不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2022年1月20日
  • 公開日:2016年11月22日

中古戸建ての建物評価は改善されていくのか?

「中古戸建ては築10年もすると、売りに出しても建物価値が認められない」「築20年以上は金融機関が担保価値を認めてくれないのでローンが承認されない」…。こんなことを耳にしたことはありませんか? すべての物件がそうとはいえませんが、多くの中古戸建ての物件が、建物の状態にかかわらず、築後20~25年で市場価値がゼロとされ、リフォームを行っている場合も、価格にはほとんど反映されないことが一般的です。

 

日本では戸建ての取引に関しては、これまでは圧倒的に新築物件の取り扱いが多く、中古物件は1割程度といわれています。日本人にとって、戦後、焼け野原となった国土に新設される「持ち家」は、復興の象徴であり、家族や努力の象徴でした。

 

家は自分たちだけの「城」とされてきたため、他人の「匂い」が残る中古よりも新築が好まれてきたといえるでしょう。団塊の世代が中心となり「持ち家」の需要人口が増加し続けていたため、中古だけでは供給が追い付かなかったことも、戸建て住宅における新築比率を押し上げてきた要因といえます。

 

古い住宅に価値を見出すよりは、取り壊してその敷地を区画整理して新築物件を立てた方が需要に合致したのです。わが国で住宅は新築が重んじられてきたのは、ある意味で合理的な現象だったともいえるでしょう。

 

中古戸建て
(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)
 

「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」

 

しかしながら、団塊の世代も60歳代を超え老齢化社会を迎え、亡くなったり高齢者福祉施設に移ったりした後の住宅が空き家として放置されることが社会問題となる時代です。中古戸建て住宅市場では築30年以上の物件の割合が増え、認定を受けた長期優良住宅が適切な維持管理をすれば100年以上は使えると想定して販売されている昨今では、年数で一律に市場価値ゼロとされる評価方法は「本来あるべき価値を反映していない」と不満の声が上がるのも当然のことでしょう。

 

そうした時代の要請から、中古戸建て住宅の流通時における評価の現状を改善するために、国土交通省は、2014年3月31日に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を発表しました。

 

指針では「建物評価の方法は、原価法を運用改善・精緻化して現状を改めていくことが妥当である」としています。原価法とは、評価の時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について新築時からどの程度価値が減少しているか(減価修正)を把握して試算価値を求める手法です。この指針においては、従来の状況を改善するために、

 

(1) 人が居住するという住宅本来の機能に着目した価値(使用価値)を評価の対象とする

 

(2) 個別の住宅に応じて使用価値を把握し減価修正を行う

 

ことを基本的な方向としています。

 

中古住宅の価値評価の改善策の論点

 

評価法の改善については、具体的に3つのポイントが示されました。

 

(1) 部位の特性に応じた区分による評価

 

中古戸建て住宅を適切に評価するためには、住宅を一体として減価修正するのではなく、耐用年数が異なる部位ごとにその減価を把握したうえで住宅全体の価値を見出すことが合理的であるとしています。そのため、住宅を材質や劣化要因などの観点から基礎・躯体部分と内外装・設備部分に分類し、さらにリフォーム事例などを参考に補修などの頻度の観点から、内外装・設備の標準的な分類を例示しています。

 

(2) 耐用年数の考え方

 

住宅の各部位が本来要求される機能を維持しており、取引の際に社会通念に照らして通常価値があるとみなされる期間(取引後も当該部位が引き続き使用できると認められる期間)を耐用年数と考えることが適当であるとしています。

 

(3) リフォームに伴う価値の回復・向上の反映

 

適切な内外装・設備の補修等を行えば、基礎・躯体の機能が失われていない限り、住宅の使用価値は何度でも回復・向上するという原則が置かれるべき、としています。この点が従来とは大きく変わりました。

 

要するに、劣化対策の程度が異なる住宅の類型ごとに、一般的に基礎・躯体が住宅全体を支え安全性などを確保する機能を維持すると考えられる期間を、基礎・躯体の耐用年数として設定して経年による減価のモデルを置くことを想定しているのです。

 

具体的には、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて長期優良住宅の認定を受けた住宅で100年程度、住宅性能表示制度の劣化対策等級(構造躯体など)につき同等級3に相当する措置を講じた住宅で75~90年程度、同等級2に相当する措置を講じた住宅で50~60年程度の耐用年数を想定しています。

 

また、個別にインスペクション(住宅診断)を行い、築年数だけで判断するだけでなく、劣化の進行状況に応じた評価上の経過年数を用いて評価することが適切であろうともしています。

 

内外装・設備の評価においても、基礎・躯体に比べ、短期間に劣化または陳腐化するものであり、耐用年数は短く設定されるが、補修等が適切に行われることにより、その使用価値は回復・向上するとしています。

 

インスペクションの必要性

 

本指針が目指す改善は、住宅の各部位が有している機能を把握することが評価の前提になります。特に基礎・躯体についてはその機能が維持されている期間内であれば、内外装・設備の補修などを行った場合に、住宅全体の価値が回復・向上するため、劣化状況の確認には大きな意味を持ちます。そのため、適切なインスペクションの実施を想定しています。

 

ただ、インスペクションについては、2013年に国土交通省が「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を定めていますが、いまだ法的ルールがない状態となっています。法的整備を求める声とともに、客観的データを積み上げ、市場に浸透させていくことが重要な課題となっています。

 

中古戸建て価値の適正化に向けて

 

中古戸建て住宅の価値の適正化については、市場参加者の協力が欠かせません。評価・流通の場で大きな役割を果たしている金融機関の融資の際の担保評価においても、現行の評価のあり方は見直しが迫られています。

 

物件の価格査定を行い、価格交渉を実施する不動産会社にも、その姿勢は強く求められています。査定の際に広く用いられている、公益財団法人・不動産流通推進センター作成の「既存住宅価格査定マニュアル」は本指針の考え方を取り入れ、2016年に改訂されています。本指針に基づいた評価額や実質的経過年数などが広く浸透されていくように、その説明の仕方などにも工夫と努力が求められています。

 

家を売却しようとしたときに、リフォームやリノベーションを実施したにもかかわらず、その評価が査定額に反映していないと感じたときには、不動産会社に詳しい説明を求めましょう。納得のいく説明がなければ、他の不動産会社に問い合わせた方が良いかもしれません。

 

早坂龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング 代表取締役。1964年生まれ。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売り会社勤務を経て、2015年から北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。
監修 :不動産流通システム

 

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