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髙石 彩也子

ライフスタイルの変化に合わせた住みやすい空間をご提案

公開日:2024年5月14日

こんにちは。REDSリフォーム、宅建士・二級建築士の髙石彩也子です。ブログをご覧いただきありがとうございます。

今回は家の中で快適に過ごすためのカギとなる室内温熱環境と温冷感指標PMVについて解説します。

温湿度計

人間が無意識で行う体温調節

室内で「省エネのため」と言って暑さや寒さを我慢していると、不満が出たり不快に感じたりします。

人は体の中で熱を出し、体温の維持をしています。これを代謝熱といいますが、代謝熱をうまく放出できなくなると体温がどんどん上がっていってしまい、快適に過ごすことができません。

皮膚は体温調節に非常に重要な役割を果たしています。暑いときは皮膚の血管が拡張して皮膚の表面温度が住環境よりも高くなり、さらに暑い時は汗をかき、汗が蒸発することで体温が下がります。一方、寒くなると血管が収縮し、体の核心部に血液を集中させることで体温を保とうとします。これらは全て無意識下で行われています。

体温の調節には、下記の要素が影響します。

体温調節

空気温度:温度計で測定する室内温度のことです。人間の体温は、通常約37℃ですが、周囲の空気温度がこの体温より高い場合に発汗して、体温を下げます。

放射温度:物体が放射する熱量などを示す指標です。床や壁、天井の温度のことで、色や表面の特性によっても影響を受けます。暗い色の物体は放射を吸収しやすく、明るい色の物体は放射を反射しやすい傾向があります。

気流速度:空気や他の流体が移動する速さを示しています。気流速度は、環境の快適さや物体の熱伝導率などに影響を与える重要な要素です。風が吹くと、熱を持つ空気が奪われ、冷たい空気が供給されるため、体感温度が下がったように感じますね。

気流は湿気も運びますので、湿度が高い場合は風が吹くことで水分がより早く蒸発し、汗が乾燥して快適さをもたらしますが、一方で湿度が低い場合、乾燥した空気を運ぶことで皮膚の水分を奪い、乾燥や不快感を引き起こすことがあります。

湿度:空気中の水蒸気の含有量のことです。湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、暑さを感じやすくなるほか、空気が重く感じられ、不快感を引き起こすことがあります。逆に、湿度が低い場合、乾燥して肌や粘膜が刺激されやすくなり、喉の渇きや肌の乾燥などが起こる可能性があります。

着衣量:着衣の断熱・保温性を示す指標で、cloで表されます。裸の状態=0cloです。

代謝量:活動の活発さ、体から発生する熱量のことを示しています。激しい運動中は気温の低さが気にならなかったり、飲酒で暑くなったりと、活動内容によって体感温度が異なります。

人が感じる温冷感指標PMV

温度、湿度、気流、輻射、着衣量、活動量の6つの要素を基に、人がどのように感じるかを表した温冷感指標にPMVというものがあります。PMVは人が熱環境をどの程度快適に感じるかを数値化しています。

PMVが示す快適・不快度は7段階

「かなり暑い:+3」~「かなり寒い:-3」の7段階で、値が0だと暑くもなく寒くもない状態で、プラスになるほど暑く、マイナスになるほど寒くなります。

PMVはアメリカの物理学者フェールが開発した理論で、ISOなどの規格化団体によって標準化されていますが、平均として暑くも寒くもない温熱環境でも5%くらいの人は、「暑い」「寒い」と不満を持っています。暑くもなく寒くもない状態だけでは快適とはいえず、特定の場所や体の特定の部分で感じる不快な感覚(局所不快感)を除けば熱的快適となります。

熱的快適さを決める4つの要素

熱的快適さには個人差があり、文化や地域、季節などの要因によっても異なっていますが、一般的には、以下の4つの要素で決まります。

1.適切な室温(温度の不均一性の解消)

一般的には、18~24℃の間が快適とされています。住宅では快適な床温は19~29℃くらいです。上下温度分布で差があると不快に感じるため、くるぶしと頭の位置の温度差を3℃以内にすることが望ましいとされています。

2.適度な湿度(湿度の差をなくす)

部屋の一部で湿度が高い場合や低い場合、湿度の差によって不快感が生じることがあります。適切な湿度は40~60%の範囲にあるとされています。

3.風の心地よさ

風速が高すぎると不快感を引き起こし、低すぎると湿度や温度の不均一性が生じる可能性があります。

4.個人の適応性

個人の体調や活動レベルによっても快適さが変わります。硬い椅子や床、粗い布地など、体に不快感を引き起こすような物体や素材に接触することで、局所的な不快感が生じることがあります。

まとめ

以上の要素をバランスよく調整することで、居住空間に快適な熱環境を実現できます。オフィスでも住宅でも、暖房・冷房の設備が重要なのではなく、外皮性能を向上させることで局所的不快感はなくなり、快適に過ごすことができるようになっていきます。

ただ、日本人と外国人、あるいは女性と男性とでは快適温度が違うのではないかという疑問もあります。人種が違っていても、本当に暑くも寒くもない温度はあまり変わらないといわれてきていましたが、実際に実験をしてみたところ、“外国人の男性は日本人女性よりも、温度が少し低いところで快適に感じている”という結果が出ているそうです。

健康性や快適性は個人ごとに異なることも分かってきていて、個別で対応することも求められてきているようです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

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