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最終更新日:2020年10月2日
公開日:2020年1月27日

民法改正と不動産売買(瑕疵担保責任から契約不適合責任へ)その2

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菅野です。

前回のブログの続きになります。

前回はこちら

民法改正と不動産売買(瑕疵担保責任から契約不適合責任へ)その1

前回は現行法についてのおさらいをしましたが、それでは改正民法条文はどうなっているかというと、

 

 

(買主の追完請求権)
第562条  引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2  前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

 

(買主の代金減額請求権)
第563条  前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2  前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一  履行の追完が不能であるとき。
二  売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三  契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四  前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3  第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

 

(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第564条  前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。

 

(移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任)
第565条  前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。

 

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第566条  売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

 

(抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求)
第570条  買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権、質権又は抵当権が存していた場合において、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主は、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。

 

 

と、格段にボリュームアップしていて、かつ理解しやすい文章になっています。

今回の改正では、買主側の権利として「追完請求権」「代金減額請求権」というものが法律上明文化されました。

 

「追完請求権」についてですが、引渡しを受けたものが契約で定めた内容に満たない場合に、それを満たすよう請求できるという権利です。

ただ売主には、不相当な負担を買主に与えない限り、買主の求める方法と違う別の方法で追完する権利があります。

 

そして、「代金減額請求権」ですが、追完を売主が行わなかったら買主は代金の減額を請求できるという権利です。

契約内容を満たさないものを引き渡したのだから満額払わんよ、ということですので理にはかなっていますよね。

 

そして、もちろん損害賠償請求権や解除権もあります。

「モノ」だけでなく借地権などの権利の売買についてもこの法は準用されます。

契約不適合責任の期間については、契約不適合を知ったときから1年以内と、瑕疵担保責任と同じですね。

最後の570条は、もともとの「瑕疵担保責任」の条文566条の内容を踏襲していますが、新たに「契約の内容に適合しない」という文言が加わっています。

 

今回の改正はこの「契約の内容に適合しない」という部分が非常に重要となります。

契約の内容として「これだけの品物だから、この値段です」という説明の明示が必要となってくるので、それなりに高いものである不動産については、今まで以上に細かい現状の告知がなされなければなりません。

そのために「物件状況報告書(告知書)」「設備表」が非常に重要になってきます。

いわゆる「瑕疵担保免責」についても、不具合や懸念事項を事細かに記載してかつ責任を負わない旨の記載が必要になってくる可能性があります。

 

最後に、「契約不適合責任」についても「瑕疵担保責任」と同様、「任意規定(任意法規)」となります。

契約書(および、重要事項説明書)にて売主・買主の責任についてのバランスを取り回しできるのは仲介する不動産業者ですので、法改正後は一層、仲介業者が重要な任務を負うことになります。

 

最後になりますが一応、条文中にある415条(損害賠償)541条・542条(解除)についても書いておきます。

 

(債務不履行による損害賠償)
第415条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2  前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一  債務の履行が不能であるとき。
二  債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三  債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

 

(催告による解除)
第541条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

 

(催告によらない解除)

第542条  次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一  債務の全部の履行が不能であるとき。
二  債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三  債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四  契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五  前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2  次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一  債務の一部の履行が不能であるとき。
二  債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

 

(解除権についても不動産売買に関係が深く、ここもけっこう変わっているので、後日確認しようかなと思います。)

 

いちおう、その3も書きました。

契約不適合責任となることにより、売主はより一層、売り物の状態の把握が必要となり、注意を払わなくてはならないようになります。

続きはこちらです。

売主が住宅診断を受けることの意義(瑕疵担保責任から契約不適合責任へ)その3

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菅野 洋充
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