不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年4月9日
  • 公開日:2018年3月30日

中古マンション売却前の疑問「リフォームしたほうが良い?」の答え

「売却対策としてのマンションリフォームは、お勧めできない」とほとんどの不動産業者は言います。それはなぜでしょうか? 今回は、不動産業者として多くの中古マンション売却に関わってきた筆者の経験から、売却前のマンションリフォームの是非について解説します。

 

マンション売却

(写真はイメージです)

 

リフォームしてからの売却にはメリットが少ない

 

マンション売却を考える売主の多くは、不動産業者とは逆にこう考えます。「築年数の古い中古マンションほど、きれいに内装を整えた方が、買主にとってはいいギャップになって売りやすいのでは?」と。

 

確かに、中古物件市場にリノベーション物件が数多く並んでいる状況を見ると、中がきれいでないと売れないのではないかと売主が危惧するのも分かります。「リフォームをすれば高く売れる」と不動産業者にアドバイスされるケースもあるでしょう。

 

しかし、この考えは残念ながら「勘違い」だと言わざるを得ません。売却前のリフォームにメリットは少なく、むしろリスクの方が大きいのです。これを知らずにリフォームしてしまうと、結果として売却後に手元に残る金額が大きく目減りしてしまう恐れがあります。

 

カギは中古マンションの買主の心理! 中古マンションの市場特性を考えよう

 

では、売却前のリフォームが得策ではない理由をご説明しましょう。カギは中古マンションの買主の心理にあります。

 

空前ともいえるマンション分譲ラッシュで、市場には新築マンションが供給され続けています。それなのに中古マンションは変わらず売れています。基本的に不動産購入者は、新しい物件ほど安心だと考えるものですが、それでも中古マンションが売れる主な理由は次の3つです。

 

(1)購入予算の問題(少しでも安い物件を買いたい)
(2)自分の事情・趣味に合わせたリフォームができる
(3)物件数が多く、幅広い地域に物件がある(購入エリアが限定されている場合)

 

特にお子様の学区が決まっているなど購入エリアが限定される場合(3)は、そのエリアに新築分譲がなければ中古物件しか選択肢はありません。こうしたケースなら、リフォームされた物件も喜ばれるかもしれません。

 

しかし、その他の理由(1)(2)が中古物件購入の動機となる場合は、事前にリフォームが施工されていることはその動機と相反するため、中古物件であるが故の優位性を保てなくなってしまうのです。

 

買主の多くは、基本的に、1円でも安く買いたいと考えるものです。3,000万円が相場であれば、その金額より安く購入したいと望みます。割高を承知で購入する人はまずいません。いくらリフォームされているからといって、相場3,000万円のところ3,500万円にもなる物件をあえて購入しようとする人は、ほとんどいないと考えるべきです。

 

価格面だけではありません。自分の好みや事情に合わせて室内をリニューアルしたいと考える買主からすれば、事前リフォームはその機会を奪ってしまうものです。壁紙や床材の柄・材質はもちろん、キッチンなどの設備も、売主と購入希望者の好みや考えは必ずしも同じにはなりません。

 

「現在は平均身長が伸びているから、キッチンの高さは高い方が一般的」などとアドバイスされても、低い方がフィットするという人はたくさんいます。多機能な浴室やトイレにしても、必要な機能とそうでないものがあり、「不必要な機能が付いて高額になるならば、初めからない物件の方が良い」という買主は少なくないでしょう。

 

室内をそっくり一新したリノベーション物件が、右から左に売れるわけではない理由はここにあります。いくら内装がきれいでも、設備が最新であっても、自分に合わないものは不要なのです。そして何よりも相場よりずいぶん高いとなれば、「安く買って、自分でリフォームしたかった」となるわけです。

 

査定価格にリフォーム代金は反映されない

 

ここまで述べたような理由から、価格査定にあたって多くの不動産業者は、事前リフォームを評価の対象として加味しません。もちろん、ある程度は相場価格に上乗せをするケースもありますが、リフォーム代金が300万円かかったからといって、そのまま300万円を上乗せすることはないのです。

 

