⑴から続く(芸能人の自宅を査定する『有吉弘行のダレトク!?出張査定!ダレトク不動産』で、査定を行う不動産のプロに「不動産鑑定士」が登場していることに対し、不動産鑑定士資格を持つ筆者が違和感を持っていることを述べています)

 

不動産鑑定士

(写真はイメージです)

 

鑑定士は個人の家の査定はほとんどしない

 

このほか、鑑定士と取引士の違いを付言しておくと、査定価格の出し方に報酬体系の違いも反映されることです。鑑定士は、主に鑑定評価書や調査報告書という文書を作成することで評価料というフィーをいただきます。

 

これに対して取引士は、売買や賃貸の取引が成立して初めて、仲介料というフィーをいただくのです。鑑定士は「売れる売れない」は関係ないのに対し、取引士は契約を成立させられることを前提に査定価格を出さなければフィーには結びつきません。

 

番組で取り上げていた「個人の住宅を売る時の評価」、すなわち査定という仕事を鑑定士が行うことはごくまれなケースなのです。ありうるのは、親子間での売買や同族会社間での売買など、流通市場を通さない売買における評価をする場合でしょうか。税務署に対して不当な価格での売買でないことを証明したり、会社をM&Aする時に所有不動産の時価を算定したりなどが目的です。

 

一般に、鑑定士の業務として知られているのは、毎年発表される地価公示や国税路線価でしょう。それ以外にも不動産投資信託(Jリート)がオフィスビルなどを売買する時や保有している時の評価、民事再生や会社更生で企業を再生する際の評価があります。さらに、企業の財務会計における時価評価や不動産を担保に金融機関から融資を受ける際の担保評価、相続財産の評価、裁判所から競売不動産や訴訟物件の評価など、依頼先は多岐にわたります。

 

 

鑑定士は「誰に」「何を」鑑定しているのか

 

筆者が行っている業務を例に、鑑定士の業務を具体的に説明します。

 

クライアント別業務の目的

 

企業:会計上の簿価と比較したい、関連会社間で売買や交換するため、現在の時価を知りたいという目的が多いです。また、不動産を活用した事業での投資額を知りたいということもあります。

 

地主:借地権と底地を交換して整理したり、地代や家賃を改定したりするため、管理している個々の不動産の価値を知りたいというケースが多いです。

 

裁判所:共有財産の分割や、家賃や地代で訴訟の対象となっている不動産の価格や賃料について、鑑定人として判断が求められ、原告被告へ鑑定評価額を提示する業務です。

 

税務署:国税庁が指針とする「財産評価基準」では評価できない不動産を相続申告するため評価額を知りたいというケースがある一方、その評価自体が適正かどうかを検証することもあります。

 

業務内容

 

土地や建物の価格のほかに、他人に土地を賃貸している地上権や借地権、借家権などの権利の評価。 温泉旅館やホテルが所有する源泉(お湯が出ているところ)や、山林、農地などの評価。建物も、住宅よりもオフィスビルや商業ビルがメインです。ショッピングセンターから繁華街にあるバーやスナックが入居しているソシアルビルまでやりますし、ホテルもシティホテルからラブホテルまで多種多様です。このほか工場や倉庫、公共施設なども対象です。

 

ちなみに筆者はプロフィールにあるとおり、国内には機械設備等の動産を評価する日本の国家資格がないため、米国の国際資産評価士の資格で、機械設備などの動産の評価も行っています。

 

その他の業務

 

鑑定士は鑑定評価業務のほかにコンサルティング業務も行います。いわば、不動産についてのよろず相談です。資産家から遊休不動産の活用方法や事業採算性についてのほか、売却した場合の想定価格や新規購入する不動産のタイプについてのアドバイスもします。企業グループの不動産を管理する会社から、適切な不動産の選別基準・管理の方法についての相談も受けます。

 

さらには、所有している不動産の場所がわからないので、現地を確認してほしいという調査だけの業務もありますし、隣地から境界確認を求められているがどうしたらいいかなど、いろいろな相談があります。

 

コンサルティング業務は口頭ベースが多いですが、後で言った言わないのトラブルを避けるために、判断や意見を書いた文書を発行しています。コンサルティング業務は、鑑定士として不動産に関する価値判断が求められる大事な業務です。

 

最後に

 

筆者が過去30年間に行ってきた評価には、秋田県の山林(1㎡10円)から東京銀座の商業地(1㎡5,000万円)まで非常に大きな幅があります。1㎡あたり5,000万円ということは、手のひらサイズ(10cm×10cm=0.01㎡)で50万円の価格になります。

 

現地調査のため、本格的に登山もすることもありました。鳥取県の中国山地にある山林の評価で、鳥取県側からの登山道がないため、広島県側からの登山道を使い、2時間半かけて頂上へ行き、そこから下って現地を確認したことがあります。法務局で公図を、森林組合で林班図を広い範囲で取得し、貼り合わせた公図と国土地理院の地図とを照らし合わせて、尾根や谷を基準に現地を特定します。そこから、緯度経度を測り、GPSを持って現地を確認するという作業でした。

 

以上、鑑定士としての業務について詳細に述べてきました。その範囲は広く、番組で紹介されたように個人の物件をサクッと査定するだけではないということをご理解していただけたでしょうか。私は、直接的であれ、間接的であれ、不動産の価値判断にかかわることに鑑定士としての役割があると考え、日々実務を行っております。

 

参考までに、所属する団体のURLを貼っておきますので、興味があれば訪れてみてください。

 

日本不動産鑑定士協会連合会

公益社団法人 東京都不動産鑑定士協会

 

(おわり)

 

三浦雅文 米国国際資産評価士・不動産鑑定士
土地家屋調査士・行政書士・宅地建物取引主任士の資格も保有。1954年北海道生まれ。大学卒業後、測量、登記、鑑定、総合不動産会社を経て独立。多分野での経験を活かした不動産のアドバイスとオールラウンドの鑑定評価を業務の中心に活動中。

 

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