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『正直不動産』ドラマ第1話最速レビュー~サブリース契約と破格の賃貸マンションに潜む罠

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最終更新日:2022年4月8日
公開日:2022年4月7日

ある日突然、うそがつけなくなってしまった不動産仲介会社の営業マンが、独特の商慣習で動く不動産業界で奮闘する姿を描いたNHKドラマ『正直不動産』。2022年4月5日(火)夜10時に第1話が放映されました。

REDSは原作漫画『正直不動産』(小学館ビッグコミック連載中)のシナリオ作成に協力し、ドラマ化の際も代表の深谷十三が不動産考証にかかわったほか、REDSエージェントが取材協力をしています。REDS「不動産のリアル」編集部では、どのメディアよりも早く、ドラマの内容紹介と作中で登場した不動産業界の商慣習や不動産売買を考えている方が知っておきたいポイントのプチ解説をお届けします。

〝うそをもいとわない〟セールストークで売上ナンバーワンの地位を維持する不動産営業マンの永瀬財地がいかにして〝うそがつけない〟営業マンになってしまったのか。客を激怒させ、契約寸前の案件を次々と台無しにする中、どんでん返しは起こるのか。注目の第1話です。

(不動産のリアル編集部)

不動産契約

(写真はイメージです)

不動産業者数はコンビニの倍以上、トップセールスマン永瀬はタワマン住まい

都心のきらびやかな夜景を見下ろすタワーマンションの一室。ワイングラス片手に窓の外を見つめる男が、このドラマの主人公、登坂不動産営業副課長の永瀬財地(演・山下智久)です。ワンナイトの相手、理華(演・高田里穂)に甘い言葉をささやくと、「羽振りがよさそう。もしかして危ないお仕事の人?」と問われます。「安心して。売ってるだけだから、家」と不動産のセールスマンであることを明かします。

高級スーツに身を包み、高級腕時計を腕に巻いて出勤する永瀬。女性社員に「あれ、香水変えた?」などと笑顔を振りまく余裕の理由は圧倒的1位の営業成績。モニターには2位の桐山貴久(演・市原隼人)を大きく引き離している様子が映し出されています。

そこに部長の大河真澄(演・長谷川忍)が現れ、「指導を頼みたい」と新人の月下咲良(演・福原遥)を紹介されます。このドラマは永瀬と月下を軸に展開していきます。

朝礼では、日本一高い山が富士山であることは誰でも知っているのに、2番目に高い山の名前はほとんど知られていないことを引き合いに、大河部長が「1位と2位では雲泥の差があるということだ。いいか、今、不動産屋はコンビニの倍以上存在する。2位じゃダメだ! ナンバー1を目指せ!」と発破をかけました。

都会ではあちこちにあるコンビニですが、「不動産屋はその倍以上ある」と言われると意外かもしれません。しかし、全国のコンビニ店舗数は約5万6000(日本フランチャイズチェーン協会調べ、2022年2月時点)なのに対し、宅地建物取引業者数は約12万7000(国土交通省調べ、2020年時点)も存在するのです。これは業者の数ですから、店舗数となるとさらに多くなります。

不動産会社はこれほど多くのライバルどうしで日夜、しのぎを削っているわけです。このことが、このドラマでウンザリするほど出てくる「不動産業界独自の商慣習とうそつきの営業マン」が横行する背景のひとつでもあるのです。

ちなみに日本で2番目に高い山は山梨県南アルプス北部、白峰三山の北岳(標高3193メートル)です。確かにあまり知られていませんね。

サブリース契約でうまい話を並べる永瀬のセールストークに注目

シーンが変わり、商談の場。永瀬と月下が対面しているのは和菓子職人の石田努(演・山﨑努)と娘の石田真紀(演・星野真里)。石田親子は賃貸アパートを1億円で建築し、完成後は登坂不動産とサブリース契約を締結する予定で、契約の最終段階のようです。

真紀「入居率に関係なく、毎月決まった額の家賃を受け取れるんですよね」
永瀬「はい。30年一括借り上げ保証。入居者集めからアパートの管理まで弊社が行います。さらに状況に応じて、家賃の協議も行います」
真紀「協議?」
永瀬「物価の上昇や増税など時代の変化にも対応できるよう4年目以降は家賃を2年ごとに原則3%上げさせていただくこともできます」
真紀「これなら安心じゃない? ……」

