『正直不動産』宅建士のプロはこう見る!SHOJIKI-FUDOSAN

  • 公開日:2024年1月31日

『正直不動産2』第4話宅建士解説|滞納歴があると致命的? 家賃保証会社の審査の裏側

NHKドラマ『正直不動産』は、不動産業界の裏側を描いたドラマ。主人公の永瀬財地(山下智久)は、嘘八百、口八丁で営業成績ナンバー1のエース営業マンでしたが、ある日古い祠を壊してしまいウソがまったくつけなくなり、正直な営業をするしかなくなります。

 

永瀬が新入社員の月下咲良(福原遥)とともに、さまざまな困難を乗り越えながら営業成績を上げようと奮闘する姿を描いた痛快!ビジネスコメディードラマです。

 

ここから2024年1月30日に放映された『正直不動産2』第4話に出てきたテーマ「家賃保証」「入居審査」について解説します。

 

※REDSはドラマの監修も担当しており、当日の放送直後にドラマの内容紹介をいち早くお届けしています。こちらの記事もご覧ください。REDSのSNS「X」「Facebook」ではレビューと解説記事がサイトに掲載されたらお知らせ投稿をしていますので、ぜひフォロー&通知ONのうえ、見逃さないようにしていただければ幸いです!

 

審査

(写真はイメージです)

 

部屋を借りる際の関門「入居審査」

 

今回は賃貸物件への入居を希望しているカップルの入居審査をめぐるお話です。

 

永瀬の部下、十影が店頭でティッシュ配りをしてお客様を連れてきました。バーテンダー藤森と保育士の山本美玲です。二人は近々結婚するカップルで新居を探していると。条件に合う物件を内見し、入居の申し込みをしたのですが……。

 

皆さんも、賃貸物件を借りた経験がおありであればご存知かもしれませんが、賃貸のお部屋を借りる際には必ず入居審査というものがあります。入居審査では、おおまかには「物件を安心して貸すことができる人かどうか」、「家賃の支払い能力はあるのか? 」保証人が必要な場合であれば「連帯保証人の保証意思、保証能力はあるのか? 」といったことをまとめてチェックされます。

 

入居審査でのポイントは3つ

 

入居審査のポイントは主に、以下の3点です。

 

1.家賃の支払い能力があるか
2.家賃滞納時に支払ってくれる存在はあるか
3.借主は安心して物件を貸せる人か

 

それぞれ見ていきましょう。

 

1.家賃の支払い能力

 

入居者が家賃を支払っていくには、安定した収入があることが求められます。支払能力の判断のひとつとして現在、賃貸物件を借りる際には保証会社への加入が条件となっていることがほとんどです。保証会社は家賃の支払い能力がある人なのかを判断し、家賃を保証するという役割を担っています。

 

借主の家賃が滞った際、保証会社は貸主へ立て替えて支払い、後日借主へ督促します。貸主は収入が途絶えるリスクを避けられ、借主も入居時に借主は連帯保証人を立てなくてもよくなります(ケースバイケースで連帯保証人と保証会社の両方が必要なケースも)。

 

2.家賃滞納時に支払ってくれる存在

 

家賃滞納時に保証会社が貸主に家賃を立て替える仕組みは先ほど説明しましたが、かつては連帯保証人をつけることが主流でした。連帯保証人とは、入居者が家賃を滞納したり、原状回復義務を怠ったり、入居者が行方不明になったりしたときなどに、入居者に代わって債務を負担する人のことです。基本的に別居の親族(三親等以内)です。

 

保証会社と連帯保証人は、賃貸契約における重要な役割を果たしますが、その役割は異なります。

 

保証会社の役割は、契約者が家賃を滞納した場合に大家さんに対して家賃を立て替えて支払います。しかし、保証会社は金銭債務のみの保証であり、それ以外のことについては基本的に関与しません。

 

一方、連帯保証人は、契約者本人の債務の保証、つまり、万が一家賃を滞納した時に立て替えて支払うことが主たる役割です。さらに、連帯保証人は金銭以外の部分の責任も負うことがあります。

 

したがって、「保証会社を使えば連帯保証人はいらない」「保証会社が連帯保証人になってくれる」という考えは間違いであり、保証会社を契約しても連帯保証人を追加で用意することを求められることもあります。これは、連帯保証人と保証会社がそれぞれの弱点を補い合える関係にあるからです。

