不動産の購入・売却コラムCOLUMN

最終更新日:2020年8月4日

公開日:2020年7月22日

なぜ不動産売買の仲介手数料は変わらないのか

6月2日に住宅新報社による主要不動産流通会社の売買仲介実績が発表されました。この調査結果の中から、特に大手3社の業績報告についてクローズアップすると共に、そこに垣間見える、不動産業界全体にも関わる根深い問題点を掘り下げます。

2019年度の主要不動産流通会社の売買仲介実績が発表されました。
これは、株式会社住宅新報社が毎年主な不動産会社に売買の仲介実績などをアンケート調査して発表しているものです。例年は5月下旬には発表されていたのですが、今年は新型コロナの感染拡大の影響で集計が遅れ、今のタイミングになったということです。

この調査結果から、当方で前年実績を把握している27社をピックアップして集計表を作成しましたので、今年の特色を分析していきましょう。


上図を別ウィンドウで表示
(住宅新報社 2019年5月28日、2020年6月1日記事より数値抜粋 筆者にて表作成)

「トップ3」は健在。取扱高・件数・手数料ともダントツ!

結論から申しますと、2019年度も「トップ3」といわれる三井不動産リアルティグループ(以下、リハウス)・住友不動産販売(以下、スミフ)・東急リバブル(以下、リバブル)の牙城は崩れませんでした。4位以下を圧倒的に引き離しています。

まず取扱高はトップ3が1兆円を大きく超えるのに対して、4位の野村不動産は約8,700億円にとどまり、5位のセンチュリー21グループは約6,300億円と、3位のスミフ(約1兆2,900億円)の半額にも及びません。
この取扱高の差は、決して高額な住宅のみを扱っている結果ではありません。1件当たりの取扱高はトップ3平均4,100万円。27社の平均4,506万円よりも低いのです。トップ3の合計年間取扱件数106,970件が他24社の合計102,742件を上回るというダントツの成約数が、その高い売上を支えています。

また売上が高い理由の一つに、店舗数の差もあるでしょう。リハウスは282店、スミフが276店、リバブルが190店。27社平均の100.8店を大きく上回っています。店舗数だけなく1店舗当たりの売上高も、リハウスが約63億円、リバブルが約69億円、スミフが約46億円と、27社平均の34億円の1.35倍~2倍以上となっています。

各店舗の成約数が他社より断然多いのは、知名度、広告力、営業力、顧客ネットワークの整備など全ての戦略・戦術が他社よりも優秀であると認めるべきでしょう。日本の不動産業界は、ひた走るトップ3に対して、何とか彼らを上回る個性を追求・発揮してマーケットで存在感を出し追従していこうとする他社との闘いといえるかもしれません。

トップ3の集計方法が今年から変化した?

一方で、本年度(2019年度)から、このトップ3の数字は「仲介手数料には賃貸仲介料や賃貸管理収入を含む」という注釈が付くようになりました。このような条件が加わると、前年比の計算や他社との対比において正確な分析が困難になると筆者は考えていました。これによってトップ3の取扱高や手数料収入、手数料比率が前年より大幅に上昇してしまうと予想されるからです。

しかし実際には、前年に比べ手数料収入、手数料比率ともに3社合計は減少しています(下表参照)。3社とも連続性にさほど違和感がありませんでした。

 

主要3社の前年の業績比較

  取扱高(百万円)
2019年度 前年
三井不動産リアルティ 1,783,232
(前年比 104.5%)
1,706,843
東急リバブル 1,315,942
(前年比 105.7%)
1,245,530
住友不動産販売 1,287,508
(前年比 97.1%)
1,326,357
     
主要3社計 4,386,682
(前年比 102.5%)
4,278,730

 

  手数料(百万円)
2019年度 前年
三井不動産リアルティ 84,985
(前年比 100.0%)
85,008
東急リバブル 67,063
(前年比 96.3%)
69,615
住友不動産販売 62,261
(前年比 103.5%)
60,149
     
主要3社計 214,309
(前年比 99.8%)
214,772

 