努は悩みながらも契約書にサイン。真紀はさらに和菓子の作業場をつぶして2棟めのアパートを建てる計画があり、それも永瀬に任せることも伝えます。

契約後、月下は「うそ偽りなく会社のことよりお客様を優先する。まさにカスタマーファーストです!」と永瀬を絶賛します。そんな月下を永瀬は鼻で笑いますが、その様子を見ていた同僚の桐山は「ライヤー永瀬」「息を吐くようにうそを並べて契約をもぎ取る」と毒づきます。この契約での永瀬の説明を聞くと、確かにそのようなスタイルでやってきたことは容易に想像がつきますし、後に本人の口からも出てきます。

永瀬が結んだ賃貸物件のサブリース契約といえば、数年前に大きな社会問題となりました。先ほどの永瀬の説明では「状況に応じた家賃の協議で家賃を上げることもできる」とありますが、サブリース契約では「協議で家賃を下げることもできる」という条項が盛り込まれていることが大半です。強引に家賃の減額をしたり契約を一方的に打ち切ったりした大手不動産会社に対し、オーナーたちが集団訴訟を起こしたことなどは大きなニュースになりました。

不動産業界で生き残るオキテは「千三つ」と新人に教える永瀬

1週間後、石田親子の土地で地鎮祭の準備が行われていました。そこには「願はず語らずの碑」と書かれた古い石碑と小さな祠(ほこら)が。撤去しようとスコップで土を掘ろうとした永瀬は手元が狂い、それらを破壊してしまいます。そのとき、一陣の風が永瀬の体を通り抜けました。

帰社後、「今度ごはん連れて行ってください!」と話しかけてきた女性社員に「そうだね」と言おうとした永瀬ですが、口をついて出たのは「君みたいな香水臭い女、ニオイでごはんがまずくなるから嫌」。そればかりか「っていうか君が不倫してること、周りはみんな知ってるよ。近々、その人の奥さんに慰謝料請求されるだろうから、オレに色目使ってる暇があるなら金策に走ったら」とまで言ってしまいます。

その後も体調を心配する月下に「話しかけないでくれる? 笑うしか役に立たないド素人が」、飲みに誘った大河部長に「あんたのしょうもない自慢話聞くのウンザリなんです」と口走ってしまい、永瀬はようやく自身の異変に気づきます。自宅マンション前で待ち伏せしていた理華にも「そもそも君の名前も知らない」と言い放ち、ビンタを食らって途方に暮れるばかりです。

翌日、先の石田のアパートのことについて月下に振られた永瀬。突然また風が吹き、こう口走ってしまいます。「ホントに気づかれなくてよかったわ、あんなほぼほぼうそで塗り固めた契約」。思わず真意を確かめる月下に、永瀬は前述したようなサブリース契約の〝盲点〟を説明し、こう〝教育〟します。

「月下。もし不動産業界で生き残りたいなら、覚えときな。この業界には『千三つ』って言葉がある。千の言葉の中に、真実は三つだけ。正直者が馬鹿を見る。嘘をついてなんぼ。それがオレの営業スタイルだから」

大辞泉(小学館)には「千三つ」についてこう解説してます。

(1)《千のうち本当のことは三つしか言わない意》うそつき。
(2)《千に三つくらいしか話がまとまらない意》土地・家屋の売買や貸金などを斡旋あっせんする職業。また、その人。「千三つ屋」
(3)《千品目出しても当たるのは三品目くらいの意》食品業界で、新商品の開発の難しさをいう言葉

今ではあまり聞かれませんが、(2)にあるように、不動産業従事者を指して「千三つ屋」と呼ぶことは、昔はあったようです。似たような言葉として「三百代言」(弁護士の蔑称)がありますが、これも今ではあまり耳にすることはなくなりました。

一転リスク強調し、契約破棄。タワマンからボロアパートに転落

永瀬は病院に脳の精密検査に行きますが、診断は「異常なし」。この間、桐山に石田の2棟めのアパート建設計画を横取りされます。桐山との会話の中に「両手」という不動産業界で最も根深い商習慣のことが出てきますが、深くは語られませんでした。きっと、次回以降に持ち越されるでしょう。

