァのやり方は絶対おかしいです。鵤社長の下で仕事をして充実していますか。うちなら絶対今より生き生きと仕事が――」と訴えます。効いている様子ではありましたが、花澤はあっさり却下し、その場を去りました。以前からチラチラ顔を見せているミネルヴァ不動産内での不協和音も、クライマックスに向けてどう決着するのでしょうか。

けやき野興業は地面師? 桐山がヒント

さて、永瀬はけやき野興業の酒井兄弟と再び対面し、坪190万円で打診します。渋る2人に撤退をちらつかせたところ、あっさり条件をのみ、買付証明書を求めてきました。態度の急変に怪しさを感じとった永瀬は、契約の前にけやき野興業の社長、酒井久寿男との面会を求めました。

病院のベッドで身を起こしている久寿男の様子に違和感を覚えつつ、永瀬は買付証明書などを提出。けやき野興業側も富雄が本人確認書類としてパスポートを提出しました。永瀬は1週間後の契約時に手付金5,700万円を、残金の5億1,300万円を3週間後の決済時に振り込むことを告げ、商談は終了しました。

ただ、どこか曇り顔のままの永瀬。そして場面が変わり、入金当日を迎えます。登坂不動産が購入した土地はディスカウントショップに6億7,000万円で転売し、1億円のもうけが出る見込みです。しかし、登坂社長もどこか浮かない表情です。妙な胸騒ぎが消えない永瀬は桐山を呼び出し、相談します。その理由は、けやき野興業の交渉の仕方がうそばかりついていたころの自分のやり方と似ているから、といいます。

桐山は去り際「けやき野興業との交渉はすぐ手を引きましたけどね。似合わないスーツを着た人たちとは仕事をしたくない。それだけです」とヒントを残しました。そこで永瀬はけやき野興業の酒井兄弟を「地面師」ではないか、と疑い始めました。

平成末期、本当にあった55億円地面師事件

地面師とは、土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る者、もしくはそのような手法で行われる詐欺行為のことです。国内では戦後の混乱に乗じて多発し、土地価格が高騰したバブル期にも横行しました。

最近では必要書類の電子化や本人確認の厳格化などによって沈静化していますが、地主の多くが高齢化し、管理不十分な土地が増えていることで、地面師が盛り返してきているようです。2017年、大手ハウスメーカーが偽造書類を用いたなりすまし集団によって55億円の被害にあいました。犯行が成功したのは手口が巧妙であった一方、地面師対策として行われるはずの確認作業を怠ったことが要因とされています。結局最後は、不動産にかかわる人間がいかに抜かりなく契約を進めることが大事であるか、業界は痛感した一件でした。

桐山からヒントをもらった永瀬も慎重になります。「気のせいならそれでいい。ただ、手付金5,700万円を振り込むまでにすべての疑念は潰しておきたい」と動き始めました。ただ、振り込み日は今日。急がなければなりません。けやき野興業にオフィスの賃貸仲介をした不動産会社に向かいます。そこで担当者から、持参した菓子折りについて「粒あんよりこしあんよね」と盛り上がったという証言を入手しました。さらに。商店街の各所で聞き込みを行ったうえで酒井兄弟と対峙します。

地面師のせいで離職した登坂社長の過去

酒井兄弟は案の定、「今から司法書士事務所に行って、所有権移転請求権仮登記をしませんか」と持ちかけます。仮登記すれば売買予約したも同然です。そこにいよいよ風が吹きます。

「以前デベロッパーを騙した連中も、相手を安心させるために、その仮登記を行ったんでしょうね。そんな手垢のついた手法を猿まねしたらバレますよ。あなたたち、本当は地面師なんじゃないですか?」

正直モード永瀬の痛快逆転トークは今回はここで終わりです。ちょっとあっさりしているな、と思われるかもしれませんがまだまだここから。場面が変わり、登坂不動産オフィス。6億7,000万円をフイにし、がっくりしている永瀬は、月下に急かされけやき野興業を再訪します。ところが、室内はもぬけの殻でした。やはり酒井兄弟は地面師でした。冒頭の懇親会で紹介された不動産ブローカーの堀内も消息不明に。その後、地面師グループは警察に逮捕されました。

マダムは永瀬に、登坂社長が昔、商談相手が地面師であると上司に訴えたにもかかわらず、売上に目がくらんだ上司が契約を強行し、責任をすべて押しつけられた末に退職に追い込まれたことを伝えました。その話を登坂に伝えた永瀬に、登坂はこう語ります。

「人を信じるということは、相手にすべてを賭けるということだ。裏切られたとしても、それは賭けた自分の責任でしかない。私は13年前、おまえに賭けた」

そこに一陣の風。

永瀬「俺、この会社に入ってよかったです。必ず、日本一の不動産屋にします」
登坂「本当だな?」
永瀬「はい、私はうそがつけない人間なんで」

こう言って笑い合うふたり、シリーズの中でも特にすがすがしいワンシーンでした。

そして最後のシーン。永瀬が銭湯に行こうとしたところ、会社から帰るところを後ろからつけてきたという美波が出てきました。「ここにお住まいなんですか? タワマンじゃないんですか?」と訝る美波に「ふたりだけの秘密にしてください!」と懇願する永瀬でしたが……。ふたりの恋の行方もクライマックスに向かって走り出します。

(不動産のリアル編集部)

 

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