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不動産の購入・売却コラムcolumn

売買仲介実績から分かる両手仲介の現状

「両手仲介」とは、不動産会社が、1件の不動産売買において売主と買主の双方から仲介手数料を受領することをいいます。 不動産会社にとっては、自社のネットワークで売主と買主の両方を見つけられれば、1回の不動産売買で仲介手数料は2倍になります。なんともおいしい話です。だから多くの不動産会社は、何とかして「両手仲介」を実現しようとします。

大手が主導?両手仲介の現状

  「両手仲介」は、成約件数が少ない中小の不動産会社が多いのではないか、大手は資本力もあるし、成約数も多いから、「両手仲介」よりも成約数を重視して販売活動をしているのではないか、と考える方も多いでしょう。 しかし実際は、大手の会社こそ率先して「両手仲介」を実践しているといっても過言ではありません。 専門紙などで開示されている主要不動産流通会社の決算情報から、不動産会社ごとに受領している仲介手数料の平均料率を試算できます。 以下の表は、住宅新報社新聞記事に開示された、主要不動産流通会社25社の2016年3月期の決算資料から、当社が仲介手数料の平均料率を取りまとめた資料です。

  仲介手数料の平均料率は、上位25社平均で4.35%、上位5社では5.12%、最上位は5.31%となっており、2%台は上位25社の中では1社しかありません。 不動産会社が受領できる仲介手数料は、宅建業法により「3%+6万円(消費税別)が上限」と定められています。したがって、平均料率が3%を超える不動産会社は、「両手仲介」を恒常的に行っていると想定できます。 上位5社の仲介手数料平均料率が5.12%ということは、これらの不動産会社は、5件の成約のうち4件以上が「両手仲介」という計算になります。   もちろん、大手の不動産会社は、過去の成約実績に基づく独自の顧客情報をはじめ、グループ会社やフランチャイズを含む自社の販売ネットワーク、顧客向けの自社サイトなどを保有しています。 他社の情報網を利用しなくても売買を成約させるだけの力を持っていることが、「両手仲介」の多い一番の理由なのかもしれません。しかし、これだけの高い料率を維持するためには、会社全体で「両手仲介」を目標としていると考えても差し支えないでしょう。    

大手が「両手仲介」を目指す理由

  大手の不動産会社は、企業イメージアップのため、全国の立地の良い場所に店舗を構え、多くの広告・宣伝費用をかけています。独自の物件情報をグループ内で共有し、消費者に伝えるためのシステムもあり、その開発費やメンテナンス費用も必要です。 また多くの営業マンと、それを支える法務・総務などの非営業部門も抱えています。ブランドとサービスを維持するためには、コストも大きくなっているのです。 膨張するコストを回収するためには、経費削減か、収入を増やすしかありません。そして収入を増やすには、取引量を増やすか、手数料を上げるかです。   しかし取引量を増やすためには、コストをかけて高品位のサービスを実施する、というスパイラルが起こります。また仲介手数料の上限は法律で定められており、自由に設定できません。他社との優位性を生かして高めの仲介手数料を設定しコストを回収する、という選択肢はないのです。 したがって、手数料の収益を上げるためには「両手仲介」に注力せざるを得ない、といえるでしょう。    

「両手仲介」の弊害

  「両手仲介」にこだわるあまり、顧客の利益を顧みず、「囲い込み」「干し」「こなし」といった悪質な手口を使う不動産会社は後を絶ちません。

■「囲い込み」

「囲い込み」とは、売買の依頼を受けた情報を自社だけで取り扱い、他の不動産会社には流さず、問い合わせも受け付けないことをいいます。 全ての不動産会社は、専任媒介契約や専属専任媒介契約を売主と結んだ場合、不動産会社専用の物件情報システム「レインズ」に物件情報を登録する義務があります。ところが「囲い込み」をする会社は、それを怠ったり、登録しても他社からの問い合わせには「もう決まりました」「商談中」などとして受け付けなかったりします。一般の不動産ポータルサイトや会社サイトでも、「他業者取り扱い不可」「非公開物件あります」「会員限定情報」などと記載された物件情報は、「囲い込み」やそれに類する行為を行っているもの考えられます。 物件情報が多くの利用者や不動産会社の目に触れた方が、売却の機会が多くなるのは当然です。その中で希望にかなう買主を見つけられるかもしれません。「囲い込み」は、「早く」「高く」売りたい売主の希望と不動産会社への信頼を裏切り、売主に機会損失を与えてしまう、悪質な手法なのです。

