REDSエージェント、宅建士の菅野です。

 

新築で戸建てを建てることを検討されたみなさまは聞いたことがあるかもしれませんが「長期優良住宅」というものがあります。長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことで、住宅ローン控除・不動産取得税・登録免許税・固定資産税などで優遇措置が受けられます。

 

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(写真はイメージです)

 

たとえば、住宅ローン控除では、一般住宅は優遇金額が4,000万円までのところ長期優良住宅は5,000万円までとなります。控除率は1%のため、最大控除額は10年間で500万円と大きく差が出ます。

 

このほか、不動産取得税が一般住宅では1,200万円の控除なのですが、長期優良住宅は1,300万円になり、登録免許税は一般住宅が不動産価格の0.15%なのに対し、長期優良住宅は0.1%。このようにさまざまなメリットがあるとされます。

 

この長期優良住宅について、7月8日に国土交通省からのリリースが出ていて考え込んでしまいました。

 

「長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく長期優良住宅の認定状況について(令和2年3月末時点)」という発表文によると、長期優良住宅の制度ができてからの累計で認定された新築住宅は111万戸とのこと。

 

「結構多いなあ」と考える方もいるかもしれません。でも、年間で新築ってどのくらい建てられていると思いますか? 令和元年は「約88万3000戸」でした。そのうちの長期優良住宅は「約10万7000戸」でした。

 

約12%。1割ちょっとしかないのは「全然、少ない」と言えるのではないでしょうか? これで「長期優良住宅の普及を促進」しているとは、ちょっと言い難いかと。結局、「長期優良住宅」が「ちょっと贅沢な住宅」みたいな扱いになっていて、買う人はあまりそこを求めていないというか、気にしていない感じになっています。

 

さらに、長期優良住宅は「面倒くさい」と言われることが多いです。その面倒くささの原因の最たるものは「維持保全計画」です。35年分の計画を立て、そのとおりに点検・修繕を行い、記録を残さなければなりません。違反すると是正指導や改善命令がおこなわれ、改善命令に違反した場合は、長期優良住宅の認定を取り消されるというものです。

 

さらに、所管行政庁からの報告の求めに応じない場合や虚偽の報告をした場合には、30万円以下の罰金に処せられることも。ここで敬遠してしまう人も多く、普及が阻まれています。

 

要するに法の建てつけがおかしいのです。制限と義務は建てる業者に課すべきなのに、一般消費者に課しているわけです。また、建築会社の年間の着工棟数のうち長期優良住宅の割合を一定以上にするといった方向でやるべきではないしょうか。

 

というのも、「日本の住宅性能は諸外国に比べて劣る」ということが世界に知られているからです。世界標準に追いつくためにも、まずはその性能の部分の最低限度を引き上げることから始めてほしいものです。長期にわたって面倒な義務を所有者に負わせるのではなく、性能の良い頑丈な建物を建てる義務を建築会社に負わせてくださいと言いたくなります。

 

「スクラップアンドビルドはもうダメ」なんてだいぶ前から言っているのに、その状況が全然変わっていない。最近、1枚3円とか5円とか取られるようになったレジ袋なんかと比べ物にならないくらい、環境負荷が高いのですよ、家を壊して建て替えるのって。それより、中古住宅の流通の方に国には本腰を入れてもらいたいですし、消費者のみなさまにも中古のよさに気付いてもらえたらと思います。

 

 

菅野 洋充(REDSエージェント、0800-100-6633、hiromitsu@red-sys.jp)
北海道出身。所有資格は宅地建物取引士、宅建マイスター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)、ホームステージャー2級、競売不動産取扱主任者、情報セキュリティマネジメント、住宅ローンアドバイザーなど。
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