  手数料率(%) 増減
2019年度 前年 (%)
三井不動産リアルティ 4.77% 4.98% ▲0.21%
東急リバブル 5.21% 5.25% ▲0.04%
住友不動産販売 4.73% 4.83% ▲0.10%
       
主要3社計 4.89% 5.02% ▲0.13%

 

ここで筆者に、「今年のトップ3の手数料の報告・集計は、昨年の集計同様の方法・基準で行われているのではないか?」という疑念が生まれました。
昨年までの数値との連続性に違和感がないこと、また今年からあえて違う手法・基準で報告する必然性がトップ3には本来ないこと(少なくとも過去4年は、住宅新報社は同様の報告・集計を実施しています)から、数字自体は昨年同様の基準で報告されたと考えたほうが、つじつまが合うからです。

そしてここから先に述べることは、あくまで筆者の疑念であり推論です。念のため繰り返して明記しておきます。

トップ3は、手数料率が高い理由が「両手仲介」だとは思われたくない?

なぜ3社はそろって今年から「仲介手数料には、他の手数料も含まれる」と発表したのでしょうか?
筆者は、住宅新報社の発表を根拠にトップ3を始めとする不動産会社の仲介手数料の高率に注目されることが増えた昨今の状況に、トップ3の経営陣や広報が危機感を抱いたのが原因ではないかと勘繰っています。

一般の商社や流通・小売業であれば、料率の高さは企業努力の表れであり、誇りを持ってアピールすべきものかもしれません。しかし不動産の仲介手数料は、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)により上限額が定められていることが重要な問題となります。
※400万円以上の取扱高の場合、取扱高の3%+6万円(簡易計算法による)

2019年度のトップ3の平均仲介手数料率は、取扱高の4.89%。一見、宅建業法の上限額を超えてしまっているようですが、これには理由があります。不動産売買の仲介手数料は売主・買主の双方から依頼を受ければ、その双方から上限値までもらえるのです。これを「両手仲介」「両手取引」といいます。(なお売主・借主のどちらか一方の依頼者からのみ報酬を受け取る場合は「片手仲介」「片手取引」といいます)
売買当事者の両方から仲介手数料をもらえる両手仲介を実現できると、不動産会社は、最大で取扱高の6%+12万円を報酬として受け取れます。仮に全取引のうち半分が両手仲介だとすれば、最大で取扱高の4.5%+9万円を受け取れる計算です。

つまり、トップ3の4.89%という高料率は、両手仲介の比率が相当高いことの裏返しではないでしょうか?
トップ3だけではありません。大手不動産会社27社の仲介手数料率平均は4.42%ですから、不動産会社はどこも両手仲介比率が高いと考えられます。さらにこうした手数料率を維持するために、各社とも「両手仲介の達成」を第一目標としてノルマ化しているのでは、とさえ想像できます。

先に述べた、トップ3が声を揃えて「仲介手数料の集計には、賃貸仲介料や賃貸管理料も入っている」と言い出しているのは、この高い手数料比率が「両手仲介を強硬に追求してきた故の結果だ」という推測を否定したいためではないか、と筆者は思っています。

両手仲介の過度な追求は「囲い込み」を呼ぶ

もし筆者の推測が正しいものとすると、なぜトップ3は、「両手仲介」に注目が集まることを否定するような態度を取るのでしょうか? それは、両手仲介は日本の不動産業界独特の商慣習であり、ともすれば「囲い込み」や「こなし」といった買主や売主の利益に反する行為につながる行為だとして、事あるごとに批判されてきているからです。

欧州の複数の国や米国の州法では、不動産会社は売主・買主の両方から依頼を受ける行為は禁止されています。これは、売主の利益と買主の利益は相反すると考えられるからです。例えば売買価格を上げるのは売主の利益になる一方、買主の不利益につながりますよね。当事者双方の代理になっても同時に各々の利益追求はできないため禁止されているのです。日本の民法でも108条で「双方代理」は禁止されています。

しかし、日本の不動産取引を規定する宅建業法では「仲介業務は、当事者の法律行為(不動産売買)の代理ではなく、その成立を手助けする行為であるから、双方から依頼を受けることができる」という解釈がなされています。これを盾に、多くの不動産会社は手数料率を上げて採算性を良くするために両手仲介を目指すようになります。今回の集計からもその傾向は明らかです。

