不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年8月11日
  • 公開日:2017年10月3日

マンション売却で注意すべき「告知義務」とは

不動産売買を含む全ての売買行為は、正確な情報が示されることを前提としています。スーパーで外国産のお肉を「国産」と偽って販売していれば、大問題になりますよね。ただ、ここまで明白な詐欺でなくとも、正確な情報が示されないことによるトラブルはあらゆる売買において見られます。

 
不動産売買でいうと、例えばある中古マンションのお風呂が使えるには使えるものの給湯温度が安定しない状態であった場合、その情報を告知されずに購入した買主はどう思うでしょうか。「中古なのだから、しょうがない」と諦める人もあれば、「欠陥物件だ。告知しないで売ったのは詐欺だ」と憤る人もいるでしょう。
 
また実際にあるケースとして、以前に住んでいた居住者が部屋の中で亡くなっていたということがあります。自然死なのか自殺なのか、はたまた事件が起きたのか。こうした情報を買主が知らずに購入し、後日、近隣住民から知らされたとなるとトラブルに発展するかもしれません。
 
このように、買主の「購入する」という意思に影響を与える情報については、できるだけ速やかに、かつ正確に売主側から伝えるべきです。これを「告知義務」と呼び、売買契約後のトラブルを避けるためには重要な義務です。今回はマンションの売主としての告知義務についてまとめました。
 
マンション
(写真はイメージです)
 

設備に関する告知義務

 
皆様がマンションを売却する時、経年劣化で各種設備に不具合が発生している可能性があります。明らかな欠陥もあれば、「この程度では不具合とは言えない」ものもあるでしょう。
 
中古マンションを売買する時には、売主側で「設備表」を作成します。これは、その部屋にどのような設備が付帯していて、マンションを引き渡す時にどのような状態なのかを明確にすることを目的にしています。
 
一般的に、売主から買主に物件を引き渡す際には、新築物件と同様、照明器具、エアコン、カーテンなどは付帯しません。これらは前の居住者、すなわち売主のものですが、しかし売主側としては、引っ越し先の住居でもそれまで使っていた照明器具が使えるのか、カーテンの寸法は合っているのかなどは不明です。また、エアコンを外すためには費用もかかります。
 
そこで設備表に、「各居室のエアコンは残していくが、リビングのエアコンは撤去する」など、どのような設備を付帯して物件を引き渡すかを示し、「北側の居室のエアコンは7年使用しており冷房の効きが悪い」といった設備の状態を示すことで告知義務を果たしていきます。
 
一般的な契約書では、付帯して引き渡す設備について、引渡日から7日以内に告知のなかった不具合が見つかった場合は、売主の責任と負担で対応することが求められています。
 
ご注意いただきたいことは、売主が設備表を交付するのは通常、売買契約の時点であることです。契約の締結が済んでから、買主のローン手続きや売主の引っ越しなどが始まるため、引き渡しまで2~3ヶ月程度要することも多くあります。給湯器やエアコンなど日常的に使用していた機械設備が長く休止すると、不具合発生の要因になることがあります。
 
契約後のトラブルを避けるためにも、引き渡しの前に、設備表を用いて設備の状態の最終チェックを行いましょう。また、売主ご自身で設置された設備に関しては「設置から○年」と記載してあげると親切でしょう。
 

心理的瑕疵に関する告知義務

 
冒頭で例に挙げた「居住者の死亡」のような「心理的な瑕疵(買主が、心理的な面で購入の判断を躊躇するような要因)」は、主に過去の経緯や周辺環境に起因します。これは人によって感じ方が様々であるため、どこまでが告知義務に当たるのかの判断が難しい内容です。
 
住宅設備のような物理的な瑕疵は、最終的には修繕や交換で解決できますが、心理的な瑕疵の場合は、心情的な側面が強く、トラブルの内容によっては解決までの道筋が立ちにくいものです。
 
心理的瑕疵の告知義務について、よくある事例が、「過去に自殺や事故があった」といういわゆる事故物件です。売主はどの程度の内容まで買主に伝える必要があるのか、また、どれくらい過去にさかのぼって伝える必要があるのか、という問題に明確な基準が設けられていないのが現状です。
 
事故物件の告知義務を取り扱った判例を2つご紹介します。
 

事例1

 
概要:大阪のマンションの1室において、1年数ヶ月前に自殺があった。賃貸人はこの事実を知っていたにもかかわらず、賃借人に対して告知をせずに賃貸借契約を締結した。
判決:賃借人の意思決定に影響を及ぼす内容であり、自殺の事実を伝えなかった側に非がある。
 

事例2

 
概要:東京のマンションの1室において、2年前に自殺があった。賃貸人はこの事実を知っていたにもかかわらず、賃借人に対して告知をせずに賃貸借契約を締結した。マンションはシングル用の部屋であり、入退去の回転が早い。
判決:入退居の回転が早い大都市圏であることを考えれば、2年前の自殺を告知しなかったことは瑕疵にあたらない。
 
このように、事故物件であることの告知については、物件の流通性や環境によって明確な基準がないことが分かります。いずれも入退居の早い賃貸借での判例ですので、分譲マンションを売却する場合には、少なくとも2年以内の事故などは告知するべきでしょう。
 

告知のタイミング

 
瑕疵に関する告知は、どのタイミングで行うべきなのでしょうか。法律上では、売買契約の締結並びに契約前の重要事項説明の時までに買主に伝わっていれば、購入の意思決定前に伝えたことになり、告知義務違反にはなりません。
 
しかし、売買契約直前になって重要な内容を伝えれば、買主の心に売主に対する疑念が生じ、考え直すかもしれません。最悪の場合、売買契約がキャンセルになる恐れもあります。
 
告知義務に当たる内容は、物件の見学時など早い時期に買主に伝えるよう心掛けましょう。
 
引き渡し時の設備の状態は、買主の資金計画に影響します。1年しか使用していないエアコンが残されていれば、買主はその分の予算が削減できます。給湯器が既に不調と分かっていれば、交換するための予算を考えねばなりません。物件見学の段階で興味がありそうな方には、設備を見せながら説明しておきましょう。
 
心理的な瑕疵についても同様です。こちらは特に購入の意思決定に影響するため、出来るだけ早く告知しておくべきです。買主も早めに分かれば「この程度なら問題ない」「○万円値引いてくれれば買う」「それならば購入は難しい」といった判断をする時間が与えられます。事実を隠し、無理に前向きに話を進めても後々のトラブルの要因となるだけです。
 
忘れてはならないのは、告知すべき内容は「知っている事実」です。入居者の自殺や事故においても、売主が知らなかった場合には、瑕疵になりませんのでご安心ください。逆に「この辺は不審者が多いそうだ」など裏付けのない話は伝えても買主の不安を煽るだけになってしまいますので注意しましょう。
 
ご自身が購入する側の立場になったときに「伝えておいてほしい」と思う内容を想像し、買主が検討する段階で伝えてあげることが、告知義務を果たすことにもつながります。伝えるべき内容かどうか迷うものについては、不動産仲介業者に相談してみましょう。
 
斉藤勇佑(宅地建物取引士)
大学卒業後、5年間不動産売買業務に従事。その後、不動産管理会社に転職し、分譲マンションの維持・管理を中心とした業務に5年間かかわり、現在は不動産のストック分野の業務に従事。

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