毎年3月下旬に国土交通省から地価公示が発表されます。昭和45年(1970年)から地価公示制度が始まって、今年で47年。ほぼ半世紀がたちました。

 
昭和45年当時、東京・銀座で最高地価を示したのは晴海通り沿いの銀座5丁目(現・銀座七宝ビル)で、1㎡当たり220万円でした。一方、平成29年は中央通り沿いの銀座4丁目(現・山野楽器)で1㎡当たり5,050万円、1坪換算すると約1億6,700万円です。いずれも地下鉄銀座駅近くですが、ほぼ半世紀で約23倍に上昇したことになります。これは、平成3年のバブル期のピーク時(1㎡当たり3,850万円、晴海通り沿いの銀座4丁目)を大きく超えています。
 
地価公示の開始当時は、東京・大阪・名古屋の三大都市圏の市街化区域が対象でした(8都府県、970地点)。それが昭和49年には全国47都道府県(14,570地点)に拡大。平成29年には26,000地点となっています。
 
26,000地点の用途別内訳は、住宅地が70.8%、宅地見込地0.2%、商業地25.0%、工業地4.0%で、住宅地と商業地で全体の95%を占めます。都道府県別では東京都が最も多く(2,602地点)、次いで愛知県(1,903地点)、神奈川県(1,787地点)、大阪府(1,715地点)となっています。
 
それでは、国土交通省から3月下旬に発表された「平成29年地価公示結果の概要」に沿って、今年の地価公示を見ていきましょう。
 
不動産,地価公示,公示地価
(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)
 

視点① 全国平均はどうか?

 
全用途平均は2年連続の上昇となった
 
「全用途平均」とは、平成20年から使われている指標で、住宅地・宅地見込地・商業地・工業地の4つの地価平均をいいます。この中で聞き慣れないのは「宅地見込地」。市街化区域内にある宅地化されていない農地や林地のことで、将来市街化が見込まれる土地です。地点数は74しかありません。
 
公示地価の全用途平均は、「リーマンショック」の平成20年から平成27年まで下落が続きましたが、その翌年には0.1%のプラスに転じ、平成29年は0.4%上昇しました。
 
用途別では、住宅地は昨年の下落から横ばいに転じた。商業地は2年連続の上昇となり、上昇基調を強めている
 
住宅地、商業地ともにリーマンショックから地価下落が始まり、住宅地の地価変動率は平成28年までマイナスでしたが、今年は0%の横ばいとなりました。一方、商業地は住宅地よりも2年早い平成27年に横ばいとなり、平成28年は0.9%、今年は1.4%の上昇です。商業地の方が住宅地よりも動きは早いようです。
 

視点② 三大都市圏はどうか?

 
住宅地は、大阪圏が昨年の上昇から横ばいとなった以外、ほぼ前年並みの小幅な上昇を示している
 
住宅地については、平成28年、大阪圏の地価変動率が0.1%のプラスに転じましたが、今年は0%と横ばいです。大きな変化ではありませんが、東京圏の0.7%や名古屋圏の0.6%と比べると低く、需要が弱いようです。なお、東京圏と名古屋圏では平成26年からプラスに転じています。
 
商業地は、名古屋圏を除き上昇基調を強めている。
 
商業地では、名古屋圏が平成28年の2.7%から2.5%と微減となり、上昇基調から外れているように見えますが、三大都市圏のいずれも平成26年から上昇が続いています。
 
また今年は、大阪中央5-19(大阪市中央区道頓堀)が全国1位の上昇率(41.3%)を示したように、平均変動率は大阪市中央区が14.4%、北区が12.9%と2桁の上昇率を示し、銀座のある東京都中央区の9.8%を超えています。
 
工業地は総じて上昇基調を継続している
 
工業地については、東京圏は4年連続、大阪圏と名古屋圏は2年連続で変動率はプラスです。東京圏は1.8%、大阪圏は0.6%、名古屋圏は0.1%。一般に、工業地と聞くと工場用地のようなイメージを持ちますが、インターネット通販の普及などによる倉庫用地、特に大型物流施設建設に対する需要が中心です。例えば、先日火災が起きたアスクル社の倉庫もそうです。
 
一般に、三大都市圏は、「首都圏」「近畿圏または関西圏」「中部圏」とされます。しかし地価公示においては、「東京圏」「大阪圏」「名古屋圏」と呼び、さらに、通称「大都市圏整備三法(首都圏整備法、近畿圏整備法、中部圏開発整備法)」で定義されている特定の地域(既成市街地など)の指定を受ける市区町村に限定されていますので、都府県単位での表示はされません。
 
例えば首都圏では、東京都の奥多摩町などは三大都市圏には入りません。埼玉県の深谷市、千葉県の房総方面も入っていませんが、茨城県の取手市やつくばみらい市は入ります。
 
大阪圏では、大阪府の市町村は全て大阪圏ですが、京都府では京都市とその付近の市町村が中心で、日本海側の舞鶴市などは入りません。兵庫県では、姫路市や神戸市に隣接する明石市は入りません。
 
名古屋圏では、愛知県の東部、豊川市や豊橋市は入りません。また、三重県は、四日市市や桑名市など愛知県に隣接する市町に限定され、県庁所在地の津市などは入りません。
参照:三大都市圏の市区町村一覧
 
このように、三大都市圏といっても、一般のイメージとは異なります。分かりにくい理由の一つに、地価公示と三大都市圏整備法との関係があります。
 
昭和30年代以降、高度経済成長に伴い大都市圏における人口集中・過密問題が起きました。そのため、都心部への過度の人口・産業の集中を抑制し、圏域内での無秩序な市街化の抑制や受け皿の整備を推進する必要があったのです。
 
それには、土地の取引価格に一定の指標を与え、土地取引の目安となるものが必要で、都市の基盤整備のための公共事業用地の買収や補償金額を算定する際にも参考にされる土地価格が必要だったという、歴史的な経緯があります。
 

視点③ 地方はどうか?

