『正直不動産』宅建士のプロはこう見る!SHOJIKI-FUDOSAN

  • 公開日:2024年2月14日

『正直不動産2』第6話宅建士解説|家賃滞納3カ月は要注意。強制退去もありうる理由を解説

NHKで放映されている『正直不動産2』の不動産業界の裏側を描いたドラマ。主人公の永瀬財地(山下智久)は、嘘八百、口八丁で営業成績ナンバー1のエース営業マンでしたが、ある日古い祠を壊してしまいウソがまったくつけなくなり、正直な営業をするしかなくなります。

 

永瀬が後輩の月下咲良(福原遥)とともに、さまざまな困難を乗り越えながら営業成績を上げようと奮闘する姿を描いた痛快!ビジネスコメディードラマです。

 

2024年2月13日に放映された『正直不動産2』第6話に出てきたテーマ「家賃滞納」「AD物件」について解説します。

 

※REDSはドラマの監修も担当しており、当日の放送直後にドラマの内容紹介をいち早くお届けしています。こちらの記事もご覧ください。REDSのSNS「X」「Facebook」ではレビューと解説記事がサイトに掲載されたらお知らせ投稿をしていますので、ぜひフォロー&通知ONのうえ、見逃さないようにしていただければ幸いです!

 

賃貸借契約書

(写真はイメージです)

 

家賃を滞納したときに考えられるリスク

 

今回は役者として憧れの舞台に立つことを夢見て上京してきた清川明日美からある相談を受けます。月下は当時、明日美に無理のない家賃の「アンビシャス八起」という物件を紹介し、入居していました。

 

ところが明日美は家賃を3カ月滞納してしまっていました。オーディション対策に集中したためバイトの時間が思うように取れなかった、というのですが……。

 

家賃滞納した場合のリスクについて解説します。一般的に以下のようなリスクが考えられます。

 

1.遅延損害金の発生:遅延損害金とは、金銭の支払いを遅滞したときに、債権者に生じた損害を賠償するために支払うお金です。遅延損害金の金額は、契約書に記載がある場合はその金額を(上限利率年利14.6%)、記載がない場合は、契約の時期にもよりますが、法定利率で滞納分の一律3%の金額を請求されます。

 

2.強制退去:家賃を滞納し続けると、強制退去させられる場合があります。滞納から強制退去までは3カ月~半年程度かかる場合が多いようです。

 

3.連帯保証人への影響:賃貸契約をする際、賃貸契約書に署名した連帯保証人は、借主と同様に家賃の支払い義務があります。そのため、家賃を滞納すると連帯保証人にも支払いの督促が行われます。

 

4.信用情報へ登録:「賃貸保証会社」に加入している場合、家賃滞納すると家賃を滞納すると、保証会社共有の信用情報機関に延滞情報が記載されることがあります。

 

3カ月滞納で明け渡し訴訟から強制退去も

 

永瀬と月下、十影は家賃滞納の件で猪口オーナー(アンビシャス八起)のところへ相談にいきます。このとき永瀬が猪口オーナーに「家賃滞納が3カ月超えた場合、最後通告となる内容証明郵便を送り、それでも支払われない場合、建物明け渡し訴訟を提起することができますが」といったセリフについて解説します。

 

明け渡し訴訟とは、借主を強制退去させるために貸主側が行う訴訟のことを指し、以下のような手続きがあります。

 

1.任意交渉:まず、家賃の支払いを催告します。

 

2.契約解除:家賃滞納が続き、借主が何らかの連絡に応じなかった場合、契約解除の通知が内容証明郵便で送られます。

 

3.明け渡し訴訟:契約解除の通知後も立ち退かなかった場合、裁判所に「不動産明渡請求訴訟」を提起します。

 

4.強制退去・強制執行:裁判所からの明け渡し命令が出た後、借主が自主的に退去しない場合、強制執行の申し立てが行われます。

 

