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  • 最終更新日:2018年3月5日
  • 公開日:2017年4月26日

2017年 住宅ローンは固定、変動のどちらが有利かを検証する

住宅ローンは近年、変動金利・固定金利ともに低金利化が進んでいます。また諸経費も低額化が進んでおり、商品ごとの差異は小さくなってきています。  

 

しかし通常は35年もの長い返済となる住宅ローンです。返済中に何が起こるか分かりません。たとえわずかの違いであっても、よりリスクの少ない有利な商品を選びたいという人がほとんどでしょう。   今回は、選択に迷いがちな「固定金利」と「変動金利」について、どちらが有利なのか検証していきたいと思います。  

 

住宅ローン

(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)  

 

「低金利なら固定金利が有利」は本当か

  未曾有の低金利化が進む今、「これ以上の金利低下は難しい、今後は横ばいか上昇しかない」という意見もあります。仮に今後、金利が上昇に転ずるのであれば、リスクが高い変動金利よりも固定金利の方が有利ということになるのでしょうか?  

 

変動金利と固定金利の差が縮まっている今、確かに固定金利の魅力は高いといえます。しかし、超低金利下でローン金利の「微上昇」では変動金利への影響も少ないでしょう。どちらが有利なのか一概には判断できない局面だからこそ、メリット・デメリットを丁寧に見ていく必要があると考えます。

 

2017年4月の住宅ローン金利動向は

  ここで、まず主要4行(みずほ銀行・東京三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行)の2017年4月における金利の動きを見ていきます。

※金利は各金融機関の公式サイトの情報による  

 

【変動金利】

金融機関 店頭表示金利 前月比
4行すべて 2.475% 据え置き

  変動金利は4行すべて同一金利の横ばいです。なお、変動金利の店頭表示金利は平成21年4月以降、97か月連続で4行同一となっています。  

 

【3年固定】

金融機関 店頭表示金利 前月比
みずほ銀行 2.60% 据え置き
三菱東京UFJ銀行 3.05%
三井住友銀行 2.90%
りそな銀行 3.00%

  3年固定では、金利は各行少しずつ違いますが、前月比は全行据え置きです。  

 

【10年固定】

金融機関 店頭表示金利 前月比
みずほ銀行 2.75% +0.05%
三菱東京UFJ銀行 3.25% +0.20%
三井住友銀行 3.25% +0.25%
りそな銀行 3.15% 据え置き

  期間選択型固定金利の目玉、10年固定では各行動きが分かれましたが、上昇傾向です。  

 

【フラット35(返済期間21年以上)の最頻値】

融資額9割以下 1.120% 前月と変わらず
融資額9割超 1.560%

 

  フラット35も横ばいです。     以上、変動金利とフラット金利では動きはありませんでしたが、10年固定で微増となっています。   10年固定が上がった理由については、2・3月は引っ越しが増える時期で住宅ローンの借り入れも増えるため一時的に下げた(もしくは据え置いた)その反動という見方があるようです。

 

しかし、長期金利を前月比ではなく昨年からの流れで見れば、上昇傾向は明らかです。   ちなみにフラット35の金利は、昨年8月に最低水準0.90%(21年以上・9割以下)に達して以降、ほぼ一貫して微上昇を続けています。

参照:【フラット35】お借入金利の推移      

 

今後の金利は

  問題は、この上昇傾向がどの程度まで続くかです。固定金利は、変動金利に先立って上昇する性質を持ちます。今の「長期金利微増」の動きが変動金利にまで波及するのか、気になるところでしょう。   しかし2017年4月現在、世界情勢は混とんとしています。シリア問題しかり、イギリスのEU離脱問題しかり……先行きは不透明です。

 

そんな世相を反映し、マネーは再び安全資産とされる債券市場に流入し始めています。4月19日の国内債券市場において、10年債利回りは一時ゼロ%を付けました。最終的には前日より0.005%低い0.005%で取引を終えたものの、ゼロ%は昨年11月16日以来の低水準です。   こうした状況を踏まえ、日銀の利上げについては「直近では利上げはない」という見方が濃厚です。

 

とはいえ、急な円高が進む、何らかの利上げ圧力がかかるといった、想定外の事態もあり得ます。原則として金利の大幅な上昇はないと思われますが、「まさか」の事態に備えて情報収集を怠らないようにしておきたいものです。  

 

金利選択、決断のポイントは

  ここまで直近の金利の動きや長期的な視野を踏まえて、「微増はあっても大幅な金利上昇は考えにくい」という意見を述べてきました。その前提で、冒頭で触れました変動・固定金利選択のポイントを、世帯別にご紹介したいと思います。      

