どんな品物でも、一度人の手に渡った新品は、すぐに売却しても「未使用品」や「中古品」として扱われます。マンションや一戸建て物件では、新築に入居した瞬間に市場価値が大きく落ちてしまいます。これを「新築プレミアム」と呼ぶことがあります。

 

例えば、5,000万円のマンションを購入してからすぐに海外転勤が決まってしまい、ほんの少し住んだだけで泣く泣く売却した結果、4,500万円で売却できたとしたら、新築プレミアムは500万円ということになります。

 

新築マンションを購入する場合には、この新築プレミアムがどのくらいなのかを把握する必要がありますし、マンション売却時も、新築プレミアムを考慮した上で価格設定を考えねばなりません。
今回は、この新築プレミアムについて、詳細をまとめました。

 

新築ならではの価値

 

「新築プレミアム」というものが存在するのは、新築には新築ならではのメリットがあるからです。

 

新築マンションと中古マンションの大きな違いとして挙げられるのが、分譲業者のアフターサービスが適用されるか否かという点です。

 

新築マンションの場合、分譲業者が購入者に対してアフターサービス基準に基づいた保証を付帯します。「内装やガスコンロなどの設備は2年」「ユニットバス下の防水床の漏水保証は10年」など保証期間が定められており、期間中に該当する不具合が発生すれば分譲業者の負担で修繕します。

 

このアフターサービスは、2次取得者には継承されないと規定されているケースが多いため、新築購入と中古売買の大きな差になっています。

 

また新築マンションでは、早めに購入すれば設備のカラーセレクトやキッチンの高さ選択ができるような物件もありますし、間取り変更ができる物件もあります。中古マンションでは既設のものを前提にしなければならず、自分好みに変えようとすれば別途リフォーム費用が発生してしまいます。

 

この他にも、設備が新品であることや一斉入居で駐車場・駐輪場の場所が選べることなど、新築ならではのメリットは確かにあり、それが価格差として表れます。

エントランス

 

新築プレミアムの金額を知るには

 

新築プレミアムの妥当な金額を知るためには、「その新築マンションが中古になったらいくらで売れるのか」を知る必要があります。中古市場での売買ですので、当然、他の新築マンションと比較するのではなく、近隣の築浅中古マンションと比較する必要があります。

 

5,000万円の新築マンションに隣接する築1年の中古マンションが、3,800万円で成約しているとすれば、この新築マンションは入居後にガクンと市場価値が下がり、4,000万~4,200万円程度になってしまうかもしれません。一方、これが4,500万円程度で成約していれば、新築プレミアムは小さいと考えられます。

 

もちろんマンションとしてのグレードや部屋位置なども考慮しなければなりませんが、中古マンションの市場において競合物件と大幅に差をつけてしまっては、成約はかないません。

 

中古マンションを売却するときの新築プレミアム

 

「新築マンション購入時の価格が7,000万円であったことを受けて、築2年の頃に6,700万円に価格設定し売却したが、なかなか買い手が見つからない」といったケースがあります。これは、購入してからの2年間で周辺の相場が変わってしまうことがあるからです。

 

上記の例なら、2年の間に景気が悪くなり、売れ残った周辺の新築マンションが6,500万円程度で売り出されているとすれば、築2年・6,700万円のマンションは比較検討の中で対象外とされてしまう可能性が高いでしょう。

 

不動産の資産価値は、購入時の価格からの目減り計算ではなく、周辺の成約事例や相場から算出されるものです。バブル景気の時にマンションが数億円まで値上がりしたように、景気の影響を受けることもあれば、駅の開発や周辺マンションの供給状況などの影響を受けることもあります。

 

また前述の通り、新築マンションには相応のメリットがあります。築1~2年の築浅であることを理由に新築マンションと同等の価格設定をしても、購入検討者から選ばれることは難しいです。立地やマンションのグレード、部屋位置などに加えて、新築プレミアムも考慮した価格設定にする必要があるでしょう。

 

新築プレミアムに関わる失敗事例

 

ここで、新築プレミアムにかかわる実際にあった失敗事例をご紹介します。

 

買い物ついでに新築マンションのモデルルームにふらっと立ち寄った夫婦、営業マンの巧みな話術もあって、そのマンションを気に入ります。計画的な購入ではないため、自己資金の工面が難しい状況ではありましたが、諸費用まで住宅ローンが組めることを知り、5,000万円の新築マンションの購入を決意。

 

入居から2年後、仕事で地方転勤に。しばらく戻って来られないとの予測から、マンション売却を検討します。購入時に組んだ住宅ローンの残債は5,200万円。一方、不動産仲介業者に査定してもらったマンション売却の想定価格は4,500万円。差額の700万円はもちろん、仲介手数料や引越し費用も別途必要です。

 

マンション売却には800~900万円の自己資金が必要になってしまうため、賃貸運用に方針を転換します。入居者がいる間はローンの支払いを賃料で相殺できますが、退去すれば、住宅ローンと管理費などのランニングコストの支払いが毎月発生するという状況になってしまいました。

 

このように、新築プレミアムにより入居後の目減りが大きくなってしまうのが一番怖い点です。物件価格の全額に近い住宅ローンを組んでしまうと、もし築浅で売却する事態となった時に債務超過に陥りやすくなります。転勤がある方が新築マンションの購入を検討される際は、気を付けておきましょう。

 

知っておきたい中古ならではの価値

 

新築物件には、新築プレミアムと呼ばれる新築ならではの価値があります。衣類や電化製品でも、新品と中古のどちらかを選ぶとしたら、多くの方が新品を選ぶでしょう。しかしながら不動産では、そこに数十年間居住するという資産性から、中古ならではの価値を持つこともできます。

 

例えば、新築マンションでは、隣にどんな人が居住するかを購入前に知ることができません。中古マンションの場合、周囲の住戸の家族構成や人間性などを、売主を通して多少なりとも事前に知ることができ、これは安心材料になります。

 

また、新築マンションでは管理に関する活動も始まっておらず、管理状態が把握できません。「マンションは管理で選ぶ」と呼ばれる時代、資産価値を長く維持していくには良好な管理を続ける必要があります。中古マンションでは管理状態が把握できるため、将来的な資産と考えてよい管理のところの中古マンションを選ぶ人もいます。

 

最後に

 

マンション売却時は、新築プレミアムを考慮した価格設定にしなければ成約が難しくなります。一方で、中古マンションならではの価値も忘れてはならず、いわゆるヴィンテージマンションのように古くても資産価値を維持しているマンションは多くあります。

 

必ずしも新築プレミアムの分を値下げして価格設定しなければならないということではなく、その街の相場や様々な物件の販売状況を加味した上で、成約できそうな価格を導きだす必要があるのです。

 

不動産売買に精通している仲介業者は、新築マンションの情報はもちろん、近くでどんな物件がいくらで成約しているのか、という事例も蓄積しています。

 

皆様の日常生活の中では、「どんな物件が売りに出ているか」をネットなどで知ることはできても、「いくらで売れたのか」まで知ることはできません。売買の相場は、成約事例の蓄積によって成り立ちます。マンション売却時は、不動産仲介業者に気軽に相談してみましょう。

 

斉藤勇佑(宅地建物取引士)
大学卒業後、5年間不動産売買業務に従事。その後、不動産管理会社に転職し、分譲マンションの維持・管理を中心とした業務に5年間かかわり、現在は不動産のストック分野の業務に従事。

 

 

この記事に関連する「マンション売却で武器になるホームインスペクション(住宅診断)」「榊淳司のマンション注意報-「新築 VS 中古」論争に欠けた、ある視点」もぜひご覧ください。

 

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