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  • 最終更新日:2022年2月7日
  • 公開日:2021年10月29日

マンション売却は築年数で成功確率が変わる? 築年数別の特徴を紹介

マンションを売却するとき、売れやすさと築年数には相関関係があるのでしょうか。もしあるとしたら、築何年くらいが最適な売却時期なのか考えてみましょう。

 

住宅模型 計算機

(写真はイメージです)

 

築古マンションの新耐震基準について

 

まず、築古のマンションを考えるうえで「耐震基準」はかなり重要です。現在の耐震基準は1981年に施行された「新耐震基準」で、震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」ことが義務づけられています。

 

これ以前の建物は「旧耐震基準」と呼ばれ、「旧耐震基準は、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準」とされています。

 

新耐震基準のほうが耐震強度が高いのはもちろんですが、マンション売却にあたっては具体的に下記のようなデメリットが存在します。

 

旧耐震は印象が悪い

 

旧耐震基準と聞くとそれだけで「地震に弱いから危ないのでしょ?」という印象を持つ人もいます。実際のところ、旧耐震だからといって危険かというと、必ずしもそうではないのですが、実際に新耐震基準では大型の震災被害を踏まえたうえで大きな変化が加わっていますので、安全性の面でも旧耐震を避けるべき、という考え方にもうなずけます。

 

つい先日(2021年10月7日)も首都圏で突如、最大震度5強を観測する地震が起きたばかりです。東日本大震災を経て、多くの人が地震への意識を高めています。

 

フラット35の利用が困難

 

旧耐震の建築物に対しては、住宅金融支援機構が定める評価基準に達していないため、フラット35の利用ができません。「旧耐震=不合格」ではないのですが、建物の形状や筋かい、壁量等、詳細な評価基準を旧耐震では満たすことが難しいのです。

 

住宅ローン控除が使えない

 

おそらくこれが最も大きなデメリットだと考えられますが、木造の場合は築20年、RC(鉄筋コンクリート)造の場合は築25年を過ぎている場合、耐震等級1以上の評価もしくは既存住宅瑕疵保険の条件を満たしているものでなければ、住宅ローン控除が使えません。

 

住宅ローン控除は借入額(基本4,000万円が上限)の1%が10年間、所得税から控除され還付されるという税制上の優遇です。最大4,000万円の1%である40万円が毎年返ってくるというのは非常に大きな住宅購入メリットであり、これが使えないというのはイメージが悪いでしょう。

 

すまい給付金が使えない

 

すまい給付金の受給要件の一つに「住宅の耐震等級が1以上」というものがありますが、旧耐震の場合は1に満たない場合がほとんどです。そのため、すまい給付金にメリットを感じて住宅購入をしたい人にとっては敬遠されるかもしれません。

 

贈与税免除措置がない

 

親が子供の住宅購入を援助する場合、一定までは贈与税が免除されます。しかし、中古住宅の場合には地震に対する安全性の証明が必要であり、旧耐震基準の建物ではこの優遇が受けられないことになります。

 

地震保険が高額になる

 

昨今の自然災害で水害、地震、火災などへの警戒度が高まり、保険料が全体的に値上がりしています。そんな中、旧耐震基準の建物では、地震保険がさらに割高設定されてしまっています。購入段階で保険の内容まで把握している買主はほとんどいない(特に1次取得の場合)ため、これがそのまま購入意欲低下にならない場合もありますが、デメリットとして把握しておく方がよいでしょう。

 

マンションの築年数と売却価格

 

戸建ては木造が多く、築20~25年もたつと建物自体の価値はほぼなくなってしまいます。一方、土地は経年劣化がなく、土地の相場はあるものの、価値が確保されます。

 

これに対し、マンションの資産価値はほとんどが建物に依拠するため、築年数とともにどんどん価格が下落していきます。木造の戸建てよりも耐用年数が長いので下落は緩やかといえますが、下落タイミングやその内容についてみていきましょう。

 

新築マンション~10年後

 

新築マンションは、築後1~2年で価格が急落(新築プレミアムがなくなる)し、以降10年目まで急激なペースで価値が落ちていきます。

 

10年~25年

 

10年目までほどではありませんが、価格が下落していき、目安として築25年で新築時の半分程度の価格になります。

 

25年以降

 

それまでの下落ペースよりは緩やかになり、30年目以降はまた下落ペースが速くなる傾向にあります。

 

マンションは築何年が売り時なのか?

 

結論からすると、中古マンションの売り時は築15~20年となります。その理由は下記の3つに集約されます。

 

売却額が残債を上回る時期だから

 

物件をフルローンで買った場合、10~15年ほど経つと残債を売却価格が上回るようになります。手持ち資金のみで決済できるため、家の買い替えなどにもベストです。

 

大規模修繕が1度終わったタイミング

 

マンションでは10~15年おきに大規模修繕が行われ、そのあとに管理費・修繕費が上昇します。この大規模修繕の段階によって購入を迷う買主もいるくらいなので、重要なポイントです。大規模修繕が終わったタイミングであれば、しばらくは管理費や修繕費は落ちつくため、売りやすい時期といえます。

 

住宅ローンが使えるうちに売却した方が買主の印象がよい

 

築25年を過ぎると住宅ローン控除が使えなくなるため、それより前に売却する方が、圧倒的に買主に人気があります。また、築15年程度で買った顧客は、もう一度築25年以内に売り出すことが可能であるため、若い層の買主も安心して買える時期、というのがポイントです。

 

中古マンション売却は買いやすさを考えて

 

以上みてきたように、中古マンションをうまく売る場合、買主にとって買いやすいタイミングを把握することが必要です。

 

一方、新耐震基準前に建築されたマンションについては、そもそもかなり古く、敬遠される傾向が強いのですが、昨今は「リノベブーム」ということもあり、築古のビンテージマンションをリノベーションし、内装や間取りを自分の好みに仕上げて割安に住む、というやり方も広く知られるようになりました。

 

売主自身が自分の物件の活用の仕方やよいところを把握し、買主に適切に伝えていくことも非常に重要です。

 

 

松村隆平
中央大学法学部法律学科卒。新卒で住友電気工業に入社し、トヨタ自動車向けの法人営業、および生産管理に従事。その後、株式会社ランディックスに入社し不動産業界に転身。その後同社のIPO準備責任者となり、経営企画室長を兼任。2019年に東証マザーズへ上場、2021年に執行役員。
趣味は司馬遼太郎の小説を読むこと。経営学修士(MBA)、認定IPOプロフェッショナル、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、統計調査士。

 

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