不動産業界に新しい風が吹いている。

 

一律が当たり前だと思われていた仲介手数料が最大ゼロ(通常でも半額)。それで会社が成り立つだけでなく、利益も着実に出している。

 

<買う人、住む人に良し、売る人、離れる人に良し、仲介者にも良し>の「三方良し」。この精神を形にしたビジネスモデルは、やがて業界に「嵐」を呼ぶかもしれない。

 

考え抜かれた「仲介手数料ゼロ」の仕組み

 

世界有数の電気街である一方、文化の発信地としてゲームやアニメ、アイドルファンが行き交う街、秋葉原。最近は駅前に複合ビルが建ち並び、訪れる人たちもいわゆるオタク層とは変わってきた。JR秋葉原駅改札口から歩いてすぐの雑居ビルの7階に株式会社「不動産流通システム」(REDS、レッズ)がある。

 

その外見はいわゆる「不動産屋」とはかけ離れたものだ。表に物件案内をべたべたと貼ってあるわけでもない。社名看板が大きく掲げてあるわけでもない。応接セットがひとつ、社員の執務机が6つか7つ並んでいるだけのどこにでもあるオフィスだ。

 

「『仲介手数料ゼロ』を生み出す仕掛けが、このオフィスの姿にも表れているんです」。奥の打ち合わせコーナーにいた同社代表取締役の深谷十三さんが顔を出した。

 

 

いつか不動産を持ってみたい…それが夢だった

 

深谷さんは子供のころに母を失い、さらに高校生のときに父も失った。17歳で高校を中退し、働き始めた苦労人だ。

 

不動産売買に初めてかかわったのは、父の死後に実家の土地と建物を売却したときだ。未成年ゆえ、近所の人に後見人になってもらったが、その後見人から言われた言葉が今でも忘れられない。「深谷クンは、一生、不動産を手にできることはないだろうな」。

 

他意のない言葉に違いなかったが、土地家屋を手放した少年にとっては、「大人になったら自分の手で不動産を持ってみたい」と夢を抱くきっかけになった。

 

家電販売店の営業マンを経て不動産業界に入ったのは1991年。当時26歳だった。この年の2月にはバブルは崩壊したとされているが、不動産業界には依然としてその雰囲気は残っていた。土地や建物の価格は上がり続けていて、営業マンは努力しなくても売れた。

 

日中はゴルフに興じ、夜は酒を楽しんでいても通用する営業マンの姿を目の当たりにして、「お客様第一」の地道な営業を家電店で学んだ若者は大きな衝撃を受けた。

 

2つの不動産会社を経験し「売れる営業マン」に成長したが、個人でできることに限界を感じ1994年、住まいに近い埼玉県八潮市に社員2人の小さな不動産仲介の会社を店開きして独立。29歳だった。

 

 

手痛い経験をしたあと、新しいビジネスモデルへ

 

八潮市は人口10万人足らずの地方都市で、東京23区の葛飾、足立区と隣接していて東京への通勤圏。当時は電車が通っていなかったが、2005年に開業するつくばエキスプレスの駅が建設されることが決まっていた。

 

「駅ができたらきっと繁盛する」。狙いは当たった。八潮駅ができた途端、マンション、建て売り住宅と営業は拡大につぐ拡大。「グリーンシート市場」(※)で公開し「次は正式上場」とまで考える状態まで来た。

 

しかし、それは長くは続かなかった。業務を急激に拡大したツケが来て、資金繰りに窮することになり、事業を存続させながら借金を減免してもらう民事再生による会社の再建を余儀なくされることとなった。開業して14年目、手痛い体験だった。2年かかって再生は終結したが、この失敗をきっかけに「不動産事業の原点は何なのか」を考え始めたという。

 

放送大学(本部・千葉市)で不動産学を学び、アメリカの不動産業界の実態を知った。アメリカには実際に視察にも出向き「日本の不動産業界はこれで良いのだろうか。改革しないといけないのではないか」という思いがふくらんだ。

 

(※)グリーンシート市場=日本証券業協会が1997年に始めたベンチャー企業向けの市場。東証、マザーズへも年1、2社、上場し、ひとつのステップとなった。2015年にクラウドファンディングによる資金調達が合法化されたため2017年3月末で制度廃止になる。

 

 

アメリカの不動産業界を学んで

 

今、日本の不動産業界では「両手仲介」と呼ばれる商慣習の存在が表面化し、問題ではないかと叫ばれ始めた。不動産を売る人と、買う側の代理を同じ会社が務めるため、仲介会社が同業他社の買い主紹介(客付け)を妨げる宅地建物取引業法の不法行為につながるとされている。

 

アメリカではすでに1970年代までに禁止された。日本の国土の25倍の広さがあるアメリカでは、各州に不動産業者が根付いていて、全米の住宅、商業物件取引業者の会員で組織する全米リアルター協会(NAR)の会員は約110万にも及ぶ。

 

アメリカでは、住宅を購入することに対する意識も日本とは根本的に異なる。日本の場合、住宅購入は一生に一度きりという意識が強い一方、アメリカでは一生に平均10回は住み替える。その利用数の多さを背景に、全米リアルター協会は、先見性に富んだ政策を実施する事に長けていることで知られる。

 

まず、ブローカー(不動産業者)と販売を受け持つ専門家のエージェント(販売員)を分離した。そのうえで、全米の不動産情報を網羅したデータベースを整備。大手の業者が情報を独占した閉鎖的なマーケットをオープンにして取引のスピードを上げるなどの改革に、1970年代から取り組んできた。

 

一方の日本ではかつて、家や土地を仲介する仕事は、地元の名士やお寺の住職などに委ねられてきた地域も多かった。情報誌もインターネットもない時代では当然のことだが、ネットの台頭で急速に情報社会化が進んだ現代にまで古いシステムが残っている。深谷さんは、そこにビジネスチャンスを見たのだった。

 

 

ネットを駆使すれば、新しい業態が生まれる

 

いわゆる「街の不動産屋さん」は、どの地域にもある。宅地建物取引業者は、この20年間に10%以上減ったとはいえ、全国で12万以上も存在する。複数の都道府県にまたがる大規模な業者は約2000社に過ぎず、大半は駅前や商店街などに店舗を構える小さな業者だ。店舗の入り口や壁に周辺の「買える」「住める」不動産情報をたくさん掲示している。

 

一方、大手不動産仲介業者は売れる物件情報を入手するために、名簿業者から入手した情報も使ってチラシや手紙をマンション、一戸建ての持ち主に送りつけている。

 

ただ、こうした情報発信や情報入手の手法はネットに駆逐されて始めている。買いたい人は、ネットさえあれば、気軽に情報を取り寄せることのできるため、街の不動産店の掲示物を見に行かなくても、大手の業者のチラシや情報誌を入手しなくてもよくなったのだ。

 

仲介業者が人通りの多い道に面した店舗を持つことに意味がなくなった。深谷さんの冒頭の発言は、ここからきている。

 

2008年10月。不動産情報集めに使うコストを削減し、仲介手数料引き下げで客に還元する新しいビジネススタイルを掲げた「不動産流通システム」の挑戦が始まった。

 

 

山嵜一夫
著述業、毎日新聞グループホールディングス(GHD)顧問。毎日新聞の検察、裁判等を追う司法担当、遊軍記者など記者生活28年。2008年取締役社長室長。毎日新聞GHD取締役兼毎日新聞常務経営戦略担当などのあと2014年、毎日新聞GHD取締役専務で退任。

 

 

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