マンションを購入して入居する人は、ほとんどの場合、エアコンや照明器具を新しく設置されるでしょう。新居購入に合わせて新品を購入する人もいれば、前の家で使っていたものを移設する人もいます。

 

一方、マンション売却時には逆に退去する立場となり、設置していたエアコンや照明器具をどのように取り扱うかでお悩みになる人も少なくないようです。今回は、売主の立場として、これらをどのように考えるべきかについて解説します。

 

マンション売却

(写真はイメージです。)

 

売主は撤去することも、置いていくこともできる

 

まず基本として、売主は「新しい住居で使うので、(設備を)撤去して持っていきたい」「新しい住居では新しい家財を購入するので、置いていきたい」のどちらも選択できます。

 

日本全国の不動産仲介業者の多くが加入している不動産流通経営協会(FRK)では不動産売買契約書のひな型を公開しており、その第13条には退去時の設備の引渡しについて、以下のように記されています。

 

「第13条 売主は、買主に対し、別紙『設備表』中『設備の有無』欄に『有』とした各設備を引渡します。」

 

不動産の売買契約では、「設備表」という書類を売主側で作成し、住戸に付帯する設備の有無を決めます。エアコンや照明器具を置いていくのであれば、設備表の「設備の有無」の欄に「有」とします。「有」と書かなければ、必然的に撤去対象物(引渡対象外)という扱いになるわけです。

 

また同条第2項、第3項には、次のように記されています。

 

「2  売主は、買主に対し、前項により引渡す設備のうち、『故障・不具合』欄に『無』とした『主要設備』にかぎり、使用可能な状態で引渡します。」

 

「3  売主は、買主に対し、前項の『主要設備』について、引渡完了日から7日以内に請求を受けた故障・不具合にかぎり、責任を負います。なお、その責任の内容は修復にかぎるものとし、その修復の範囲は、別表(修復の範囲等)中『設備の修復範囲等』の記載によります。」

 

「主要設備」とは、主に給湯関係、水回り関係、空調関係の設備を意味します。給湯器やキッチン水栓などが対象となり、空調設備としてエアコンもここに含まれます。照明器具などは「その他の設備」として扱われます。

 

簡単にいうと「主要設備の中で故障していない状態で引渡す設備は、7日間は売主側で稼働を保証してください」という意味となります。

 

購入者側にも選択権がある

 

前述の通り、マンション売却時にどの設備を置いていくのかを最初に決めるのは売主側です。しかしながら、売買契約の一部として扱われるものですので、購入者側に了承してもらう必要があります。

 

例えば販売価格3,000万円のマンションが、「20年以上使用しているエアコンを3台置いていく」という契約条件だった場合、あなたが買主ならどう感じるでしょうか。

 

「置いていかれても、熱効率は悪いし、撤去にも費用がかかるのでいらない」と購入検討者が感じれば、契約条件は合意に至りません。「古くても使えるなら助かる」と感じれば合意に至るでしょう。

 

売主には、設備の有無や故障・不具合の有無は、あくまで契約条件の一部であるという認識が必要です。購入検討者側に喜ばれない設備は売主側で撤去することを前提とした方が、スムーズに話がまとまるでしょう。

 

引き渡し後にちゃんと動くかにご注意

 

前述の売買契約書に記載の通り、主要設備において「故障無しの状態」とした場合は、引渡後7日間、稼働の責任を負わなければなりません。ここでのポイントは「引渡後」という点です。

 

設備表の内容について売主と買主の間で合意するのは、売買契約時です。そして売買契約から引渡までの期間は、短くて1カ月月程度、長い時は半年程度に及ぶケースもあります。契約時にはエアコンが正常に稼働していたとしても、引渡までの間に故障や不具合が発生する可能性があるので注意が必要です。

 

そう考えると、給湯器やキッチン水栓を撤去するわけにはいきませんが、長年使用しているエアコンなどは、撤去してしまった方が引渡時のトラブル回避につながると言えそうです。

 

契約前に購入検討者と認識を共有しておく

 

売主側は「エアコンを撤去したい」と考えていても、購入検討者側が「エアコンは買うと高いので置いていってほしい」などと考えている場合もあります。したがって売主は、内覧の段階で、売却時に置いていってもかまわないと考えている設備はなにかを説明できる方が望ましいでしょう。

 

こうした設備の扱いに関する話を、契約当日に購入者へ伝える売主もあります。それで特に問題が発生しなければ良いのですが、場合によっては、認識の違いから不満や不信感につながってしまう恐れもあります。売主・買主の関係を崩さないためにも、早めに認識を一にしておくべきです。

 

残置の判断は全体の利から柔軟に考えてみましょう

 

エアコン1台の値段は、安いものだと数万円、高いものでも数十万円です。家電の中では比較的高額でありますが、それに比べてマンションの売買代金は数千万円。購入検討者との価格交渉でエアコン数台分以上の金額が増減する可能性は普通にあります。

 

また、マンション売却期間が長引けばそのぶん住宅ローンの金利を長く支払う必要がありますし、管理費や修繕積立金などのランニングコストも毎月発生します。売却期間が1カ月延びれば、数万円の支出が発生することを忘れてはなりません。

 

こうした点からも、付帯設備に関しては売主側の意向を購入検討者に伝えるのは良いとしても、それが購入検討者の意向と相違する場合には、購入検討者の意向に合わせることが非常に重要だと言えます。

 

最後に

 

マンション売買では、物件のスペックや販売価格が購入条件として優先され、エアコンや照明などの付帯設備については二の次に扱われがちです。しかしながら、付帯設備もまた契約条件の一部であり、実際、買主の日常生活において非常に身近なものです。

 

売買契約時までに付帯設備を残すか残さないかを売主・買主お互いが確認していなければ、売買契約時にトラブルに発展する恐れがあると同時に、買主側の心象も悪くなってしまうでしょう。

 

マンション売却時には、売主として「何の設備を残してくのか」ということは、早めに購入検討者に開示できるようにしておくことが大切です。その上で購入検討者から付帯設備についてリクエストがあれば、売却計画全体の利を考えて、リクエストに応じるべきか否かを判断するようにしましょう。

 

 

斉藤勇佑(宅地建物取引士)
大学卒業後、5年間不動産売買業務に従事。その後、不動産管理会社に転職し、分譲マンションの維持・管理を中心とした業務に5年間かかわり、現在は不動産のストック分野の業務に従事。

 

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