また不動産会社の中には自社の収益を重視するあまり、両手仲介でなければ取引を成立させないという動きをするものも後を絶ちません。その一つが「囲い込み」という手法です。
これは文字通り、売却を依頼された物件を非公開とし、他の不動産会社からの問い合わせなどには応じず自社の情報網・顧客網でのみ取り扱う(囲い込む)行為をいいます。当然、他社の顧客の購入希望はかないませんし、売主にとっても売却機会の損失が発生します。売主・買主双方の利益を損失させ、公正な市場も形成されません。

さらに、こうして売却機会を意図的に失わせた物件の価格を値下げさせる「値こなし」、買い取り業者に「こなした」物件を安く買い取ってもらいリフォーム後にまた仲介を依頼してもらうことを条件とする「専任返し」など、両手仲介から端を発してどんどんアコギな手口が行われています。こうした用語が流通するくらい、不動産業界では、ある意味ポピュラーな手口となっているのです。

トップ3が「両手仲介により、高収益化を実現している」という世評を避けたいのではないか?という私の疑念は、こうした両手仲介にまつわる不透明な手口が業界にはびこっていることが背景となっています。

不動産会社の高収益化に両手仲介は欠かせない

トップ3の仲介手数料に、賃貸仲介料や賃貸管理料が入っていようがいまいが、両手仲介なしにこれほどの高収益は達成できないのは間違いありません。1件当たりの仲介手数料の上限額が取扱高の比率で定められている以上、収益を増やすためには、取扱高が大きい物件を扱うか、両手仲介の比率を上げるか、他の分野の収入を算入するしかないからです。

トップ3は、全国ネットで駅前の一等地に支店網を築き、独自の顧客管理システムと物件検索サイトを構築し、テレビを始め様々な媒体でイメージ広告を打ち、優秀な人材を確保し、人事労務体制も整備しています。さらに今後は、ウィズコロナ時代のために率先して新たなVR技術を導入した内覧システムやテレワークも洗練させていかねばなりません。
こうした諸々のコストを回収するためには、ますます不動産市場の寡占化を進め、手数料率向上のために両手仲介の比率を増やすことを主要目標とせざるを得ないのではないでしょうか。

それならば、両手仲介が不公正な市場環境の拡大につながらないように、常に状況を分析し軌道修正していき、売主・買主といった一般消費者が安心・信頼できるような不動産市場の形成に努力することが、不動産市場に身を置く業者の責任だと思います。

 

プロフィール
早坂 龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング代表取締役。北海道大学法学部卒業。石油元売会社勤務を経て、北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

 

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※2026年05月03日現在 本社・首都圏営業所の数値

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    2 か月前

    不動産の売却と購入を両方お願い致しました。
    ご担当の小室様には依頼当時は先行して購入したりできることなどすら知らない知識レベルですが、丁寧に売り先行、買い先行なども教えて頂き依頼主の状況に応じて臨機応変に対応頂きました。
    結果売却も購入も予想通りに進み非常に満足です。サイトでは仲介手数料無料やなどの魅力が入口で気になる方は多いと思いますが、依頼した後のサポートが丁寧で迅速で非常に頼りになる会社様だと思います。
    知識がない方でも依頼主に寄り添った対応でアドバイス頂けますので、悩まれる方は是非ご相談頂くことをおすすめします。
    私もまたお世話になる機会がありましたらご依頼させて頂きます。
    本当にありがとうございました。

    2 か月前

    ご担当の堀さんに大変お世話になり、このたび無事に住宅を購入することができました。

    当初は、仲介手数料が比較的低額であることを知り、「知名度の高い最大手仲介会社と比べれば、サービス内容が多少見劣りするのもやむを得ないだろう」と考えたうえで問い合わせましたが、実際には、これ以上望みようのない素晴らしいサポートを頂きました。

    内覧については、何度もお時間をいただくのが心苦しく感じておりましたが、堀さんから「納得したうえで購入された方が良いから」と何度も内覧を勧めていただき、その都度丁寧にお付き合い頂きました。疑問点にも一つひとつ真摯にお答えいただき、安心して検討を重ねることができました。