この後、永瀬は「うそが言えなくなったのはあの祠を壊してからだ」と地鎮祭を行った場所に向かい、努と出くわします。そこでは前回の説明と一転し「(アパート経営の)リスクは当然ある」「リスクだらけに決まっている」とまくし立てますが、最後に言い放った「だいたい、あなたたち親子でちゃんと話し合ったんですか? 家の売買は一生を左右するんです。不動産、なめないでください」という言葉に石田は無言になってしまいます。

しかし、この説明がきっかけで、石田のアパート建築計画だけでなく、桐山が横取りした2棟めのアパートの契約も白紙に。永瀬は登坂寿郎社長(演・草刈正雄)から成約ボーナスを取り消されたうえ、「契約を取り返せなかったら解雇」と宣告されます。

シーンが変わり、永瀬の自宅はタワーマンションから1K畳張りの薄汚れた一室になっていました。このあたりは漫画チックであまり現実的ではないのですが、営業成績が落ちたことで落ちぶれてしまったことを表現しているのでしょう。羽振りはよさそうな永瀬でしたが、身の丈以上に散財していて貯金はできていなかったようです。

敷金丸取りをもくろむオーナーによるストーカー行為をぶちまけた永瀬

そこに月下から電話があり、新社会人の柿沢久美(演・松風理咲)が賃貸マンションの契約をするのに同席するよう求められました。引き受けた永瀬に送られた資料の備考欄に書かれていた「交代多し」の4文字に永瀬は目を落とします。

翌日、父とともに現れた久美は順調に契約書に必要事項を記入していきますが、ハンコを押す直前、またもや例の風に吹かれた永瀬。「オレならこんなクソみたいなオーナーの物件には金をもらったって住まないけどな」と言ってしまいます。

柿沢親子に問い詰められた永瀬は自分に抵抗をするのをやめ、すべてを説明します。まず、立地や部屋の広さからして家賃は10万円以上してもおかしくないのに、そのマンションは破格の7万円という謎の価格設定であること。それには理由があって、入居時に支払う敷金と礼金を丸々せしめるために、若い女性ばかりを入居させ、すぐに追い出すためにオーナーがストーカー行為をしていたこと。さらに室内に置いてあったカーペットや備品を買い替えて破棄したら敷金は返還しないという策を弄していたこと。これらを洗いざらい暴露しました。

ここまで悪質なのは実際にはあまり見られない、極端なケースかもしれません。柿沢親子は激怒し、席を蹴って出て行きました。月下にも「見損ないました」と突き放された永瀬は、社長から辞表の準備を求められます。そこに契約を破棄された賃貸マンションのオーナーが血相を変えて怒鳴り込んできました。

オーナーに土下座しようとした永瀬に再び猛烈な風が吹きます。一転、満面の笑みで「土下座なんかするわけないでしょう。あなたみたいなクソオーナーに」と逆ギレし、オーナーに嫌がらせを受けたり盗撮用のカメラを取り付けられたりした過去の入居者の証言をぶつけました。

「正直不動産」、大どんでん返し。災いの神のたたりは吉か凶か

ここまでやってしまうともう職場にいるのは無理です。観念して次の仕事を探す決意をする永瀬ですが、ここからどんでん返しが始まります。

まず、柿沢親子が月下に「言い方は無礼だったが、永瀬が全部正直に話してくれたおかげで危険な目に遭わずにすんだ」として改めて部屋探しを依頼してきました。

次に石田親子。努は「まだ仕事をしたい」と2棟めのアパート建築計画を取りやめたものの、1棟めのアパートは永瀬に任せることを伝えてきました。しかも「君なら信用できる。頼むぞ」と激励されます。

これまでの永瀬のスタンスからしたら隠していた不都合な真実を愚かにも白状するという痛恨のミスでしかなかったことが、一般の消費者としては大いに役立ったということでしょう。おかげで永瀬の首もつながりました。

最後に、努から祠の秘密を聞かされます。「江戸時代に偉いお坊さんが災いの神をあそこに封じ込めた。あの祠に無礼なことをすると、たたりが起きるらしい」。

「じゃあ、オレがうそをつけなくなったのはたたりってことか?」

永瀬の心の声が響いて第1話はお開き。うそがつけなくなった理由も判明しました。「正直すぎる」というたたりと永瀬はどう付き合いながら不動産の営業マンを続けていくのか。果たして生き残れるのか。次回も楽しみです。

(不動産のリアル編集部)

 

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