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有馬 春志(宅建士・リフォームスタイリスト)

安全かつ安心して取引できる環境を提供。

最終更新日:2023年7月1日
公開日:2023年4月23日

「契約上の過失」とは、いまだ契約が成立していないものの、その交渉の過程において相手方に損害を発生させた場合に、不法行為として、相手方に対し、その損害を賠償するべき責任が生じることを言います。

契約に当たって、調査・報告、配慮、注意などの義務を怠ったことにより、契約が不成立または無効となって不測の損害を与えたときに、民法で規定する信義則に違反したとして、損害賠償の責任を負うことになります。この考え方は、判例によって確立しており、損害賠償の範囲は、契約が有効なものと信じたことにより被った損害(現地検分の費用、銀行融資の利息、改修などに要した追加費用など)とされます。
例えば、売主に調査・告知義務違反があり損害を与えた場合(例えば、隣地の高層マンション計画の不告知によって生じた日照障害)、契約の準備段階で注意義務違反があり契約締結に至らなかった場合(例えば、相手に誤信を与えて取引予定の建物が改修されたが契約締結に至らなかった場合に、誤信を与えないようにする注意を怠ったとされたケース)などがその例になります。

 

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公開日:2019年10月4日

事故物件

菅野です。

昨日にこんなニュースが飛び込んできました。

 

「無事故物件」と偽り自宅販売、容疑の男逮捕 茨城

 

産経新聞のニュースなのですが、記事によると

「逮捕容疑は、母親が所有するつくば市の事故物件の自宅を、無事故物件と偽って市内の中古住宅販売業者に売却し、昨年6月18日と7月23日に計約1500万円をだまし取った」

とのことでした。

 

ただ、買主は不動産業者、売主は一般個人の案件で、詐欺罪容疑で逮捕というのは尋常ではありません。

 

不動産業者の仕入れについては通常、商法が適用となります。

 

商法第526条
1.商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2.前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
3.前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。

 

商法では買った側に検査する義務がありますので、普通、仕入れる前に不動産業者は調査を行います。

この「事故物件」という瑕疵は簡単に調べられないものだったということなのでしょうか。

(皆さんご存知「大島てる」で、かなりの事件事故は網羅されています。掲載されていなかったのかな?)

また、3項を適用するとしても、売主に悪意があったことが明白であるということなのでしょうか?

 

 

また「詐欺罪」というのは構成要件が厳しく認定が難しいと言われています。

詐欺罪の構成要件としては

 

① 欺罔行為(相手を騙すこと)

② 被害者が錯誤する(騙されること)

③ 交付行為、財産の移転(騙された結果、被害者が財産を交付し、その財産〈の所有権等〉が移転すること)

④ 上記一連の行為の因果関係が認められること

 

となり、今回の案件を想像するに、①は売主が「この物件は事故物件ではない」とでも言ったのでしょうか。

②はそれにまんまと業者が騙され(その言質を信じて)③はお金を1500万円払う契約をし、④は実際に支払いがなされた、という流れでしょうか。

①について、確実に事故物件であることを容疑者が知っていたという証明ができないとこの構成要件は破綻するので(知らなかったのなら騙す行為とならない)ここの証拠が間違いなくあるということなのでしょうか。

 

とにかく「事故物件を偽って売ったら逮捕される可能性がある」ということを今回の事件は示しています。

業界では「告知義務違反」と言われる内容ですが、悪意があれば「詐欺罪」立件もできるという一例となるのかもしれません。

大きなお金が動くのが不動産売買ですので「軽い気持ちで告知しなかった」じゃ済まされない、かと思います。

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