 

しかし、昨今は保証会社のみを利用するケースが多くなっている主な理由としては、以下のような社会的背景によるものが考えられます。

 

●高齢者単身世帯の増加:高齢者や単身者が増えるにつれて、連帯保証人を立てることが難しくなってきました。

 

●人間関係の希薄化:親族等に連帯保証人を頼むことが難しい状況が増えています。

 

●連帯保証人に関する民法改正:2020年の民法改正により、個人が保証人になる契約においては、支払い責任を負う金額の極度額(上限額)を定めなければならなくなりました。これにより、高額な保証金額が提示された賃貸契約においては、連帯保証人になることをためらう人が増える可能性も考えられます。

 

●物件オーナーのリスク回避志向の高まり:家賃保証会社を利用することで、家賃滞納リスクを軽減できるため、貸主(物件オーナー)にとっては安心感があります。

 

以上のような理由から、現在では賃貸契約において家賃保証会社の利用が主流となっています。

 

3. 借主は安心して物件を貸せる人か

 

連帯保証人を省いて契約した場合に家賃滞納以外のトラブルを回避できるよう、入居者の人物像をしっかりと見極めるということが重要となってきました。

 

まず、借主がトラブルを起こす可能性が低いかどうかを確認します。借主の過去の違反や犯罪歴、態度、言葉遣いなどが含まれます。

 

また、借主との連絡がスムーズに取れるかどうかも審査対象となります。連絡が取りにくい借主は、家賃の滞納やその他の問題が発生した際に対応が難しくなる可能性があると判断されてしまうのです。

 

服装や言葉遣いなども当落に関係するので、好印象になるように気をつけましょう。また、過去に滞納歴がある場合は正直に伝えることが重要です。保証会社の審査に通りやすくするため申込書は下手でもいいので丁寧に書き、空欄をなるべく埋めるようにしましょう。雑な字や空欄ばかりの申込書では審査が長引いてしまいますし、悪印象です。もちろん嘘を書いてはいけません。

 

では、ここからはドラマのセリフからいくつかピックアップして解説していきます。

 

【この賃貸保証会社って必ずしないとダメなわけ!?】:藤森

 

藤森のセリフで、入居申込の際に賃貸保証会社に加入しなければならないのか?という質問がありました。

 

家賃保証会社の利用には、保証料や更新料を支払う必要があります。保証料は初年度で家賃の0.5カ月~1カ月分が目安で、翌年以降は更新料もしくは継続料といったものがかかります。ここで経済力があるかをチェックされます。

 

さらに審査では、職業や雇用形態、収入、年齢、過去の滞納履歴などが確認され、家賃を毎月安定的に支払えるかどうかがチェックされます。管理会社も物件のオーナーさんも貸してもいい人かどうか(家賃の支払いが可能かどうか)など見た目では判断できないため、家賃保証会社の審査にまかせています。

 

家賃保証会社の種類は大きく3つ

 

家賃保証会社は大きく分けて、「信販系」「協会(LICC加盟)系」「独立系」の3つのタイプがあります。

 

●信販系:信販系の家賃保証会社は、信用情報(クレジット情報や自己破産など)を利用しています。審査の際に、申込者の信用情報を活用する点が特徴で、一般に審査は厳しいといわれています。

 

●協会(LICC加盟)系:LICC(全国賃貸保証業協会)加盟の保証会社は、会社間で滞納歴や入居中のトラブルなどの情報を共有しています。会社間の履歴を見ることができるので、協会に加盟している会社で滞納を起こしている場合は審査に通りにくくなりますが、信販系と比較すると審査に通りやすいといわれています。

 

●独立系:独立系の家賃保証会社は、信販系とLICC加盟以外の保証会社を指します。基本的に、どの会社も独自の審査基準で判断しています。自社の過去の家賃滞納履歴やトラブルを重視する傾向が強く、比較的審査が通りやすいです。

 

それぞれのタイプには、特徴とメリット、デメリットがあります。しかし、どの保証会社を使うかは物件のオーナーさんや管理会社が指定するため、入居者は自由に選べません。そのため、自身の状況に合わせて適切な物件を選ぶことが重要です。

 

特に、作中に出たラプラス武蔵山の貴島オーナーは家賃保証会社でも信販系の保証会社を指定しており、藤森のように過去に支払いを滞った、ブラックリストに載っているなどした場合は信販系の保証会社の審査は厳しいでしょう。

 

【審査に落ちた!?どうゆうことだよ】:藤森

 

保証会社の審査に落ちた藤森が十影に詰め寄るシーンがあります。

 

審査の合否の理由を教えてもらえないのは事実ですが、なぜ審査の合否理由を教えてくれないのでしょうか?

