『正直不動産』宅建士のプロはこう見る!SHOJIKI-FUDOSAN

  • 公開日:2024年1月24日

『正直不動産2』第3話宅建士解説|実はよくある狭小住宅の隣地売買と建て増し

こんにちは。仲介手数料が必ず割引、最大無料の不動産流通システム、REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの堀茂勝と申します。

 

人気コミックが原作のNHKドラマ『正直不動産2』の第3話が2024年1月23日に放映されました。3話では狭小住宅がテーマとして取り上げられました。この狭小住宅について徹底解説します。

 

※REDSはドラマの監修も担当しており、当日の放送直後にドラマの内容紹介をいち早くお届けしています。こちらの記事もご覧ください。REDSのSNS「X」「Facebook」ではレビューと解説記事がサイトに掲載されたらお知らせ投稿をしていますので、ぜひフォロー&通知ONのうえ、見逃さないようにしていただければ幸いです!

 

狭小住宅

(写真はイメージです)

 

狭小住宅とは?

 

狭小住宅とは、おおむね15坪(約50㎡)以下の敷地面積に建つ住宅のことを指しますが、特に地価が高い都内では20~30坪以下の敷地面積の住宅を指している場合もあります。

 

「邸宅」を購入できる資産家ではない給与所得者が「都心の一戸建てを買おう!」という場合で、特に「駅徒歩圏内」を望む場合には、どうしても「狭小住宅」を選ばなくてはならない現実があります。今回の物件は3棟が横並びで建っている「建売分譲」の真ん中の物件です。

 

狭小住宅について注意点

 

狭小住宅を選ぶ場合、以下のような注意点があります。

 

一般的に横並びに分譲住宅が建っている場合には、真ん中の物件は価格が若干安いケースがあります。それは、それだけ条件が悪いということでもあります。一方、両側の家は隣地と距離があったり2階建てであったりするケースも多く、陽当たりや開放感、風通しは、両側の家の方が良好であるケースが多いものです。

 

同時に分譲する建物どうしの距離は、入居所有者どうしで覚書を取り交わす前提で、目いっぱい近づけていることが多く、なおさら風通しや陽当たりに影響があるだけでなく、建物どうしの距離が近いため、エアコン室外機などの設置や、家具や荷物の搬入に支障があるケースや、外壁塗装などのメンテナンスの際に一般的な足場を使うことが困難であったりすることも考えられます。

 

狭小住宅の場合、床面積を広げようとすると、階層を増やすことが必要です。しかし地盤からの高さの制限や、斜線制限などがあるため、階数を増やすと室内の高さ(特に3階)の利用に支障が出てしまう程に低くなってしまいがちになります。

 

そこで、なるべく建物内の高さを確保したい場合には、1階部分の床の高さを、地面よりも低くする手法を取るケースがあります。しかし道路から階段で数段低い高さに玄関があることで、ゲリラ豪雨の際の浸水リスクや、地盤からの湿気の影響が発生することがあり得ます。

 

今回「戸建(狭小住宅)を売却する理由」は?

 

「岡田家」は、夫の拓夢(35)と、妻の美玖(33)、一人娘の朋花(5)の3人家族です。朋花ちゃんは、ピアノを弾くのが大好き。その娘のために「ピアノがおける広い家に引っ越したい」とのことで、売却を決断したのでした。でも朋花ちゃんは、じつはこのお家が大好きなのでした。

 

ピアノ

 

アウトドアが趣味で、休日はたいてい一緒に出かけていた仲の良い岡田夫妻がこの「狭小住宅」を購入したのは5年前。朋花ちゃんはまだ赤ちゃんでした。システムエンジニアの拓夢は、勤務時間が不規則で深夜帰宅や休日出勤があり「せめて一緒にいられる貴重な時間を、バラバラにならないで寄り添っていたい!」と、職住接近を優先し、駅チカ徒歩5分の、この戸建を購入したのでした。

 

仕事

 

難航する売却活動。価格は下げに下げて5,300万円→4,300万円→?

 

売却活動は難航し、勧めに従って価格を下げていったものの、なかなか売れません。夫婦にはだんだんストレスが膨らみ、いつのまにかけんかが絶えない状態になっていきます。それでも朋花ちゃんは天真爛漫な様子が微笑ましく、唯一の救いになっています。

 

しかし夫婦の間の溝は徐々に広がっていきます。多忙で夕食が取れずに夜中に隠れてラーメンを食べる拓夢。趣味のキャンプ道具に邪険な態度の美玖。逃げ場がなくプライバシーのない狭い空間。お互い「娘のために」と思っているにもかかわらず、それぞれの行動はすれ違いの連続となり、いつのまにか「この家にいることが嫌!」から、別居までも考えるようになっていきます。

 

けんか

 

あたりまえですが、夫婦はもともと「赤の他人」の二人です。それぞれの意思によって寄り添って生きていくことを決意しても、溝ができてすれ違いが大きくなると、簡単に破綻しかねません。それだけもろいものだからこそ、時々はけんかしながらも、お互いにリスペクトを失わずにその関係を長い間、維持していかなくてはなりません。

 

お互いに日頃の思いやりに感謝するとともに、そもそも二人が出会った奇跡に感謝し続けることができれば、いつまでも夫婦を継続できるのでは思います。でも、なかなかそれが難しいですよね。私も実は反省しきりです。

 

狭小住宅が隣家に売却打診することはよくある

 

狭小住宅の売却では、まずは隣地に「敷地の買い増し」を打診してみることが、よくあります。建物の築年数がずいぶん経過していて、建て替えのタイミングである場合には、隣地と土地を合わせて、より快適な敷地で建てられる可能性もあるからです。

 

しかし今回は、まだ築5年程度。片側の隣地は現状の住宅に十分満足しており、もう片側は買い増しどころか、「こちらもできれば売却したい!」という始末でした。

 

不動産の売却

 

4,300万円→3,500万円で買い取り!

