REDSエージェント、宅建士の菅野です。こんなニュースが飛び込んできました。

 

《「無事故物件」と偽り自宅販売、容疑の男逮捕 茨城》

 

産経新聞のニュース記事によると「逮捕容疑は、母親が所有するつくば市の事故物件の自宅を、無事故物件と偽って市内の中古住宅販売業者に売却し、2018年6月18日と7月23日に計約1,500万円をだまし取った」とのことでした。

 

事故物件

(写真はイメージです)

 

それにしても、買主は不動産業者で売主は一般人。だまされたのはプロで、だましたのは素人。逆ならまだしも、こんな案件で、詐欺容疑で逮捕というのは尋常ではありません。

 

不動産業者の仕入れについては通常、商法が適用されます。

 

〈商法第526条〉
1 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
3 前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。

 

商法では買った側に検査する義務がありますので、普通は物件を仕入れる前に不動産業者は調査を行います。

 

この「事故物件」という瑕疵は簡単に調べられないものだったということなのでしょうか。(知る人ぞ知る「大島てる」のサイトに、かなりの事件事故が網羅されています。掲載されていなかったのかな?)

 

それとも、3項を適用するとしても、売主に悪意があったことが明白であるということなのでしょうか?

 

一般に「詐欺罪」というのは構成要件が厳しく、認定が難しいとされています。

 

(1)欺罔行為(相手を騙すこと)
(2)被害者が錯誤する(だまされること)
(3)交付行為、財産の移転(だまされた結果、被害者が財産を交付し、その財産〈の所有権等〉が移転すること)
(4)上記一連の行為の因果関係が認められること

 

となります。

 

今回の案件を想像すると、こんな流れだったのではないでしょうか。

 

(1)売主が「この物件は事故物件ではない」とでも言ったのでしょうか。
(2)それにまんまと業者がだまされた(その言質を信じて)。
(3)その言質を信じて1,500万円払う契約をした。
(4)実際に支払いがなされた。

 

(1)について、確実に事故物件であることを容疑者が知っていたという証明ができないとこの構成要件は破綻するので(知らなかったのならだます行為とならない)、ここの証拠が間違いなくあるということに違いありません。

 

とにかく「事故物件であることを知っていて、事故物件でないとして売ったら詐欺罪になる可能性がある」ということを今回の事件は示しています。

 

業界では「告知義務違反」と言われる内容ですが、悪意があれば「詐欺罪」での立件もできるという一例となるのかもしれません。

 

大きなお金が動くのが不動産売買ですので「軽い気持ちで告知しなかった」じゃ済まされません。不動産業者にとってまったく人ごとでない事件でした。

 

 

菅野 洋充(REDSエージェント、080-6789-2788、hiromitsu@red-sys.jp)
北海道出身。所有資格は宅地建物取引士、宅建マイスター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)、ホームステージャー2級、競売不動産取扱主任者、ITパスポートなど。担当エリアは東京都内一円、埼玉県南部、南東部、神奈川県川崎市、横浜市。
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