 

主な理由としては、審査基準や審査内容、評価方法が公開されていないからです。不動産会社には保証会社から合否の結果のみが伝えられるのです。審査結果について具体的な理由を開示することは、申込者のプライバシーを保護する観点からも制限されています。審査には信用情報などの個人情報が含まれるため、その詳細を開示することは個人情報保護法に抵触し、個人情報保護の観点から不動産会社にその内容を知らせることができないのです。

 

一般的にはショッピングやキャッシングなどで滞納を繰り返したり、ブラックリストに載っていたり、家賃を滞納したことがあったりした場合に否決になるケースが多いです。

 

【わたしも落ちた!?】:美玲

 

藤森が審査に落ちたので婚約者である美玲の名義でお部屋を借りては?と永瀬が提案したのですが、美玲もまた保証会社の審査に落ちてしまいました。確認すると、何度か滞納歴があるということでした。この何度かというのがよくないのです。

 

1回だけなら信販会社も何かの間違い、うっかりもあるだろうと認識してくれる場合もあります。しかし何度もとなると、滞納することにあまり罪の意識を持たない人という印象になるでしょう。保証会社によっては1度審査に落ちた人が同居人にいるという場合でも審査を落とされるケースがありますので、保証会社に事前に確認しておくことも大事です。

 

美玲の滞納の理由が藤森のギャンブルの支払いによるものかどうかなどは理由にはなりません。滞納したという事実だけしか審査会社は見てはくれません。

 

【それは違法です】:永瀬

 

藤森から、友達の名義を借りるか、アリバイ会社で偽物の給与明細や在籍証明書を出して再審査してほしいと相談された永瀬ですが、「それは違法です」ときっぱり。アリバイ会社が偽の給与明細や在籍証明書を作成する行為は、「私文書偽造罪」「詐欺罪」「詐欺未遂罪」といった罪に該当してしまう可能性があります。また、それを依頼した人も同罪に問われる可能性があるのです。

 

アリバイ会社は、実態のない会社の源泉徴収票や給与明細を作成したり、在籍確認に対応することで顧客の勤務先を偽装したりする会社で、これらの行為は法律に違反しており、摘発された事例も存在します。したがって、アリバイ会社を利用して偽の書類を作成し、それを用いて再審査を受けることは、法律違反となります。

 

申し込みの際、事実と相違することが判明した場合、ほぼ確実に審査に落ちます。今は、保証会社も審査の精度が上がっているため、嘘をついても大抵はわかってしまいますので嘘をついて入居することは絶対におすすめしません。

 

【一度だけチャンスを下さい!】:藤森

 

藤森がオーナーの前で土下座をしながら「一度だけチャンスをください!」と言います。藤森の書いた手紙を最初は受け取らなかったオーナーですが、永瀬や月下の援護があり最後には手紙を受け取ります。

 

これは、きっと永瀬や月下がここまで太鼓判を押す人物なら信じてみよう、そう思ったのだと思います。結果、貴島オーナーは藤森の手紙と永瀬や月下の思いを汲んで、保証会社を信販系から独立系の会社に加入することを条件にラプラス武蔵山に入居することを許してくれました。

 

入居審査ももちろん大切なのですが、最後は人ということですね。

 

まとめ

 

今回は入居審査に焦点を当てて解説しました。今後もうそのつけない永瀬とカスタマーファースト月下、そしてタイムパフォーマンス(タムパ)重視でZ世代十影のこれからの成長に期待しながら、次回の正直不動産2も目が離せません。

 

この記事を執筆した
エージェントプロフィール

水谷 純子

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最後までお読みいただきありがとうございました。『正不動産』監修のREDSエージェントは100% 宅建士

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