REDSエージェントの菅野です。

詐欺まがいといわれる女性用シェアハウス「かぼちゃの馬車」に書類を偽造してまで融資をぶっこみ続けたとして巷で話題の「スルガ銀行」ですが、不動産投資をしてなかったり、一般の住まいを買うくらいしか不動産にかかわりがなかったりするみなさんとはあまり関係のないことと思われているかもしれません。でも、STAP細胞はなくても、この問題の不動産関係への悪い影響は、あります！　では、一体どんな影響があるのでしょうか？

（写真はイメージです）

投資ローンについて

まず、震源地となった投資ローンです。当然ながら、投資不動産へのローンは非常に厳しい状況に置かれています。

以前は、収益物件の購入費用を全額貸し出すフルローンや、加えて諸費用（仲介手数料や各種税金など）まで貸し出す「オーバーローン」なども盛んに融資されていて、投資不動産の取引は活況を呈していました。

しかし、現在ではほとんどそういったローンは審査を通らず、自己資金（頭金）を持たない人は投資不動産を買えなくなっています。今回の問題をきっかけに、金融庁から各金融機関への指導や引き締めが行われました。このため、金融機関は投資不動産への融資を積極的に行えなくなりました。

住宅ローンについて

住宅ローンも無縁ではありません。住宅ローンにも「審査の厳格化」の波がきているのです。スルガ銀行は書類のコピーを偽造していたことが明らかになっています。なので、金融機関はとにかく「原本確認」を徹底して行っているようです。

また、金融庁の指導に基づく確認事項が追加でたくさん生じ、審査事務に時間がかかるようになったそうです。住宅ローンの事前審査は、以前は早ければ当日に結論が出ることもありましたが、現在は1日以上かかるのが普通で、長くなると3日かかることも少なくないようです。

さらに、これは私の体感ですが、審査が通らない方や減額される方が実際に増えてきたように感じます。

不動産価格への影響

不動産投資が下火になると、収益物件は供給過剰となり、売れにくくなってきています。そうなると、今まで低い利回りでも売れていた物件が、利回りを上げないと売れなくなってくるのです。利回りというのは年間の家賃収入を物件価格で割った物です。利回りを上げる、ということはすなわち物件価格の値下げということですね。

この影響は単にワンルームマンションやアパートにとどまらず、ファミリータイプのマンションや一戸建てまで全ての不動産へ値下がりの影響が波及していきます。

不動産業者に対する影響

「物件が高値で売れなくなるのなら、現状で売るのは止めよう」という所有者も増えると思われます。

需要と供給のバランスは取れてくるかもしれませんが、買う人も売る人も減って、不動産取引の総量が減るという事態になるということです。不動産取引が減ると、手数料収入を主な収入としている不動産業者の倒産、破綻が増えてくるものと思われます。現に、投資不動産を主に取り扱ってきた業者がここ数カ月でバタバタと倒れてきています。

私の周辺ではスルガ銀行問題の影響はとりたてて大きいとまで言えないものの、あちらこちらでその影響によるマイナスを感じています。日銀の金融緩和であふれたマネーは、一昨年くらいまでは不動産が一手に引き受けていたのです。それは一時期、仮想通貨に流れましたが、不安定さとリスクの高さでまた不動産に戻りつつありました。

しかし、今回の「スルガショック」によって、マネーはどこに向かうのでしょうか？　私は、不動産の価格は物価や景気に大きく影響すると考えております。来年の消費増税は確実、と言われていますが、それで本当に経済は大丈夫でしょうか？　非常に不安です。

菅野　洋充（REDSエージェント、080-6789-2788、hiromitsu@red-sys.jp）
北海道出身。所有資格は宅地建物取引士、宅建マイスター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)、ホームステージャー2級、競売不動産取扱主任者、ITパスポートなど。担当エリアは東京都内一円、埼玉県南部、南東部、神奈川県川崎市、横浜市。
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