マンションを売却するとき、売り出し価格を決定するのは売主自身です。1,000万円にも5,000万円にも設定は可能です。しかし世の中には、「相場」というものが存在します。たとえ世界に1つしか存在しないマンションの部屋であっても、不動産には相場があるのです。

 

売主が望むことは「良い買主に譲りたい」「早く売りたい」などさまざまですが、ほとんどの売主にとって一番の願いは「できるだけ高く売却したい」ということでしょう。

 

インターネットが普及している現代、多くの売主は売却するマンションの相場をある程度は把握できます。売却物件周辺の不動産情報、すなわちポスティングチラシなどに掲載された近隣マンションの価格も気になってくるでしょう。一方で、買主も物件情報をインターネットで確認できるため、お互い相場観は養われているといえます。

 

売り出し価格を設定するとき、こんな疑問を抱かれる方がいらっしゃるかもしれません。

 

「売主も買主も、相場を知ることができる環境にあるのなら、売り出し価格をいくらに設定しても、最終的な成約価格は同じじゃないか」

 

しかし、これまで多くの不動産売買に携わってきた体験から、「同じではない」というのが答えです。その理由は、売り出し価格の見せ方が、買主側の心理に影響を及ぼすからです。今回は、購入検討者の心理に訴求する売り出し価格の設定方法について解説します。

 

マンション売却の売り出し価格

(写真はイメージです)

 

売り出し価格はインターネット検索区分を意識して設定

 

インターネットの情報サイトで不動産情報を検索する時、「物件価格」や「立地」などいくつかの項目は、条件を絞って検索できるようになっています。立地なら「徒歩5分以内」「徒歩10分以内」、部屋の広さならば「60㎡以上」「70㎡以上」などです。

 

そして物件価格はというと、情報サイトの多くは500万円刻みに検索できます。そこで、もし今の売り出し価格で売却がうまくいかなかった場合には、検索区分が一段下になるところまで価格を下げれば、新たな購入検討者の層にアプローチできるわけです。

 

例えば、売り出し価格を5,080万円に設定していれば、売れ行き不調の際には80万円以上の値下げで検索区分を変えられます。一方、4,880万円で売却活動を始めた場合、不調の際には380万円以上の値下げをしなければなりません。最初の価格設定には、こうした点も頭の片隅に入れておきましょう。

 

値引き交渉の余地は残しておく

 

マンション売却の話が進むと、購入検討者から売主に、契約条件についての交渉が持ち込まれます。引き渡しの時期などもありますが、大半の交渉内容は価格についてです。数万円の家電を買うのですら価格交渉が当たり前になっている昨今、売主は、購入検討者からの価格交渉は覚悟しておいた方が良いでしょう。

 

価格交渉の幅はさまざまですが、売主が始めから「価格交渉を受け入れる余地が全くない」という状態では、購入検討者側も気持ちが前向きになりません。

 

例えば、販売価格が5,580万円で、皆様が買主だとすると、どのぐらいが交渉の幅と考えますか? 「少なくとも、端数の80万円は交渉しよう」と考えるのではないでしょうか。多くの物件が十万円単位まで価格を刻んでいる、理由の一つです。これがもし5,600万円だと、「6」を意識するため、100万円単位の交渉になってしまうでしょう。

 

また、70㎡程度のファミリータイプのマンションでは、壁紙の貼替とハウスクリーニングで30~50万円程度を要します。売主としては、入居に当たっての表層リフォームとして80万円ぐらいまでは値引きしても良いと考えておいた方が、いざ価格交渉になった時に気持ちの整理がつきやすくなります。

 

売り出し価格を設定する際には、少なくとも80万円程度、5,000万円を超える物件の場合は180万円程度を、交渉幅として考えておいた方が良いでしょう。

 

売り出し価格の悪目立ちは逆効果

 

インターネットなどの物件情報で、まれに一万円単位で価格設定している売却物件があります。他の多くの物件が十万円単位が「***0万円」とする中、違った数字(価格)があれば、それはある意味で目立つ存在になります。サイト上での存在が目立てば、購入検討者からの問い合わせなどにつながるという狙いなのかもしれません。

 

ただ、購入検討者側の目線で見れば、他と違う価格設定に、逆に疑問や不審を抱かれることも考えられます。売り出し価格を設定するときは、同価格帯の物件と同様に、十万円単位での価格設定をおすすめします。

 

高値を欲張り過ぎるのはNG

 

マンションの売却について不動産仲介業者に相談すると「査定価格」を出してくれます。査定価格とは、近隣で成約した事例などを基に、どのぐらいの価格だったら成約の可能性が高いかを示すものです。この査定価格はあくまで事例から算出した「予想」であり、その価格で成約する保証はありません。

 

売主は、この査定価格を目安として売り出し価格を自由に設定できます。しかし、あまりに査定価格からかけ離れた高値を設定すると、最終的に損をしてしまうかもしれません。査定価格とはあくまでも相場。相場からかけ離れた売り出し価格では、成約できる可能性は低いでしょう。

 

一定の期間売れなければ、少しずつ価格を下げざるをえなくなります。しかし、高い売り出し価格から少しずつ下げていくと、購入検討者は「もう少し待てば、もっと下がるのではないか」「何回も下げなければならない理由があるのでは?」という気持ちを抱きます。

 

その結果、相場に近づいた価格に変更しても購入検討者から良い反応が得られないこともあります。売却活動が長期化すれば、購入検討者側の心理に良い影響を与えません。3カ月や半年など一定の期間までに売れなかったら、いったん売却を中止するという選択も視野に入れた方が良いでしょう。

 

最後に

 

売り出し価格を決める際のポイントをいくつかご紹介しましたが、担当の不動産仲介業者のアドバイスもしっかり聞きましょう。不動産業者に支払う仲介手数料は成功報酬であり、その金額は成約価格に連動します。「できるだけ高く売りたい」という売主の心理は、不動産業者も同じなのです。

 

マンション売却は数千万円の契約であり、価格交渉の幅も数十万円、数百万円に及びます。最終的にご自身が納得のいくマンション売却を実現するためにも、信頼の置ける不動産仲介業者を見つけてしっかりとアドバイスを聞くのが得策です。そして、その後の売却活動と値引き交渉を見据えて、売り出し価格を決定するようにしましょう。

 

斉藤勇佑(宅地建物取引士)
大学卒業後、5年間不動産売買業務に従事。その後、不動産管理会社に転職し、分譲マンションの維持・管理を中心とした業務に5年間かかわり、現在は不動産のストック分野の業務に従事。

 

 

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