■「干し」

「囲い込み」よりもさらに悪質なのが「干し」です。これは、わざとまともな販売活動をせず物件を売らないようにすることで、媒介契約を結びたいがために高めの査定価格を提示してしまった会社がこのような行為をするようです。また、買い取り専門会社と結託して安く物件を仕入れようとする会社も「干し」をします。

■「こなし」

「干し」た物件を、「当初の販売価格では売れないから」と値下げさせるのが「こなし」です。2~3割、値下げさせることが多いようです。これを買い取り専門会社に売れば、不動産会社は簡単に「両手仲介」を達成できます。後に買い取り専門会社がその物件を売却する時にも、仲介の機会を得られます。 こうした悪質な手口が、不動産会社の俗語として語られていること自体、「両手仲介」の弊害が一般的に蔓延している証拠といえるでしょう。    

「両手仲介」を巡る動向

  日本では「両手仲介」が認められています。 営利企業として、適法に利益の追求をすることは非難されるべきではない、と考える方もいるでしょう。しかし、基本的に売主と買主は、売買価格という点において利害が相反するものです。民法では、法律行為の双方代理は禁止されています。 また諸外国では「両手仲介」を禁じている国も多く、アメリカでは、州法で半数以上の州がこれを禁じています。「不動産売買の仲介業務は、法律行為にあたらない」という日本の法解釈自体、既得権益を保護してきた過去の遺物なのかもしれません。 なお2009年に民主党がマニフェスト案で「両手仲介の禁止」を掲げたことがありましたが、既得権益を主張する不動産会社の多くの反対があり、正式な公約にはならなかったようです。   しかし「両手仲介」は、上述の悪質な手口を蔓延させる原因であり、利用者の利益を保護するためにはこれを禁止すべき、という意見は日に日に大きくなっています。不動産業界にも、これに呼応して、両手仲介をしない方針とする会社、両手仲介の場合は「仲介手数料を割引にする」「依頼者側の仲介手数料を最大無料にする」などのサービスを実施する会社も現れています。 不動産会社を選択する場合には、大手・中小という区別で判断するのではなく、本当に自分の物件を真摯に販売してくれるかどうか、販売活動や広告の方針、その実施状況を確認して判断するべきでしょう。

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不動産事業プロデューサー 牧野知弘氏による推薦の言葉

 世の中に名の通った大手でも、地域密着の中小でも、不動産会社に「仲介手数料」をたずねるとほとんどの場合「物件価格の3%+6万円」と答えます。でも私は知っています。それはあくまでも法律で決められた上限であり、定価ではないことを。だからREDSが行っている「仲介手数料の割引サービス」は、本当はとても自然な取り組みであり、これまでなかったことが不思議なくらいです。営業スタッフ全員が宅建士で、さらに上級資格の宅建マイスター認定者が多く在籍するREDSは、横並びの不動産業界に新たな息吹を吹き込むことでしょう。

オラガ総研株式会社 代表取締役 牧野知弘氏

東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し、ホテルリノベーション、経営企画、収益分析、コスト削減、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。2009年株式会社オフィス・牧野設立およびオラガHSC株式会社を設立、代表取締役に就任。2015年オラガ総研株式会社設立、代表取締役に就任する。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)『老いる東京、甦る地方』(PHPビジネス新書)『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)『2020年マンション大崩壊』『2040年全ビジネスモデル消滅』(ともに文春新書)などがある。テレビ、新聞などメディア出演多数

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