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菅野 洋充(宅建士・リフォームスタイリスト)

社会に必要とされ人に役立つ企業を目指します

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最終更新日:2020年10月2日
公開日:2020年1月25日

 

菅野です。

今年の4月に改正民法が施行されます。

4月1日を境に、不動産の売買契約書の条文も改正民法に合わせた新しいものに刷新されます。

 

今回の改正民法で不動産に関わる改正内容を以下にまとめます。

1.瑕疵担保責任から契約不適合責任へ変更

2.個人根保証について極度額設定の義務化

3.賃貸借契約更新後に新民法の適用

4.賃借人の修繕権の制定

5.賃借物の一部滅失等による賃料の減額

6.原状回復について通常損耗、経年変化に対する賃借人の責任免除

7.敷金返還の明文化

 

ほとんどが賃貸借に関する事項となっているようですが、今回は売買に影響のある事項として

「瑕疵担保責任から契約不適合責任へ」

変わってどのような影響があるのか?を確認しました。

 

現行民法の「瑕疵担保責任」に係る条文は以下の通りです。

 

第566条
  1. 売買の目的物が地上権、永小作権地役権留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
  2. 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
  3. 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

 

第570条

売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

 

わかりにくいんですが、要約すると

「売買契約した(買った)ものに隠れた瑕疵があり、契約した目的が達成できない場合には買主は契約の解除をすることができ、契約解除できない場合には損害賠償請求のみ可能」

という内容です。

ここであれっ?と思った方は売買経験がある方ですかね。

売買契約書に書かれている内容とはちょっと違うんですね。

個人同士の売買契約書ですと弊社の場合

 

売主は、買主に対し、建物の専有部分における隠れたる瑕疵につき以下のものに限り責任を負い、それ以外の建物の瑕疵および土地の瑕疵ならびに共用部分に原因がある瑕疵について、責任を負いません。
(1) 雨漏り
(2) シロアリの害
(3) 給排水管の故障
なお、買主は、売主に対し、本物件について、前記瑕疵を発見したとき、すみやかにその瑕疵を通知して、修復に急を要する場合を除き売主に立会う機会を与えなければなりません。
2 売主は、買主に対し、前項の瑕疵について、引渡完了日から3ヶ月以内に請求を受けたものにかぎり、責任を負います。なお、責任の範囲は、修復にかぎるものとし、買主は、売主に対し、前項の瑕疵について、修復の請求以外、本契約の無効ないしは解除を主張し、または損害賠償の請求をすることはできません。
3 売主は、買主に対し、本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知らなくても、本条の責任を負いますが、買主が本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知っていたときは、売主は本条の責任を負いません。

 

こんな感じで、契約解除も損害賠償もできません。

これじゃ買主に不利じゃん、と思う方もいらっしゃるかと思いますが、個人同士の不動産売買は基本的に中古物件で、築年数がある程度経ち売主が使用したものを売買するわけですから、程度の差こそあれ瑕疵はあるものだと考えるべきものとなります。

また、民法の条文をそのまま適用すると、

「買主が瑕疵を知った日から1年以内」

に契約解除または損害賠償請求すればよいということになり、いつまで経っても売主は気の休まる日が訪れません。

ですので、この条文については「任意規定(任意法規)」という扱いとされ、契約書にて期間や適用内容について取り決めができるようになっています。

(「任意規定」の反対は「強行規定(強行法規)」と呼ばれます。この法規については、契約で変更することはできません。例えば「消費者契約法」であるとか「宅地建物取引業法」などで、業者が消費者などに不利な契約を結ぶことはできません。)

 

以上が現行の「瑕疵担保責任」に関する考え方となります。

これが「契約不適合責任」になるとどう変わるのか?

 

続きはこちら

民法改正と不動産売買(瑕疵担保責任から契約不適合責任へ)その2

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