 

固定金利がおすすめの世帯

  固定金利のメリットは、月々の返済額が安定し、将来の返済計画が立てやすいことです。したがって、これから支出が増えてくる世帯には固定金利をおすすめします。   典型的なのは、今後お子様の教育費の負担が増えるご家族。教育費が増え、家計が苦しくなる時期は、わずかの金利上昇が大きなダメージとなるものです。  

 

また、ローン返済と教育費の支出が同時期にかかるご家庭は、老後資金の貯蓄が後回しになる傾向にあります。住宅ローンは借金ですから返済は必要ですが、教育費というのは家計の「聖域」であり、なかなか削るという方向に意識が向きません。だからこそ、返済計画の立てやすい固定金利が有効なのです。  

 

返済額が確定しているのですから、老後資金も見込んだマネープランニングを行いましょう。   「老後のことは、子どものことが一段落してから」と考える人もいますが、晩婚化の進む中、一段落する頃には老後資金を蓄えるだけの時間的余裕がないケースも多いです。毎月少しずつでも長期的に貯蓄したいものです。      

 

変動金利がおすすめの世帯

  変動金利をおすすめしたいのは、余裕資金がある世帯です。   近年は住宅ローンの借り入れにおいて、頭金を多く入れるより、手持ちの資金を温存して借入額を増やすという手法があります。金利が低く返済における金利負担が少ないこと、借入額を大きくしたほうが住宅ローン控除の恩恵が大きいことなどがその理由です。

 

変動金利は非常に低金利であるため、これらの手法がより有効になります。金利上昇時には余裕資金で繰り上げ返済を行えば、返済負担額が跳ね上がるのも避けられます。   余裕資金とは、今後10年程度は支出する予定のない資金をいいます。教育費や老後資金とは別で、かつ、いざという時はすぐに換金できる資産と考えると良いでしょう。 

 

変動や固定に執着しない借り入れ方法

  「固定・変動いずれか一択」という以外の選択肢も考えられます。こちらも検証してみましょう。    

 

変動→固定への切り替えは判断が難しい

  「借り入れ当初は変動金利を選択し、金利上昇局面になったら固定金利に切り替えよう」と考える人は少なくありません。確かに、金利の状況に合わせて切り替えをすれば、変動金利・固定金利の良いところだけを取り入れられるような気もしますね。しかし、ここで注意したいのは「固定金利は、変動金利に先駆けて上昇する」という性質です。

 

もともと変動より固定の方が金利は高いのですが、金利上昇局面では、さらにその傾向が顕著になります。理想は、変動金利にまで金利の上昇が反映される前に固定金利へ切り替えることですが、その時点より確実に毎月の返済額が増えることになる固定金利への切り替えを、適切な時期に行える人は少なく、つい「もう少しだけ様子を見てみよう」と考えてしまいます。 

 

もし変動から固定への切り替えをお考えならば、「金利が○%に上昇したら必ず切り替える」という強い意志決定が必要でしょう。それでも、切り替えた途端に金利が下落することも考えられます。そのくらい判断の難しい手法であることは覚悟しておきましょう。      

 

ミックス金利は

  固定金利と変動金利を組み合わせた、ミックスローンという選択もあります。「諸経費が増える」「返済管理が煩雑」「毎月返済額の削減メリットは小さい」といった注意点はありますが、金利変動リスクは下がります。

 

ただし部分的とはいえ変動金利での借り入れがある以上、余裕資金はあったほうが良いでしょう。そうすれば、金利上昇時に変動金利分を先に繰り上げ返済するなど、柔軟に対応できます。  

 

また、夫婦共働きであれば別々にローンを組んでも住宅ローン控除で諸経費分が取り戻せる可能性もあります。余裕資金や共働きなどの条件が合えば、諸経費の増加分と節税効果を比較してみてはいかがでしょうか。      

 

まとめ

  変動・固定の金利差が小さい現在、両者の選択は「どちらが得か」という考え方ではなく、返済計画から考えるのが賢い方法です。近々大きな金利変動がないという前提においては、特に余裕資金の有無が重要です。返済期間や今後の家計の状況により、「堅実な返済が不可欠であれば固定金利、余裕資金があり柔軟に対応できるのであれば変動金利」ということになりそうです。

 

 

横山晴美(ライフプラン応援事務所代表) 2013年にFPとして独立。企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。(AFP FP2級技能士 住宅ローンアドバイザー)  

 

この記事に関連する「「団信」から考える住宅ローンのこれから」もぜひご覧ください。

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