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公開日:2024年9月11日

物価高の今、ふるさと納税で節約しよう。メリットや仕組みを解説

REDSの宅建士、有馬春志です。

近年、ふるさと納税の利用者が年々増加しています。物価の上昇が続くなか、この制度をうまく活⽤することによって、家計の⽀出を節約することができます。今回は、ふるさと納税の仕組みやメリット、注意点などについて解説します。

ふるさと納税

(写真はイメージです)

ふるさと納税の成り立ち

ふるさと納税制度の設立に向けた最初の一歩は、2006年10月に「故郷寄付金控除」の導入が提案されたことでした。これは、当時の福井県知事からの問題提起で、大都市集中の傾向が強い日本で、地方は将来を担う子どもに未来を託し、コストを費やしていても、その子どもたちが納税前に大都市圏へと流出してしまうことを懸念してのことでした。

つまり、ふるさと納税は、都市と地方の行政収支のバランスの悪さを是正することを目的として、「故郷」に寄付することで、自治体は育てた子どもたちからのコスト回収を期待する制度だったといえます。

その後、2008年にふるさと納税が開始されますが、すぐに世の中に浸透したわけではありませんでした。ふるさと納税が注目され、利用者が急増したのは2011年の東日本大震災以降になります。今でこそ、返礼品を目的としてふるさと納税を利用する人が多いですが、この震災を機に、ボランティアでも募金でもない新しい震災支援としてふるさと納税が利用されたのです。故郷だけでなく、応援・支援したい自治体に寄付する傾向が強くなり、利用者が増えるきっかけとなりました。

これまで、確定申告における控除申請の手続きが、ふるさと納税を行う際のネックになっている人もいましたが、2015年「ワンストップ特例制度」の導入により、ふるさと納税を行うことへのハードルが低くなりました。ワンストップ特例制度は、条件はあるものの、税務署での申請手続きが省略できるため、より手軽に始められるようになったのです。

しかし、ふるさと納税の知名度が上がるにつれて問題となったのが、各自治体による返礼品競争です。寄付金獲得のために「還元率の高さ」や「換金目的」を重視する自治体が増えました。

物価⾼が続く今こそ、ふるさと納税で節約を!

総務省が公表した『ふるさと納税に関する現況調査結果』(2023年度実施)によれば、2022年度の実績は、『ふるさと納税』の受⼊額が約9,654億円(前年度⽐約1.2倍)、受⼊件数が約5184万件(同約1.2倍)でした。また、ふるさと納税による控除適⽤者数は約891万⼈(同約1.2倍)と過去最多で、利⽤者数は年々増加している状況にあります。

ふるさと納税とは、本来であれば住んでいる⾃治体に納めるはずの税⾦を、寄付というかたちで任意の⾃治体に納め、応援するものです。その返礼として、寄付した各⾃治体からさまざまな品物やサービスなどを受けることができる仕組みです。

また、⼀定の範囲内の寄付額であれば、寄付額のうち2,000円を超える部分について、寄付を⾏った年の所得税と翌年度の住⺠税から、原則として全額が控除されます。

これらの税⾦の控除は、具体的には次のように計算されます。所得税の控除額は、「(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率」です。住⺠税の控除額には、基本分と特例分があり、基本分が「(ふるさと納税額−2,000円)×10%」、特例分が「(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-基本分10%-所得税の税率)」です。

ただし、控除対象となるふるさと納税額には上限があり、所得税では総所得⾦額の40%、住⺠税(基本分)では30%、特例分は住⺠税所得割額の20%が限度になります。このように、ふるさと納税の活⽤により実質負担が2,000円で、⾃治体から返礼品として特産品などを受け取ることができ、結果として、家計の⽀出の節約が可能になるため、⼤きなメリットがあるといえます。

誰でも得するわけではないふるさと納税の落とし⽳

ただし、ふるさと納税には手を出さないほうがいい方もいます。まず、ふるさと納税による控除は、本来納める税⾦があってこそ受けられる制度なので、所得税や住⺠税を納めていない場合は、前述のようなメリットはありません。

また、税⾦を納めていても収⼊が少ない場合には、メリットを得られません。全額控除できる寄付⾦額が少額になるため、返礼品は寄付額の3割以下というルールを考えると、返礼品の価値と⾃⼰負担の2,000円が相殺される場合があります。

ふるさと納税は寄付として⽀出を伴うため、資⾦に余裕がない場合は避けたほうがよいでしょう。

また、初めて住宅ローン控除を受ける場合は、住宅ローン控除とふるさと納税による控除はどちらも納税額から控除するため、控除額が上限を超えるおそれがあります。そのほか、転職や産休などで収⼊状況が変わる場合は、控除の上限額を確認して利⽤する⾦額を決めるのがよいでしょう。

ふるさと納税は控除や返礼品の⾦額に上限があり、必ずしも⾦銭⾯でメリットを得られるわけではありません。控除を受けるためには、原則として、ふるさと納税を⾏った翌年に確定申告を⾏う必要があります。

確定申告の不要な給与所得者などがふるさと納税を⾏う場合、⼀定の要件を満たせば確定申告を⾏わなくても寄付⾦控除が受けられる、特例的な仕組みである『ふるさと納税ワンストップ特例制度』を利⽤できます。 このように、ふるさと納税は、限度額の確認や⼿続きなど⼿間はかかるものの、ある程度の収⼊がある⼈には⼤きなメリットがあります。この機会に試してみてはいかがでしょうか。

 

この記事を執筆した
エージェントプロフィール

有馬 春志
(宅建士・リフォームスタイリスト)

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