 

主人公の永瀬財地(山下智久)と月下咲良(福原遥)が所属する「登坂不動産」のライバル会社、「ミネルヴァ不動産」の花澤涼子(倉科カナ)は、ある意味これがチャンスとばかりに「3,500万円での買い取り」を提案してきました。

 

ドラマの中だけでなく、実際の不動産売却の現実として、売却を委任された仲介会社が売主様の利益をないがしろにして、自分たちに利が厚い「買い取り」を目指すシナリオを描いて活動していると思われる事象を見かけることがあります。

 

なかなか売れない様子を演出して自社で安く買い取ってリフォーム再販して利益を出すケースもありますが、買い取り再販を専門に行う業者に買い取らせて「両手仲介」をおこない、再販の際に優先的・独占的に販売を請け負って、2度目の「両手仲介」をおこなうという、「4倍オイシイ」を目指していたりするのが、そのケースです。

 

売却をやめて、逆に隣家を購入?

 

売却がなかなかうまくいかないこともあってギスギスした夫婦の関係にも限界を感じ、夫婦は花澤の3,500万円での買い取りの勧めに乗りそうになります。

 

しかしそれに対し、永瀬は逆に「隣地の買い増し」を勧めます。「何を言ってるの?」といぶかしむ美玖。隣地買取のデメリットを説く花澤。そして拓夢は、隣地を買い取って増築が完了するまでの間に、さらに夫婦の関係がこじれることを恐れている様子です。

 

怪しい風が吹き「嘘のつけない永瀬財地、いよいよ登場!」

 

風

 

「カッコつけてんじゃねー!……でございます!」
怪しい風が吹いて、とうとう「嘘のつけない永瀬」は叫んでしまいます。

 

「夫婦も元は他人だから、すれ違って、そのまま取り返しのつかなくなることもあるでしょう。……朋花ちゃんが一番何を望んでいるのか、わからなくなっていませんか?」

 

そうです。そもそも自宅の売却を目指した理由は、「ピアノがおける広い家に住むため」が目的であり、「売りにくい家を売ること」が目的ではありませんでした。いつのまにか本末転倒になっていたのです。

 

住み慣れたこの場所で、朋花ちゃんも気に入っているこの家のままで、「ピアノが置ける広い家を手に入れる」ことが実現できるのであれば、多少金銭的な問題や増築にかかる時間や手間などがあったとしても、改めて家族で気持ちと力を合わせて実現できるのでは……? そんな思いが永瀬には宿ったようです。

 

「ねえ、朋花ちゃん…これ、何の絵か教えて」と月下が聞くと、
「新しいお家で、ピアノの発表会をしてるとこ!」
「パパ忙しいから、いつも発表会に来れないでしょ? だからお家で発表会やるの。桃花、すっごく上手なんだよ!」

 

発表会

 

さすが、「子はかすがい」とはよく言ったものです。泣けてきます。

 

余計なお話ですが、この場面。時代劇の「水戸黄門」で印籠を見せての「控えおろう!」のシーンや、遠山の金さんの「この桜吹雪が目に入らぬか!」のシーンのように感じるのは私だけでしょうか。

 

水戸黄門

 

「いよいよクライマックスだぁ」といったタイミングを象徴していますね。

 

最後に

 

今回は「狭小住宅」がテーマでしたが、どんな物件にもメリットとデメリットがあります。そしてそれぞれの方に「好み」や「嗜好」があります。

 

・マンションと戸建
・低層マンションと、タワーマンション
・戸建の2階建てと3階建て
・エキチカ徒歩圏と、バス便
・都心エリア、周辺都下(市部)エリア、周辺県エリア

 

たとえばエリアですが、私は独身時代に杉並区に住んでおり、井の頭線や丸の内線を通学通勤で使っていて便利に生活していました。たまに用事があって「溝の口(川崎市)」や「町田(東京都)」に来る機会があった際には、とんでもなく遠く感じていて、まさかこのエリアに住むことなど、その頃はまったく信じられませんでした。

 

しかしその後「横浜市青葉区」に住み、このエリアの居心地のよさを実感しています。都心で「ペンシルハウス」と呼ばれる狭小住宅の値段よりも、より安く「庭つき2台駐車可の2階建て新築戸建」が手に入るこのエリアでは、都内から移住する人たちがかなり増えています。

 

そこで考えることは、もともとの好みや嗜好、利便さだけにとらわれず、いちど家選びの条件を物理的な条件から「家族の幸せ」という定規で見直してみることも必要ではないかということです。

 

今回のお話で「岡田家」では、「家族のための幸せ」のための住み替えのはずが、いつのまにか「手段」が「目的」になって「売却の成功」しか見えなくなり、家族の危機を招いておりましたが、あらためて「売却」から「購入」に切り替えて、「家族の幸せ」に向かい始めていきました。

 

「じぶんたち家族にとって、そして将来の生活にとって、仲良く幸せに、ワクワクする人生を送るのに適している場所・街、そして物件はなんだろう……」と、夫婦や家族でよく話し合ってみることも、大事だと本当に思うのです。

 

家族

 

みなさまのオウチ選びも、ぜひご家族の「幸せ」につながる物件購入になりますように、できれば私も、少しでもお手伝いになれば…と思っております。

 

この記事を執筆した
エージェントプロフィール

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27

堀 茂勝(宅建士・リフォームスタイリスト)

購入は煽らず、売却は囲い込みせず、寄り添います。

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