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公開日:2025年5月21日  菅原 秀泰

金利上昇局面での住宅ローン選び。変動か固定か、どう考える?

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの菅原です。

2009年以来、長らく動きのなかった住宅ローンの変動金利が、2024年10月と2025年4月に立て続けに上昇しました。これに伴い、長期固定金利の指標となる「フラット35」の金利も上昇傾向にあります。

このような金利上昇局面において、「変動金利を選ぶべきか、それとも固定金利が安心か?」と悩む方も多いのではないでしょうか。今回は、過去の金利推移やシミュレーションをもとに、住宅ローン選びの考え方を整理してみましょう。

固定と変動

(写真はイメージです)

過去の金利推移を振り返る

まずは、1986年以降の金利の動きを見てみましょう。

金利と日経平均株価の推移

「変動金利(店頭金利)」は、バブル期には8.5%まで上昇しましたが、その後は下落を続け、1999年には2.375%に。2009年以降は2.475%で安定していましたが、2024年10月に2.625%、2025年4月には2.875%へと上昇しています。

「フラット35(全期間固定金利)」は、2003年の導入当初は3%前後でしたが、2016年には0.9%を下回る水準に。その後は徐々に上昇し、現在は1.82%となっています(※フラット35Sの優遇措置で当初5年間は0.25%引き下げなどあり)。

現在の実際の変動金利は、各銀行の優遇措置により0.525~0.6%台が主流です。これは、店頭金利から1.5~2.5%程度の優遇が適用されているためです。

変動金利と固定金利の比較シミュレーション

ここで、借入額5,000万円、期間35年、ボーナス払いなしという条件で、変動金利と固定金利の返済シミュレーションを比較してみましょう。

◇全期間固定金利(1.82%)の場合

  • 月々の返済額:16万1,050円
  • 総返済額:6,764万1,031円
  • 利息総額:1,764万1,031円

元利均等返済概念図1

金利が変わらない安心感があり、将来の家計設計がしやすいのが特徴です。

◇変動金利(0.675%、店頭金利から2.2%優遇)の場合

  • 月々の返済額:13万3,696円(当初)
  • 総返済額(変動なし):5,615万2,588円

元利均等返済概念図2

この時点で、変動金利の方が約1,150万円も総返済額が少なくなります。

5年ごとに0.25%ずつ金利が上昇した場合

  • 6年目:0.925% → 月々13万8,609円
  • 11年目:1.175% → 月々14万2,825円
  • 16年目:1.425% → 月々14万6,294円
  • 21年目:1.675% → 月々14万8,966円
  • 26年目:1.925% → 月々15万797円
  • 31年目:2.175% → 月々15万1,740円
  • 総返済額:6,077万5,601円

元利均等返済概念図3

このように、金利が段階的に上昇しても、全期間固定よりも返済総額は少ないという結果になります。

変動金利のリスクと実態

もちろん、変動金利には「将来の金利上昇リスク」があります。特に、短期プライムレートが急激に上昇した場合、返済額が大きく増える可能性も否定できません。

しかし、過去の実績を見ると、変動金利は実際にはあまり動いていないという事実もあります。2009年から2024年までの15年間、ほぼ同じ水準で推移していたことは、ひとつの安心材料とも言えるでしょう。

また、国土交通省の調査によると、令和5(2023)年度において住宅ローン利用者の84.3%が変動金利を選択しています。これは、低金利の恩恵を受けたいという考えが多くの人に支持されていることを示しています。

判断のポイント:どちらを選ぶべきか?

住宅ローンの金利タイプを選ぶ際には、以下のような視点が重要です。

  • 将来の金利上昇に対する不安が強い方は、固定金利で安心を買うのもひとつの選択
  • ある程度のリスクを取ってでも、総返済額を抑えたい方は、変動金利が有利
  • 収入に余裕があり、金利上昇にも耐えられる家計であれば、変動金利のメリットを享受しやすい

共働き世帯や、将来的に収入増が見込める方は、変動金利のリスクをある程度吸収できる可能性もあります。また、変動金利を選ぶ場合でも、将来的に金利が大きく上昇した際には、固定金利への借り換えを検討するという柔軟な姿勢も重要です。

金融政策との関係も意識しよう

住宅ローン金利は、日銀の金融政策とも密接に関係しています。

たとえば、インフレ抑制のために政策金利が引き上げられれば、短期金利が上昇し、変動金利型ローンの負担が増える可能性があります。

一方で、景気後退局面では金利が再び下がることもあり得ます。つまり、金利の動向は経済全体の流れと連動しているため、ニュースや経済指標にも目を向けておくと、より賢い判断ができるでしょう。

ライフプランとのバランスも大切

住宅ローンは、単なる「金利の損得」だけでなく、人生設計全体とのバランスも考慮すべきです。たとえば、子どもの教育費がかかる時期や、老後資金の準備、転職や独立など、将来のライフイベントに備える必要があります。

固定金利は、将来の支出が読みやすくなるという点で、家計管理がしやすくなります。一方、変動金利は、浮いた利息分を繰上返済や資産運用、貯蓄に回すことで、トータルでの資産形成に有利に働く可能性もあります。

まとめ

金利上昇局面において、住宅ローンの選択は非常に悩ましい問題です。しかし、過去の金利推移やシミュレーションを参考にしながら、自分のライフプランや家計状況に合った選択をすることが大切です。

「正解」は将来にならないと分かりませんが、情報を整理し、納得のいく判断をすることが、後悔しない住宅ローン選びにつながります。

迷った場合は、住宅ローンアドバイザーの菅原をご指名ください。皆様からのお問い合わせをお待ちしております。

 

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