不動産の購入・売却コラムCOLUMN

最終更新日:2019年9月4日

公開日:2019年5月23日

消費増税で不動産の取引はどうなる!?

「リーマンショック級の経済危機がない限り、2019年10月1日から消費税率を予定通り8%から10%に引き上げる」との方針が発表されました。

もともと2017年4月に実施される予定だった消費税の増税ですが、30ヵ月先延ばしとなっていました。「まあ、まだ先の話だから」などと思っていたのですが、あっという間に10月がやってきそうです。

ご自宅の購入や不動産投資をご検討されている方にとっては、物件自体が高額であるがゆえに消費税増税は不動産取引にも大きな影響がありそうで、とても気になるところです。

そこで今回は、不動産売買と消費税の関係性や税率引き上げによる影響について、ご紹介いたします。

 

消費税のかからない取引、かかる取引

 

◆消費税がかかる取引

消費税の課税の対象となる取引は以下のように定められています。
・国内取引
・事業として行う取引
・対価のある取引
・資産の譲渡・貸付および役務の提供取引
・非課税取引・免税取引・不課税取引に該当しない取引

…(消費税法第4条)

◆消費税がかからない取引

 

不動産取引においても、全ての取引に消費税がかかるわけではありません。消費税がかからない2つの取引を把握しておきましょう。

(1) 土地の売買・賃貸借土地の売買・賃貸借

土地については、いくら売買を繰り返しても土地という資産が使われてなくなってしまう(消費される)という性質をもつものではなく、「消費税の課税の対象としてなじまない」という理由から、消費税がかからない取引(非課税取引)とされています。
具体的には、土地の所有権の売買、借地権・地役権の売買、賃貸借の取引などが非課税取引となり、消費税が課税されません。

ただし、1ヵ月以内の短期の土地使用契約や、駐車場や遊戯施設などの施設の利用を伴う賃貸契約は、サービスを提供している(役務の提供)とみなされ、消費税が課税されます。
以下の通り、混乱しないようにしっかり覚えておきましょう。

1.土地の売買・賃貸には、基本的に消費税はかからない
2.駐車場を借りる場合には、賃借料に消費税がかかる
3.土地を借りて駐車場として使用する場合、土地の賃借料に消費税はかからない
4.1ヵ月以内の賃借期間で土地を借りて駐車場として使用した場合は、消費税はかかる

(2) 個人所有の住宅の売買・賃貸借

建物の取引は、基本的に消費税の課税対象です。しかし、居住用に供される「住宅」の「貸し付け」は、「社会的な配慮」を理由として消費税の非課税取引の対象となっています。住居の家賃に消費税はかかりません。

また消費税は「事業として行う取引」を対象に課税されますので、「個人」の所有する「自己が居住する住宅」を「売買」する場合も、消費税はかかりません。
ただし、個人が所有する建物でも、賃貸借を目的とする事業用のアパートやテナントビルなどの物件の売買は、消費税の課税対象となります。

 

個人が売主の自宅の場合はかからない_10

個人が売主の自宅の場合はかからない02-1000

 

建物についての消費税を整理すると以下の通りです。

1.住居の家賃は、非課税
2.テナント・事務所の家賃は課税対象
3.個人が自ら居住する住宅の売却は、非課税
4.事業者の売却物件は、課税対象
(新築物件は事業者の所有物件が多いため課税物件が多い)
5.事業用物件(テナント等)の売却は、個人所有でも課税対象

また、マンションや戸建ての場合、土地分は非課税、建物分については使用目的に応じて課税・非課税をそれぞれ算出して、合計したものが全体の価格です。

 

 

◆消費税がかかる諸経費

 

不動産取引にかかる対価は売買代金だけではありません。様々な経費や手数料と消費税との関係を見ていきましょう。

(1)不動産屋さんに支払う仲介手数料

仲介手数料は、400万円以上の売買価格の場合は、「(売買価格)の3%+6万円」が上限です。仲介手数料は消費税の課税対象であるため、消費税相当額が上乗せされます。
ここで注意点が1つ。仲介手数料の算出の基礎となる売買価格は不動産の消費税課税前の価格です。

 

仲介手数料は課税

 

(2)登記のために司法書士に支払う報酬

司法書士に支払う報酬には消費税が課税されます。
ただし、司法書士費用として請求される金額のうち、登録免許税という税金部分には消費税は課税されません。

(3)公租公課の清算金

不動産に課税される固定資産税と都市計画税は、その年の1月1日時点で所有していた者に課税されます。そのため、不動産の引き渡し・決済日をもって日割で清算することが多いです。この場合の清算金にも売主が事業者の場合は消費税が課税されます。

