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最終更新日:2022年1月20日
公開日:2016年8月18日

「家売るオンナ」【第5話】にみる中古マンション購入の教訓(2)―独女のマンション購入が必然の時代に

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2016年夏の日テレの人気ドラマ「家売るオンナ」。 深みを見せてきた5話目も、中古マンションの売買に関するウソとホントを、雑感とちょっとした裏話を交えてご紹介していきます。

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ポピュラーになりつつある独身女性のマンション購入

庭野(工藤阿須加)が担当した日向詩文(ともさかりえ)はフリーランスのジャーナリスト。職業柄か、勝気な性格の持ち主です。 一方、凄腕営業ウーマン三軒家万智(北川景子)が担当したのはポスティングチラシを見て問い合わせてきた草壁歩子(山田真歩)。出版社の校閲部で働く地味なOLです。 対照的な二人に共通するのは、独身女性=「女単」(女性単身客)ということ。 従来、住宅購入は「結婚してから買うもの」というイメージが根強くあり、独身女性の客は偏見を込めて「おひとりさま」などと言われていました。 しかし女性の働き方が大きく変化した結果、住宅への考え方も変化したのか、ここ10年で独身女性のマンション購入は増加しています。

「終の棲家」以外に資産としても活用する女性たち

従来のように一生住まう「終の棲家」としてというより、資産形成や老後の安心のためなどを考え、20代の若いうちに購入するケースも少なくありません。 また、一生独身を決めているわけでもなく、結婚すれば、しばらくはそのまま住んで資金を貯めて、出産など状況が変われば買い替えるか賃貸に出すなど、そのスタンスはフレキシブルです。 大手不動産会社各社では既に女性のマンション選びを応援する専用サイトを立ち上げています。 少し前まで、女性は収入が安定しないというイメージから、金融機関の審査が厳しくローンの借り入れは難しかったのですが、最近は専ら女性を対象としたローン商品も多数登場してきています。 また、全国的に未婚率は上昇しており、単身者世帯も増加傾向にあります。 不動産業界には「住宅購入といえばファミリー世帯」という先入観の払拭が求められています。

「結婚と家を買うことは関係ありません。 男女ともに、結婚しない人が増えているにも関わらず、独身者を結婚というゴールに向かう途中の中途半端な人間と決めつけることはおかしいです!」 「女性であろうと、独身であろうと、買う力がある人に家を売るのは当然です。 独身女性が家を買うことについての偏見は、改める方がまっとうです」

万智の言うこのセリフは、時代の変化をとらえた真実をついているといえます。

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会社によって異なるルール、契約優先・申し込み優先?

同じ出版社で働いていて顔見知り、そのうえ犬猿の仲の歩子と詩文。困ったことに2人とも同じ物件を気に入り、申し込みがダブルブッキングになってしまいました。 同じ物件に申し込みが重なった場合、対応は会社によって異なります。 申し込みの順番を優先する場合もありますし、申し込み自体には法的拘束力がないため本契約を交わした順番を優先するケースもあります。 一般の常識とは異なり驚かれるかもしれませんが、すでに申し込みのある物件に後から購入意思を示した人、すなわち「後出しじゃんけん」をした人に売ることも、法律上何ら問題はないのです。 しかし、たとえば以下のような条件で同時に申し込みがあったとします。 (A)現金支払いで即日決済可能な方 (B)頭金ゼロで諸経費込み全額ローン希望の自営業(フリーランス)の方 (B)の方はローン審査で時間がかかったり、審査が通りにくいという傾向があるのが現実。一方、(A)の方が確実に買えるお客様として、不動産会社は優遇する傾向があります。

「頭金がない」!?ウソ・ホント?頭金ゼロで家が買える?

万智は歩子を現地に案内する前に自己資金を確認し、暗算で資金計画を提案します。頭に叩き込まれているのでしょうか。まるでローン電卓ですね。 一方、庭野は資金内容を確認せずに詩文のために奔走しますが、手筈が整って改めて詩文に資金計画を確認すると、「貯金はなく、頭金なしで購入したい」と言うのです。 ここで庭野はすっかり焦ってしまいます。本来、不動産仲介会社では、銀行の事前審査をしてからでないと、購入の申し込みは受け付けません。 不動産購入には、物件の本体価格のほかに ・登記費用 ・ローンの事務手数料 ・火災保険料 と言った、いわゆる諸費用がかかります。 金融機関には本体価格のほか諸費用の分まで貸してくれる「諸費用ローン」といった商品も用意されており、融資の承認が下りれば頭金ゼロでも家の購入は可能です。 しかし、金融機関としては、借り入れ希望者に返済能力があるのかをみるため、貯金がなく、頭金ゼロまたはその割合が低い場合、審査はそれに応じて厳しくなります。

不動産会社や金融機関が一番気にする「属性」

金融機関は「勤務先の規模」「勤続年数」「年収」また「個人信用情報」などを根拠に、返済能力を有しているのかを審査します。 こういった個人の社会的・経済的な背景を「属性」といい、自営業やフリーランスの場合は収入が不安定とみなされやすいため「属性が低い」と言われ、審査が厳しくなる可能性が高くなります。 自己資金がなく、ローンの審査が下りなければ物件を購入することはできないため、不動産会社は「属性」を気にするのです。 また、他にも ・カードローンや消費者金融の借り入れがある ・キャッシングで延滞の経験がある こういった人は、「個人信用情報」にその記録が残っていることがあるため注意が必要です。

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庭野の売り上げ(仲介手数料)は228万円

すっかり売れたつもりになった庭野は、デスクの室田まどか(新木優子)に売り上げを聞かれると「228万円です!」ときっぱりと答えます。では、実際に仲介手数料を計算してみましょう。

キャビネットコート永田町 208号室 3,600万円 (同じ間取りで万智が日向に売った708号室は4,100万円で500万円の価格差)   仲介手数料は3,600万円の3%+6万円で114万円

今回、庭野は208号室の売却を考えているオーナーから物件を預かり、その物件を歩子に仲介したため、テーコー不動産の売り上げは両手仲介となります。 つまり、歩子と元オーナーの両方から同額を受領します。

ですので、114万円×2=228万円   よって、テーコー不動産の売り上げは228万円となります。

現実には仲介手数料はずっと安い場合も

ドラマの中ではこうなっていますが、現実世界では最近、仲介手数料を割引もしくは全額無料にすることでお得感を出して、不動産会社間の厳しい競争の中で、差別化を図っている会社もあります。 仮に、歩子が仲介を依頼したのがテーコー不動産ではなく、こうした仲介手数料割引の会社だった場合、支払う仲介手数料には下記のような差が生じます。

【テーコー不動産】114万円 → 【割引】57万円  → あるいは無料

※上記の表記は税抜きとなり、テーコー不動産が課税事業者である場合、別途消費税分を徴収します。

堅実な歩子なら、仲介手数料割引・もしくは無料の仲介業者に話を持ちかけられたら、そちらの物件を検討してしまうかもしれませんね。

(監修:不動産流通システム)

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