 
地方四市では全ての用途で三大都市圏を上回る上昇を示している。地方圏のその他の地域においては全ての用途で下落幅が縮小している
 
地方圏とは、上記三大都市圏を除いた地域です。北海道・東北・中国・九州における政令指定都市の札幌市・仙台市・広島市・福岡市を「地方四市」、それを除いた地域を「地方圏その他」としています。
 
地方四市で見ると、住宅地はいずれの市でも平均変動率はプラスとなっており、さらに各区で見ると5%以上の高い地価上昇を示す区もあります。札幌市中央区5.7%(2.0%)、仙台市若林区6.2%(4.0%)、広島市中区5.0%(1.9%)、福岡市中央区6.2%(3.5%)です(カッコ内は各市の平均変動率)。ちなみに、住宅地の三大都市圏平均の変動率は0.5%です。
 
また商業地は、各市内で最も繁華な商業地域は多くが2桁台の上昇率を示しました(札幌市中央区13.0%、仙台市青葉区10.8%、福岡市博多区12.6%)。広島市中区では、やや低く6.6%です。ちなみに、三大都市圏の商業地の平均変動率は3.3%です。
 
各市の人口を平成27年国勢調査で見ると、前回調査(平成22年)と比べて、札幌市は4.0万人増、仙台市3.6万人増、広島市2.1万人増、福岡市7.5万人増といずれも増加しており、各地域における中心都市への人口集中が見られます。
 
しかし一方で、地方四市を除く人口10万人以上の134市では、住宅地の地価がプラス(上昇)の市は全体のわずか2割(26市)で、残る8割は下落が続いています。商業地でもプラスの市は全体の26%(35市)。地方四市とその他の地方では、地価動向が明らかに異なります。地方四市では住宅地、商業地ともプラスが続き、その他の地方ではマイナスが続いています。
 
注目されるのは、沖縄県4市(那覇市・浦添市・沖縄市・うるま市)。住宅地、商業地のいずれもプラスとなっています。特に浦添市では、住宅地4.0%、商業地7.5%といずれも那覇市(3.5%、5.0%)を超える高い変動率です。観光客の増加に伴う需要の堅調さが要因と思われます。
 

地価が上昇する主な要因は何か?

 
国土交通省の資料では、地価の上昇が見られた地点の動向をまとめて4点を掲げています。それぞれについて主な実例をご紹介します。地価の動向を見る上で参考になるのではないでしょうか。
※カッコ内は標準地の番号
 

1. 交通インフラの整備、再開発事業等の進展

 
仙台市若林区の住宅地(若林-18)は12.3%上昇しました。これは地下鉄東西線の開業による利便性の向上によるものです。また、石川県金沢市の商業地(金沢5-13)は20%の上昇。これはもちろん、北陸新幹線開業に伴う金沢駅周辺整備の進展が影響しています。
 

2. 高度商業地等における店舗需要の高まり

 
商業地で全国1位の上昇率を示したのは、大阪市中央区の商業地(大阪中央5-19)。道頓堀地区とその周辺での旺盛な店舗やホテル需要によるものです。
 

3. 大規模物流施設の立地需要の高まり

 
埼玉県入間市の工業地(入間9-1)は10.3%の上昇です。これは、首都圏中央連絡自動車道整備の進展等による物流施設への需要によるものです。
 

4. 観光、リゾート需要の高まり

 
京都市東山区の商業地(東山5-7)は29.2%の上昇です。これは、著名な観光施設の近接する四条通周辺での新規出店需要によるものです。同じ要因で、沖縄市那覇市の商業地(那覇5-4)も9.7%上昇しています。
 
地価公示の重要な役割の1つに、「土地の相続評価および固定資産税評価についての基準」があります。相続税評価は公示地価(都道府県の地価調査を含む)のおおむね8割水準、固定資産税評価はおおむね7割水準となっています。公示価格の動向は、これらの税に影響してきますので、注意していきましょう。
 
三浦雅文(みうら まさふみ)米国国際資産評価士・不動産鑑定士
土地家屋調査士・行政書士・宅地建物取引主任士の資格も保有。1954年北海道生まれ。大学卒業後、測量、登記、鑑定、総合不動産会社を経て独立。多分野での経験を活かした不動産のアドバイスとオールラウンドの鑑定評価の業務を中心に活動中。
 

●ご存じですか? 不動産売買の仲介手数料は半額以下になることを

東証二部上場企業グループの不動産流通システム(REDS)は、不動産売買の仲介手数料を半額から最大無料としつつも、お客様からの満足度の高いサービスを実現しています。

広告宣伝費などのコストを徹底的にカットしつつ、資質と経験を兼ね備えたベテランスタッフの運営でサービスの質は高め、お客様に利益を還元しています。

業界の常識を覆すREDSの新たなビジネスモデルは、「ワールドビジネスサテライト」「とくダネ!」などのテレビ番組をはじめ、各メディアでも紹介されています。
 
 平日・土日祝日も営業中(9:00-19:00)です。お気軽にお問い合わせください。フリーダイヤルはこちら0800-100-6633

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る