    また、売主側から提示された資料や条件についても、細部まで目を通したうえで注意すべき点を的確にご指摘くださり、大変心強く感じました。最終的には、「堀さんが買って良いと言っている物件であれば問題無い」という考え方に至りました。

    検討していた物件が金融機関の融資を受けにくいことが判明した際には、複数の銀行へお問い合わせいただき、最終的には融資可能な金融機関を見つけてくださり、担当者の方との調整まで行っていただきました。

    加えて、私どもが40年以上前の施工時の情報について関心を持ち問い合わせた際には、施工を担当したゼネコンにまで問い合わせて確認を取って頂き、懸念点を解消してくださいました。

    振り返りますと、どの場面を取っても、堀さんがご担当でなければ、途中で購入を諦めていたのではないかと思います。

    このように書くと、堀さんが検討者が購入するように仕向けるやり手営業マンという風にも読めるかも知れませんが、実際にはこちらが検討を棚上げしていた時期には検討を促されるようなことは全く無く、こちらがサポートを必要とする時だけ必要なサポート頂いたように思います。ですので大変納得感を持って住宅を購入することができました。

    不動産の購入を検討されている方には強くお勧めしたいと思います。また私自身、引き続き不動産の売買を検討することがあれば、ぜひまた堀さんのお世話になれればと考えています。

    5 か月前

    自宅(中古戸建て)の売却でお世話になりました。

    まず何よりも、営業(小室様)の方に、超丁寧&超迅速&超親身なご対応を頂き、★5では足りないです!!

    当方、介護や仕事や新居(二世帯住宅)の建築対応や仮住まいへの引越しで日々バタバタしてしまい、必要な物を紛失してしまったり、諸対応が遅くなってしまったり、、、と、色々ご迷惑をお掛けしてしまいましたが、都度、豊富な専門知識で臨機応変に気持ちの良いご対応を頂き、本当に心強かったです。感謝しかありません。

    隅々まで行き届いたサービスにも関わらず、仲介手数料は他社様の半額以下という、申し訳なくなるほどありがたい内容でした。

    また、買主様も先方の仲介業者様も素晴らしい方々で、非常に恵まれたお取引ができました。

    こだわりを詰め込んだ思い入れのある注文自宅でしが、まさにそのこだわりを気に入って頂けた買主様に引き合わせて頂き、ご購入頂く事ができ、大変嬉しく思っております。

    また何かありましたら、絶対REDS様にお願いしますし、お友達に不動産取引を検討している人がいたら、全力で勧めようと思います!

    もういくら御礼を言っても足りないです!
    本当に本当にありがとうございました!!

    4 か月前

    担当して頂いた 菅原さん には約1年程お世話になりました。

    不動産のことはもちろん、法律の事などとても知識が豊富な方で色々な事を教わり勉強になりました。些細な質問にも的確でわかりやすくお返事を下さるとても親切な方でした。家探しに疲弊していた時も、とくに営業電話などもなく私達のペースに合わせて頂き本当に助かりました。都内・神奈川県と私達夫婦のわがままにも付き合って頂き、ありがとうございました。

    決済も無事に終わり、念願のマイホームを購入する事ができました。

    とても信頼のできる不動産屋さんです!
    また機会があれば、宜しくお願い致します。

    3 か月前

    中古マンションの購入を検討し始めて約1年、10軒ほどの内見に根気強く同行してくださった担当の山崎さんには、本当にお世話になりました。
    契約を急かされるようなことは一切なく、漠然としていた条件も山崎さんに相談を重ねるうちに、自分たちの中で明確にまとまっていきました。おかげさまで、心から納得して大きな決断ができました。
    巧みな営業トークというよりも、知りたいことに対してメリット・デメリットを隠さず正直に答えてくださる姿勢に、深い信頼を寄せることができました。レスポンスの速さも抜群で、こちらが「ちゃんと休めているかな?」と心配になってしまうほど(笑)。素敵なご縁をいただき、心から感謝しています。