税金に消費税が加算されるのはおかしいと考える方も多く誤解されやすいので要注意です。実際に取引の場でも「税金なのだから課税されるわけがないだろう」と買主から怒られることもしばしばですが、税務上は、公租公課の清算金も売買の対価の一部とみなされるため、消費税の課税対象とされています。
もめごとの種になりやすいのか、国税庁のホームページにも見解が記されています。
出典:国税庁<https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/33.htm

 

税率アップの影響をケース別にご紹介

 

ここまで、前提知識として消費税がかかる取引とかからない取引の区別について紹介してきました。
以下では税率アップがどう影響するか具体的に見ていきましょう。

 

◆【ケース1】新築、売買代金5000万円の土地建物

 

新築の場合は戸建でもマンションでも、通常は建設会社・ハウスメーカー・不動産会社が事業として販売します。そのため、ほとんどが課税取引に該当するでしょう。

この場合、売買代金5000万円×税率8%=400万円が消費税というわけではありません。土地の売買は非課税ですから、売買代金の内、建物分にだけ消費税がかかります。土地と建物の代金内訳は物件毎に違います。マンションの場合は土地の価格に比して建物の比率が高く、戸建は土地の価格の比率が高い傾向にあります。

仮に税込5000万円の売買代金で、土地分が3000万円、建物分が2000万円の場合は、実際の建物代金は2000万円(税込)=建物代1851万8518円(税抜)+消費税(8%)148万1482円という計算になります。

税率が10%に上がると消費税額は185万1852円となり、増税前と比べると370,370円も増える計算です。

 

◆【ケース2】中古 売買代金5000万円の土地建物

 

中古不動産の場合、個人が自宅として使用している不動産や、相続した不動産などを販売するケースが多いです。個人が使用していた住居の売却など、事業としての売却以外の場合、建物の売却も非課税取引です。

これに対して、不動産会社が中古住宅を買い取って、リフォームなどをして改めて転売するような場合は、事業者との取引として消費税が課税されます。

中古戸建の場合は、建物の評価が築年数に比例して下がることが多いです。消費税は建物の価額に課税されるため、新築に比べると同じ売買代金だと消費税が少なくなるといって良いでしょう。消費税率アップの影響は、新築に比べると小さいものだといえます。

マンションの場合は、売買代金のほとんどの割合が建物価格となりますが、上述の通り、個人が売主の場合も多く、その場合は非課税なのでこれも影響はさほど大きくないのではないかと思われます。

一方で、人気が上昇してきている、リフォーム・リノベーション市場ですが、業者のリフォームやリノベーション費用は消費税課税の対象となるので、消費税率アップの影響は大きいかもしれません。

 

消費税の経過措置:住宅の引き渡しと契約のタイミング

 

取引した住宅の引渡しの日が消費税等の税率の引上げが行われた後の場合は、原則として引き上げ後の税率が適用されます。2019年10月1日以降に引き渡される場合は基本的には10%の税率が適用される、という事です。

例えば、5000万円の建物の消費税は税率8%の現在では400万円です。税率が10%にアップすれば、500万円になってしまいます。不動産の売買は金額が大きくなりがちですから、消費税も資金計画に大きな影響を与えます。
同じマンションや戸建てを購入するにも、引渡しの日が2019年10月の税率アップの前か後かで、消費税額が大幅に違ってしまいます。

 

万が一、引渡しが予定より遅れて10月1日を超えてしまったら、消費税額が何百万円も余分にかかってしまうなんて不安ですよね。

そこで、住宅の工事請負契約について契約日2019年3月31日までに締結している場合には、工事等請負契約の対象に住宅等の完成・引き渡しが消費税率引上げ後であっても、引上げ前の税率を適用できる、という特例措置があります。

 

消費税増税はやっぱりされない方が良いのだけれど

 

消費税の増税は、経済不況を招きかねないと懸念されています。不動産コンサルタントや経済評論家からは「税率アップの直前には駆け込み需要が発生し市場は一時的に加熱するが、税率アップの後はその反動と増税効果により市場全体が冷え込み、不動産市場の上昇傾向は終焉を迎える」という見解が多くみられます。

最近では、米国と中国の貿易摩擦による景気の冷え込みが懸念され、日経平均株価も2,000円近くも下落しました。国際情勢を見てもイランに対する経済制裁や、北朝鮮との関係など不安定な要素も数多く存在します。「リーマンショック級」とされる経済危機が訪れる可能性がゼロではない以上、消費税増税が先送りされる可能性もなくはありません。

しかし、景気が大幅に悪くなって消費税増税が先送りされても決して喜ぶべき事態ではありません。消費税増税が実施されても問題ない位の好景気が続くことを期待する、あるいは抜本的に政府が方針転換することを期待するしかありませんね。

 

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