このため、もし不動産業者から売却相談や査定時に「リフォームをした方が高く売れる」というアドバイスがあったら、他の目論見があると考えた方が良いでしょう。リフォーム業者をあっせんして手数料を取るなど、売主目線ではないことをたくらんでいることもあります。

 

マンションリフォームに必要な費用

 

ここで、実際にマンションをリフォームする場合、どれくらいの工事代金がかかるのかの一般例をご紹介します。その費用リスクは効果的なのか、売却に有利に働くのかどうかも検証します。

 

80㎡前後の3LDKをフルリフォームすると想定した場合、そのリフォーム代金はおおむね次のようになります。

 

壁紙の張り替え 全室の壁・天井の張り替えで40万~80万円前後
床の張り替え 全室フローリング・畳の入れ替えで30万~50万円前後
キッチン設備  グレードにもよるが20万~30万円
浴室設備 グレードにもよるが20万~50万円
トイレ・洗面所の設備 グレードにもよるが10万~30万円
間取り変更 解体・新設を伴う場合は50万円前後~

 

間取り変更を行わず、一番安い材質・グレードのものを使ったとしても、総額で100万円は下りません。さらに他の細かい補修や消費税、リフォーム業者の利益などが加算されるので、実際の総費用は150万~200万円前後と見積もっておいた方が安心でしょう。

 

物件価格の相場が3,000万円でリフォーム代金が200万円とするなら、3,200万円以上で売れれば物件相応の売却ができたことになりますが、売却価格が3,200万円を1円でも下回ったら、リフォームせず相場で売った方が得だったということになります。もし3,000万円でしか売れなかったとしたら、リフォーム費用は丸々損失となってしまいます。

 

もちろん3,200万円以上で売れる可能性もあるでしょう。しかし多くの不動産業者は、「そこまでのリスクを売主が負わなくてもいいのに」と考えています。不動産業者の査定担当者は、リノベーション物件・フルリフォーム物件の内覧立会の場で「この設備はいらなかった」「この柄のクロスじゃなかったらよかったのに」といった内覧者の声を、日常的に聞いているからです。

 

「リフォームより有効な売却対策」でマンション売却を有利に

 

では中古マンションを有利に売るのに、リフォームの代わりに何をするのが効果的でしょうか。その一つは、「建物への安心感」をアピールすることです。

 

築古の物件に安心感をもたらすのは、売主が「その物件を大切に使ってきた」という居住履歴です。キッチンや洗面所、浴室など水回りの手入れが行き届いている。障子やふすまに破れ・穴がない。こうした「日常的に気をつけていないと傷んでしまう箇所が十分にケアできている」という事実が、「売主が大事に使ってきた」という印象を内覧者に与えます。

 

水回り設備の清掃を徹底し、破れたふすまや障子を張り替えておくのに、大きな費用はかかりません。リフォームに100万円以上も経費を注ぎ込むくらいなら、多少の手間はかかっても、不具合を直し、清掃で設備を磨き上げましょう。それは直接目に見えない部分(配管や配線など)への安心感にもつながり、結果としてスムーズな売却につながるでしょう。

 

まとめ

 

中古マンション売却対策としての事前リフォームはおすすめできません。「少しでも安い方が良い」「内装や設備は自分の好みに合わせたい」という買主の心理を考えれば、多くの効果を期待できないからです。

 

中古マンションの購入を検討するにあたって、建築年数を確認しない人はまずいません。したがって購入検討者にとって、築年数による経年劣化はもとより織り込み済みと考えるのが妥当です。劣化した箇所をリフォームで覆い隠すくらいなら、劣化の具合をきちんと見せて、それでも同一マンションの中では状態の良い物件であることをアピールした方がより効果的でしょう。

 

繰り返しますが、中古マンションの新築マンションに対する優位性は、立地が同じであれば「価格」と「内装変更の自由度」にあります。この2つを損なってしまう事前リフォームは、マンション売却にあたっては有効な対策とはなりにくいのです。

 

伊東博史(宅地建物取引士)
大手不動産仲介会社で売買仲介に約10年間の勤務。のべ30年間以上にわたり、大手と中小、賃貸と売買と、多角的に不動産業務に携わる。現職では売買と賃貸仲介と管理、不動産投資や相続のアドバイスを行う。

 

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