家賃滞納が3カ月以上続くと、一般的に契約解除事由に該当すると解釈されています。ただし3カ月という期間はあくまでも目安であり、借地借家法に「3カ月の家賃滞納が続いたら契約解除できる」と明記されているわけではありません。

 

借地借家法に基づく契約解除は、賃貸借契約が当事者相互の信頼関係を基礎とする継続的契約であることを理由に、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊するに至った場合に限り、契約の解除を認めています。

 

賃料の不払いの場合は催告解除が原則です。また、賃貸借のような継続的な契約関係では、ただ単に債務不履行があるというだけではなく、その債務の不履行が当事者間の信頼関係を破壊する程度の債務不履行でなければ解除は認められないとされています。

 

一般的には、3カ月分以上の賃料の滞納がある場合には、賃貸借契約の催告解除が有効と解されています。改正民法541条ただし書きでは、催告期間が経過したときの債務の不履行状態が軽微であるときは契約の解除はできない旨が定められています。

 

例えば、賃料が月額10万円、3カ月分の30万円の滞納があった場合に、相当期間(一般的には1週間程度と考えられる)を定めて催告し、その期間が経過した時点で、賃借人が29万5,000円を支払ってきた場合、残りの5,000円の未払いが軽微なものと判断されれば、契約の解除はできないことになります。

 

家賃を滞納しないためには、家賃の支払い期限を頭に入れておくこと、または家賃が自動引き落としされる場合には、残高があるか定期的に確認し、口座への入金を欠かさず行うことが重要です。もし家賃を滞納してしまったら早めに大家さんや管理会社に連絡し相談することが重要なことはいうまでもありません。

 

 

フルコミッション(完全歩合制)で登坂不動産といわゆる業務提携という形で勤務している黒須が接客した片桐と、永瀬が接客した青江が登坂不動産にそろってやってきました。

 

片桐と青江のふたりは今年の春に同じ大学に合格し、偶然同じマンションを契約したといいます。片桐の初期費用の精算書には仲介手数料が計算に入っています。ところが青江の精算書には仲介手数料が入っていないというのです。

 

まず、この仲介手数料について解説します。

 

不動産の仲介手数料とは、不動産取引(売買や賃貸)を行う際に、売主(貸主)と買主(借主)の間に入って取引をサポートする不動産仲介会社に支払う成功報酬のことを指します。宅地建物取引業法(宅建業法)により、賃貸の仲介手数料の上限は「家賃の1カ月分+消費税」と定められています。 

 

■貸借の媒介に関する報酬の額(原文ママで引用)
《宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・一倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五五倍に相当する金額以内とする。》

 

となっており、貸主や管理会社からADという形で報酬をもらっているので登坂不動産ではAD物件の場合、仲介手数料をとらないという決まりなのでしょう。

 

業界慣習ではADは払うのが当たり前

 

このAD物件の「AD」とは、アドバタイズメント(広告料)の略で、不動産業界におけるADとは、「大家が仲介業者に依頼して掲載してもらった賃貸募集広告に発生した広告料」のことを指します。「広告宣伝費」や「業務委託料」、「入居促進費」などとも呼ばれます。

 

AD付きの物件は、賃貸募集図面(マイソク)で「AD」を付けて表示されます。「AD100」は賃料の1カ月分、「AD200」は賃料の2カ月分の広告料を意味します。

 

今では「ADを払う=当たり前」「ADを多く払う=仲介頑張る」「ADを払わない=紹介に消極的になる」という構図が業界の慣習になっています。

 

まとめ

 

今回の解説は「家賃滞納」と「広告料(AD)」というテーマでお話させていただきました。最後のシーンで意中の銀行員、榎本美波から恋人になってもらえませんかと言われた永瀬。次回第7話では永瀬と美波の恋の行方が楽しみですね。

 

この記事を執筆した
エージェントプロフィール

水谷 純子

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最後までお読みいただきありがとうございました。『正不動産』監修のREDSエージェントは100% 宅建士

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